音盤 BAN BAN

        THE FIRST IMPRESSION

ただこの1ケ月(2ケ月)の間にGETした音盤の第一印象を10点満点で採点しました。あくまでも、第一印象ですから。

2002年 8-9月

Los Lobos / Good Morning Aztla'n
 
新作!骨太ロック!男臭い!オヤジ・ロックの星!プロデューサー&エンジニア・コンビがミッチェル・フルームとチャド・ブレイクからジョン・レッキーに交代。デビュー25周年を飾るアルバムはストレートな剛腕ロックです。この数年実験的意欲作(素晴らしい!)が続きましたが、ここに来てコレですか!泣けるねえ。ザ・バンドやCCRを思わせるアーシーなロックにお得意の哀愁チカーノ・ロック。もう流石です! 10点

The Flaming Lips / Yoshimi Battles The Pink Robots
 
フレーミング・リップスの新作のヒロインはボアダムスのヨシミがモデルだとか。曲だけ取り出せば甘く切ない胸キュン・ポップスなんですね。でサウンドにはこだわりが充満している感じ。好きです。ポップな曲を書いて、それをヒネった感じで仕上げてしまうのはXTCやムーンライダーズもそうだしね。ボーナス・トラック日本語ヴァージョンがホノボノと素敵です。♪あの娘はヨシミ 空手の黒帯 僕らの街のために いつも鍛えとんねん〜♪だって。はははは。  10点

Laura Nyro / Eli And The Thirteenth Confession
〃 / New York Tendaberry
〃 / Gonna Take A Miracle
 
ローラ・ニーロの初期3作品がリマスター&ボーナストラック付きだったのでゲット。その昔初めてこれらのアルバムを聴いた時の印象は「キツいなあ」だった。まだ聴く耳も逞しくなかった頃だったけど、はたして今聴いてもキツさは感じるなあ。彼女も若かったわけで、その純粋さ真剣さがこのような真摯でエモーショナルな作品群を作らせたように感じる。あらためてソングライターとしての彼女の素晴らしさを再確認した。all 9点

Andy Iona / Hawaiians In Hollywood
 
アンデイ・アイオナ、戦前の('34-36年)ハワイアンです。名古屋のネット佐藤さんの推薦盤。けっこうジャイヴと似た雰囲気があり面白いです。軽やかな歌声のコーラスとスティール・ギターの音色を聴いただけでハワイ気分に浸れます。しかしハワイアン・スティール・ギターってギター奏法上の大発明だよな! 9点 

John Pizzarelli / Dear Mr.Cole
 
インストの" スゥイート・ジョージア・ブラウン " がカッコいい。ナット・キング・コールに捧げられたセピア色のアメリカって感じですか。目新しさはないですが、気持ちはいいです。万人向けジャズ・アルバムです。イヤミじゃなくって。 8点

Wilco / Yankee Hotel Foxtrot
 
ウィルコの新作には沈鬱な表情が見え隠れする。立体的な音の鳴りはジム・オルークがらみのせいかな。良い曲が多いし風格をも感じさせる。ただ僕はデビューの頃のヤサグレたカントリー・ロックが好きだったので、バンドの成長は嬉しいものの「ナンダカなあ〜・・・」と寂しさも感じてしまう。  8点

V.A / ムードコーラス・スペシャル〜秘密のカクテル(6CD)
 
僕は昭和31年の生まれだから歌謡曲の黄金時代を体験できたと思っている。最初に買ったドーナツ盤は東京ロマンチカの「小樽のひとよ」だったしね。マヒナ・スターズ、ロス・プリモス、東京ロマンチカ、クール・ファイブなんかはごく普通の歌謡曲風景の中にいたし、僕にとってこのテの音楽はまったく違和感無く楽しめるんですね。しかし改めてこの濃密なCDBoxでムードコーラスに浸ってみると楽しい発見がたくさんありますよ。石原裕次郎でヒットした「二人の世界」の作曲者が鶴岡雅義で、しかもトリオ・カバジェロス名義でリリースされてたんですね。ここで聴けるレキント・ギターを中心としたアレンジ(鶴岡による)が素晴らしい。クール・ファイブ「西海ブルース」にはボビー・ブランドのアーバン・ブルースと同じ匂いを感じたし。前川清のヴォーカルは革命的だったんだな。「長崎の夜はむらさき」「夜の銀狐」は名曲だなあって聴き惚れるし。名曲って言えば大橋節夫作詞作曲唄の「倖はここに」「君を待つ夜」が素晴らしいな。スマートで品がある。彼自身が弾くスティール・ギターには心をかき乱される。う〜んまいった。そもそも歌謡曲の凄さ素晴らしさってのはその強靱な胃袋にあると思う。ラテン、ジャズ、シャンソン、ハワイアン、ロック、サイケ、R&B、ボサノヴァなど世界中の素敵な音楽を飲み込んで、それを日本人好みに加工して吐き出したわけだ。当然ムードコーラスにもそれぞれのタイプがあり楽しめますよ。シングル・ジャケット付き解説が楽しいブックレットも素晴らしいし、監修した秘密博士さんありがとう!
 このBoxは20世紀音楽のお宝箱ですよ。 
10点

B.B.King / The Vintage Years 1950-1965(4CD)
 
B.B.キングはもはや偉人です。エラすぎて有名すぎて素直に好きって言えない天の邪鬼な私でした。好きなブルース・ギタリストは?と訊かれたら「ジョニー・ハーツマンとかヒューバート・サムリンかな、あとアイク・ターナーのワイルドさも好きだな」とか答える方がマニアっぽいでしょ?しかしねえこのBOXを聴くと「ホントはねえ、B.B.キングが一番好きなんです」って言うしかないね。(まあコロコロと変わるんだけど)このCDBox、たんなる物量作戦じゃありません、彼の最充実期'50年代〜'60年代中頃のRPM、モダン、ケント時代の録音を集めたものです。いまさらモダンのB.Bって感じもするけど、久しぶりにジックリと聴き込みましたヨ。う〜んまさにキング・オブ・ブルース!あとこのBoxで嬉しいのは写真満載のブックレット。ストラト抱えたBBにビックリしたり、マディとウルフと一緒の写真でのウルフの顔のデカさに圧倒されたり、50年代のツアー・スケジュールに度肝を抜かれたり('56年には342回!のステージをこなしている。)と、見所も満載。これも20世紀のお宝箱です。 10点

因幡修次 / 因縁果報
 
"出雲の荒ぶる魂"因幡修次が'97年にリリースした1stアルバム。浜田真理子「mariko」のちょっと歪み加減な立体的音像に惹かれ、プロデューサーの因幡に興味を覚え、出雲のプランクトーン・レコードより取り寄せました。う〜ん尋常ならざるものを感じるな。情念を絞り出すような唄声に絡むアコギがいい。暗く淫靡な祝祭空間に紛れ込んだかのような感じで、想像力を刺激されるな。 9点

Rovo / Live at Liquid Room 2001 05.16
 
勝井祐二のヴァイオリン、山本精一のギター、岡部洋一・芳垣安洋のドラム&パーカッション、原田仁のベース、それにツイン・キーボード(なんとSH101やJUNO101)による?なバンド。凄いメンツです!静かにフワ〜っと忍び寄って来て、いつのまにか頭の中でグルグル踊り回るスペイシーで心地良い音の群れって感じですか。松山晋也曰くクラブ世代のための『太陽と戦慄』だとか。言い得て妙。 9点

ラリーパパ&カーネギーママ / ドリームズヴィル
 
噂のバンドのデビュー・アルバム。いかにもなアーシーなアメリカン・ロック・サウンド。雰囲気はセンチメンタル・シティ・ロマンス、はちみつぱいみたい。そりゃあ好きなサウンドですよ。唄の感じ、ギターにピアノにコーラスの感じすべてお馴染みな感じ。だからこそ物足りないな。これでいいのかな?森英二郎さんの版画によるジャケットが気に入った。 8点

Trey Anastasio / same
 
活動休止しているフィッシュのギタリスト&ヴォーカリスト&コンポーザーであるトレイの新作ソロ・アルバム。トップのラテン・タッチの曲からグイグイ聴かせる。心地よいテンションが持続し最後までダレない。流石です。ギターの太く甘い音色と良く唄うフレージングはわたくし好み。オールマンを思わせる大らかな演奏も嬉しい。いまさら後悔してもしょうがないけど'99年のフジ・ロックは行って聴くべきだったな。ストラトっぽいシェイプのセミアコ、ラングアドック・ギターも弾いてみたいもんだ。 10点

Velvet Underground & nico / Deluxe Edition
 
僕はこの" ロック史に輝く名盤中の名盤 " にそんなには興味が湧かなかった。初めて聴いた'70年代半ば頃は「古くさい!」と感じたものだ。ブルース、ソウル、ルーツ・ロックや、特にギター弾きが好きだった僕にとってベルヴェッツやルー・リードは対象外な存在だった。 ルー・リードを好んで聴くようになったのは「コイツけっこうディランに似てるな」って気づいてからで、その醒めた突き放したような唄い方が好きになった。何よりこの人は素晴らしい曲を書く。改めてこの'67年発表の本作、鮮烈なデカダン&サイケ臭にニヤニヤしつつ名曲揃いなのにはビックリだ。「毛皮のヴィーナス」「僕は待ち人」が特に好き。ルー・リードはニューヨークのブルックリン生まれ、そのカッコ良さヤバさに憧れるな。 10点

V.A / Anthology of American Folk Music(6CD)
 
ザ・バンド奇跡の名盤『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』は'68年にリリースされた。サイケやカウンター・カルチャーが流行っていたこの当時に、またディラン&ザ・ホークスとして世界一ラウドなロック・バンドとしてツアーした彼等がザ・バンドとして発表したファースト・アルバムは厳かな静けさとスピリチャルな雰囲気を持っていた。近所の老若男女に囲まれ野暮な格好をした彼等のいる中ジャケ写真。セカンド・アルバムでも" 俺たちって古くさいだろ " って格好をした彼等の写真が使われている。喜々として古くささを楽しんでるような感じすらした。'67年にビッグ・ピンクでホーム・レコーディングされたディランとザ・バンドによる『ザ・ベースメント・テープス』を聴いた時にも"喜々として古くささを楽しんでいる" 感じがしたものだ。この彼等のマイ・ブームの正体こそ本作『アンソロジー・・・』だったという仮説を読んだ時はドキン!としたものだ。
 このコンピュレーション盤を編集したのはハリー・スミスで'52年にフォークウェイズから発売された。内容は'20〜30年代のアメリカ南部の音楽、ヒルビリー、ブルース、ケイジャン、ゴスペルなどだ。当時南部に住む黒人と白人の音楽家がコモンストック(共有文化)として " ブルース・フィール " を持っていたことが浮かび上がってくる編集意図が面白く刺激的だ。今でこそここに収録された人達の何人かは単独のアルバムで聴けるような有名な音楽家となっているが、彼等が吹き込んだ当時はもとより発売された'52年頃でも全米的(もちろん世界的にも)には無名な人達であり音楽だったわけで、このアルバムのおかげで南部の豊饒な音楽がより多くの人々に聴かれるようになったのだろう。
 これはアメリカン・ルーツ・ミュージックの魔法の宝箱なのだろう。いつの時代にもこの箱のヒキダシから取り出された音楽がその時代の衣装をまとい復活しているようなのだ。音楽って面白い!  
10点

前月のGet音盤
 
2002. 1月 2-3月 4月 5-6月 7月
 2001.1-2月 3-4月 5月 6-7月 8-9月 10-11月 12月
 2000
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1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10-11月 12
 1999.
6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

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ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね
 
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