ロスタイムにご用心

 2 EURO2000

      サッカー欧州選手権開幕!!!

 激しいイントロ・・・1次リーグ篇

  あ〜夢のよう。毎晩凄面白いサッカーが見られるなんて。セリエAの放映権を失って
 以来この〜WOWOWのバカヤロ!おまえんとこなんか止めてやる。とブツブツ言ってい
 た私でしたが、これが見られるんなら良しとしようってことでEURO2000、始まりまし
 たよ。ワールドカップに次ぐ大会にして、ワールドカップより密度が濃いこの大会。予
 選を勝つ抜いた16ヶ国がグループ・リーグから真剣勝負で頂上をめざす。
  そこで私、ビール飲みながらのお気楽観戦記と参りましょう。


 6月21日 オランダvsフランス
   
「最強対決!?」
   
フランスはもちろん2年前のワールドカップ・チャンピオン。そしてオランダはファ
  イナル一歩手前でブラジルにPKで敗れた。しかし多くのサッカー関係者がこのワールド
  カップで一番良かったチームはオランダだと語っていた。それから2年、オランダは自
  国開催(ベルギーと共催だが)のヨーロッパ選手権で最強の証を手に入れたいはずだ。
   オランダvsフランス。まさにグループ・リーグのハイライト。最強対決を期待したい
  ところだが、すでに2チームとも決勝トーナメントへの進出が決定している。ホームで
  あるオランダはベスト・メンバーで臨んだのに対しフランスはジダン等主力メンバーを
  控えにまわし調整にあててきた。まったく残念。
   ゲームは、終始いいリズムで伸び伸びとサッカーをしたフランスに対し、何故かぎこ
  ちない、流れに乗れないオランダって感じがした。3-2でオランダが勝ったんだけど、
  点の取られ方が淡泊っていうかポッカリ穴が空いてるっていうか。オランダらしくなさ
  が目立ったゲームだった。チームのヘソ、ダービッツが気負いすぎか動きがカラ回りし
  てるみたいで、中盤に落ち着きがなかったような気がしたし、オフェルマルスも得意の
  左サイドじゃなくて右サイド、ちょっと精彩がなかったな。
   両チームとも照準はすでに決勝トーナメント。凄面白いゲームが期待できるだろう。

 
6月21日 スペインvsユーゴスラビア
   
「万年候補」
   
スペインはいつも前評判が高い。優勝候補と言われながら、なんと予選リーグ敗退っ
  てことがよくある。ヨーロッパ選手権でもワールドカップでも。さて今回のスペイン、
  もちろん優勝候補である。タレント揃いでしかも年齢的にもピークに来ている好チーム。
  そしてやっぱりスペイン、初戦ノルウェーに破れまたもや暗雲。2戦目スロベニアに勝
  ったものの、このユーゴ戦に勝たないと1次リーグ敗退が濃厚となる。
   いやあ面白いゲームだった。点の取り合い4-3でスペイン勝利。グアルディオラが好
  配球しリズムにのって攻めるスペイン。しかし先ず得点したのはユーゴ。今大会好調の
  ドゥルロビッチのセンタリングに、これまた好調のミロセビッチがお見事ヘッドで先制。
  しかし依然スペインが攻勢。38分ゴール前の混戦の中スペインのアルフォンソがゴール
  し1-1。スペインはメンディエタとラウールにキレがあり攻撃を活性化。
   嵐の後半。51分にユーゴが得点。すぐ後52分にスペインが同点に。ヨカノビッチがレ
  ッドカードで退場し、ユーゴ3試合連続の10人でのプレイに。しかしユーゴ、FWのミロ
  セビッチとミヤトビッチが献身的に動き回り何度か好機を作る。ミハイロビッチの恐怖の
  FKによるゴール前混戦をコムリエニビッチがゲット。ユーゴがリードでロスタイム。そこ
  でなんとスペインにPK。メンディエタが決めて同点。同点で決着かと思った矢先、スペイ
  ンのアルフォンソがゴール。なんだなんだ、目が離せねーぞと思ったらタイムアップ。あ
  ーいそがしいゲームだった。

 
6月19日 ノルウェーvsユーゴスラビア
   
「熟 練」
   
ノルウェーは手強い相手だ。デカい、速い、柔らかい。対するユーゴ、スターティン
  グ・メンバーの内7人が30代という熟練のチーム。ユーゴ内戦による制裁のため、過去
  2回の大会を出場権の剥奪というかたちで出場できなかった、35才のストイコビッチを
  はじめとする彼ら30代のユーゴの選手達。彼らの今大会への意気込みは相当なものだっ
  ただろう。ユーゴはかつて「東欧のブラジル」と呼ばれた。高度なテクニックによる華麗
  なサッカーがそう呼ばせたのだろう。そして今のユーゴ、内戦の影響か代表チームとして
  の練習量の少なさか、華麗なサッカーとまではいかないが、相変わらず1人ひとりのスキ
  ルは高い。
   さてゲームの方はスキルの高さでノルウェーに勝利した。1-0。なんとなく終始ユーゴ
  のペースだった。このなんとなくがユーゴの熟練の技って気がした。ユーゴビッチのタフ
  でシブイ中盤での働き。まったく慌てず貫禄でゴール前を守ったデュキッチ。「東欧のバ
  レージ」は健在だ。そしてもちろん「ピクシー」ストイコビッチ。そのパス一発で戦況を
  変えることのできる数少ないゲーム・メイカーにして、本当に「巧い」と言える数少ない
  プレイヤーだ。これが現役最後の国際大会となるストイコビッチの勇姿を心に焼き付けて
  おくことにしよう。

 
6月18日 イングランドvsドイツ
   
「フーリガン」
   
今大会、イングランドと言ったらベッカム、オーウェンよりフーリガンのほうが主役
  になりそうだ。悪名高きイングランドのフーリガン、このゲーム前夜に街で大暴れ、多
  くの逮捕者がでたらしい。UEFAは「これ以上暴れるのなら、イングランドは帰っても
  いい」とか言っているらしい。つまり大会からの締め出しである。
   さてゲームの方は予想どおり熱い戦いではあった、が予想どおり面白味のないゲーム
  でありました。もともと個人技に乏しい両大国、強いけどつまらないのは昔から。見所
  はやはりゴール前の空中戦。迫力あるよね。がっぷり四つの戦いを制したのはイングラ
  ンド。ベッカムのFKにしっかりと合わせたシアラーはさすが。ドイツはスランプかなあ。
  39才の年のわりに人望のないマテウスに頼らざるを得ないのがつらい。リタイアしたザ
  マーの穴が埋まらないドイツの悩み。

 
6月18日 ポルトガルvsルーマニア
   
「ロスタイム」
   
ロスタイム0−0、ラスト7秒のフリーキック。TV解説者の水沼が「さあドラマが
  欲しいですね」。キッカーはポルトガルのフィーゴ。蹴られたボールをF・ダ・コスタ
  がドンピシャ・ヘッド。見事なゴール。ロスタイムにはドラマがある、たしかに。
   ゲームはフィニッシュには至らないものの両チームの目まぐるしい攻防がそれなりに
  面白かった。ルーマニアはポルトガル封じとして、バックラインを押し上げ中盤をより
  コンパクトに、そして人数を増やしプレッシャーをきつくすることでポルトガルの強力
  MF陣を押さえ込もうとした。たしかに全ゲームを通してルイ・コスタ、フィーゴに目立
  った活躍がなかった。こんな時負傷?欠場のパウロ・ソウザがいてくれたらポルトガルの
  中盤がこれ程苦戦をせずにすんだのにな。中盤の底でしっかりと的確にボールを散らすこ
  とのできるソウザの不在を嘆く。それでもポルトガルは勝った。ラスト7秒で。
   ルーマニアのキング、35才のゲオルゲ・ハジ。相変わらずのテクニックで存在感たっ
  ぷり。もの凄い気迫でチームを統率。頼もしいキャプテンだった。そしてラスト7秒に泣
  いた。ポルトガルは決勝トーナメント進出を決めた。

 
6月17日 チェコvsフランス
   
「キ ス」
   
今世界中のサッカー・ファンにとって一番有名なキスはフランスのキャプテン、ブラ
  ンとGKバルテスのキスだ。勝利へのゲンを担いで前のワールドカップの時にはやってい
  た。おかげかどうかフランスは優勝した。優勝してしまったからにはなかなか止められ
  ない。今回もゲーム前、ブランはバルテスのスキンヘッドにブチュッとやっている。あれ
  を見るたびに僕は口の中がしょっぱくなる。
   フランスは各ポジションにタレントが揃い、今大会参加国の中で最もバランスのとれた
  チームって感じだ。スピードに乗ったパス回しが見事。チェコもスピードでは負けていな
  い。ネドベドとポボルスキーがすこぶる元気。ゲームは少ないチャンスを確実に決めたフ
  ランスが2−1で勝利したが、チェコは現世界王者に対し互角に戦った。

 
6月15日 イタリアvsベルギー
   
「丸首シャツ」
   
ローマの若大将トッティはユニフォームの衿を立てて着るのがトレードマーク。さて
  今大会のアズーリ(青の意味。イタリア代表の愛称)のユニフォームは丸首。トッティ
  はどこでオシャレするのかと思ったら、ヘアバンドでした。それも一見ねじりはちまき
  って感じの。このユニフォーム、コンセプトは " セクシー " だそうな。本国では賛否両
  論とのこと。今大会を見てみると衿なしのユニフォームが増えてたけど、流行りなの?
   ゲームは2−0でイタリアの勝ち。トッティのダイビングヘッド、フィオーレのワン
  ツーからのシュートは見事だったが、面白みのない眠くなるゲームだったな。やっぱり
  バッジョがいないとねえ・・・。

 
6月13日 ユーゴスラビアvsスロベニア
   
「傷 跡」
   
国際大会の国歌斉唱で、これだけのブーイングの応酬はあまりお目にかかれないので
  はないだろうか。怪しい雲行きが。ナーヴァスになっていたのはユーゴの方。動きが重
  く連係が悪い。比べてスロベニアは全員動きだしが速く果敢にユーゴのゴールに迫る。
   スロベニアが23分、52分、57分とゴールを重ね、しかも主力ミハイロビッチがレッ
  ドで退場。万事休す。ところがゲームはここから動き出す。
   あまりに散漫な攻守にたまりかね35分に" スーパーサブ " ストイコビッチを投入。こ
  れにより、ようやく持ち直したユーゴ。かつてのキレを欠きスピードは落ちたものの、
  天才ストイコビッチ、そのテクニックに衰えはない。彼が入ったことにより中盤にタメ
  ができ、彼がボールを散らすことにより、徐々にリズムが出てきたユーゴ。しかし3対0
  。11人対10人。ここからユーゴに火がついた。急に元気になったユーゴビッチが獅子奮
  迅、ドゥルロビッチ、ストイコビッチと共に攻撃を活性化。なんと3点を連取し同点に。
   結局同点でゲームは終わった。35才のストイコビッチを筆頭に30代が主力のユーゴ。
  彼らベテランは旧ユーゴの代表でもあり、スロベニアの監督カタネツは36才、共に旧ユ
  ーゴ代表として戦った仲間だった。ユーゴの監督は老将ボスコフ、カタネツにとっては
  セリエAのサンプで監督だった人、いわば師弟関係にあたる。
   ゲーム終了後、笑顔で握手を交わす両監督が印象的だった。

 
6月12日 ポルトガルvsイングランド
   
「精 度」
   おーポルトガルだよ。見逃せないよ。しかしキビシイなグループA。ドイツ、イング
  ランド、ルーマニアと戦うんだよ。技のポルトガル対パワーとスピードの他3ヶ国って
  感じですか。
   モダン・サッカーは時間と空間の無いサッカー。実に窮屈になりました。その窮屈な
  フィールドで、より求められるもの、それが精度です。パスの精度です。
   試合前半3分、18分にイングランドがゴール。この2得点のアシストはご存じベッ
  カムのピンポイント・アーリークロスとピンポイント・パス。ゴール前ここしかないっ
  てポイントにカーブして落ちる絶妙のパス。アーリークロスに関してはベッカムが世界
  1かな、現在。
   ところがゲームはここからなんだ。2点先行されながら、ポルトガルはまったく怯ま
  ずゴールに襲いかかる。だって得点されながらもペースを握っているのはポルトガル。
  とくに司令塔ルイ・コスタそしてフィーゴはほとんどフリーでイングランドのゴール前
  に鋭いピンポイント・パス、クロスそしてワンツーと面白いのなんの。簡単にゴール前
  に放り込むなんてことは絶対にしない連中だ。とにかくドリブルが好きパスが好き。ボ
  ール・タッチが柔らかいしアイデアが豊富。そして22分、フィーゴが寄せ来る相手の
  股間を抜く鮮やかなミドル・シュートを決め、37分にはルイ・コスタのピンポイント
  クロスにJ・ピントがダイビング・ヘッドで決めて同点。
   後半に入り流れは相変わらず6:4でポルトガル。イングランドはベテラン・ストラ
  イカー、シアラーが奮闘しているものの、ペースを自分達に引き寄せることができず、
  59分、ポルトガルの若手FWゴメスがピンポイント・パスに鮮やかに反応、バックライ
  ンを破り逆転に成功。ちょっとため息。あのイングランドに2点先行されながら逆転して
  勝利するなんて。ポルトガル、今度こそイケルかも。

   パスの精度。このゲームを10とするとJ・リーグは5以下だな。日本代表の得点力不足
  解消はなかなか大変。
    

  第1話 ファンタジスタのリベンジ

  月下の遊群CONTENTS

  音盤 BAN BAN   酔んぐしなくちゃ意味ないね 

  While My Guitar Gently Weeps