●2005●

 2月28日 晴れ/曇り/小雪/晴れ  体調・ふつう、目が疲れる

 2月も今日で終わり。冬も峠を越えたと思いたいけど天気予報は雪だるまばっかりだ。
Susie Ibarra『Folkloriko』
フリー・ジャズ・シーンではおなじみの女性ドラマーらしいね。スージー・イバーラはフィリピン系アメリカ人かな?写真の感じではアジア系の素敵な女性です。2004年の新作で、メンバーは彼女とクレイグ・テイボーン(p)、ジェニファー・チョイ(vln)のレギュラー・トリオに夫ロベルト・ロドリゲス(perc)とレオ・スミス(tp)参加の曲があります。2-10は組曲となっていて、いろんな音楽の要素、特に民族音楽的なリズムとメロディーが刺激的かつ楽しいです。ヴァイオリンのクラシック〜現代音楽みたいな旋律も良い感じだし、レオ・スミスが入ってきて急にフリー・ジャズになっちゃうのもスリリングでかっこいい。クレイグ・テイボーンの去年のアルバムも評判良いので聴いてみようかな。


 2月27日 大雪ときおり曇り晴れ  体調・ふつう

 iPodが欲しい。必要はないけど欲しくなる。フランク・ザッパのCD全部ブチ込んで持ち歩きたい。でも全部ブチ込むだけで疲れ果てて、又は満足しちゃって、聴きはしないかもな。好きな音楽をいつでも手元に置きたいってことなんだけど、俺は1日の大半を店舗兼自宅で過ごしているから、まあ好きな音楽はいつでも聴けてるわけ。だから必要はない。でも、iPodが欲しい。
クーツェ『ボロロック』
オクノ修、かしぶち哲郎、渡辺勝、船戸博史、関島岳郎、中尾勘二、向島ゆり子、川下直広、関根真理、他多数によるジャンル・世代を越えた超弩級ユニットとのこと。ライダーズ、ふちふな、コンポステラ、フェダイン、渋さ、もちろんオクノも渡辺も、こうした音楽が好きだったから、このアルバムには興味津々。で、聴いてみたらオクノさんのアルバムって感じですね。彼の歌がドーンと中心にある。くぐもったような独特な歌声とその切実な感じが好きだから、聴いていて嬉しい。やけに素直な女性コーラスが微笑ましいし。「北風」良いね。♪はぎれの良い 朝の光をあびて 私はひとりだ 彼女は北からやってきた〜って唄われて、間奏に関島のティン・ホイッスルが美しく哀しげに鳴ってるんだよ。向島のストリングスが控えめにじつに良い雰囲気を醸し出してる。このアルバム、これだけのメンバーが揃いながらも落ち着いた感じで、各プレイヤーのさりげなさの度合いが良いな。イマイアキノブのギターなんて最初気づかなかったけど、バックで良いプレイしてるんだよ。かしぶちはジェントルなドラマーに徹しているし。雰囲気の良い音盤ですよ。


 2月25-26日 晴れ/曇り/大雪  体調・ふつう

 久しぶりにたくさんの雪が降ってる。春が近いから湿った重い雪が降ってるな。TVで東京ヴェルディーvs横浜マリノスをやってた。野球も企業名なんか取ればすっきりするのにな。マリノスの上野良治、渋さが増したね。ルックスも苦労人て感じになっちゃって。上野は武南高校時代は天才と呼ばれたMFで、ちょうど中村俊輔のようなタイプだったんだけど、プロ入りしてしばらくするとボランチ的な仕事をするようになった。常に代表クラスの実力を維持してるのに、日本代表には縁がなかった(呼ばれたことはあったかな?)な。2得点したヴェルディーの新加入ブラジル人FWは要注意だね。そうそうヴェルディーの山田と林も苦労人顔になってたなあ(笑)。がんばれ東京ヴェルディー!アルビレックス新潟の次にがんばれ。
Wilco『A Ghost Is Born』
ネルス・クライン(g)が加入したっていうから買ってみたら、この録音には参加していなかったんだ。うっかり。でもウィルコは良いね、まじめにヤサグレているとこが。グランジがカントリー・ロックっやてるような頃がすきだったけど、今の彼等も悪くない。と言うかギター・バンドが好きだからね。このアルバムではジェフ・トゥイーディーのエキセントリックなギターが活躍。ここにネルスが加入したら、どんなバンドになるんだろうね。楽しみ。


 2月24日 小雪/雨/曇り  体調・ふつう

 今日をChamky Boxのリニューアル日としたのは、今日が俺の誕生日だからだ。とかいって、たまたまなんだけどね。ホリエもんvsフジサンケイグループが賑わってます。ニッポン放送社長はあの懐かしいカメちゃんなんだよね。この抗争、小説ならばこの辺でホリエもんが右翼に襲撃されるとこだね。おっTVで森田健作が千葉県知事選に立候補し叫んでる。千葉県民を守るための「千葉保安隊」(だったかな?)を創設したいんだって。気持ちはわからんでもないが・・・。犯罪暴力は当然ながら、政官財の悪い奴等からも守って欲しいものだ。
Brandon Ross『Costume』
素晴らしい!ブランドン・ロス!誕生日に相応しい!も〜ぶっちぎりに最高音盤。静寂な空間に響くアコースティック楽器の鳴り、なによりブランドンのフレージングが官能的かつ精悍で最高。尺八と琴が入った(サンプリング?それともなにか意外な楽器かな?)曲には武満徹の臭いも濃厚。この人は'70年代中頃のN.Yロフト・ジャズ・シーンで頭角を現し、カサンドラ・ウィルソンのバックとしても有名な、まあジャズ畑の人だと思っていたけど、このアルバムを聴いてると、歌が上手いシンガー・ソングライターだし、前衛ジャズからクラシック〜現代音楽までと懐が深い。しかも、深く響くエモーショナルなギター・プレイには、盲目のギター・エヴァンジェリスト(伝道師)、ブラインド・ウィリー・ジョンソンの音楽も思い浮かぶ。しかもしかも、ジャケ写真のこの男、バンジョー抱えたドレッド・ヘアの黒人の精悍な眼差し。ブランドン・ロスはかっこいい!


 2月23日 晴れ/曇り/雨/ときおり暴風  体調・ふつう

 このChamky Boxのリニューアルに向けて、のんびりと作業中。フレーム無くす程度のマイナーチェンジなんですが。
Atahualpa Yupanqui『Atahualpa Yupanqui Best』
今日はのんびりと(暇ってこと)ユパンキを聴いています。篠田昌巳を聴いていた時から、久しぶりにユパンキを聴きたいなって思ってたんです。世界遺産だよねユパンキは。大地と風のような音楽だ。パブロ・ネルーダへ捧げた歌があって、パブロでいつも思い出すのは、昔初めて買った頃の「ニュー・ミュージック・マガジン」の五木寛之のエッセイ。なんと五木寛之が寄稿していたんですよ。その内容は「3人のパブロ」。パブロ・ピカソ、パブロ・カザルス、パブロ・ネルーダの話でした。3人共、母国の軍事政権に対して抵抗し亡命などをしていた人達でした。(記憶がたしかでないけど)ああいや、それはともかく、ユパンキの歌は国家ではなく大地と民衆に根ざしているんだなってことです。ユパンキはギターも凄く素晴らしいんです。南米てのはギター・ミュージックの宝庫なんだなあ。


 2月21-22日 晴れ  体調・ふつう

 22日、運転免許の更新に行って来た。視力検査が心配だったけど無事終了。夜11時、隣集落の知人宅が火事と知らせが。鎮火したとのことだが、その大変さを察すると・・・火事は怖い。地震も怖い。用心せねば!
林栄一 中尾勘二 関島岳郎『PHOTON』
今月の音盤日記の主役篠田昌巳は1992年12月9日、34歳で逝った。病気による突然の死だったと思う。このアルバムは"98年、コンポステラの盟友中尾と関島に林栄一を加えたトリオで演奏されたもので、篠田の曲を中心にヴィクトル・ハラと林のが1曲づつ収録されています。林栄一は篠田が尊敬していたアルト・サックス奏者です。俺は『MAZURU』で初めて林を聴いた時の感動を憶えています。林の遅すぎたソロ・デビュー・アルバムとも言えるこのアルバムは、先鋭なジャズを王道な趣で吹きまくる林の素晴らしい才能が発散されたアルバムでした。山下トリオで注目され、片山広明とのデガショーや渋谷毅オーケストラでも活躍していた林でした。その彼が篠田の作品を演奏しています!もう嬉しいんです。篠田のアルトの切実な美しい鳴りは、林ゆずりだったのかなと思わせます。関島のチューバはいつもより雄弁です。中尾はドラムも叩き、トリオに機動性を加味しています。
 篠田昌巳月間(そうなっちゃった)の最後にこのアルバムをリリースしたオフ・ノート、神谷一義氏のライナーより引用したい。
 「ここに実現している音楽が、つねに音楽を享受している無告の民衆の心の琴線に深く響くことを願って止まない。
 音楽。未来を赫々と照らすPHOTON(ひかり)」


 2月20日 雨  体調・ふつう

 日曜日だけど津南町小学校スキー大会があるので小学生は学校です。娘達低学年は半日で下校ですが。このスキー大会と十日町雪祭りは毎年ぶつかっちゃうんだね。なんにしろこの雨じゃ選手や関係者はかわいそうだな。大人は終わって打ち上げ飲み会だそうだけど。
コンポステラ『歩く人』『WADACHI』
2作共コンポステラの各地でのライブを収録したもので、'91-'92年という短い間の精力的な活動の記録です。『歩く人』は'95年に、そして『WADACHI』は'97にジョン・ゾーンによりリリースされた輸入盤で、共に篠田昌巳の死後発売されたものです。TZADIK盤の帯に紹介文(英文)があり、コンポステラの音楽は東ヨーロッパのフォーク・ミュージックと日本のチンドンがブレンドされたものだ、とか(適当な訳だけど)あり、チンドンのことを、芸者やサムライの格好をしてスーパーやパチンコ店のオープンの時に演奏するストリート・ミュージシャン、とある。欧米人に対してわかり易い説明なんだろうね。この2作はライブ録音ということで、いままで聴いてきた彼等の演奏に、より即興演奏が加えられていて、そうした演奏は彼等のジャズ〜フリージャズの下地をかいま見せてくれる。篠田達にとって、フォーク・ミュージックへの挑戦こそ前衛的な選択だったのかな。篠田のサックスの慈しむような音色に、何か問いかけられているような気がする。


 2月19日 晴れ/曇り/雨  体調・ふつう

 今日は学習参観に行って、娘とカッターを使った工作を楽しみましたよ。じつは楽しんだのは俺だけで、娘は慣れないカッターが恐くて緊張ぎみでした。俺が小学生の頃、女子は知らないけど、男子はたいてい小刀の「肥後の守」を持って山遊びをしたもんです。鉛筆もナイフで削ったし、だから刃物って身近だったけど、今の子供達にはその機会がないものねえ。
19-21 Universal Band『Brass Around The World』
『ブラスは世界を結ぶ』'91年日本制作盤です。プロデュースはワールドミュージック系の素晴らしい数々の音盤を世に送り出してきた二人の日本人中村とうようと田中勝則、そしてブラジル側からエンリッキ・カゼス。つまり日本とブラジルの合作。ブラジルでブラス・オケ録りしたやつに日本のコンポステラが音をかぶせてトラックダウンして完成させたんですね。19世紀末から20世紀初頭の、まだジャズが生まれる以前に流行ったブラス・バンドのふくよかなアンサンブルの再現を目指したもので、もちろん新しい感覚もプラスしてある。コンポステラの3人、篠田、関島、中尾の参加はこの企画にぴったりはまってますね。特に関島とマトゥザレームによるチューバはこのサウンドの要です。「ラ・パローマ」に始まり、ポルカ、ビギン、タンゴ、マルシャ、ショーロ、ワルツ、ラグタイム、マンボ、クロンチョンなど文句なく美しい音楽が満載です。まさに天然の美ですよ〜。


 2月16日 小雨/曇り  体調・ふつう

 昨夜、じゃがたらのDVDに感激。ミュート・ビートも凄かった!
篠田昌巳 西村卓也『DUO』
篠田昌巳(as)と西村卓也(eb)が'87年に前橋市の百貨店開店記念イベントとして店の前の路上で演奏した時のプライベート録音。ライナーによると梅津和時と早川岳晴のトラとして急遽出演となったそうな。プレ・コンポステラ期の篠田としての興味買いだったけど、これ凄く良い!これ程気持ちよく唄うサックスには、そうそう出会えないかもね。地方のこうしたイベントでジャズといったら、たいていはお馴染みなスタンダード曲やって、お客に合わせたつもりの演奏がつまらないって場合が多いんだよね。しかし、篠田と西村は志が高かった。ここでスタンダードと言えるのは「素敵なあなた」のみ。それでもこの人懐こい音楽は、この場の聴衆を惹きつけたに違いない。自分の目指す音楽と目前の聴衆を喜ばす音楽とが素晴らしく折り合っている感じ。こんなにも素直で快活で澄み切った音楽を聴いていると、嬉しいのに感傷的な気分になる。ひっそりと残されていたカセットテープを編集しCD化をしてくれたオフ・ノート神谷一義氏に大感謝です。


 2月15日 晴れ/曇り  体調・ふつう、目が疲れるなあ

 趣味が読書とパソコンじゃ目に悪いにきまってる。
オルケスタ・デル・ビエント『風の旅団・劇中音楽集』
篠田昌巳、大熊ワタル達が関わった'83-'91年の劇音集。テント芝居の音楽。公演の終了と共に消えてしまう音楽。そんな音楽に群がった若き創造に飢えた者達の音楽集かな(おおげさ?ははは)。テントという閉ざされた空間の虚構のために生まれた音楽、でもここにある音楽に閉塞感は感じられない。テントの外の青空に星空に向けて放射してる感じがする。やはり路上の音楽であり、星の原っぱの音楽なんだな。それにしてもこのライナーの小さな活字は疲れる。う〜つらい。大熊達の対談が面白いんだけど、ひじょーに目にしんどいのよ。


 2月14日 雪/曇り  体調・ふつう

 今日は「ニボシの日」であるという。でも俺はニボシよりチョコの方が好きだから、素直に今日はバレンタイン・デイを喜ぶ。しかし女はチョコが好きだ。普段からチョコが好きなのに、この時期はこの日のためにとか言って、娘とカミさんは大量のチョコレートを保持していて毎日食べている。俺も食べている。体のためにはニボシの方が断然良いのはわかっているのだが。
JAGATARA『それから』
篠田昌巳が在籍していたじゃがたら。インディーズの帝王じゃがたらのこれは初のメジャー・リリースだったと思う。'89年作。久しぶりに聴いたけど、かっこいいね。ぜんぜん古びてないよ。この頃のじゃがたらってサウンド的には完成期なんだね。すごく良く練られている感じで、ロック、ファンク、ジャズ、アフロ、カリブ、フォーク、ザッパ、ラップなどが混然としていてまったく見事。良いメンバーが揃ってたよね。篠田の他、村田陽一、OTO、EBBY、八尋トモヒロ、エマーソン北村、YUKARIE、南流石、ていゆう、なべちゃん、そして江戸アケミ。ひとりアブナい江戸アケミだよな。このアブナさがなきゃじゃがたらとは言えないしね。俺はこのじゃがたらを見てないんだよ。すごく残念!♪中産階級ってのもお安くないぜい〜助っ人ジョン・ゾーンのアルトが吠えてるぜい。このアルバムの翌年'90年1月に江戸アケミは死んじゃったんだ。


 2月13日 晴れ  体調・ふつう

 晴天。寒〜いけど晴天。雪景色がきれいです。まぶしい。雪目になりそ〜。晴天に釣られてまた家の周りの除雪作業。で、また疲れちまった。
篠田昌巳『東京チンドン vol.1』
篠田昌巳は生向委の後にPUNGOを結成したりして'83年にじゃがたらに参加するんだけど、同じ頃に長谷川宣伝社の楽士としてチンドン屋も始めるんですね。これ凄いね。東京アンダーグラウンド暗黒大陸じゃがたらと路上のチンドン屋。音楽的にも人間的にもワイド・レンジな人なんだな。このアルバムは'92年作で「赤いハンカチ」「国境の町」「あの丘越えて」「涙の連絡船」「さざんかの宿」「誰か故郷を思わざる」などのお馴染みの曲。チンドンのスタンダード曲と言われる「竹に雀」「ドンドレミ」「青島マーチ」などの演奏が収録されています。いつも通り店内で聴いてるんですが、店が明るくなった感じで、知ってる曲をばあちゃんが口ずさんだりで良い感じ。俺のような田舎のムラの生まれ育ちだと、チンドン屋って知ってるようでいて、実際に目にしたり聴いたりしたことが無いんだよね。東京十条銀座で見かけた記憶もあるんだけど・・。だからこうしてCDで聴けるだけでも嬉しいです。2枚組の内、1枚がスタジオ録音で2枚目が路上録音('84-'88年)。路上録音には江戸アケミがプラカード持ちで参加して口上を述べてるのも聴こえます。現在シカラムータを率いて活躍の大熊亘も長谷川宣伝社楽士としてクラリネットで1曲参加してますね。細川周平と大熊亘、篠田昌巳によるブックレットの解説も充実していて楽しいです。この'92年に篠田昌巳は逝っちゃったから『・・・vol.2』を作ることができなかったんです。


 2月12日 雪  体調・ふつう

 雪降りを眺めつつ愚痴っぽいことばかりで、もう雪のことは書きたくないと思いつつ書いちゃった。昨日掘り出した窓がまた埋まりそう。きりないよまったく!
大友良英『カナリア 〜オリジナル・サウンドトラック
美音堂より届いたのでさっそく聴いてます。期待通りの素晴らしい作品です。大好きな大友良英のプロデュース。演奏は大友(g etc.)の他、津上研太(as ss)、水谷浩章(cb)、芳垣安洋(ds perc)といったジャズ仲間、和太鼓のレナード衛藤、江藤直子(kbds)、高良久美子(vibraphone etc.)、Alfred Harth(ts)などで、なにより一番の注目は浜田真理子が参加していること。歌とピアノ、自作共作曲で参加し、その存在感を示しています。彼女の歌声が映像と相性が良いのはTVドラマや映画「ヴァイヴレータ」等で実証済みのこと。逆も言えるわけで、ここに収録の彼女の自作「Beyond」などは、聴いてる人それぞれが心象風景を呼び起こされる、そんな力があるように思える。テーマ曲「カナリア」と共に往年の名曲「銀色の道」が3ヴァージョン納められている。歌詞の内容が映画のストーリーを暗示しているんだろうか?このアルバムの中の浜田真理子は、荒涼とした野原に風にのって流れる救いの歌声だろうか。フリージャズの咆哮の中、淡々と唄う彼女、これはちょっとこわいな(苦笑)。効果的と言うべきかな。大友の映画音楽として『blue』を聴いていたけど、これは音響系な感じだったと思う。比べて『カナリア』は「歌」が印象的。ラストの向井秀徳、フジロックで見たナンバーガールを思い出した。ここでははるかに饒舌。彼の「自問自答」を聴いて昔のアングラ演劇を思い出した(笑)。このサウンドトラックは素晴らしいから、あとは映画の中でどのように扱われているのかが興味津々。DVDにでもならなけりゃ、この田舎で目にする機会はないと思うけど。『カナリア』観たいなあ。


 2月11日 雪/晴れ/雪  体調・ふつう

 世間は3連休だけど、うちの小学校は行事による代休を月曜にとるので4連休。オヤジは休み無しなんだけどね。だけど店が暇なもんだから家と車庫の周り雪掘りをしてきた。ああ疲れた。
コンポステラ『1の知らせ』
3人組となったコンポステラ、'90年のアルバム。メンバーは篠田昌巳(alto sax、soprano sax、baritone sax、perc)、中尾勘二(trombone、tenor sax、soprano sax、trumpet、accordion、perc)、関島岳郎(tuba、alt horn、trumpet、piano、sopranino recorder、perc)。コンポステラ(compostela)とはスペイン由来で " 星の原っぱ " という意味らしい。星の原っぱにお似合いの、夢幻と哀愁を感じさせる音楽、そして3人の笛とラッパの楽士達。オリジナルとその他で13の小品が収録されています。その雰囲気はクレツマーやジプシーの音楽に似ています。各楽器の響きは切実で美しく、クラシックやジャズやポピュラーしか知らない耳には新鮮です。当時ベースもドラムもいない編成のバンドって珍しかったけど、その後のチューバ奏者関島の各方面引っ張りだこの活躍が示すとおり、このコンポステラが作り出した音楽の影響は小さくはなかったと思います。久しぶりに引っぱり出して聴いてるんだけど、ほんとこれは素晴らしいアルバムです。


 2月10日 雨  体調・ふつう

 大黒がよく決めてくれた。昨夜のサッカー対北朝鮮戦。前半あきらかにナーバスでミスが多かった北朝鮮に対して、もっと日本は積極的に攻めて追加点を取るべきだった。" 汗っかき "FWと " 堅実 "MFだけでは、より高レベルのチームとの戦いになると苦しいんじゃないかな。野沢尚『龍時03-04』というサッカー小説を読んでます。これシリーズ3作目だそうで、こんな面白いのを知らずにいたなんてイカンです。野沢さんは人気脚本家で小説家でしたが昨年(?)自殺したんですね。続編が書かれることはないってこと、すごく残念です。
篠田昌巳『コンポステラ』
梅津和時と生活向上委員会のことを考えていたら篠田昌巳を思い出した。篠田は生向委〜じゃがたら〜コンポステラ〜東京チンドンという日本音楽のエリート・コース(笑)を歩んだサックス吹きであり、若くして亡くなった('92年享年34歳)残念な人です。このアルバムは'90年にリリースされたグループの第1弾。中尾勘二、関島岳郎、大熊亘、駒沢裕城、北村賢治、西村卓也、久下恵生、今井次郎、高田光子、高田千代子等が篠田の人徳に惹かれて(きっとそうだ)集まり出来た音楽だ。ユダヤのクレツマー、ウイーンのオペレッタ、ロシアのマーチ、ヴィクトル・ハラの唄、韓国の民主化運動で歌われたというアイルランド民謡そして篠田のオリジナル曲が演奏されている。ラジカルな視線で射抜かれた民衆の音楽って感じだ。温かく人懐こく力強い篠田昌巳(きっとそうだ)のような音楽がここにある。小玉和文が寄せたライナー文に「「音楽で何が出来るんだろう?」などと言う愚問にちかい小生の問いかけに対して、この音楽家は例の笑顔を見せながら「微力なんだよ、微力なんだけどやって行くんだよ」と答える」とあるんだ。丸顔小太りめがねの笑顔を絶やさぬ音楽家篠田昌巳はこんな男だった。ちょっと感傷的。


 2月8-9日 晴れ  体調・ふつう

 晴天。気持ちがほぐれるなあ。さあて今夜はW杯最終予選の日本VS北朝鮮だ。まあ勝つだろうな。玉田たのんだぞ〜!ホーム全勝だからな!
D.U.B『D』
ドクトル梅津バンドの名盤です。CD化が'86年で、LPはもっと前に出ていたような気がするんだけど、思い出せない。梅津和時は'70年代N.Yロフト・ジャズの真っ直中で修行し、帰国後生活向上委員会を結成し、その別働隊として立ち上げたのがD.U.Bだったかな。メンバーは梅津和時、片山広明、早川岳晴、菊地隆。生向委は明るいフリージャズだった。ジャズの視界が広がった感じがしたね。芸能的フリージャズ。曲のテーマは大らかで分かり易く、でアドリブは熱く吠え唄うわけだ。祝祭的なカオスが感じられた、そんな生向委だった。D.U.Bはそれらの要素も受け継ぎながらも、4人組みならではのバンドっぽさというか、リズムがタイトでファンク。サウンドの肝は早川のファンク・ベースとみた。客演ギタリスト石渡の凶暴プレイがいいぞ。これ'80年代あたまの頃だから、エスノとシンセもちょっと加味してみましたって感じも良いです。踊れるフリージャズってとこは渋さ知らズに継承されてるね。今世紀になって復活ライブをやってるようなので聴いてみたいよなあ。


 2月7日 くもり/晴れ  体調・ふつう

 ようやく雪が止んだ。一服一服。のつもりがちょっとだけ雪堀に出ました。これだけ雪に埋もれてると、じっとしていられないっていうか(苦笑)。
Barbara Dennerlein『That's Me』
ジャズ・オルガンのバーバラ・ディナリーン'92年作。ハモンドB3・ミュージックと呼んでもいいかな。発売当時に好んで聴いた音盤で、トロンボーンのレイ・アンダーソンはじめプレイヤーのプレイする喜びが伝わってくるようで聴いてるこっちも気持ちいい。ただ同じハモンドB3・ミュージックで思い出すスティーヴィー・ウィンウッド『アバウト・タイム』に比べると、こちらは悠長に聴こえるね。フュージョンに聴こえちゃうんだよな。嫌いじゃないけどこのギター・プレイもちょっと古い感じがするし。まあウィンウッドのが傑作すぎるんだけど。このディナリーン盤、各自のソロ・プレイには颯爽とした感じがあって良いんだけど、そのバックの演奏が上品でおとなしいかな。良質なBGMでしたね。


 2月6日 雪  体調・ふつう

 まだ降ってる。1週間以上も降り続いてる。津南の積雪は3.5メートルと発表されてるね。積雪はともかく、こうも降り続かれると精神的に参ってくるよ。でもこんな豪雪の中、感心するのは津南町の道の良さ。町の道路除雪の態勢が行き届いているってことだよね。道路除雪の人達は朝まだ暗いうちから仕事してるわけで、ほんとにご苦労様です。
James Blood Ulmer『Are You Glad To Be In America ?』
そしてこれがジェイムス・ブラッド・ウルマーの傑作です。'81年録音。バンドの肝はアミン・アリの、ど・ファンク・ベース。ぶっといファンク柱に絡み昇るウルマーのギターとデヴィッド・マレイのテナー・サックス。その熱く疾走する様が凄いよ。ドラムはロナルド・シャノン・ジャクソンとカルヴィン・ウェストン。多彩なドラミングが踊るファンクを突き抜けてるな。そしてロフト・ジャズの俊英オル・ダラ、オリヴァー・レイクも客演。ドス黒いエネルギーがほとばしり流れ出る演奏がすごく戦闘的。フリージャズ!ファンク!パンク!だな。渋さ知らズにも似てるとこあるね。このアルバムは最初、英ラフ・トレイドからリリースされたんだよね。フュージョンやAORといった軟弱な音楽が台頭してた時代に、" 時代に牙をむく" ラフ・トレイドからの出てきたのが印象的だったな。そしてこれを'95年に世界初CD化したのが日本のDIWだったってのも嬉しかった。


 2月5日 雪  体調・ふつう

 まだ降ってる。んったくな。もう腰がいたいよ。
David Murray『David Murray』
'79年がマレイの絶頂期だったと前日書いちゃったけど、間違ってた。この'86年のライブ、脂が乗りきっています。マレイはレコード店ディスクユニオンが立ち上げたジャズ系レーベル"DIW"からリーダー作をたくさん作っていて、その内の初期作品に良いアルバムが多かったかな。今聴いてるこれはメンバーが凄いんですよ。J.B.ウルマー(g)が参加していて、あとフレッド・ホプキンス(b)とサニー・マレイ(ds)。ホプキンスの全編ソロ・プレイのようなバッキングがかっこいいよ。これだけのメンバーが集まっているけど、これはマレイが吹きまくるアルバムなんですね。ウルマーですら、あまり出番なし。そこが残念だけど、当代きってのインプロヴァイザー、マレイの豪快な吹きっぷりに身を任せましょう。ヤワなジャズが当たり前な昨今だからこそ、こうしたアドリブに命をかけるかのような熱いジャズに声援を送りたい。「スウィング・ジャーナル」「音楽の友」といったジャズとクラシックの老舗雑誌をペラペラ見てると、美男美女のグラビア誌みたいになっちゃって、容姿ってデビューできる新人の条件になってるみたいね。


 2月4日 大雪  体調・ふつう

 昨日は節分。流行のナントカ巻きってのをガブリ食いしました。まったくみなさん商魂逞しいよね。昨日は側溝の雪水が溢れて大変で、しかも雪は降り続くもんだから、部屋の窓まで埋まって室内も薄暗い。まったくな!これから窓を掘り出します。そして夕方。ああ疲れた〜。
Jack DeJohnette『Special Edition』
これ、'70年代ジャズを代表するアルバムだと俺が思い続けているやつです。'79年作。ロフト・ジャズから繋がってきてるんですね。フロントがデヴィッド・マレイとアーサー・ブライスだから。これ聴いて、この二人のファンになったんですよ。マレイはこの頃が絶頂期だった気がします。フリーやファンクの洗礼を受け、そうした中で逞しく叩き、吹き、弾いた男達の力強さが感じられる、まさに " 男のジャズ " 。あっでも、汗臭さは無いよ(笑)。ディジョネットっていくつも良いグループを率いてきた凄腕ドラマーで、作曲者としてもアレンジャーとしても親分としても優秀なんだよね。バスクラ&テナーのマレイとアルト・サックスのブライスによる掛け合いがスリリングで見事。コルトレーン作品でのリリカルなプレイも良いなあ。これがECMだなんてびっくり。ECMのジャズってすました感じが好きじゃないから。


 2月2日 大雪  体調・ふつう

 大雪のため、娘の小学校では授業短縮で集団下校でした。除雪の合間にPTA会報の原稿を書き上げました。そろそろ降り止んでもらわないとね、この雪。疲労がたまりますよ。タダ仕事だしね。
Henry Threadgill『Too Much Sugar For A Dime』
ブランドン・ロスのギターでも聴きたいなって思い、部屋の棚からヘンリー・スレッギル'93年のアルバムを選びました。ロスってハード・エッジに弾きまくることも、そっと絶妙な合いの手のようなプレイも巧いし、でも変なフレージングも得意な、じつに現代的なジャズ・ギタリストなんですね。スレッギルは大好きなサックス吹きで、'70年代後半にロフト・ジャズを集中して聴いていた時期に出会ったシカゴのトリオ " エアー " のリーダーだった人です。フレッド・ホプキンスのベースがいかしてたなあ。ここでの彼のバンドは " ベリー・ベリー・サーカス " 。ベースの代わりにチューバが2本とちょっと変則。曲によってはストリングス入り。熱い演奏は相変わらずです。そして相変わらず前衛です。
 スウィングしてるだけじゃ物足りないアナタにお薦め(笑)。


 2月1日 大雪  体調・ふつう

 よく降るよ。2階の窓が雪に埋まりそう。神社の石垣が積もった雪で見えなくなったから、ようやく「今年は大雪だなあ」って胸を張って言えそうです。ちっとも嬉しくないぞ〜!これだけ集中して降られると恐いね。朝から新たに60センチくらいは積もったかな(午後4時現在)。
オクノ修『唄う人』
こんな大雪の最中に聴いているオクノさんの歌声が温かくて嬉しい。しかもその歌を温かく優しく包み込む渋谷毅のピアノと船戸博史のコンバスがまったく素晴らしい。高田渡にも似た感じの人間臭さに惹かれます。歌詞カードは付けて欲しかったな。桑本正士の写真がまた良いんだな。ずっと聴いていて、ずっと眺めていても飽きない音盤です。いまのところ。


前月の音盤日記(白地は音盤BANBAN)
 
2005. 1月
 
2004. 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
 
2003. 1月 4月 「音盤日記」9-10月 11月 12月
 2002.
1月 2-3月 4月 5-6月 7月 8-9月 10.11.12月
 2001.
1-2月 3-4月 5月 6-7月 8-9月 10-11月 12月
 
2000.
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10-11月 12
 1999.
6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

月下の遊群CONTENTS
 
ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps