●2005●

 3月31日 曇り/晴れ  体調・ふつう

 オウンゴールによる1-0の辛勝。かっちょわる〜いけど勝ちは勝ちだからまあいいやね。しっかしまあ決定力ないねえ。あれだけ攻めていて得点できないのは見ている方も辛いよ。はらはら観戦で酒の味がわからないし(笑)。
Matt Murphy『Way Down South』
職人ブルース・ギタリスト、マット・マーフィーの初ソロ・アルバム。'90年作品てことは、彼は'40年代末頃からプロの仕事しているから、超遅咲きソロ・デビューだったんですね。とは言ってもブルース・ファンでマット・マーフィーの名を知らない人はいない位有名人なんだけどね。メンフィス・アグレッシヴ・ギターとか呼ばれていたな。メンフィス・スリムのバックで有名になり、'70年代にはジェイムズ・コットンとファンク・ブルースを確立し、ブルース・ブラザーズ・バンドでも活躍してました。本盤ではタイトなバックの演奏に乗って、これぞブルース・ギターだ!ってワザを披露しています。スピーディーな3連プルダウンやチョップなど名人がやると凄くかっこ良い。


 3月30日 雨/曇り/晴れ・・  体調・ふつう、鼻水

 めまぐるしく変わるお天気だ。相変わらずの鼻水くしゃみ。そんなにひどくはないけどね。
Ry Cooder『Jazz』
ライ・クーダー'78年の名盤『ジャズ』です。ライのアルバムはファーストからここまでは確実に名盤です。いや'80年『ボーダーライン』までは名盤です。その次の『スライド・エリア』でコケた、俺の場合。この『ジャズ』も久しぶりに聴いたな。シンプルだけど豊潤な音楽だね。'20-'30年代のジャズ、ラグタイム、ヴォードヴィル・ソングなんかをやってるんだよね。ジェリー・ロール・モートン、ビッグス・バイダーベック、バート・ウィリアムスそしてジョセフ・スペンスなんかの曲をやってます。ホーンもたくさん鳴っているのにうるさく感じられないのは円やかに鳴っているからですね。今聴いてて思うんだけど、このアルバムの後に『ブェナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』が続けばすっきりとはまるんだよね。アーリー・ジャズの古層にはカリブの香りがするからね。この頃のライ・クーダーはじつに良い仕事をしています。絶賛!


 3月29日 雨/曇り/晴れ  体調・ふつう、鼻水

 今日から井戸水をホースで散水しての消雪作業を開始。屋根雪が落下して積もってる所なんかまだ5メートル近くあるからね。自然に消えるのを待ってなんかいられない。それにしても鼻水が止まらない。
梅津和時『Eclecticism-折衷主義』
'92年Live at Knitting Factory です。ソリッドな梅津を聴きたいなって思い、コレを引っぱり出してきました。マーク・リボー、カーティス・フォークス、ブラッド・ジョーンズ、サム・ベネット、ダギー・バウンズといったN.Y.の尖った連中を従えた梅津のプレイは鋭いよ。いやはやマーク・リボーって " ギター侍 " だねえ。武骨ベンベン・ギター切り!(笑)スウィングしないし、もちろん流麗な指さばきとは程遠く、でも凄くかっこいいと(俺は)思うよ。反則すれすれのバッキングがじつにスリリングだし。この適度にヤサグレたサウンドの上で嬉々として吹きまくる梅津和時はまさに「本場もんの侍」だな。


 3月27-28日 雨/晴れ/曇り  体調・ふつう

 まだ積雪が1メートル以上も残ってるっていうのに花粉症が始まったよ。雪国免除とかないのか!花粉のやろう!ああ書いててむなしい。しかし春がそこまでやって来てるってことなんだね。昨日はムラ会計の決算やら区長渡しやら慰労会がありました。評議委員はもう一年。中越地震で壊れた神社の鳥居をなんとかせねば!が先ず持っての仕事かな。
ベツニ・ナンモ・クレズマー『おめでと。』
梅津和時率いるクレズマー・バンドです。'94年録音。向島ゆり子が参加しているのを思い出したので久しぶりに聴いてます。ヴォイス・パフォーマー(か?)巻上公一のヴォーカルが濃いい。東京ナミイって女性ヴォーカルも濃いい。演奏も濃いいです。直情型音楽って感じ。クレズマーはユダヤの音楽なんですね。メロディーを聴けば、ああこの感じねってわかります。映画『屋根の上のバイオリン弾き』の中に出てくる旋律がそんな感じかなと思います。メンバーの顔ぶれ、大熊亘、関島岳郎、中尾勘二、板谷博、多田葉子、芳垣安洋、向島ゆり子などがやることだから、オーソドックスにクレズマーを演奏するはずもなく、そこはやはり涙あり笑いありアヴァンギャルドありと盛りだくさんの内容です。楽しめます。クラリネットが良い感じ。これクレズマーに欠かせない楽器なんですね。ドン・バイロンのアルバムとかあったな。


 3月26日 大雪/晴れたり降ったり  体調・ふつう

 昨夜のサッカーW杯予選日本vsイランは1-2で日本が敗れた。暗雲たれ込め過ぎだ!細かいことはともかく、精神的肉体的パワーがイランに劣っていたように感じた。「より高いレベル」を求めて欧州リーグに挑む日本のサッカー・エリートに比べ、イラン選手は「より稼ぐため、よりよい生活を手に入れるため」に国外リーグに身を投じているようだ。だから?だからどうした!もう追いつめられたんだから、後のゲームは身体をボロボロにしながらでも勝ち続けるしかないんだから。
向島ゆり子『Right Here !!』
情を煽るなあ。煽情的って一言いえばいいのに(笑)。タンゴにはエロティックな風情がある。このアルバムがタンゴの作品集ってことではないけど、タンゴらしくあろうとしている感じ。タンゴやハバネラやポルカなどの音楽が鳴っている街に住んでる自分を夢想するのは楽しい。そこではアコーディオン(バンドネオン)とヴァイオリンは欠かせない。アコーディオンとヴァイオリンを演奏する向島ゆり子は幼少の頃よりクラシックの世界に身を置いたらしいが、それに反発しパンク〜ニューウェイヴに憧れ即興アヴァンギャルドな音楽など色々とやって来た人だ。'81年のパンゴに比べればこの'96年作は洗練され成熟した音楽になった。オカッパの彼女が大人の女性の振るまいを身につけパワーアップしたような。共演者は清水一登、Wayne Horvitz、小松亮太、梅津和時、直枝政太郎、早坂紗知、吉森信、久下昌三、今井次郎、木津茂理、吉野弘志、松永孝義、久下恵生、Tom Cora、Samm Bennett。素晴らしい!


 3月24-25日 晴れ/雪  体調・ふつう

 今日は小学校の卒業式だというのに大荒れなお天気。朝登校の頃は吹雪だった。昨日は終業式で娘の通知票がホトケ様(仏壇)に供えてあった。ばあちゃんは、ありがたいものは何でもホトケ様にお供えする。ありがたい通知票の中を見て、エライエライと娘の頭をなでてやった。
パンゴ『Waltz』
篠田昌巳関連を漁っていたらぶち当たったバンド。'80-'81年の演奏が収録されている。愛情溢れるライナーノーツがじつに面白い。当時東京のアンダーグラウンド・シーンの一端が生々しく語られている。〜愛欲人民十時劇場、天国注射の夜、余剰価値分解工場〜こんなイベント名からしてアングラ的だよな。いちおうの中心メンバーは菅波(向島)ゆり子、今井次郎、篠田昌巳、久下恵生、石渡明廣、佐藤幸雄。菅波ゆり子によると、本人達は大真面目でパンク〜ニューウェイヴ・バンドを目指していたのに、やり始めると即興アヴァンギャルドになっちゃったという、「自由なんだよ、なんでもありなんだよ」精神のバンドだったようだ。ずっと聴いてると、そのカオスの中に日本的な抒情を感じたりもできるし、泣き笑いしてるような鳴りを感じることもできる。悲喜こもごも(笑)。しかしなあ、生真面目な人が聴いたら怒るかもしれない。だからひとりで聴いていよう、ニヤニヤしながらね。


 3月22-23日 曇り/雨  体調・ふつう

 ようやくインフルエンザが完治したので、娘は学校へ行って来ました。もうじき2年生も終わり。PTAの役員仕事も終わり。終わってそしてまた始まるんだな。
Rachid Taha『Tekitoi』
テキトワ?とかいうタイトルなんですね、ラシッド・タハ。ジャケット写真は指名手配のアラブのテロリストって感じ。ヒゲも濃いしカオも濃い。ライの新星とかハレドの後継者とか勝手に想像してたら、よりモダンなアラビアン・ロックだった。クラッシュの「ロック・ザ・カスバ」がかっこいい!ギターがスティーブ・ヒレッジでコーラスにブライアン・イーノって人脈も凄いし面白い。アラブ系の打楽器や弦楽器が、ハードなエレキ・ギターやプログラミングされたデジタル・サウンドとソリッドに混ざり合い、けっこうエッヂの効いた音楽になってるね。ヒップ・ホップな感じもあるし。う〜ん、ライが聴きたかった。これはこれで力強い音楽で良いんだけどね。


 3月20日 晴れ/曇り  体調・ふつう

 飯嶋和一『黄金旅風』を読み始めた。『雷電本紀』『 始祖鳥記』といった面白い時代小説を書いた作家だけに期待大なり。江戸時代初期の長崎〜東シナ海〜台湾などを舞台とした海洋冒険小説のような・・うう〜楽しみ。
つれれこ社中『雲』
上野茂都さんのものを聴きたくて買ってみました。脱力系?って失礼な、とか独り言しながら脱力してしまいました。社中メンバーは鈴木常吉、上野茂都、桑畑繭太郎。「煮込みワルツ」は絶品です。「炊事節」など楽しいので娘を呼んできて♪キャベツの芯は捨てないで〜♪とか一緒に聴きましたよ。「はいこう」も不思議に魅力的。なんですか、この情緒は?(笑い)。アコーディオンと三味線てのが良いよね。ちょっとうら寂しくて。「去年の雪」などはまさに舞踏曲ジグ。三味線とアコーディオンとマンドリン(ブズーキ?)によるジグです。楽しい。びっくりは解説をあの"ブラックホーク"松平維秋氏が書いていること。氏も楽しんで書いてます。オフ・ノートのリリースってことで伴奏陣は例のオールスターズ。関島岳郎、中尾勘二、今井昭信、久下恵生達。ほかに高橋鮎生、吉野弘志が参加。♪輪切りにされても貴方には 身を持ち崩してくだんすな〜〜つみれの花の咲く頃に うずらうずらとまどろめば 竹輪の友の夢を見る 空にがんもどきの群れ遠く〜〜ふやけてはんぺん雲になれ ちぎれてこんにゃく石のなれ 流れてしらたき風になれ 輝いてぎんなん星になれ〜♪「煮込みワルツ」より


 3月18-19日 曇り/雪/晴れ  体調・ふつう

 アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』を安堵と共に読み終えた。南極圏の流氷の海を漂流するっていう、考えられない程過酷な話だった。最後の「二時十分。全員無事!全員生還!二時十五分、全速で前進。」の所まで読み進んだ時には泣けてきたよ(泣かなかったけど)。不屈の精神と肉体を持った、誠に素晴らしい男達の記録でした。読書は晴れ晴れと良かったけど、娘はインフルエンザでカミさんは風邪で共に不調。家の中は曇り模様ですね。
浜田真理子『romance』
浜田真理子は素晴らしい音楽家です。歌もピアノも曲もみんな素晴らしい。もう事細かく誉めてもしようがないので降参です。このアルバムは2004年に行われたLIVEの模様を、シアターコクーンを中心に編集された2枚組。1枚目に納められたコクーンLIVEは俺も会場にいました。「霧笛〜月夜の夢に〜America」と続いた一部の終盤には感動で身体がジンジンとなりましたよ。2枚目には初めて聴く曲が多く、特に大好きな「イビヨル」をまるごと聴けて嬉しい。「Black Coffee」はブルージーでダイナミックでハッと息をのんだ。自作の「恋ごころ」「流転」、近藤ようこ作詞の「夜の底」など、聴き返す度に味が出てくる。「Love me tender」には(訳詞、友部正人)の名を見つけて嬉しかった。この曲は " ふちがみとふなと " さんとの共演で、友部詞のとこを純子さんが歌っているんですが、これが良いんだなあ。こたつ差し向かいで歌われているようなほのぼの親近感がたまりません。ふとんの中で歌われてる感じもするね。良いよね純子さんの歌声も。
 とにかく、今年一番の音盤です。ってまだ3月だけど(笑)。


 3月17日 晴れ  体調・ふつう

 彼岸の入りです。村中の人達が仏様参りに廻っています。家の中が線香臭いです。そのうえ(っていうか)娘がインフルエンザです。13日が娘の誕生日で友達が二人遊びに来たんですが、月火と続けてその二人がインフルエンザで休んだって聞いて、おいおい大丈夫かな?と心配してたら、夜中に急に熱が出て、朝病院へ連れて行きました。薬が効いたせいか、今は少し楽になったようです。大人にもうつるからね、気を付けねば。アルコール体内消毒とか(笑)。
渡辺等とHililipom『渡辺等とHililipom』
篠田昌巳とコンポステラの関係を聴きながら、そう言えば・・と頭の中にあったのがこのヒリリポン。同じ時期にコンポステラはブラスで音楽し、渡辺等は弦楽器にこだわった音楽をしていたんです。ずっと聴いてなかったので気になってました。で、部屋の棚から持ってきました。今では売れっ子ベーシストでプロデューサーでもある渡辺等は'80年代にSHI-SHONENやリアル・フィッシュなどで活躍してました。このアルバムは'91年の作品で全弦楽器を全部自分で弾いています。無国籍な民族音楽風な感じなんですね。コンバス、チェロ、エレキ・ベース、ギター類、マンドーラ、マンドリン、ブズーキ、タンブーラその他名前の出てこない民族(弦)楽器がいくつか使われています。演奏はじつに達者です。それぞれの弦楽器の音の粒がぷちぷち弾け会う様が心地よく快感です。ライナーによると「Hililipom は線の音楽〜楽隊です。線とは、☆単音のこと。和音の壁ではなく。〜」とありました。
 聴いてたら待望の浜田真理子の新譜『romance』が届きました〜!聴かねば!!


 3月16日 晴れ  体調・ふつう

 お彼岸が来るのでお墓を掘り出しに行って来た。墓掘りと言うと誤解されそうだな。雪に埋もれてる我が家のお墓を雪の中から掘り出して、石塔の上部だけ見えるようにしてきたわけ。毎年このように掘り出してあげて、ご先祖様に「春が来たよ〜」ってお参りするんです。この冬は大雪だったから、お墓の天辺まで1メートル近く掘りました。重いし締まってる雪なんでとても疲れた。春はそこまで来ているようだけど、雪消えは遅くなりそうだね。
船戸博史『Low Fish』
" 刻の刻をかいくぐる、おとの底の底を自由の泳ぎ廻る。コントラバスを担いで音楽の間を往来する自由人・船戸博史。" と帯にあるとおり、いつも何処かに船戸がいたような気がする。ふちがみとふなと、浜田真理子、その他歌手のバックで歌に心地よく寄り添うベースを弾いてる彼のプレイはよく耳にしてきた。そしてこの初のソロ・アルバム、俺の知らない船戸博史を発見できるのではと期待大でした。共演者が関島岳郎と中尾勘二だからなおのことですね。コンポステラの頃から聴いている彼等ですが、ますます腕に磨きがかかり充実のプレイです。「ララのテーマ」、中尾のテナー・サックスに漂う哀愁が素晴らしい。「Low Fish」の関島によるgreat bass recorderによるプレイには、その表現力の豊かさに驚かされる。そして船戸のコントラバス、アルコ弾きも交えたダイナミックなプレイが新鮮だ。" ジャズの船戸 " はさすがに凄いね。「AEC」はフリー・ジャズでその喜怒哀楽をまとめて放り込んだような演奏はアート・アンサンブル・オブ・シカゴのようで、すごくかっこいい!あれっ?ていうか「AEC」とか1曲目「マラカイのひとりごと」とか、船戸はアート・アンサンブル・オブ・シカゴをリスペクトしてるのかな。ますます面白いぞ。


 3月14日 雪/晴れ  体調・ふつう

 うちには「タッキーよりツルさま」と叫ぶ8歳の娘がおります。ツル様とはご存じ片岡鶴太郎のことで、娘はTV『八丁堀の七人』を見てファンになったみたいです。保育園の頃先生に、好きな人は?ときかれ「お銀!」と答えた娘ですから。
雷蔵『雷蔵参上』
雷蔵といって市川雷蔵を連想する人は、もうそんなにはいないのかな。まして、あがた森魚が結成したこのバンドの音を憶えている人はもっと少ないだろうね。'91年のこの1作だけのバンドだったし。これがねえじつに良いアルバムなんだよ!元じゃがたらで当時はビブラストーンのギタリストだったOTOがサウンドのまとめ役だったようだ。ライやクロンチョン、ときにストリングスがマルチニークの マラヴォアに似ていたりで、凄く面白いアルバムなんですよ。あがた森魚って元々無国籍風というかワールドミュージックを自然体で表現してきた人だから、雷蔵もあがた的と言えてたよね。集まったメンバーも豪華で(バンドというよりプロジェクトだから)OTOの他、藤井裕、丸尾めぐみ、飯塚昌明、武川雅寛、三沢またろう、和田博巳、福富幸宏、村田陽一、篠田昌巳など。ハレドの新作聴いてたらコレ思いだして、久しぶりに聴いてました。素晴らしい!


 3月13日 雪/晴れ  体調・ふつう

 今日は娘の8歳の誕生日!ほんわか幸せな1日が始まるはずだったが、この娘ったら朝のスイミングスクール行きをぐずってしまってちょっとケンカ。もっと厳しい親にならねばと思いつつ、半日もすると甘い父親に戻ってしまうんだな。
Khaled『Ya-Rayi』
喉力(のどぢから)を感じさせる。アルジェリアの" ライの帝王 " ハレド。大傑作『クッシェ』の頃はシェブ・ハレドと名乗っていました。強烈なコブシまわしとエレキにシンセ、鮮烈なデジタル化されたライを聴かせてくれたのが『クッシェ』でした。あの頃ごく一部でライ・ブームが巻き起こり、あがた森魚は雷蔵を結成したんだった。このハレドの新作には『クッシェ』の斬新さはないけど、余裕と豊穣の歌謡美がある。アラブ歌謡として楽しめるだけでなく、伝統と先端が程良く融合したサウンドも充実かつ刺激的。力強い音楽だよな。うらやましい。


 3月11日 曇り  体調・ふつう

 映画『チルソクの夏』を観た。釜山の男子高校生アン君の歌うへたくそな「なごり雪」にジーンとして涙がでた。釜山の男子高校生と下関の女子高校生の、ちょっとロミオとジュリエットのような恋物語で、舞台は1977年。ヒロインの父親で流しのギター弾きを演じた山本譲二の淋しい後ろ姿が絶品だったし、なにより女の子達が可愛く瑞々しかった。女子陸上部員ってのも良かったな。何度でも観たい良い映画でした。高校生の頃にしかできない友情とか恋ってのがあるんだよね。この歳になるとよくわかる。
渡辺勝『アンダーグラウンド・リサイクル』
ウェットな歌が並んでます(笑)。まさにセンチメンタル通り。岡林の「自由への長い旅」のアレンジには違和感が残ったな。曲によっては渡辺以外の人がヴォーカルをとっていて、その中で一番良かったのは、オクノ修の「偶成」「追放の歌」だった。彼の歌声はよく沁みるんだよ。意外なめっけものはイマイアキノブ歌うあがた森魚の「漆黒の雨」。アルバム中唯一ハードエッヂな出来で、あがたのディラン・ルーツが垣間見える曲だね。演奏は船戸博史、國中勝男、つの犬、関島岳郎、中尾勘二、向島ゆり子、川下直広など、オフ・ノートお馴染みの人達。歌に対する確固たる信念を感じさせるアルバムです。


 3月10日 晴れ  体調・ふつう

 今日は東京大空襲から60年目。世界史上例を見ない無差別空爆により、無防備な民間人約10万人が殺害された。2001.9.11NY同時多発テロの時、悲しみ怒るアメリカ人の映像を見ながら、俺は皮肉にも、アメリカ人は東京大空襲のことをを知っているのか?広島・長崎の原爆投下という大量虐殺をどう考えてきたのか?と言うことを考えていた。
 東京大空襲を立案指揮した司令官カーチス・ルメイに日本政府は昭和天皇の名のもとに、勲一等旭日大綬章を贈っている。もちろん天皇も政府もすすんで贈ったわけではないだろうが、これにより日本政府は東京大空襲の戦争責任をアメリカに問わないとしたわけだ。叙勲の為に来日したルメイに天皇は会わなかった。世論を気にした総理大臣佐藤栄作も会わなかった。勲章を渡したのは防衛庁の幕僚長で、時の防衛庁長官は小泉純也だった。
 ヒロシマ・ナガサキとともに東京大空襲のこともけっして忘れてはならないし、そしてこのことを世界中に発信し続けることが、戦死者に報いるための日本政府の仕事だろうと思う。
渡辺勝『アンダーグラウンド・リサイクル』
" はちみつぱい " きっての抒情派 " 流浪の勝 " のソロ・アルバム。2003年作でオフ・ノートからのリリースだ。「夜は静か通り静か」の作者だからね、もちろん好きですよ。このアルバムはカバー集なんです。主に'70年代の岡林信康、斉藤哲夫、加川良、あがた森魚、高橋照幸、鈴木慶一、早川義夫の作品を歌っています。時間がないので明日につづく。


 3月9日 晴れ  体調・ふつう

 もう大雪の心配はないかなってとこまできたようだ。しかしねえ、そこいらじゅう雪が多いよ。その昔青年団だった頃、5月4日に春祭りの「のぼり」が、境内に雪が残っていたために立てられなかった事があったな。今年はそこまでは雪が多くないようだけどね。
Tinariwen『Amassakoul』
ティナリウェン『アマサクル』。去年一部で話題となったサハラの「砂漠のブルース」だ。ラクダとストラトのネックが描かれたイラストが強烈だったやつだ。マリ北東部出身のトゥアレグ人のグループだそうだ。最初に聴いた時、ジョルジュ・ベンの『アフリカ・ブラジル』を思わせるビートだと思った。引きずるように跳ねてるビートが似ている気がした。歪んだエレキ・ギターがサウンドを主導していて、そこに乾いた野性的な歌と女性を含むコーラスが絡む、泥臭いバイタリティーに溢れている。歌とギターがユニゾンぎみに絡む曲などは、デルタ・ブルースを思わせる。ボブ・マーリーにも影響を受けてるようだし。評判どおりの存在感のある音楽だ。


 3月7-8日 晴れ/曇り/晴れ  体調・ふつう

 3月はなにかと忙しい。これも新たな春を迎えるということなんだけどね。
Madeleine Peyroux 『Careless Love』
マデレイン・ペルーを聴くのは初めてだと思う。8年ぶりの新作だそうだ。ラウンダーからのリリースが気になって買ってみた。アコギが達者なブルース〜ジャズを歌う白人女性シンガーとして名前は知っていたけど、本作ではそのアコギ・プレイをあまり聴くことができず、ちょっと残念。まったりとした歌い方はビリー・ホリデイに似た感じかな。プロデュースのラリー・クラインはジョニ・ミッチェルの元夫でジョニの作品のプロデュースで名を上げた人だったかな。レナード・コーエンの名曲「哀しみのダンス」から始まり、ボブ・ディラン、ハンク・ウィリアムスの曲、ビリー・ホリデイやベッシー・スミスでお馴染みの曲、そして面白い選曲はジョセフィン・ベイカーの「二つの愛」など良い曲揃い。ジャージーなサウンドとアンニュイな雰囲気。ジャケ写真だと美人なようだし、ノラ・ジョーンズに続け!って感じの路線かなあ。聴いていて気持ちのいいアルバムです。


 3月6日 晴れ  体調・ふつう

 昨夜は津南雪祭り。我等が卯の木会場も盛大でした。今回もスノーキャンドルの手伝いをしました。今年は沿道だけでなく、会場隣の雪原にもキャンドルを灯しました。1つだと頼りない明かりなのに、雪原いっぱいに灯されたキャンドルは、見る人の心を豊かにしてくれるって気がしましたよ。餅も豚汁もおでんも美味しかった。みなさん、おつかれさまでした。
大友良英、芳垣安洋、Bill Laswell 『Soup』
バイオレンス3人組み、というか絶海の孤島で三大怪獣がバトルしてる感じ。バトルというより戯れかな。大友のメラメラ激音ギターに絡み付くビルの大蛇ベースも芳垣操る太鼓の群れも、時に凄く嬉しそうに聴こえる。こうゆうのはひとりでボディーシャワーのように聴くのが心地よい。


 3月5日 雪/曇り  体調・ふつう

 昨夜、重いスコップを振るったので肩が痛い。軽作業だったのに、どうも体がなまっているな。こっちの方言で言えば「おらあヤクゾだすけそ」ってなもんだ三度笠。
大友良英 『Guitar Solo』
バイオレンスだな、このエレキの咆哮は。エレキ・ギターから両手の肉体作業のよって作り出されるノイズ、これって体力も必要なのかな?なんて思ったり。こんな風に掻き鳴らしたいって欲求はあるな。ビーフハートだっけ?「美は乱調にあり」って邦題。本当の意味はともかく、美は乱調にあり、この言葉を思い出したよ。アコギ・ナンバーの「ロンリー・ウーマン」、もちろんオーネット・コールマンの有名曲。これを単弦で表現している。その1音1音に意味があるかのような弾き方による、深みのある音楽が印象的だ。ああこんな表現もあったのかと刺激的でもある。ジャケットの小さな丸い穴からてんとう虫がのぞいている。これにまつわるエピソードが書かれている。「ロンリー・ウーマン」演奏中にてんとう虫が飛んできてメイン・マイクに止まり、その瞬間の低い衝撃音がPAスピーカーから聴こえた、という話。だから「ロンリー・ウーマン」だけは、ソロではなくデュオなんだとある。このエピソードが中ジャケに日本語と英語で記されてあるのだが、この生真面目なユーモアが大友良英を物語っているように思えた。


 3月4日 雪/晴れ/雪  体調・ふつう

 久しぶりに馳星周を読んでいる。『長恨歌』。『不夜城』の完結編というから手を出したんだけどね。彼は小説家として有名になる前、本名坂東齢人の名で『本の雑誌』などでミステリーや冒険小説の書評を書いていて、俺はその書評のファンだったんだよね。彼は花村萬月の作品に対して、「オレならばこう書く」って感じでデビュー作『不夜城』を書いたんじゃなかったかな?ともあれ馳星周として人気作家になったわけだ。彼の作品を何作か読み続けて感じたのは、同じノワールというか悪人小説でも花村萬月の暴力描写には感じなかった後味の悪さを馳の作品には感じてしまって、それで馳作品から遠ざかっていたんだった。一説によるとこの『長恨歌』、ちょっと作風が変わったらしい。そのへんも読む楽しみかな。
大友良英 『Guitar Solo』
この新作には去年10月新宿ピット・インでのLiveプラス1曲が入ってます。タイトルどおりのソロ演奏で、アコースティック・ギターとエレキ・ギターが交互に登場。「ムード・インディゴ」「ミスティー」「ロンリー・ウーマン」といった有名曲はアコギの響きを大切に訥々と奏で、それらの曲に挟まれた彼の自作では激音エレキがノイジーに吠えるって感じで、まさに静と動。
 ああ〜時間がない。雪祭りのスノー・キャンドル用の穴掘りに出かけてきます。


 3月3日 雪/晴れ  体調・ふつう、ちょっと二日酔い

 ♪グータララ〜〜スーダララ〜〜♪『20世紀少年』あの矢吹丈は何者か!?"ともだち"はフクベエじゃない!? ♪グータララ〜〜スーダララ〜〜♪いったいどんなメロディーなんだ!?
Charlie Haden 『Liberation Music Orchestra』
そしてこれがリベレイション・ミュージック・オーケストラの'69年デビュー盤。ヘイデン他、アレンジとピアノのカーラ・ブレイそしてドン・チェリー、ガトー・バルビエリ、デューイ・レッドマン、マイク・マントラー、ラズウェル・ラッド、ハワード・ジョンソン、ポール・モチアン、アンドリュー・シリル、サム・ブラウン、ボブ・ノーザン、ペリー・ロビンソンといった錚々たるメンバーによるオーケストラでした。母体はJCOA(ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ・アソシエーション)なんですね。ここには所謂4ビートのスウィングするジャズはありません。色彩感に富んだ表情豊かな音楽があります。テーマ・メロディは人懐こく、時に情熱的です。フラメンコ風のギター、闘牛士を送り出すかのようなトランペットの調べ。もの悲しく震え、時に雄弁なヘイデンのベース。突如吠え出すホーンの群れ、フォーク・ソングから一転カオスの場と化す。スリリングだな。ラストは「We Shall Overcome」。
 「LMOは私の人道精神、自由と公平を尊ぶ心を人々に伝える場だ」チャーリー・ヘイデン。


 3月1-2日 晴れ/曇り/雪  体調・ふつう

 宮部みゆき『ぼんくら』読了。続編の『日暮らし』を先に読んでいたので、もしかしてオチがわかって興を削がれるかと思いきや、心配無用の面白さでした。登場人物それぞれのキャラ立ちが良く、物語の世界に引き込まれましたよ。次は弓之助とおでこコンビを主役にした連作の登場を待ちたいね。
Charlie Haden & The Liberation Music Orchestra
         『Dream Keeper』
チャーリー・ヘイデン主宰のリベレイション・ミュージック・オーケストラ!懐かしいねえ。スージー・イバーラ同様音盤の友エイイチ氏が貸してくれたものです。'90年作で彼等の3作目にあたります。'69年の1作目は大愛聴盤でした。あの横断幕を掲げた誇らしげな男(女)達のジャケットが印象的なやつでした。アレンジ&指揮はいつものカーラ・ブレイ。「解放音楽楽団」と名乗るくらいだから、メッセージ性を打ち出した音楽なんですが、その音楽そのものは美しく情熱的で優しく逞しくロマンティックです。篠田昌巳やコンポステラを聴いていた時、このオーケストラを思い出したんですね。それは民衆の音楽とジャズを繋げるというような試みが似ていたせいかな。なんか上手く表現できないな。これ良いアルバムですよ。デビューから20年、いまだに正義の旗を振り続けるチャーリー・ヘイデンと仲間達に拍手と連帯の気持ちを贈りたい。


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