音盤 BAN BAN

  THE FIRST IMPRESSION 

 ただこのヒト月の間にGETした音盤の第一印象を10点満点で採点しました。
 あくまでも、第一印象ですから。


 February 

 佐野元春 / The 20th Anniversary Edition
  
佐野元春はナイアガラ・トライアングルだし当時のトップ・スター沢田研二への楽曲提供にも「してやっ
  たり」と親身に喜んだ思い出がある。アルバムも3枚目くらいまでは買ってきてよく聴いた。でもCDは
  1枚も持っていない。いつの頃からか「もういいや」って感じて聴かなくなった。彼が人気絶頂の頃だ。
  なにやらカリスマ臭さが鼻についてきた。こうして改めて聴いてみたけど、僕はやっぱり初期の青臭いポ
  ップス小僧の佐野元春が好きだな。   8点
 
Ella Fitzgerald / Ella & Nice Guys
  
20世紀の偉大な歌声エラ・フィッツジェラルドの'37〜'51年、コーラス・グループとの共演作品集。共
  演してるのがデルタ・リズム・ボーイズ、インク・スポッツ、スカイラークス、ミルス・ブラザーズ。す
  ごいでしょ。文句なし。ジャイヴ系のグループと軽めにスイングするエラに、その魅力再発見。
  家庭に1枚。  
10点
 Buddy Miller / Cruel Moon
  
'99年作。アメリカン・ルーツ・ロックのアルバムとしてはイブシ銀の魅力を感じるんだけど、ギタリスト
  、バディ・ミラーに期待している僕としてはチョット物足りない。スティーヴ・アール、エミルー・ハリ
  スといったいつもの仲間達をゲストに迎え、それぞれの曲もシブくていいんだけどね。バディ、もっと弾
  いてよ。  8点
 Dulce Pontes / O Primeiro Canto
  
ドゥルス・ポンテス、ポルトガルの女性歌手。ポルトガルの女性歌手というと昨年亡くなったアマリア・
  ロドリゲスを想い出す。ポルトガル歌謡ファドの大歌手で、僕も大好きだった。ファドの新世代ドゥルス
  にとってアマリアはあまりに厚く高い壁だろう。このアルバムは新鮮な試みが楽しい。ファドの未来のた
  めに応援してます。8点
 ReBirth Brass Band /The Main Event: Live At The Maple Leaf
  
ニューオーリンズを代表するブラス・バンド、'98年地元でのライヴ。N.O ファンクでブッとおした熱気溢
  れる演奏が気持ちいい。ただ、かつてのダーティー・ダズン・ブラス・バンドが持っていたような音楽性
  の高さが感じられないしD.D.B.B のファンクネスのほうが僕には熱くなれる。ともあれブラス・バンドは爽
  快だ。  8点
 no media 1 / 友部正人プロデュース、ポエトリー・リーディング・アルバム
  
詩の朗読です。しかもバック・トラックなし。言葉が裸で飛び込んでくる感じ。ポエトリー・リーディ
  ングってアメリカのロック・フェスなんかではごく普通に行われているようだし、詩の朗読会も一般的な
  催しらしいけど、日本ではそうでないし、耳にすることは少ない。ギャグあつかいされもする。だからこ
  そ、このアルバムには価値がある。期待以上に良かった。言葉が唄以上に生々しく感じられる瞬間がある
  そのスリルに惹かれてしまった。僕の好みは高田渡と友部正人。声がいいもん。 9点
 Little Willie Littlefield / Kat On The Keys
  
テキサス生まれのシンガー&ピアニストが'50年前後モダンに吹き込んだ作品集。テキサスからウエスト
  コーストで活躍したピアニストで、しかもR&B臭いブルースマンだと、日本では知名度が低いらしい。
  僕も知らなかった。チャールズ・ブラウン系だけどもっとワイルド。ミディアム・テンポに乗っかるハス
  キーなヴォーカルが良い。   8点
 Dr.John / Dr.John & His NewOrleans Congregation
  
ドクター・ジョンのニューオーリンズ時代、作曲・プロデュース・ギター・ピアノなど裏方として関わっ
  たN.O.R&Bのコンピレ物。Drなんと10代ですって。早熟だなあ。'60年前後の録音かな?とにかくN.Oの
  R&Bは豊潤です。  8点
 
Borderline / Sweet Dreams & Quiet Desires
  
ウッドストック=ベアズヴィル・サウンドを代表する名盤の初CD化。'73年の作品。CDのライナーで萩原
  健太が'75年に初めて聴いて以来の愛聴盤と記しているが、同氏と同じ歳の僕も同じ頃に手に入れて聴いて
  いた。当時「幻の名盤」が静かなブームになっていてベアズヴィル・サウンドの人気は非常に高かった。
  ブルース、R&B、ジャズ、カントリー、フォーク、ブルーグラスなどを融合した歌心溢れるサウンドを創
  り出していた。ザ・バンドは別格として、ベターデイズ、ハングリー・チャック、マッド・エイカーズの
  面々そしてこのアルバム、ジム・ルーニーとガーシェン兄弟によるボーダーライン。派手さが無くヒット
  と無縁そして相変わらず「幻の人達」だったわけだが、久しぶりに本作を聴き、そのムダのない的確なサ
  ウンド、滋味な歌声が時の流れを感じさせず、聴き終わってフゥーッと溜め息。   
10点
 V.A / GS I Love You Too.Japanese Garage Bands Of The 1960's
 
 欧米には日本のGSのマニアが結構いるって話しだ。それでこのアルバム。ジャパニーズ・ガレージ・バン
  ドときた、なにやらカッコイイ。で、バンドはジャガーズ、テンプターズ、カーナビーツ、ヤンガーズ、
  サベージ、スーナーズ、リンド&リンダーズ。僕はGSファンだったし、とくにジャガーズとカーナビーツ
  が好きだったので、この盤はうれしい。うれしい発見もたくさんあった。スーナーズはニューロックだっ
  た。彼等はフィリピン人バンドでテクニック的にも当時のGSより上を行ってる。ヤンガーズはたしかに
  ガレージ・ロックだ。このアルバムが目ウロコものなのはGSがロックだったってことだ。僕の中ではずっ
  と流行歌だったGSがじつはロックだった。ガ〜ン。つまり、日本語のロックが"はっぴいえんど"からじゃ
  なくて、じつはGSからだってことが判ってしまった。GSをロックとしてみると・・・。あ〜GS漁りしなく
  っちゃ。あの恍惚のファズ・サウンドに酔いしれて唄に合わせてイェイとかヘイッとか。こりゃ気持ち
  いいぞ。
               9点
 はっぴいえんど / HAPPY END
  
'73年作のラスト・アルバム。といっても「風街ろまん」で完結してしまったバンドにとって、このアルバ
  ムはメンバー各自のソロの寄せ集めって感じ。今改めて聴いてみても、僕の好きだったはっぴいえんどの
  匂いが感じられないな。でも  8点
 はっぴいえんど / ライヴ!!はっぴいえんど
  
'73年9月のライヴだけど、はっぴいえんどは前年12月に解散しているので再結成ライヴってことにな
  る。こうして今聴いてみると、彼等のサウンド(詩も含めて)って'70年前後の香りが濃厚で、彼等自身
  はっぴいえんどにケリをつけて各自新しいサウンドに向かって行くってのは必然だったようだ。この日の
  一番人気が大瀧詠一とココナツ・バンク+シュガー・ベイヴだったことでもわかるように、はっぴいえん
  どファンにとっても解散は悲しむべきことでなく、あたらしい音楽への期待のほうが大きかったように思
  う。あらためて、"はっぴいえんど"が日本のポップス史に燦然と輝く存在なんだと感じた。アンコールの
  ラスト3曲「12月の雨の日」「かくれんぼ」「春よこい」を聴いていると、東京で遊んでいた19歳の頃を
  どうしようもなく想い出す。  9点
 細野晴臣 / Hosono House
  
細野のファースト・ソロ・アルバム('73年)。当時思っていたことは、細野が引き籠もった狭山のアメリ
  カ村(旧米軍ハウス)「Hosono House」でのホーム・レコーディング、周りに同じように引っ越してき
  たミュージシャン仲間がいる、ということはNY郊外ウッドストックとザ・バンドみたいじゃないか、って
  感じ。このアルバム自体、当時のアメリカン・ミュージックの影響が素直に感じられ、まだチャンキー・
  ホソノ路線には至っていない。このアルバムに集まったメンバーで"キャラメル・ママ"が結成され荒井由
  実を始めとするそのスタジオ・ワーク、プロデュース・ワークで良くも悪くも日本の流行歌の変革を担っ
  てしまったわけだ。ニューミュージックの時代だよね。今アルバム裏のデータを読んでいて気が付いたん
  だけど「Hosono House」の住所、Unoki-Sayama なんだよね。へえ〜そうだったの。「恋は桃色」ってい
  い曲だな。  8点
 Jane Birkin / Quoi
  
" フレンチ・ウィスパー " ジェーン・バーキンのベスト盤。ここ数年ちょっとしたブームなんだそうです
  ね。バーキンもゲンスブールも昔から知ってはいたけどレコード買う程のファンではなかった。知ってる
  曲も3曲あったし、くすぐったくも気持ちよく聴けました。そのささやくような歌声と軽く爽やかなサウ
  ンドがよくマッチし、独特な透明感のある音の世界を創り出している。きちんと聴いてみるもんですね。
                  9点
 Charlotte Gainsbourg / Lemon Incest
  
で、バーキンとゲンスブールの娘がシャルロット。歌手で女優、か細く頼りなげな歌声は母親といっし
  ょ、つまりはゲンスブールの好みらしい。詩の内容を読み、父とのデュエット(つぶやき?)を聴いて
  ると、日本人にはマネのできない父と娘のエロティックな関係が・・・。あ〜なんだこりゃ。サウンドは
  バーキンのよりもポップ。8点
 V.A / On The Road Again(VHS)
  
'63年米国黒人音楽のドキュメント。各地のコミュニティの中での音楽って視点が良い。ブルース、ゴス
  ペル、ジャズ、ストリング・バンドが登場。ホップ・ウィルスンが動いてる!!ライトニンは相変わらず
  ふてぶてしい。ロウエル・フルスンの貫禄。ブラック・エイスの枯れた味わいの唄とスライドも良し。ゴ
  スペル集会の熱さに唖然。米国黒人音楽に興味あるひとのは楽しめます。     8点
   
       今月はここまで。


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