ただこのヒト月の間にGETした音盤の第一印象を10点満点で採点しました。
あくまでも、第一印象ですから。
10月〜11月
戸川 純
/ 20 th Jun Togawa
戸川純は、戸川純らしさは健在だった。20周年記念のアルバムで全曲カバー物。とん
がった選曲が秀逸。ブリジッド・フォンテーヌの曲はあのアートアンサンブル・オブ・
シカゴと共演の「ラジオのように」、あとフュー、スラップ・ハッピー、パティ・スミ
スにヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ、そしてヴァネッサ・パラディ。
ホッピー神山プロデュースのノイジーでアヴァンギャルドなサウンドにのって歌手を演
じる彼女はやっぱりデカダンス。戸川純って歌手としての魅力は感じないけど、歌手を
演じてる彼女は楽しめる。 8点
Steve
Earle / Transcendental Blues
「エル・コラソン」以来ずっと気になる存在のスティーヴ・アール。本作もヘヴィー・
ローテーション。南部不良中年ロッカーの鏡って感じ。な〜んかセンチメンタルな曲調
が多いぞ。ビートルズみたいのやらアイリッシュ風やらもろブルーグラスにグランジに
フォークに・・・。全部ひっくるめて自然体のスティーヴ・アールって感じが、いかに
も南部不良中年ロッカーの粋。まさにトゥワング魂!!! 10点
Bramhall / Jellycream
ブラムホール!しぶい。ぱっと聴いて、あっスワンプ・ロックって感じた。クラプトン
の曲調に近い。プロデュース・ミックス・エンジニアがチャド・ブレイク。そんなサウ
ンドだ。ストラトのトーンを活かしたギターもいい味だしてるし、オーソドックスで古
臭いとも言えるかもしれないけど、好きだ。 9点
大貫妙子・奥田民生・鈴木慶一・宮沢和史・矢野顕子
/ Live Beautiful Songs
この5人でBeautiful
Songsはズルイでしょ、とまず思う、でもそんなの考えたらキ
リがないから、何故この5人なのか?と考える。慶一と矢野顕子と大貫妙子の繋がりは
解る。奥田民生と宮沢和史は?やはり矢野顕子繋がりでしょう。てことで、このアルバ
ムは矢野顕子の歌へのこだわりの結晶だと思うのです。結果は? 素晴らしい!!!
僕的には慶一の「Sweet Bitter
Candy」がやはり名曲だと確認できたのと、民生は日
本のニール・ヤングたりえるかも、という想い。そんなことを感じた。とっても良い企
画なので続編を期待するし、生で接したい! 10点
V.A / Kings of the Gospel Highway
邦題が「黄金時代の名門ゴスペル・カルテット」。'40年代〜'50年代初期のソウル・
スターラーズ、スワン・シルヴァートーンズ、スピリット・オブ・メンフィス、ファイ
ブ・ブラインド・ボーイズ、センセイショナル・ナイチンゲイルズ、ピリグリム・トラ
ベラーズの作品集。重厚かつダイナミックなゴスペルが堪能できる。大好きなんだけど
聴くこっち側に体力がないと力負けしてツライ時もある。 9点
V.A / アメリカン・コーラスの歴史
アメリカ人はコーラス好きだ。ぜったいにそうだ。日本人のコーラスみたいにわざとら
しさがない。コーラスは国技なのかもしれない。本アルバムはそんなアメリカの'20年
〜'99年、ジャズ、ポピュラー、ゴスペル、ドゥワップ、ソウル、カントリー、フォー
クなど多様なコーラス・ハーモニーが楽しめる好編集コンピレ物。
8点
V.A / レット・イット・ロール〜ブラック・ビートの火薬庫
上と同じ中村とうよう氏監修のコンピレ物。'40年代〜'55年のジャンプ・ミュージッ
ク集。スモール・コンボ〜ビッグ・バンドによる大らかでパワフルでスゥインギーな
演奏が楽しい。こんなバンドの花形となったのがシャウターと呼ばれるシンガー達で、
ビッグ・ジョー・ターナー、ロゼッタ・サープ、ワイノニー・ハリスなどの豪快な歌
いっぷりが楽しい、シャウターではなくとぼけた味わいのルイ・ジョーダンは大スター
にして革新者。ジャンプ・バンドの代名詞と言えるライオネル・ハンプトン楽団、ラッ
キー・ミリンダー楽団の強引なまでの乗りの良さ。大好きですが、耳体力も必要だな
あ。この手の音楽、LP時代は毎日OKだったんだけどねえ。 9点
The Band / Music From Big
Pink
〃 / The Band
〃 / Stage Fright
〃 / Cahoots
ザ・バンドの初期4作品。不滅の名盤なんだけど、今回はリミックス・プラス・未発表
音源満載ってことで、ファンなら当然ゲット。僕にとってこの4作品はバイブルみたい
のものだからいつ聴いても満点なんだけど、聴き方はかなり変わったな。初めて聴いた
頃はよりロック的だって感じて「The
Band」が一番好きだった。今はどうかと言うと
プログレッシヴなホワイト・ソウル・バンドとしての精華が際立つ「Big
Pink」が最
高としかいいようがない。聴き返すだびに「Big
Pink」の偉大さに呆然とする。なん
でこんな音楽が生まれたのだろう。マジックの一端はリチャード・マニュエルなんだろ
うか?たしかにマニュエルの影が薄くなる程にザ・バンドの魔術は薄れていくような気
もするし。今持って「Big Pink」は謎だらけだ。
これってアメリカン・ゴシックなの????? 10点
インスタント・シトロン/
リトル・ギャング・オブ・ジ・ユニヴァース
ビリーヴ・イン・マジック推薦ってことで聴いてみた日本人のポップス・ユニット。軽
やかなアコースティックなサウンドにのって女性のウィスパリング・ボイス。とっても
シャレてます。キャリアのある人達らしく手馴れた感じの上品なポップスです。8点
Dan Hicks & The Hot Licks / Beatin' The Heat
お〜びっくりのダン・ヒックスの新作。'70年代にグッド・オールド・アメリカンな
ノスタルジックな音楽で人気があった(一部の人達に?)バンドだったけど。いやあ
不滅のオッサン達だなあ。しかもその音楽もやっぱり不滅のお気楽さが魅力的。シド・
ペイジのヴァイオリンがじつに艶っぽい。グッドです! 9点
Flaco Jimenez / Sleepytown
テキサスの必殺蛇腹仕事人フラコ・ヒメネスの快作です。ジャケがしぶい。Gジャン・
Gパンのシブ顔オヤジが牧場の柵の有刺鉄線に手をかけて、肩に掛けてるホーナーのア
コーディオン。ウインチェスターの代わりにアコを持ち、聴衆のハートを打つってヤツ
ですか。ビートルズ「ラヴ・ミー・ドゥ」が意外なほどカッコよく、甘口なテックス・
メックス・バラードにロッキン・カントリーと、どれも爽快です。 9点
Teddy Thompson / Teddy Thompson
さーて今月のドキドキ物はテディ・トンプソン。何故かっていうとリチャード・トンプ
ソンの息子、ってことは母親はリンダ? 声にまだ深みはないけど、曲調と歌い方が父
親に似ています。重ねて聴いてるうちにジワジワと良くなって来るとこも親父ゆずり。
出しゃばらずに、しかしいかにもな存在感のあるギターでサポートする親父が微笑まし
く、あれっまたぁって感じのエミルー・ハリスのbgVoも聴かれます。ハデさはないけ
ど、いいものを持っている気がします。しっかりね。 8点
Tin
Pan /
鈴木茂、細野晴臣、林立夫
説明不要の3人組。'96年の松任谷由実「荒井由実ライヴ」で鈴木茂、林立夫、松任谷
正隆がバック演奏を受け持っているのをみて懐かしさを憶え、また相変わらずの達者な
プレイに感激した。そして2000年、松任谷抜きの3人がティン・パンとしてアルバム
を作った。彼等の復活?は結構マスコミ受けしていて、この前の晩にはニュース・ステ
ーションでフグを食べ演奏も披露してくれた。2000年型ティン・パン・サウンドは?
シャレていてちょっとラジカルで今時の浮游感を表現しつつやっぱりシャイ。 8点
Marisa
Monte / Memorias,Cronicas e Deciaracoes de Amor
今年一番のお気に入りかな。ブラジリアン・ポップスの水準の高さ、勢いを感じる。
月並みな表現だけど、凛として気品があってセクシーで歌が巧く、楽曲が良く演奏が素
晴らしい。こんなに気持ちよく聴けて、しかも聴き応えのある音楽はそうあるものじゃ
ない。素敵にポップでありながら、巧にアヴァンギャルド。マリーザ・モンチ本人とア
ート・リンゼイによる共同プロデュース。演奏の方もブラジルの名手達とマーク・リボ
ー、メルヴィン・ギブスなどのニューヨーク勢が気持ちよく合流している。優美なモレ
レンバウムのチェロのバックで特異な存在感をしるすリンゼイのノイズ・ギターが変テ
コだけど嬉しい。 10点
矢野顕子/ Home Girl Journey
ピアノ弾き語りによるカバー集。たしか第3弾。奥田民生、大貫妙子、宮沢和史、鈴木
慶一などの曲を・・・ってことは上記「Live Beautiful
Songs」をひとりでやってる
って感じかな。いつも感じることだが矢野顕子のカバーは楽しい。他人の曲を完全に矢
野流に翻訳し歌い、ピアノは対等なパートナーとして優しく時に緊張感によって、歌と
絶妙な関係で結ばれている。もてあそばれた感のある曲達も結構嬉しそうだってのが又
良いしね。今回はピアノの響きが実に心地よい。 9点
Tone
Poems 3 / Mike Auldridge.Bob Brozman.David Grisman
デヴィッド・グリスマンのヴィンテージ・アコースティック楽器への深い愛情が込めら
れたシリーズの第3弾。大好きなシリーズです。その音楽自体の楽しさ音の良さにプラ
スしてブックレットの素晴らしさ!!!各曲ごとに使用される楽器の綺麗なカラー写真
と解説(英語ですが・・・)が付き、ヴィンテージ楽器好きにはたまりません。今回の
相棒はボブ・ブロズマンとマイク・オールドリッジ。ってことはもちろんスライド・ボ
トルネック系。楽器はワイゼンボーン、ナショナル、ドブロ・・・ほかまだまだ、これ
でもかとヴィンテージ楽器が登場。ハワイアン、ジャズ、ブルース、カントリー、ヒル
ビリーなど古いけど素敵な音楽が21曲。いや〜3人共達者すぎる〜!!! 10点
Area Code 615 / Area Code 615〜Trip In The Country
ついにCD化、しかも2in1で登場です。ナッシュヴィルの凄腕スタジオ・ミュージシャ
ン集団の'69年と'70年の作品で、僕も聴くのは初めて。'69年作の方は当時のロックを
意識してかドラムがラウドでギターがファズってジージー鳴ってます。'70年作の方が
地に足がついた感じがします。チャーリー・マッコイのハーモニカが実に良い!のと
バディ・スパイカーのフィドルがこれ又実に良い。プログレッシヴ・カントリー〜サザ
ン・ロックって感じですが、時代を反映してか勢い(熱)を感じました。 8点
King
Crimson / Larks' Tongues In Aspic
〃 / Red
あ〜あ、また買ってしまった紙ジャケ&リマスター物。でもクリムゾンはいい音で聴き
たいしね。'73年と'74年の作品でクリムゾンでいうと中期にあたるのかな。「太陽と戦
慄」は発表当時に聴いて戦慄した。渋谷陽一DJのラジオで「太陽と戦慄パート2」を
丸ごと流したのだった。渋谷も興奮し、僕も興奮した。僕の中のクリムゾンのイメージ
ってこの「・・・パート2」のリフなんだ。たいしてクリムゾンのファンでもない僕が
クリムゾン好きです!って言えるのは、このハード・エッジで変拍子なリフのおかげな
んです。'73年頃というとロックもカオスから抜け出し安定期に入っていた時期だった
ように思う。つまり刺激的なロックが少なくなっていたってこと。そんな中での「太陽
と・・・」の一撃は強烈だった。そして久しぶりに聴いた「スターレス」ジョン・ウェ
ットンのヴォーカル、いいねえいいねえ。" ヘヴィ・メタル "
と形容されてロバート・
フリップは容認したってことだけど、この頃のクリムゾン・ミュージックこそ真のヘヴ
ィ・メタル・ミュージックだと思う。 10点
今月はここまで。
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