ただこの1ケ月(2ケ月)の間にGETした音盤の第一印象を10点満点で採点しました。
あくまでも、第一印象ですから。
10月~11月
Bob
Dylan / Love And Theft
今年3月に武道館で観たディランに惚れ直した私です。広いステージで小さく寄り添
って演奏していた姿はワンナイト・スタンドのバンドを想わす風情で、衣装だってディ
ランは白ラメ・スーツ、バンドはワインレッドのスーツで、なんか地方のクラブでやっ
てますって感じが格好良かった。ディランだからだけど。このディランの新作にもその
風情を感じる。タフなサーキットをこなしながらアメリカン・ミュージックを逞しく磨
いてきた先人ミュージシャンへの愛と尊敬を感じるのだ。Love &
Theft =愛と剽窃。
剽窃は愛だ!? ディランは超素敵だ! 10点
Lucinda Williams / Essence
前作が良かったので期待大のルシンダ・ウイリアムズの新作ですが、う~ん地味だ。
前作はスティーヴ・アールのトゥワング・トラストがらみで骨太な哀愁が素晴らしかっ
たけど、今回の相棒チャーリー・セクストンが作るサウンドはじつにシンプル。じっく
りとつきあえば地味が滋味に変わる可能性大なんだけど。 7点
Whiskeytown / Pneumonia
同じ地味でもこちらはイケるよ。今年の収穫かも。前述ルシンダのアルバムにも参加
していたライアン・アダムスが率いるウィスキータウン。サウンドはカントリー・ロ
ック。なによりライアン・アダムスの歌声が良いし曲が良い。たしか彼は今、ソロで
やっていたような気がするが、うなずけるな。南部的哀愁って言われ方をされてるよ
うだけど、FBBとイーグルスの良質なカントリー・タッチを受け継いでる感じ。グラ
ム・パースンズより好きかな。 9点
Hal Blaine / Deuces,"T's" Roadsters & Drums
ハル・ブレイン!ドラム大将って感じです。叩きまくってますよ。ホットロッドって
言うんですか?じつにアメリカ的。ベンチャーズ風なインストに車のSEが全曲入って
ます。ハル・ブレインと言ったら泣く子も黙る名セッション・ドラマー。フィル・ス
ペクター関係で有名ですがビーチ・ボーイズ、バーズ、カーペンターズなど'60~70
年代の数多くのヒット曲ヒット・アルバムで叩いてる大将なんです。参加ミュージシ
ャンはスペクター・サウンドでおなじみのグレン・キャンベル、レオン・ラッセル達
でアレンジはデヴィッド・ゲイツ。'63年作品でした。 8点
The Pentangle / Basket & Light
フェアポートと共にブリティッシュ・フォーク・ロックを代表したバンドがペンタン
グル。バート・ヤンシュ、ジョン・レンボーンという花形ギタリストを擁していたの
に僕の中では後回しにされっぱなし、ようやくじっくりと聴いています。しまった!
すごくいいよ。もっと早く聴くべきだったな。緻密なアコースティック・アンサンブ
ルに血が騒ぐ。ダニー・トンプソンのベースも効いてるな。フェアポートはフォーク
・ロックって感じでいいんだけど、ペンタングルはブリティッシュ・フォークとジャ
ズ、ブルースとの融合って感じ。'69年の作品でした。 9点
Gatemouth Brown / Back To Bogalusa
昔は近所にこんなコワイ顔したジイさんが何人かいたなって感じのゲイトマウス・ブ
ラウンです。こんな充実の新作を届けてくれました。創作意欲旺盛な元気なジイさん
です。老ブルース・マンではなくて現役スワンプ・ロッカーなんです。唄もギターも
じつにいい味わいで、" ディキシー・チキン "
もかっこよくキメてます。スライドで
参加のソニー・ランドレスも絶好調。 9点
Cannon's Jug Stompers / The Best Of
'20年代メンフィスの人気バンド、キャノンズ・ジャグ・ストンパーズ。バンジョーの
ガス・キャノンをリーダーにハープのノア・ルイスそれにギターが一人(達者なプレ
イヤー)。ノア・ルイスはサニー・ボーイ・ウイリアムスン1世の師匠にあたる名プレ
イヤー、幅広いスタイルで大活躍。ジャグはキャノンが吹いてるらしく彼が唄う時は途
切れてしまい、それもご愛敬。こんなバンド、生で聴きたかったな。 9点
Letta
Mbulu / There's Music In The Air
'76年発表時にはちょっとした話題となった南アフリカ出身の女性シンガー、レッタ・
ムブールのアルバム。バックに当時の売れっ子セッションマン、ジョー・サンプル、バ
ーナード・パーディ、チャック・レイニー、リー・リトナーなどを配し、そのサウンド
はソウル~ファンク・ジャズ風味ながら、このアルバムが話題になった理由はレッタの
ヴォーカルにある。のびのびとした開放感と美しい歌声、それに尽きる。久しぶりに聴
いたけど、いいなあ、すごくいい。 10点
Eric Gale / Forecast
エリック・ゲイルといったらコワい丸顔。ソウル~ファンク・ジャズ・シーンで人気
のあったセッション・ギタリストの'73年初リーダー作。まるい温かい音で歌心あふれ
るギターを聴かせてくれる。メロウです。天気予報のBGMに最適。 7点
Phil Upchurch / Darkness,Darkness
前述のエリック・ゲイル、そしてこのフィル・アップチャーチ、それにコーネル・デ
ュープリー、アーサー・アダムスなんかのソウル~ファンク・ジャズ黒人セッション・
ギタリストは一時よく聴いたものです。このアルバムも懐かしい。でもカッコいい。
ひっかかりギミなブルージーなギターによわいんです。チャック・レイニー、ハーヴィ
ーメイソン、ジョー・サンプル達によるバックも充実です。メロウです。 9点
V.A/ Blues City,USA-Chicago Modern Blues 1960's
'60年代モダン・シカゴ・ブルースの編集盤。音源はエイジ、USA、ジュエルなど。
だからシカゴと言ってもダウンホームでないブルース集です。ビッグ・マックの辛口
シャウトと全編弾きまくりヒューバート・サムリンのギターが嬉しい"
ラフ・ドライド
・ウーマン "
、やはり辛口のマイティ・ジョー・ヤング、バスター・ベントンがいい
ね。ボビー・ラッシュはよりモダンなブルースって感じがするな。 8点
Son House & Charley Patton / The Legendary Delta Blues
Session
「5月29日の水曜日、長いブルース史上でも最も凄い歴史的なレコーディング・セ
ッションが行われたのだ。・・・」ライナーで日暮泰文氏が書いている。うわ~聴く
前から興奮するなあ。とか言って初めて聴く曲ばかりじゃないんだけどね。'30年の
ウイスコンシン州グラフトンでのできごと。チャーリー・パットン、サン・ハウス、
ウィリー・ブラウン、ルイーズ・ジョンソンの4人が残したデルタ・ブルースの名盤
です。歌声も凄いけどギターのビートがまた凄い。このビートは今でも生きているも
んね。紅一点ルイーズはパットンの彼女だったらしいよ。 9点
バンバンバザール / 夜よ、明けるな
ダン・ヒックス風なスゥインギーさが持ち味の彼等のシングル盤は、なんと友部正人
のカバーです。これがねえ期待以上の出来でうれしくなりました。素直なアプローチが
良かったんじゃないかな。詩が良く伝わりました。あらためてこの曲の良さがわかりま
した。持ち曲の " エビふりゃ~ "
はライヴ・ヴァージョンでノリノリです。 9点
Simon
& Garfunkel / The Columbia Studio Recordings '64-'70
オリジナル・アルバム5枚組BOX、リマスター+ボーナス・トラックそして紙ジャケ仕
様!、これはもう即買いですよ。今までもベストしか持っていなかったので渡りに船。
S&Gと言うと僕が中学生の頃('60年代後半)の大スター。ビートルズと並んで凄くポピ
ュラーな存在だった。" サウンド・オブ・サイレンス " "
スカボロー・フェア " " ボク
サー " は " ヘイ・ジュード " " イエスタディ "
と並んで誰でもが知っている曲だった。
ロックを意識して聴くようになった'70年、巷に流れていたのは "
レット・イット・ビ
ー " " 明日に架ける橋 "
というような横綱級の曲。天の邪鬼な僕はそんな人気の確立し
た誰でも聴いているようなビートルズ、S&Gに関しては「オレ知らない」って態度をと
っていたんだね。だから彼等のアルバムはベスト盤ですませていたんです。でもねえ、
抗えない魅力ってあるんだよね。特に年を取るに連れS&Gへの郷愁が増して来ていたん
です。あ~やっぱりいいなあ。サイモン&ガーファンクルは。 10点
尾崎亜美 / アミフォニック
久しぶりに尾崎亜美を買って聴きました。各曲豪華ゲストを招いてやってます。細野
晴臣、奥田民生、福山雅治、宇崎竜童、佐藤竹善、ANRI、大貫妙子など。それぞれが
良いんですが、福山が唄った " 風のライオン "
が心に沁みました。スタジオで目がハ
ートになってる尾崎さんが見えるようです。ただ僕はデビュー当時の才気がピチピチ
と溢れていた頃の曲が今でも好きです。 9点
江利チエミ / SP原盤再録による江利チエミヒット・アルバム
これは今年の収穫かな。なんと名古屋のブルース・ショップ「ネットワーク」のカタ
ログで発見。僕の世代で江利チエミと言えばサザエさんです。彼女が歌手として人気者
だったことは知っていましたが、当時TVで見た憶えがないんです。このヒット・アル
バムは1954年リリースで曲は昭和26年~29年ですから、やはり僕の生まれる前の20
年代が彼女の歌手全盛期だったんですね。美空ひばり、雪村いづみ、江利チエミが元祖
3人娘だった時代です。3人ともジャズを唄わせたら抜群に上手かった。そんな時代で
す。このアルバムもアメリカのジャズ、ポピュラー・ソングのカバー集です。彼女の
" テネシー・ワルツ " って聴いた憶えがあります。" ペイパー・ムーン
" もゴキゲンで
す。バックを原信夫とシャープス&フラッツ、松本伸とニュー・パシフィック、東京キ
ューバンボーイズなどがやっていて、唄も演奏も本格的。戦後を感じさせます。9点
クラムボン / ドラマチック
セルフ・プロデュースで作り上げた良質な箱庭ポップスって感じの前作が気にいって
いたんですが、この新作はサウンドが変わりましたね、肌触りが。う~ん楽曲はいい
んだけどなあ。 8点
Buddy
Holly / The Ultimate EP Collection
バディ・ホリーは大好きなロックン・ローラーなんですがいいCDを持っていなかった
んです。でもこのCDのおかげで大満足。プレスリーと同時代に活躍した彼ですが、そ
のサウンドは他の誰より先進的だったように思う。ロカビリーというよりロックを先
取りって感じ。それでいてすごく人懐っこいメロディを持っていて、後年多くの人達
が彼のカバーをしているのも肯けます。久しぶりに聴いて面白かったのはそのギター
サウンド。やっぱりテキサスなんです。Tボーン・ウォーカー~ボブ・ウイルス。ジャ
ンプ・ブルースとカントリーが背中合わせにあるテキサスの豊かな音楽の土壌が生んだ
ヒーローこそがバディ・ホリーなのだと思います。'56年にデヴューし'59年2月に飛
行機事故で他界。ドン・マクリーンは全米No.1ヒット"
アメリカン・パイ " ('72) の
なかでバディ・ホリーの亡くなった日のことを"音楽が死んだ日"と歌っていました。
10点
Dr.John
/ Creole Moon
前作ではデューク・エリントンと戯れたDr.ジョン、この新作では自分の土俵である
ニューオリンズ・ファンクで聴き応え満点の作品を届けてくれた。ホーン・セクション
にジェイムズ・ブラウンの黄金時代を支えたフレッド・ウエズリーとレイ・チャールズ
の黄金時代を支えたデヴィッド・ファットヘッド・ニューマンを迎え、スライド・ギタ
ーに " ケイジャン版ライ・クーダー "
ソニー・ランドレスを交え、豊饒なる音楽の都
ニューオリンズを謳いあげている。またジョンと親交のあった故ドク・ポーマスとの共
作が5曲含まれていて本作をよりいっそう豊かなものにしている。 10点
Lenny Kravitz / Lenny
レニー・クラヴィッツの新作。買って聴くのは初めて。なんかね懐古ロッカーって
感じがして買ってまで聴く気はなかったんだけど、最近ガツンと来るロックの新作って
のにご無沙汰だったのでゲットしました。レニーはキャッチーな曲とサウンドを作るこ
とに秀でた人なんだなと感心。ギター・フレーズの古臭さについ馴染んでしまうな。
万人向けのロック・アルバムです。気軽に聴きましょう。 8点
V.A
/ Hank Williams-Timeless
いやあなんとも豪華なメンツによるトリビュート・アルバムだこと。トップ・バッタ
ーがディランだよ。いいんだよこれが。そしてシェリル・クロウ、ケブ・モ、ベック、
マーク・ノップラー、エミルー・ハリス、トム・ペティ、キース・リチャーズ、ライア
ン・アダムス、ルシンダ・ウイリアムス、そしてなんとジョニー・キャッシュ!もう満
腹もう満点ですよ。僕はハンク・ウイリアムスが大好きなわけで、しかもトリビュート
・アルバムのメンツまで大好きな人達が集まっちゃってもう泣きたいほどの嬉しさだ。
10点
Merle Haggard / In Concert
マール・ハガードの'70年頃のライヴ音盤。ベイカーズフィールド・カントリーの雄、
カントリー界の大スターだと思ったけど。たしかグラム・パーソンズの憧れのスターだ
ったと思う。ホンキー・トンク・カントリーでしょうかね、とてもゴキゲンです。本盤
の聴き所はマール・ハガードの堂々たる唄いっぷりと全編にフィーチャーされたジェイ
ムズ・バートンの爽快なカントリー・ロッキン・ギターでしょうね。 9点
Little
Feat / Late Night Truck Stop
すごい!すごい!!'73年のライヴだよ!!!'73年といったら「ディキシーチキン」
がリリースされた年ですよ。元気なロウエル・ジョージがいて、バンドも熱い熱い。
独創的なスライド・ギター、ねばっこいファンクネス。なんてカッコいいんだろ。
群雄割拠のあの時代のロック界でも群を抜く存在感があったリトル・フィート。そん
な彼等の最充実期のライヴが聴けるなんてホント幸せです。 10点
V.A / The Travelling Record Man
モダン系のサザン・ブルース集で'40年代後半から'50年代前半の録音。かつてはケン
トのLP盤で地域別シリーズとしてブルース・ファンにはお馴染みでした。テキサス、
メンフィス、ミシシッピ、アーカンソーなどの地域でのブルース採集旅行の記録で、こ
れにあのアイク・ターナーが関わっていたんです。ハウリン・ウルフ、エルモア・ジェ
イムス、ジョー・ヒル・ルイス、リル・サン・ジャクソン、ジェシー・トーマスなどを
1枚で楽しめお得な感じですよ。ラフな演奏ながら凄い躍動感、極上のダウンホーム・
ブルース集です。 9点
Wilton
Crawley / Wilton Crawley 1927-1930
いや~まいった!これ楽しい。すごく良い。名古屋のネットさんありがとう。アーリ
ー・ジャズってキケンな領域になりそう。ブルース・クラリネット奏者なんでしょうか
ね?芸能の臭いがプンプンでコケコッコのような奏法がエグイ。じつによく唄うクラリ
ネットに絡むギターが超豪華!エディ・ラング、ロニー・ジョンソン、テディ・バンだ
よ!ジェリー・ロール・モートンのピアノも聴こえます。こうゆうのがあるからレコー
ド漁りはやめられないな。 10点
John Fahey / Of Rivers and Religion
ジョン・フェイヒーは難解なひとらしい。'39年メリーランド生まれのギタリスト。
カントリー・ブルース~ブルーグラス~コラージュ・ノイズ前衛音楽?なんかつかみ
どころのない怪人らしい。で、この'72年アルバムはアコースティック・スライド・ギ
ター・インスト・アルバムです。テクニカルなタイプじゃないみたいです。素直で綺麗
な音楽、癒し系とも言えそうです。音の鳴らせ方が良いですね。昔ライ・クーダーが影
響を受けた人の中にジョン・フェイって名をあげていたけど、このジョン・フェイヒー
のことなのかな? 9点
月下の遊群CONTENTS