音盤 BAN BAN

  THE FIRST IMPRESSION 

 ただこのヒト月の間にGETした音盤の第一印象を10点満点で採点しました。
 あくまでも、第一印象ですから。

 8 月

 Full Moon / Full Moon
  
まさに幻のアルバムがリイシューされた。その存在は知っていたが聴くのは初めてだ。
  '80年頃ニール・ラーセンとバジー・フェイトンのバンドを聴き、その時彼等がかつて
  在籍していたフルムーンという名のバンドと'72年に発表されたアルバムのことを知っ
  た。そしてようやく巡り会ったこのアルバム、新鮮な驚きに満ちている。'72年でこの
  サウンドは驚きだ。クロスオーヴァー〜フュージョンの流行が'75〜6年頃からだから
  フルムーンのサウンドは十分に新しかったわけだ。ソウルフルでファンキーなクロスオ
  ーヴァー・サウンド、エレクトリック・マイルスな感じの曲もある。フェイトン含めた
  3人がバターフィールド・ブルース・バンド出身でラーセンはソウル・サーヴァイヴァ
  ーズ在籍経験ありで、フェイトンは後期のラスカルズにも参加していた。やはり彼等の
  サウンドはブルー・アイド・ソウルのぶっとい流れの上にあったわけだ。フュージョン
  〜AORに堕する以前の若く瑞々しいサウンドがここにはある。 
10点

 Buzz Feiten & Whirlies / Buzz Feiten Whirlies
  
そのバジー・フェイトンの最新作。あ〜AORなロックだ。僕が最も必要としない音楽
  かもしれないな。けっして悪くないんだ。良く出来ているんだけど、アタリマエすぎる
  ってのかな。ギターも巧いけど個性が感じられないし。まあそんなこと言ってる僕の方
  がヒネクレテいるのかもしれないけど。 7点


 羅針盤 / ソングライン
  
あ〜心地よくって眠くなってきた。これ聴いてたら。このサウンドの持つ浮游感のせい
  かな。羅針盤は山本精一のグループで、僕はこの山本精一が気になってしょうがない。
  何故かと言うと、山本はザ・バンドのそしてR・ロバートソンのファンであるらしい。
  その彼がボアダムスのギタリストだってのが驚きだった。しかも彼はその他にROVO、
  想い出波止場の中心人物でもあるのだ。それに想い出波止場での相棒津山はR・トンプ
  ソン・フリークらしい。面白い人達だよなあ。それで僕は気になってしょうがないから
  山本関係のアルバムにはけっこう手を出した。それで・・・わからないんだ。山本精一
  って何者だ?気になるなあ。それでこのアルバムは今まで聴いてきた山本関係では一番
  聴き易い。聴くたびに皮膚に染み込んでくるような感じだ。 9点


 
Sonic Youth / nyc ghosts & flowers
  
感動した。本作におけるソニック・ユースの進化を歓迎する。凄いバンドになったな。
  ソニック・ユースはNYパンクとオルタナ・グランジを繋ぐ存在のバンドであったと思
  う。ただグランジの連中が田舎っぽく野暮ったい感じだったのに対し彼等はシャープで
  知的だった。ノイズと不協和音、NYとカオス。彼等はすでにベテラン・バンドでしか
  も音の冒険者で、その上いまだに先頭を走っている。本作の共同プロデューサーはジム
  ・オルーク。所謂シカゴ音響派だが、見事にソニック・ユースにハマっている。ノイズ
  と不協和音がこれ程美しく鳴り響く音楽はまさにプログレッシヴ。「そしてまた走り出
  すのか?ニューヨーク・シティの亡霊と花たちのなかを」ギュイン! 
10点

 Giant Sand / Chore Of Enchantment
  
以前面白く聴いたカレクシコの二人が参加してるバンドってことでゲット。アリゾナ州
  ツーソンで結成された、ハウ・ゲルプをリーダーにカレクシコの二人が参加してるバン
  ド。ただカレクシコほどのサウンドの面白味はない。デザート・ロック系なんだそうで
  す。ん〜あんまり面白くないな。 7点


 Bob Applebaum / All The Way Home
  
プー横丁大推薦のボブ・アップルバウム。マンドリン弾きです。ブルーグラスですよ。
  デヴィッド・グリア、トニー・トリシュカ、バイロン・バーライン、ハーブ・ペダーセ
  ンなどゲストが豪華でインストなんかそりゃもう凄い。しかも歌物がまたいいんです。
  ハイ・ロンサムじゃないです。いまどきのカントリー・ソングです。 8点


 Ricky Skaggs & Tony Rice / Old-Time Country Duet Recordings
  
ブルーグラス界のスーパースター・デュオ。'80年作品デジタル・リマスター物です。
  リッキー・スキャッグスのヴォーカル&マンドリン、トニー・ライスのヴォーカル&ギ
  ターによるB・モンローやスタンリー・ブラザーズ、トラディショナルなどのオールド
  ・タイム・カントリー作品集。しみじみ巧いマンドリンとギター、ブルーグラスならで
  はのヴォーカル・ハーモニー。僕もマーチンをあんなふうに弾けたらなあ。 8点


 Terry Evans / Walk That Walk
  
ライ・クーダーのアルバムでお馴染み。ソウルフルな歌声を聴かせるテリー・エバンス
  の新作。バックにはもちろんライのギターとジム・ケルトナーのドラム。相性バツグン
  のサウンドだね。ヴォーカルがライなら、まんまライ・クーダーのアルバムって感じ。
  ライのファンならそれでいいんだけど・・・  8点


 Stephen Stills & Manassas / Live (VHS)
  
なんとマナサスのライヴです。'72年独TVライヴです。CSN&Yは大好きだったから当
  然スティルスが結成したマナサスも聴いていた、当時持った感想はアメリカン・ロッ
  クの優等生的サウンドだなって感じで、スティルスの優等生的イメージがダブっていた
  と思う。さてこの映像、まだスリムで前髪のあるスティルスがカッコいい。こうして改
  めて動く若きスティルスを見ているとギターは巧いしヴォーカルもいいし、その独特な
  ソウル・ラテン風味もスルドイし。いいんだよ、これが。もっと贔屓にしてもよかった
  のになあ当時。あのニール・ヤングと比較されちゃう不運かな。 9点


 Little Feat / Live (VHS)
  
'77年独のTV番組でのライヴ。海賊ビデオですでに見ていたので驚きはないがリトル・
  フィートというバンドの凄さを思い知らされる反面、ロウエル・ジョージの精彩の無さ
  が悲しい。バンドの主導権がビル・ペインとポール・バレールに移っていた時期なので
  しかたないが。「デキシー・チキン」の頃のはつらつとしたロウエルの歌声とスライド
  ・ギターを見たかったな。でもここで聴かれるフュージョンぽいファンク・ロックは当
  時は抜きん出ていたし、今でも古臭くない気がするが。 8点


 
野清志郎 / Respect! (DVD)
  
キヨシローのデビュー30周年記念コンサート。やはりチャボのMCが感動的だったな。
  「キヨシロー、俺達50だってよ〜」って言えるカッコよさ。たくさんのゲストが出演
  しキヨシローの曲を歌い演奏し楽しい雰囲気がいかにもリスペクトって感じ。特に印象
  に残ったのは矢野顕子がピアノの弾き語りで歌った「海辺のワインディング・ロード」
  キヨシローがチャボのアコギで歌った「夜の散歩をしないかね」そして陽水&キヨシロ
  ーによる「帰れない二人」。ロッキン・キヨシロー・ナンバーが多かっただけに、この
  ロマンティックな3曲がコンサート全体のアクセントとなっていたと思う。「帰れない
  二人」は日本的バラードの名曲だが、キヨシローと陽水の共作で、この感じはいかにも
  陽水にハマるんだけど、キヨシローにも良くハマる。キヨシローと言うとケバいメイク
  で観客を煽るイカしたそしてちょっと反骨のロックン・ローラーのイメージがあり、し
  かも人気者だ。人気の秘密は?明瞭さだと思う。彼は自分のイメージ、曲のイメージを
  明瞭に伝える。はぐらかさない強さがキヨシローの魅力なんじゃないだろうか。だから
  あんなに抒情的でロマンティックなバラードができるんだし、" 日本のジョニー・B・
  グッド " といえる「雨あがりの夜空に」のような痛快な名曲を生み出したのだ。
   素敵な50才ロックン・ローラー、キヨシローとチャボに乾杯。
   "イマワノ・スゥイート・ソウル・キヨシロー!"に 
10点

 
Prince / Rave Un2 The Year 2000 (DVD)
  
みんなは何て呼んでるんだろ、この元プリンス。プリンスの名を捨てヘンなマークと共
  にジ・アーティスト・4マリー・ノウン・アズ・プリンスと改名した元プリンスだけど
  僕はメンドウだからプリンスと呼んでいる。さてプリンスのライヴだ。'99年11月彼の
  本拠地ミネアポリスのペイズリーパーク・スタジオで行われたものだ。僕はプリンスの
  ファンだったことはない。「戦慄の貴公子」には心が動いたけど、その後のドぎついプ
  ロモーションについていけなかったからだ。ディープなブルースやソウルを聴いていた
  時期にプリンスはピンとこなかったのだ。いや〜でもマイッタなあ。このライヴですっ
  かりプリンス様の大ファンになってしまったぞ。ファンクの貴公子かブラック・ロック
  の王様か、とにかく華麗で巧妙で貫禄のステージなのだ。真に才能のあるヤツっている
  のだとプリンスを見ると納得する。楽器をマルチにこなし踊りを含めたステージングは
  カッコ良くキメまくるし、ヴォーカリストとしてまたサウンド・クリエーターとしての
  実力は十二分にある。黄門様一行と年は逆になるがラリー・グラハム、メイシオ・パー
  カーといったファンクの長老(権化)をスケさんカクさんのように従えたプリンス黄門
  様はまさに無敵って感じです。グレ〜ト!!!  
10点
  

   今月はここまで。


 前月のGet音盤 2000. 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月

        1999. 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

      

 月下の遊群CONTENTS

 ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね

 While My Guitar Gently Weeps