音盤 BAN BAN 2002

        THE FIRST IMPRESSION

ただこの1ケ月(2ケ月)の間にGETした音盤の第一印象を10点満点で採点しました。あくまでも、第一印象ですから。

2002年 1月

Rick Danko / Times Like These+Live On Breeze Hill
 ああ泣けてくるよ。これでもかと心に沁みてきます。ザ・バンドの好漢リック・ダンコが亡くなった'99年12月、僕の中では元バンドのリックが亡くなったことへの悲しみはあったけどそれは昔のヒーローへの想いだった。しかしこの'98〜'99年のスタジオとライヴが収められたアルバムを聴いていると、リックがずっと変わらずに素晴らしい音楽野郎だったことがわかり、遠ざかっていた自分がヒドいヤツに思えてきた。ザ・バンドにはグレート・ヴォーカリストが3人いた。リチャード・マニュエル、レヴォン・ヘルム、リック・ダンコ。歌心溢れる彼等3人に歌われた数々の名曲を書いたのはロビー・ロバートソンだった。ソルトレイク五輪の開会式でスポットライトを浴びて歌っているロビーを見たとき、ロビーは音楽業界の成功者としてそこにいたけど、彼の拙い歌声を聴きながら、ロビーは失ったものの大きさも知っているに違いないって感じた。リチャードもリックもこの世にはもういないんだから。それにしても心が泣けてくる。 10点

Garth Hudson / The Sea To The North
 
" マッド・プロフェッサー " ガース・ハドソン。彼は最高のロック・バンド又は最高のホワイト・ソウル・バンドだったザ・バンドの鍵盤奏者(マルチ・プレイヤーでもある)だった。ガース抜きでもザ・バンドは最強のロックンロール・バンドたりえたと思うけど、ザ・バンドを別格な存在に高めたのは" 音の魔法使い " ガース・ハドソンだったと思っている。そんなガースの初ソロ・アルバムがリリースされた。インスト主体で多彩に鍵盤を操り達者にサックスをブロウする。演奏、作・編曲とも音の匠の面目躍如。やはりガース・ハドソンは凄い! 9点

ムーンライダーズ / Dire Morons Tribune
 
26年間ムーンライダーズが日本一のロック・バンドだと公言してきた。その間一度もメジャー・リーグに上がることなく、ファンはマニア化しカルトとさえ呼ばれている。僕はそれも勲章だと思っているけど。しかしライダーズに不満はある。ヴォーカルが悪くなった。かつてあんなに好きだった鈴木慶一の歌声がこの10年位ハテナ???の連続だ。わざと変な唄い方をしているのか、それとも本当にヘタになったのか?ずっと気になって来た。この彼等の新作でも相変わらずヴォーカルが弱い。サウンドも楽曲も流石はライダーズだっていう感じがするだけに、ひ弱な歌声が悲しい。  8点

Slim & Slam / The Groove Juice Special
 
スリム&スラム!最高です。史上最強のジャイヴ・コンビの'38〜'42年作品集。全曲コンビの作品じゃないのが残念ですが。歌詞が判ればこの倍以上楽しめるのにな。軽妙洒脱ってまさにコレ!スリムの軽快なギターのコード弾き、スラムのヴォーカルとユニゾンできめるベース弓弾きのカッコイイこと!優れた芸能でしかも優れたジャズでもあり、これはまさにアメリカン・ミュージックのお宝です。 
10点

Albert King / More Big Blues
 
'59〜'63年ボビン〜キング録音集です。最充実期はその後のスタックス時代でしょうが、僕が最初に好きになったアルバート・キングのアルバムがキング盤だったせいか、久しぶりに"Goin' to California"なんかを聴いてキュンときました。後年のぶっとい安定感は感じられないものの、これはこれで良いのです。あのペタキュイ〜ンとしたチョーキングがたまらないな。  
10点

Gerry Goffin / It Ain't Exactly Entertainment
 
ジェリー・ゴフィンとキャロル・キングはブリルビルディングのソングライター・コンビとして'50年代末から'60年代中頃までのポップス界で花形であり、数多くのNo.1ヒットを記録している。そんなゴフィンが'73年にリリースしたソロ・アルバムがこれ。世界初のCD化だとか。アルバム・タイトルどおりポップスとは距離を置いた、それ故かたいして売れることもなく市場から姿を消したらしい。更にそれ故か幻の名盤として語り継がれてきたアルバムだった。バリー・ゴールドバーグを相棒にマッスルショールズとフェイム・スタジオで録音されたそのサウンドはもちろんスワンプ・ロック。さらに言えばスワンプ風味のボブ・ディランて感じ。地味で滋味と言いましょうか、エディ・ヒントン、ピート・カーの絶妙なギターの絡みに応えゴフィンの渋い歌声がジワジワと心に沁みてくる気がします。名曲「イッツ・ノット・ザ・スポットライト」はこのアルバムから生まれた曲だったんですね。納得。  9点

Lal & Mike Waterson / Bright Phoebus
 それほどこの二人に興味があったわけじゃなく、バックのメンツで買ってしまいました。リチャード・トンプソン、アシュレイ・ハッチングス、デイヴ・マタックスそれにマーティン・カーシー、マディ・プライアなど'72年当時ブリティッシュ・フォーク・ロックの錚々たる面々。いつも通りの出しゃばらない演奏が今回はちょっと物足りなく思えるのはメインの二人に魅力薄なせいかな。ブリ・トラ・マニアならまた違う評価があるんだろうけど。   7点

John Kirkpatrick / Mazurka Berserker
 
ボタン・アコーディオンの名手の新作、やはりR・トンプソン、デイヴ・スウォブリック絡みでゲット。世界中の蛇腹音楽に興味を持ってきたのでこのカークパトリックも気になる存在でしたが、いやあこれは良いですよ。アコーディオンてどんなに楽しい曲をやっても哀愁を感じさせますね。コンサルティーナっていう小ぶりのボタン・アコーディオンを主に使ってるみたいですが、これはリード楽器に向いてますね。エッジがはっきりしているからかな。トンプソンとの共演ではユダヤのクレツマーをやっていますが、まったく違和感がないね。朴訥とした唄い方も好きだな。 9点

Continental Drifters / Listen, Listen
 
まずこのジャケットにニンマリ。フェアポートの名盤「Liege & Lief 」のマンマ。サブ・タイトルが Play Favorites by Sandy Denny and Richard Thompson とあるとおり、このアルバムはサンディ・デニーとリチャード・トンプソンの作品から選曲されている。バンドの中心人物ピーター・ホルサップルはR.E.M絡みで紹介されることの多い人で、元dB's(デシベルズって読むらしい。カッコイイ!)のメンバーだった。ルーツ・ロック好きらしくグラム・パーソンズの曲も歌っていたような気がするな。REMもR・トンプソンを愛聴してたって記事もあったし、彼等周辺ではもとからRT熱は高かったんだね。さてこのアルバムですが、良いですよ。アコースティックな響きが気持ちいいね。なにより本人達が楽しそうだもんね。  8点

Ryan Adams / Gold
 
同じくロストハイウェイからリリースされたウイスキータウンの"Pneumonia"でライアン・アダムス好きになっちゃったもんで、この新作ソロにも期待大。新作といっても去年9月リリースだけど。いかにもなアメリカン・ロック・サウンドにますます磨きがかかった感じで良いですね。ウイスキー・タウンの頃からソング・ライティングの才能は買われていた人だけど、ヴォーカルもいいしサウンドも引き締まっていていいね。逆さまの星条旗をバックにうつむきワルぶった?ポーズのジャケットで何を伝えたかったんだろ。しかしアタマにきたのは2月に出る日本盤は5曲入りボーナス・ディスク付きなんだって。はやまったな。 9点

North Mississippi Allstars / 51 Phantom
 
前月のスペンサー・ディキンソンに続きディキンソン兄弟のバンドのアルバムが到着です。North Mississippi Allstars!! 名前がいいなあ。プロデュースは親父のジム・ディキンソン。ノース・ミシシッピ・ローファイ・ブルース・ロック!トリオならではのゼイ肉なしの骨太サウンドが気持ちいいよ。ジョン・スペンサーがカミソリならコイツらはナタって感じかな。ステージ観たいね。  9点

V.A / Good Rockin' Tonight. The Legacy Of Sun Records
 
プレスリーを世に送り出したことで知られるメンフィスのサン・レコード。また'50年代にブルース、カントリー、ロックン・ロール、ロカビリーなど南部の熱いビートを録音し世に知らしめたことでアメリカン・ミュージック史上に残るレーベルです。そんなサン・レコードへのトリビュートに集まったミュージシャンは大物揃い。プロデューサーが超大物アーメット・アーティガンだからね。ポール・マッカートニー、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、ジェフ・ベック、ヴァン・モリソンなど凄いメンツで内容も良いよ。ただ後半のトラック14以降はいらないな。アルバムのトップを飾るポールの"That's All Right" バックはスコッティ・ムーアとD.J.フォンタナ、ご存じエルビスのバック・ミュージシャン。いい仕掛けですよ。 
10点

aiko / 夏服
 
ミュージック・マガジン界隈ではデビュー当時から好意的に紹介されてたaiko(これってあいことかアイコじゃだめなのね?)そのうち聴いてみようと思っていたら本屋さんの割引CDの箱の中に発見即ゲット。TV等で彼女の姿を見たことがないもので、ホット・パンツ姿が評判やらホット・パンツ・マニアを唸らせるとか言われてもピンと来ませんが、このアルバムは良いです。いかにも周囲に作られちゃってるポップス歌手が多い中、彼女のさりげなさ、等身大の歌が気持ちいい。全曲自作です、いい曲書きますね。 9点

前月のGet音盤
 2001.1-2月 3-4月 5月 6-7月 8-9月 10-11月 12月
 2000
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1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10-11月 12
 1999.
6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

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ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね
 
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