音盤 BAN BAN

        THE FIRST IMPRESSION

ただこの1ケ月(2ケ月)の間にGETした音盤の第一印象を10点満点で採点しました。あくまでも、第一印象ですから。もう年末だから12月分もリストアップ。随時更新します。

2002年 10-11-12月

田真理子 / あなたへ
 〃   / 聖歌 (シングルCD)
 
今年3月の段階で「mariko」を今年一番の収穫と絶賛しました。そんな彼女の2枚目のフル・アルバムとシングル盤がリリースされました。カバーも含む全曲日本語詞。洋楽通をも唸らせたのが「mariko」だったとすれば、本作はJポップ・ファンをも惹きつける作品だと思います。今回もピアノの弾き語り、静かでゆったりとした作品です。聴き込む程に味わい深くいつのまにか心の中に住み着いています。力みも余計な感傷もなくたんたんと歌います。その歌声がじつに滋味なのです。間口が広く寛容ですらある音楽、しかし甘さ緩さが感じられないのは、心の奥底に鬼を棲まわせている人の穏やかさといった風情のせいでしょうか。エッ!??。そんな彼女の歌う「わたしはうたう そらへうたう カオスをハルモニアを あなたとうたう」を聴いた時、思わずブルッと震えがきました。もちろんこれも今年一番の収穫音盤です。 10点

Beck / Sea Change
 
拍子抜けする程フォーキー。やっぱりニール・ヤングが好きなんですね。ゴージャスなストリングス・アレンジは親父様デヴィッド・キャンベル。ドラムがジョーイ・ワロンカーでこれがレニー・ワロンカーの倅だから、バーバンク・サウンドの息子達でもあるわけだな。正統と異端をパッチワークのように繋ぎ合わせた音楽がベックの面白さだと思うんだけど、本作は歌心を前面に出した親父世代も泣いて喜ぶ?ストレートな作品に仕上がっています。本当はもチョットねじれていた方が好きなんですが。 9点

Linda Thompson / Fashionably Late
 
なんと新作なんです。しかも素晴らしい出来映えです。息子テディ・トンプソンが全面的にサポートし、元旦那リチャード・トンプソンも1曲だけ歌とギターで参加。フェアポート一家やダニー・トンプソン、マーティン・カーシーと言ったブリ・トラ重鎮達が控えめながら渋いプレイでリンダの歌を盛り立てます。" 惑星No.1ベンドマスター " ジェリー・ドナヒューのさりげない悶絶ギターに顔もほころびますよ。それにしてもリンダの凛とした、ちょっと寂しげな歌声が凄くいい!コーラスしているカミラ・トンプソンって娘さんかな?うらやましいね音楽一家。 10点

UA / 泥棒
 
浜田真理子と共に一番聴いたヘヴィーローテーション盤です。わざとらしい歌唱のシンガーがキライになったこの頃ですが、彼女の独特な歌唱はバックのサウンドとの融合が良く凄く良いです。このメンバーのよるスタジオ・ライヴをTVで見て、凄いものを見た感じがしてゾクッときて、さっそく本盤を買いに走ったわけで、このサウンドは今年聴いた新作音盤中一番好きです。それぞれの音が唄と対峙し詩のイメージを喚起する、実験的であり、アングラっぽさと演劇性、そして浅川マキを思い起こしたりで、これはJポップの対極にあるような音楽です。つまり良質ってこと。UA、朝本浩文、鈴木正人、Asachang、名越ユキオに感謝と祝福を。 10点

Solomon Burke / Don't Give Up On Me
 
なんと新作だ。それもディランにコステロ、ヴァン・モリスン、トム・ウェイツ、ブライアン・ウイルソン、ダン・ペンなどが曲を提供。ダン・ペン以外は違う世界の人って感じだけど、提供曲がソウル寄りっていうか、アルバムは真っ当なサザンソウル・アルバムです。良いですよ。でもバックのサウンドが教科書どおりっていうか、なにか物足りないな。  8点

Sam & The Soul Machine / Po'k Bones Rice
 
ニューオーリンズのファンク・バンドです。お蔵入りとなっていた'69年インスト盤を中心に'70年代の録音を追加。やはりミーターズに似ているけどキャッチーさに欠けるかな。オルガン中心のアンサンブルはグルーヴィーで確かな腕前は感じるけど。 7点

Townes Van Zandt / s.t
 
理想的なシンガー・ソングライター・アルバムだな。白状します、タウンズ・ヴァン・ザントを初めて聴きました。" テキサス最高のシンガー・ソングライター"なのにね。たまたま聴き逃していただけですが。'69年のアルバムです。静かで飾り気のない歌声なのに心に沁み入ります。バックの演奏も地味ながら好サポート。ジェイムズ・テイラーが脚光を浴びたその時代、テキサスにはタウンズ・ヴァン・ザントがいたんだね。9点

Robert Crumb & His Cheap Suit Serenaders / s.t
 
ロバート・クラムはジャニス・ジョプリン「チープ・スリル」のジャケット画でおなじみのイラストレーターです。そんな彼がバンドを組んで'74年に発表したファースト・アルバムが本作。彼自身の歌とバンジョーの他、マンドリン、ハワイアン・ギター、ミュージカル・ソウ(のこぎりヴァイオリン)、アコーディオンなどで演奏されるのは戦前'20〜'30年代のジャズやブルース、ダンス・ミュージック。じつにスウィンギーで楽しい音楽です。もちろん彼の手によるジャケットのイラストも楽しい。 9点

木マリ / パロール
 
これは良いです。小西康陽プロデュースらしいワカッテル仕上がりです。歌手というより女優声優としての活躍が目立つマリさんですが、芸域を広げ歌手としてもグレードアップした感じです。コバのアコーディオンがいい味を出しています。欧風歌謡曲って感じ。夜と大人の音楽、おとなの女の色気にクラクラするなあ。浅川マキの「かもめ」なんてすごくいかしてます。歌といいリーディングといい表現力に脱帽。 10点

Paul Weller / Illumination
 
本年度英米ロック新盤中一番良いかも。英国産骨太ロックの鑑だよね。ガツンとくる。メロディが良くてギター中心のアンサンブルに良くハマってるし、歌声に哀愁があるしね。ウインウッド、モリスン、マリオットなどが築いたブリティッシュ・ソウルの系譜をしっかりと引き継ぎ、また若いロッカーの兄貴分としてブリティッシュ・ロックの伝統の橋渡し役にもなっている人って感じがします。愛聴盤です。 10点

Machito & His Afro Cuban Orchestra / Complete Columbia Masters
 
'50年代のマチート楽団です。キューバで生まれニューヨークで成功し" アフロ・キューバン・ジャズの王様 " と言われたマチートのサウンドは洗練された上に迫力があります。いかにもなアメリカン・コーラスが加わった曲などを聴いていると、アメリカン・ポピュラー・ミュージックとしてのラテン・ミュージックって側面も感じさせます。まあ僕は " キューバっぽい " まったりと黒いサウンドの方が好きですが、これはこれで好きです。
  9点


Blossom Dearie / Our Favorite Songs
 
まったくコケティッシュなおばさんだな。歌声がね。見た目はそうでもないんだけど。何年位の録音かわからないので何歳位の彼女なのかわからないけど、ジャケ写真はけっこうおばさんです。でもやってる音楽は素敵ですね。ピアノ弾き語りの" I'm Hip " でスタート。ボブ・ドロウ作の粋な名曲。ライヴ音源でくつろいだ雰囲気がいい感じ。お客さんが所々で笑うんだけど、きっと面白く歌ってたり表情が面白かったりするのかな。こういったジャズ小唄風は大好きです。 9点

梅津和時 Kiki Band / Greetings From Africa
 
梅津和時は僕が日本で一番信頼しているミュージシャンかもしれない。生活向上委員会の頃からずっと追ってきた人だ。生向委はブッとい芸能としてのフリージャズをやっていたバンド(と僕は思っている)で、そこのメンバー達(梅津、片山、早川、篠田など)から派生した音楽も独自のやり方でそれを継承していると思う。とくに故篠田昌巳は独自のブラスバンド・ミュージックを創り出した素晴らしい男だった。この梅津のバンドは盟友早川、RCサクセションのドラマーとしても活躍した新井田、バカテク・ギタリスト鬼怒によるどちらかというとロック寄りのサウンド。ブッといボトムのファンク・ロックに乗ってサックスとギターがフリーキーに時にメランコリックに奏で合う。ただし梅津の場合はもっとフリーフォームの方が好きだな。なんとアフリカでのライヴです。 9点

友良英's New Jazz Quinted / ONJQ LIVE
 
以前から気になる存在の " 前衛音響派 " 大友良英です。そう言えば浜田真理子を知ったのも大友の一言だったし、大友が良いと言うんなら良いに違いないと浜田真理子を聴き始めたわけで。本盤で彼がやっているのはフリー・ジャズです。しかも真っ当ストレートなフリー・ジャズ。まあストレートなフリー・ジャズって形容のしかたも変だけど。大友のギター、サックスが菊池成孔と津上研太、ベース水谷浩章、ドラムス芳垣安洋。メンバー構成もいかにもジャズでしょ。良いですよイマドキ聴くフリー・ジャズ。自作の他ショーター、ドルフィー、そしてジム・オルークの曲をやってます。こんなヒリヒリとした音楽を聴いてると年甲斐もなく(逆かな)アツくなりましたよ。 10点

デイト・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン /
          Report From Iron Mountain
 
上記大友のバンドから大友、芳垣、津上、菊池が参加。その菊池をリーダーとした大所帯バンドがこのデートコース。しかし芳垣ってどこにでも登場するねえ。片山広明「キャトル」でのプレイは素晴らしかった。キキ・バンドがファンク・ロック風、ONJQが正統フリージャズ風だとしたらデートコースはプログレ・フュージョン風かなあ。" 電化マイルス " の今日的展開って感じもする。変拍子、ポリリズム、クールなシンセ、突然激情するギター、フリーキーなサックス・・・スリル満点で楽しい。やっぱり生で演奏に接したいねえ、梅津も大友もデートコースも。 9点

藤田陽子 / あたいの涙
 
モデルで女優さんと雑誌にありました。破壊衝動を即す昭和歌謡と紹介されていました。僕は本盤中、明快なメロディを明快に歌っている曲が気に入りました。ビジュアルも含めて全体的に演出されすぎって感じがして、彼女がどんな歌手なのかピンときませんでした。ごめん。 8点

あきなおみ / ねぇあんた(6CDBox)
 
まさに昭和歌謡ですねえ。子供の頃から聴いていた気がします。ちょっとエッチなおねえさんて感じがしていましたねえ。デビュー曲「雨に濡れた慕情」が昭和44年で、これなんて楽曲も歌唱も素晴らしすぎ!もうビックリです。初期の頃の歌謡ポップスって感じのヒット曲がやはり好きだなあ。演歌調やニューミュージック風より。鈴木淳、浜口庫之助、中村泰士、川口真、都倉俊一、浜圭介、船村徹といった歌謡曲界を代表する作曲家達の素晴らしい作品にため息がでます。ニューミュージック以降の音楽しか知らない若い人達にぜひとも聴いて欲しいお宝音盤Boxです。昔の歌謡曲は良かったね。 10点

因幡修次 / 躯の方へ
 
新作です。彼の歌を聴いて連想するのはヘッセ「荒野のおおかみ」の中の " 魔術劇場〜だれでもの入場はお断り〜だれでもはお断り " の一節。本盤ライナーで松山晋也が書いている " ここにあるピュアネスに触れることは、一種の恐怖体験と言ってもいい。" 因幡修次の音楽は人間誰しもが内蔵(秘蔵!)している普段は表出することのない感情を誠実に吐き出しているように思う。心の奥底に飼っている " 荒野のおおかみ " がいきなり目の前に現れるから人々は恐怖しまた押し隠そうとするのかもしれない。歌とアコースティック・ギターだけで表現される彼の音楽は聴いてる人に鏡を突きつけて「お前はどうなんだ?」と問い掛けているようにも思える。なにか切実なものがある。「殺してください 私の愛を」は見事に歌謡曲だ。自分で書いていて何なのかわからなくなってきたな。とにかく僕はこの感じは好きだな。 9点

New さざえ / may・you・stay
 
上の因幡と同じ出雲プランクトーン・レコードよりのリリース。新作ではなく音源は'80年代のものらしい。サウンドもいかにもソノ感じがする。テクノ〜ニューウェイヴの臭いがします。けっこうこの感じのバンドがありましたね当時。ただ地方のアマチュアのレベルは超えてます。テクノ・ファンクな曲にはボトムの弱さを感じるな。同じ島根の松江出身、板倉文が率いたチャクラを思い出します。小川美潮と比べるのも悪いけどヴォーカルが弱いと思う。 7点

ソニア・ローザ with 大野雄二 / Spiced With Brazil (LP)
 
このアルバムは'74年にソニーが機材チェック用に作った非売品なんだそうで、ようやく公式に復刻されました。LPのみの復刻ってのに拘りを感じますね。これが非売品だったなんて、なんとももったいない。日本のフュージョン前夜の記録としても貴重です。ブラジルのボサノバ歌手ソニア・ローザが来日して大野雄二を中心とした日本の主にジャズ系のミュージシャンと制作したのが本盤で、収録曲はボサノバだけでなくバカラックやジェイムス・テイラーなんかの曲もやってます。僕が面白かったのはライナーで大野が「このアルバムで凄いのは、ギターの松木君(恒秀)やベースの岡沢君(章)が入ってることですよね。松木君は僕にとってこの時代の秘密兵器みたいな人だったんですよ」ってとこ。これって良くわかるなあ。彼等のその後の活躍を知ってるだけに。新しい音楽を生み出そうという爽やかな熱気を感じます。 9点

King Crimson / Earthbound
 
いやはやこのクリムゾンは凶暴ですね。パンクもヘビメタもクソくらえ!って感じの演奏です。'72年のライヴですが、バンドも解散寸前でジャム・セッション風の演奏が多い。こんなに荒っぽいクリムゾンの演奏は他にないかも。フリップとコリンズのフリーキーなプレイがけっこう好きです。 8点

King Crimson/ USA
 
上とうって変わってこちらは極上のライヴです。'74年のライヴ(リリースは'75年)でフリップ、ウェットン、クロス、ブルフォードというクリムゾン史上最強のメンツによる演奏がもう凄すぎます。僕はプログレ・ファンじゃないからこの時期のクリムゾン以外はあまり知らないし聴きません。じゃあ何故この時期のクリムゾンが良いかって言えばキーボードが出しゃばっていないってことです。キーボード・プレイを前面の出した叙情に寄りかかったクラシックかぶれのロックがキライなもんで。クリムゾンにはそれがありません。ギターはラウドで無機的に響きます。ライヴにおいて構成力、即興性、叙情性をこれ程バランス良く聴かせるクリムゾンというバンドはほんとうに素晴らしかった。(ってまだ解散してないんだ?) 10点

V.A / ナイアガラで恋をして
 
ナイアガラ・ポップス(大瀧詠一音楽)の魅力はその楽曲とこりまくったサウンドが一体となって成立していると思っている。まさに大瀧のこだわりの産物なわけで、こうした他人が寄り集まって大瀧の曲をやってるアルバムにそれ程の期待はないけど買っちゃった。前川清がイケテルのは彼にクルーナー・ボーカルの素養があるからだよね。ビギンのテックス・メックス〜ハバネラ風アレンジはけっこう良いです。パール兄弟は凝りすぎて別物になっちゃった感じ。クレイジー・ケンの「Tシャツに口紅」はぴったりハマってますね。もちろん知世ちゃんの「夢で逢えたら」は素敵です。 9点

Eric Clapton / One More Car,One More Rider
 
クラプトンは中学高校の頃、ロックに目覚めギターを弾き始めた頃に導師と崇めた人です。以来30数年ファンとして聴き続けています。と言って律儀にアルバムを買っているかといえば、買っていません。特に80年以降のは。ギター・プレイにそれ程の変化があるわけでなし、好きな曲は昔の曲が多いし、新作に食指が動くことは少ないんです。で、たまにライヴなんかが出ると記念に買うわけです。56歳のクラプトンは頑張ってるな凄いなと聴いて確認し嬉しくなるんです。すでにクラプトン・ブランドに安住してる彼に欲求不満があるわけでなし、「レイラ」は相変わらずカッコ良いし、「ティアーズ・イン・ヘヴン」や「ベル・ボトム・ブルース」「ワンダフル・トゥナイト」なんか聴くとやはり泣けるのですよ。 10点

Leo Kottke . Mike Gordon / Clone
 
ベテラン・ギタリストのレオ・コッケとフィッシュのベースマン、マイク・ゴードンによる新作デュオ・アルバム。腕達者な両人がリラックスした演奏を聴かせます。なんと表現してよいやらわからない不思議な雰囲気を持つアコースティックなインスト・ナンバーが多いですなあ。ベースがけっこう手数が多くて面白いです。そのうちに好きになるかもしれない音楽かな。 8点

Jon Rauhouse / Steel Guitar Air Show
 
初めて耳にするスティール・ギター奏者です。シカゴ録音で米国白人青年らしい。演奏はスゥインギーでごきげんです。テクを見せつけるって感じじゃないですね。イージー・リスニングでしょうかね。 7点

Charlie Palloy / Vocals & Guitar
 
チャーリー・パロイ。初めて聴きました。ゴキゲンな音楽ですよ。白人のシンガー&ギタリストで'32〜'33年録音で初リイシューらしいです。「スゥイングしなくちゃ意味ないね」とか「ストーミー・ウェザー」などのスタンダード曲もやってます。バックの楽団もなかなかスゥイート&スゥインギーで良い感じ。ときおり入ってくる彼のギター・ソロがエディ・ラングっぽくてシャレてます。アーリー・ジャズの世界は奥が深くまた楽しいですよ。名古屋ネットワークの故佐藤さんの推薦盤でした。合掌。 10点

V.A / Shango,Shouter & Obeah〜
    Supernatural Calypso From Trinidad 1934-1940
 
カリプソそれも'30年代はスター揃い。アッティラ、カレッサー、エクセキューター、ライオン、タイガー、フーディーニ、レイディオなど彼等全員収録のコンピュレ盤。悪いわけがない。あらためてカリプソの素晴らしさを再認識。クラリネットとトランペットの絡みなんかN.Oジャズと似た感じがあり興味深い。素朴でイナタい、土の香りのするこの時代のカリプソの魅力がぎゅうぎゅう詰め。鋭い風刺をユーモアまじりで歌うのもカリプソの特徴とされるところですが言葉が分からないのでニュアンスがつかめず残念だけど、その哀愁を感じさせる歌い口には引き込まれます。これもネットワークの故佐藤さんの推薦盤でした。あらためて合掌。 10点

Bob Dylan / Live 1975,The Rolling Thunder Revue
 
颯爽と明快に歌うディランがいる!これは驚きだ。ディランにもこんな時があったんだと聴いていて思い出した。'75年のローリング・サンダー・レヴュー。あの白塗りディランの全曲未発表音源が登場したんだからもう大興奮。トップの「今宵はきみと」で一気にハートを持って行かれたよ。本盤は'75年RTR第一期ツアーを収めたもので、なるほど以前からリリースされていた'76年RTR第二期ツアーを収めた『ハード・レイン』とは趣が違う。『ハード・レイン』のラフでラウドな演奏によってRTRのイメージが出来上がっていた僕にとって、この'75年盤の持つ自由で開放的な雰囲気は、RTRのイメージを一新してくれたわけだ。ペダルスティールが入っているせいかカントリー・ロック〜ルーツ・ロックの雰囲気が強く以外に丁寧でしっかりとした演奏だ。RTRの目玉?スカーレット・リヴェラのジプシー・ヴァイオリンも独自の雰囲気を発散している。なによりディランの唄い方が実に丁寧でビックリ!?気持ちよく歌っている感じが伝わってくる。「風に吹かれて」はジョーン・バエズとのデュエットで聴かせます。グレート! 10点

V.A / The Last Waltz (DVD)
 もちろん満点です。これまで見てきたロック関係の映画及び映像の中で、トーキング・ヘッズ「ストップ・メイキング・センス」とこの「ラスト・ワルツ」が僕のベストですから。ジョナサン・デミ、マーティン・スコセッシという一流映画監督の作品てのも共通しています。'76年に行われたロックの饗宴はザ・バンドのラスト・コンサート(その後復活したけど)という舞台で行われた。豪華なゲストと豪華なセット、楽屋にはクスリが山盛り、熟れたロックの最終章にふさわしい舞台だった。当時日本のロック・ファンの多くはレコードと雑誌のグラビアでしかロック・アーティストに接することができず、動く彼等を見られる機会などほとんどなかった。だからこの「ラスト・ワルツ」を初めて見た時の興奮と感動は忘れられない程だ。ザ・バンドの面々がDr・ジョンがニール・ヤングがエリック・クラプトンがヴァン・モリソンがジョニ・ミッチェルがマディ・ウォータースがボブ・ディランが、みんな動いているんだから、そりゃあ凄い出来事だった。今回のDVD版にはジャム・セッションしか追加映像が無くて残念だが、メイキング・モノ裏話が収録されていて興味深かった。特にそれぞれの曲の歌詞カードにカメラ位置や照明などを細かに書き込んで撮影に臨んだということに驚いた。あの抜群のカメラ・ワークは緻密に用意されたものだったんだ。とにかくオジサンはこういう映像を見ちゃうと「あ〜やっぱりここが俺のロックの終点だったのかな」って思ってしまいます。 10点
 

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.
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 1999.
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