6月30日 決勝 ブラジル
2-0
ドイツ (横浜)
僕はブラジル・サッカーの持つ独特なリズムと選手個人の多彩な技を見るのが好きだ。だからブラジルの一流選手達がヨーロッパのリーグで活躍しているのは嬉しいことだが、そのチームのシステムに従うためにプレイが窮屈そうだと感じることもよくある。ブラジルは3大会連続の決勝進出だ。決勝Tに進めたことを大喜びしているチームとは次元が違うところにいる。国民から優勝を宿命づけられているようなチームだ。'94年優勝、'98年準優勝していた頃のチームは優勝候補の本命に上げられるような強力なチームだった。あのドゥンガを中心に強固なシステムと戦術を持っていた。でも僕はそのチームに違和感を感じていた。まるでヨーロッパのチームみたいだったから。勝利至上の、夢の乏しいチームに思えた。
さて今回のチーム、御存知のとおり前評判は低かった。南米予選を過去最低の戦績でかろうじて通過し、ブラジル国民には「至上最低のチーム」とまで酷評されていた。ここまで評価の低いブラジルだったが、その評価にはいつももう一言が添えられていた「でもロナウドが好調だったら・・・」と。
評価の低さはドイツも同じだった。ヨーロッパ予選を苦戦の末プレーオフまで戦いようやく手に入れたW杯出場だった。ユーロ2000でドイツのゲームを見たが、かつての「強国ドイツ」の面影もなく1次リーグで敗退していた。また今大会出場を前にしてショル、ダイスラーなど主力に負傷者続出で、戦力ダウンは避けられないと見られていた。ただドイツはナショナル・チームの戦績こそパッとしないもののクラブ・チームの活躍は素晴らしいものがあった。去年UEFAチャンピオンズ・リーグを制したのはバイエルン・ミュンヘンだったし、今年もレバークーゼンがファイナルまで進出、UEFAカップでもドルトムントがファイナルまで進出した。共にレアル・マドリーとフェイエノールト(小野が活躍!)に敗れたんだけど・・・。ドイツ・サッカー、地力はあるわけだ。
そんなブラジルとドイツが栄えあるファイナリストとなって決勝戦を戦う。マスコミが書き立てたとおりブラジルの3R対ドイツGKオリバー・カーンの戦いだった。ブラジルは3Rの個人技で、ドイツはカーンの個人技でここまで勝ち上がって来たわけだから。個人よりチーム戦術を優先する近年のサッカーにとって、この結果は実に興味深いしサッカーの未来にとっては良いことだ。世界中のチームが同じようなプレイをするんじゃツマラナイと思うから。
キックオフ。ブラジルの両翼ロベカルとカフーが引き気味に布陣し、慎重な立ち上がりだ。一見ドイツが押し気味でブラジルが引き気味の展開。しかしフィニッシュまで行くのはブラジル。18分のロナウドのシュート、44分クレベルソンのバーを叩くシュート、ロスタイムのカーンの足に当たったロナウドのシュート、数は少ないけどすべて惜しいシュートだった。一方ドイツは良く攻めた。ラメロウのオーバーラップはドイツ伝統のリベロを体言していたと思う。ただ司令塔バラックを累積警告で欠いたドイツには攻め手があまりに少なかった。本来強いはずの高さを生かした攻撃、ゴール前のセットプレイでもブラジル守備陣に競り負けていたし。前半は0-0で終わった。
後半。ドイツで一番キケンなスイス男ヌビルのFKがGKの手をかすめてポストに当たった。右足アウトサイドにかけた見事な一撃だったが、運がない。運をもぎ取ったのはブラジルのロナウド。自分のミスで相手ハマンに渡ったボールを敢然と奪い取り、ボールはリバウドへ、リバウド得意の左足キックが炸裂、ボールはカーンの正面へ、なんと!カーンがボールをはじく、それを予期して走り込んでいたロナウドがボールをゴールネットに突き刺す、22分ブラジル先制。34分には右サイドにオーバーラップしたクレベルソンのセンタリングをリバウドがスルー、ロナウドがしっかりとゴール右隅に蹴り込んだ。ブラジル2点目、勝負あった。守りに入った試合巧者ブラジル、後は終了のホイッスルが鳴るのを待つのみ。
2002年のW杯トロフィーはブラジルの頭上で輝いた。ロナウドは8度ゴールを決め得点王となり、オリバー・カーンは大会MVPに選出された。優勝候補が1次リーグで姿を消し、韓国とトルコがベスト4に進出、日本は念願の1勝を上げ開催国のノルマとされた決勝T進出も果たした。様々な想いを残したままフェスタは終宴し熱狂は去った。そして新たな熱狂に向けてボールは転がり続ける。
6月29日 3位決定戦 韓国
2-3 トルコ (テグ)
いやあ面白い凄いゲームだった。今までの3位決定戦というと準決勝で負けたチーム同士の争いで、モチベーションが上がらずサブのメンバーで戦ったりで、真剣勝負が少なかったような気がしていた。今回の両チームにとって3位というのは魅力だったはずだ。だからモチベーションは高かった。ただ連戦による疲労もたまっていたはずだ。両チームとも主戦場としていたはずの中盤のプレスが甘かった。だから点の取り合いになり、見ている方としては楽しかった。キックオフ直後11秒!にハカンが決め、9分には韓国FKをイ・ウリョンが素晴らしいキックで直接決めた。今度はトルコが13分にイルハンが得点。開始15分ですでに2-1だなんて!韓国攻勢、スキをつきトルコがカウンター、ハカンとイルハンがワン・ツゥでDFを崩しイルハンがシュート。32分、トルコ3点目。後半韓国猛攻。しかしこの日はゴールに見放されたか?。トルコGKも好セーブでゴールを守る。そしてロスタイム、韓国が意地の1点を決め、ゲーム終了のホイッスル。このW杯で大躍進を遂げた両チームにようやく大会の幕が下りた。
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