ただこの1ケ月(2ケ月)の間にGETした音盤の第一印象を10点満点で採点しました。
あくまでも、第一印象ですから。
5月
大滝詠一
/
A
LONG V-A-C-A-T-I-O-N. 20th Anniversary Edition
なんと20年目のロン・バケです。リリースは'81年3月。よ〜く憶えてますよ、カーステレオに入れっ
ぱなしだったから。そして今〜アツアツ2人は恋人さ〜♪なんて保育園の行き帰りに娘が唄っています
よ、このCD「20th
〜」を聴きながら。大滝のアルバムで一番好きなのは「大瀧詠一」「ナイアガラ・
ムーン」だしラジオ番組「ゴー!ゴー!ナイアガラ」をいつも聴いていたし、自分のバンドでは
" びん
ぼう " をカバーしていた自称大滝詠一マニアだった僕にとってこの
'81年「ロン・バケ」の大当たりは
嬉しいやら淋しいやらとちょっと複雑な思いをしたことを思い出した。20年ぶりにカーステレオに(
カセットからCDに変わった)入れて聴きだしたら気持ちいいからコレばっか聴いてる。エヴァー・グ
リーンな歌謡曲なんだなこれは。 10点
Jack Nitzsche / The Lonely Surfer
ジャック・ニッチェ「ロンリー・サーファー」。大滝詠一のインスト・アルバム「多羅尾伴内楽団
VOL1」のジャケットがコレのパロディだと知ったのは最近だ。大滝とジャックをつなぐナニかと言え
ば当然フィル・スペクター。僕がジャック・ニッチェを知ったのはニール・ヤング「ハーベスト」そし
てストーンズ絡み。彼がフィル・スペクター・サウンドのアレンジャーだと知ったのはその後のこと。
'63年作だった本盤を聴いて、あ〜成る程と納得。あのサウンドだ。ドラムはハル・ブレインだ。スト
リングスとホーンが厚ぼったくも感傷的に響く。6弦ベースに目ウロコでした。 8点
Blind Faith / Deluxe Edition
'69年リリースのアルバムに新たに未発表曲、未発表ジャム曲を加えた編集盤。スティーヴィー・ウイ
ンウッド、エリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカーが組んだ元祖スーパー・グループなだけに
本盤の未発表物への期待に血が騒いだ。しかしその反動か、いざ聴いてみるといささかタイクツでし
た。結局オリジナル盤6曲の素晴らしさを再認識。それにしても若きウインウッド!クールなたたずま
いに熱いソウル魂。彼の充実ぶりが本作を支えていると思う。" Sea Of
Joy " の間奏のヴァイオリン
が終わりウインウッドの唄が入ってくるアノあたりはいつ聴いても感動しちゃうな。 9点
ジュリエット / Yokosuka Bay
横須賀出身のロック・バンド、ジュリエットが'76年にリリースした唯一のアルバムが初CD化。かつ
ての愛聴盤がやっと日の目を見たことに感謝。'76年当時、僕の中でオールマンとリトル・フィートは
絶対的な存在だったから、ソレに影響されてる日本のバンドがあるよって聞いてすぐに買った。ギター
はツイン・リード、スライド共にカッコ良かったしリズム隊はリトル・フィートみたいにウネっていた
し、そのサウンドは当時バンドを始めていた僕のひとつの指針となった。今改めて聴いてみると、ヴォ
ーカルが弱いなって思うが、あのときカッコイイと感じたサウンドは今聴いてもカッコイイんだ。ギタ
ーとヴォーカルの柴山和彦はジュリエット解散後、ジュリーのバック・バンド
" エキゾティックス "
で活躍していたっけ。 8点
ナンシー梅木 / The Early Days
ハーフの歌手じゃないです。昭和4年北海道の小樽生まれ。'50年代前半の日本ジャズ界で人気・実力
共にトップ・クラスだった女性ヴォーカリストだそうです。このアルバムはその'50〜'54年までの作
品を集めたリイシューCD。解説によると戦後の'45〜55年は日本で最もジャズが盛んだったとありま
した。僕は'56年生まれ、そしてこの年はプレスリーが全米デビューし時代の寵児となった年だ。さて
ここで聴かれるジャズはムーディな曲が多く楽器間のインター・プレイが少ないヴォーカル・アルバム
で、楽器主体のモダン・ジャズとは趣が異なり、ポピュラー・ミュージックとしてのジャズがここにあ
るって感じですか。梅木さんは'55年に渡米しブロードウェイやハリウッドで成功したんですね。8点
Laura Nyro / Live From Mountain Stage
ローラ・ニーロの歌って聴き始めるとついこちらもエリを正して聴き入ってしまう。いつもの表現だ
けど凛とした気品のある歌声だ。この未発表ライヴ音源は'90年11月のラジオ番組収録のもので、彼女
のピアノ弾き語り。フィル・スペクターの1曲目、エヴァリー・ブラザースの"Let
It Be Me"(まりや
&達郎夫妻がライヴ・アルバムのラストで歌っていた曲)、ラストのカーティス・メイフィールドの曲
といったカバー曲も素晴らしく、というかオリジナル曲とまったく同じ流れで違和感なくローラの歌の
世界を形作っているようだ。これを生で聴けた人達は幸せだよ。 9点
Don
Rich & The Buckaroos / Country Pickin'
ミスター・テレキャスターだよねドン・リッチ。銀ラメのテレなんて普通なら趣味悪い!の一言だけ
ど、彼のテレ・サウンドを聴いちゃうとぐうの音も出ない。完璧です。'60年代カントリー界でベイカ
ーズフィールド・サウンドと呼ばれ大変人気のあったバック・オウエンズ&バッカルーズでギターと
フィドルときにはヴォーカルも担当したドンをフィーチャーした'65〜70年の作品集。その後のカント
リー・ロックのサウンド面には多大な影響を与えているはず。なんともゴキゲン! 10点
Jerry Reed / Country Legends
はっぴいえんど時代の鈴木茂が好きなギタリストとして名をあげていたジェリー・リード。このアル
バムを聴くと納得できます。アノ"びんぼう"がジェリー・リード風って言われていた意味がわかった
ような気がします。ガット・ギターにフィンガー・ピッキング、バックにナッシュビルの腕利きミュ
ージシャンを配し、プローデュースがチェット・アトキンス!素晴らしいロッキン’カントリー・ア
ルバムです。 8点
Moon Mullican / The EP Collection
ムーン・マリカンて馴染みがないんだけどR&Rの源流の1人とか言われ興味があったので聴いてみま
した。テキサス男なんですね。本作は'46〜56年のキング録音集。ショウボーイズというコンボを率い
てピアノとヴォーカルを担当していたんですね。けっこう人気者だったらしい。聴いてみると初期のサ
ウンドは同じテキサスってことでボブ・ウイルスなんかに似ている。ボブ・ウイルスのそれより迫力に
乏しいって言うか逆にソフトで小さな酒場向きって感じ。ピアノがサウンドの中心になっているせい
かな。ヒルビリー・バップなんだね。テキサスだし適度にブルースっぽいし、プレスリーやサンのロカ
ビリーに繋がるサウンドだと思う。勉強になりました。 8点
Erik Darling / True Religion
初めて聴いた。「感動した!」'50年代のニューヨーク、第一期フォーク・ムーヴメントの頃から活動
を始め、タリアーズ、ウィヴァーズ、ルーフトップシンガーズで活躍、とにかく偉大な人なのだ。が、
僕は知らなかった。不勉強でした。本盤は'62年にリリースされた彼のソロ・アルバム。当時N.Y
きっ
てのセッション・ミュージシャンならではのそのギター、バンジョーのプレイはじつに達者。ギターの
スライドを交えたブルージーなプレイがカッコいい。曲はトラディショナル・ナンバーが多く、ブルー
スとゴスペルが混ざっている。ライ・クーダーにはこういう先輩達がいたんだなあ。 9点
V.A / La Paloma #4 -One Song For All Worlds
" ラ・パローマ "
は世界を巡る!って感じのドイツのレーベルによる編集盤。ラ・パローマって曲、
聴けば誰でも「あ〜あれか」とわかる程ポピュラーな曲です。じつはこの曲、結構興味深い曲なんで
すよ。中村とうよう氏によるとこのラ・パローマ、1870年頃スペインの作曲家イラディエールがキュ
ーバ滞在中に、当時キューバで流行していたハバネーラというリズムを取り入れて書いた純キューバ
調の曲です。1877年にはニューヨークでも楽譜が出版(今で言うCDのリリースに相当)されヨーロ
ッパ各国でも盛んに歌われたそうです。19世紀末にレコード産業がスタートするのですが、多くの
楽団や歌手がこの曲を録音しています。もしかしてこの曲こそ世界的ヒット・ソングの第1号かもし
れないのです。クラシック・ファンでしたらハバネーラと言うとビゼーの「カルメン」(1875年初演)
でしょう。このハバネーラももちろんキューバのパクリです。ハバネーラ=アバネーラはキューバの
ハバナからきていて、ハバナ風の踊りを意味しています。さてこのドイツ編集盤、珠玉混合のラ・パ
ローマが入っていますが、ドイツ〜ブラジル〜フランス〜ザンジバル〜ハワイ〜キューバ・・・・
時代も様々ですが、ラ・パローマって人懐こくも優雅で素敵な名曲だとあらためて思いました。
このCDは 8点 だけど。
Tiny
Powell / Heaven In My View - Gospel Collection
このゴスペル・アルバムは凄いな。名古屋の黒人音盤屋ネットワークの一押しもうなづける。タイニ
ー・パウエルは本作にも収録されているファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピのメン
バーだった人。'50年前後の作品集でいくつかのグループでの歌唱とソロの作品が収められている。
やはりファイヴ・ブラインド・ボーイズ時代の重厚さに圧倒された。 10点
Hadda Brooks / Romance In The Dark
キレのある流麗なブギ・ウギ・ピアノ。ハダ・ブルックスっていいな。思ったよりずっとジャズっぽ
いって言うか都会的。'40〜50年代?のモダン録音集です。ジャイヴ風のバックが、とくにギターが
良い味だしているんだけど、もしかしてテディ・バン!小粋な女性ブルースです。 9点
V.A / Rockin' This Joint Tonite
表題作を唄うキッド・トーマスのワイルドなこと!!これは'60年代のアメリカ西海岸のロッキン・
ブルース・R&B集。リトル・リチャードばりにシャウトするモノ凄いリーゼントのキッド・トーマス、
ジョニー・ギター・ワトソンのギターをフィーチャーしたフロイド・ディクソン、エイス・ホルダー?
そして大物ジミー・マクラクリンが収録されてます。ワイルドで過剰でアブない曲がカッコいい。ロス
録音ならではテックス・メックスな曲もあるし。しかしやはりジミー・マクラクリンの貫禄勝ち。艶が
あるよなあ。" Reconsider Baby "
にグッときた。(マクラクリンの録音だけ'80年代かも) 9点
Burt
Bacharach / The Very Best Of
バート・バカラックくらいポピュラーな人だと自分で持っていなくてもあまり気にならないんだな。
だからこのてのベスト物は初めて買った。'61年シレルズの" Baby It's
You" から'85年の全米ナンバ
ーワン・ヒット" That's What Friends Are For "
までヒット曲のオン・パレード。僕の思い入れが
強いのはディオンヌ・ワーウィックの" I'll Never Fall In Love Again
" とB.J.トーマスの" 雨にぬれ
ても "
。共に'69年のヒット曲。中学生の、ラジオの深夜放送で洋楽に興味を持ち始めた頃、流れてい
た " I'll Never 〜"
を聴いて、なんて素敵な曲なんだろ、と以後洋楽のトリコになったワケ。僕の洋楽
事始めはモンキーズとこの" I'll Never 〜"
かな。本作をざっと聴いてみて、ボサノバという武器を手
に入れて以降の作品がシャレていていいな。バカラックは偉大なり。 10点
今月はここまで。
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