久しぶりにアナログ盤を買った。それもブルースのシングル盤。もちろん中古盤だ。名古屋のブルース・ゴスペル・ジャンプ・アーリージャズなどを豊富に扱うレコード・ショップ「ネットワーク」のリストにたま〜に載ってるので、年に5.6枚位買っている。そのほとんどのシングル盤、LPやCDですでに持っているのだけれど、シングル盤で聴きたいって欲求がフツフツと身体の中にあり、ガァッと発作的に針を落としたくなるのだ。
 久しぶりに買ったシングルってのがLarry Davis"Angels In Houston"(DUKE) とおなじみB.B.King"Sweet Little Angel"(RPM) の2枚。レコードが届き、おーし針を落としてやるからなって意気込んでターンテーブルに載せ、カートリッジを曲のアタマに合わせレバーを静かに降ろした。着地に失敗した。オマケに針先が折れて無くなってしまった。その昔スタントンのカートリッジを使っていた時なら、スタイラス(交換針)だけ買って取り替えればよかったけど、今つかっているSAEC-C3はMCでそれができない。もっと問題なのは、今はCDの時代なので、昔のカートリッジやスタイラスなんか扱っている店があるんだろうか不安だった。
  本屋へ行ってオーディオ雑誌で調べてみようと思ったら、オーディオ雑誌が無い!よ〜く見たらAVナントカって雑誌(アダルト・ビデオじゃないよ)、音の出るものと映像の出るものの総合誌が1誌だけあった。立ち読みを始めて気づいてしまった。レコード・プレイヤー、カートリッジの広告なんか載ってない。ようやく通販AV(アダルト・ビデオじゃない)ショップの広告のスミにカートリッジを発見。ホーム・ページを持っているようなので商品を確認しメールでオーダー、3日後にSHUREのカートリッジが手元に。
 さてここからだ。カートリッジを交換するってことはヘッド・シェルの調整、アームの調整をしなければならない。忘れちゃったよそんなこと。10何年前に買ったレコード・プレイヤーの取説なんかどこにあるんだよ。物置部屋をくまなく探してようやく発見。取説にしたがって調整を完了。久しぶりにイジってみて気がついた。トーンアームって男心をくすぐる何かがあるな。精巧なパーツがきっちりと組み合わされたメカがカッコイイ。針先で音を拾い、スピーカーのコーンを振るわす。ちょっと前までアタリマエだったんだよな。
 さてと、ようやくドーナツ盤の出番だ。ターンテーブルに載せ、慎重に針を置く。もちろん針を置くと同時に左手でしぼってたアンプのボリュウムをあげる。身体が憶えていた。スピーカーに身体を向け「さあ、こいっ」って待ちかまえる。ガッ、ボツッってノイズとともにキュイ〜ンてB.B.キングのギターが唄いだす。3分間立ち尽くす。耳だけじゃなく毛穴から音を吸収する。3分間総毛穴聴き。なかなか贅沢ざんす。

                                ('99年11月3日)


 第一話 デカい音で演ろう!「BOB DYLAN LIVE 1966」より('99.7.5)


月下の遊群CONTENTS

   ロスタイムにご用心  音盤BAN BAN  While My Guitar Gently Weeps