●2006●

 6月30日 曇り/雨 体調・ふつう

 梅雨はどこへいったのでしょう?野菜の出来が良くないようです。あっちょっと降りました。すぐに止みました。
ELVIS COSTELLO & ALLEN TOUSSAINT
   『THE RIVER IN REVERSE』
 アラン・トゥーサンは'50年代後半にニューオリンズでピアニストとしてデビュー、'60年代はプロデューサー&ソングライター&アレンジャーとしてN.O.R&Bの中核として活躍、'70年代にはロック界でも活躍してメジャーな知名度を得ました。御年68歳にしてコステロと組んだこの新作でもまったく衰えを感じさせない、まさに"現代のデューク・エリントン"と言えます。コステロの技巧的なヴォーカルが続いた後の5曲目「フーズ・ゴナ・ヘルプ・ブラザー・ゲット・ファザー?」におけるトゥーサンのリード・ヴォーカルは軽くイナセでエレガント。「アセンション・デイ」はプロフェッサー・ロングヘア「ティピティナ」を短調化してコステロが詞を付けたもの。面白いね。演奏はコステロのバンド+トゥーサン&クレッセンド・シティ・ホーンズ。心地よくバウンドするビート、優雅に絡むトゥーサンのピアノ、N.O.を印象ずけるホーンズの鳴り、そしてもちろんコステロも貫禄のヴォーカル。コステロのクドイ歌い方は...まあ今回はアラン父さんに免じて赦してあげましょう(笑)。


 6月29日 晴れ 体調・ふつう

 かつての王者フランスが長い眠りから覚めた。かな?フランスvsスペインは面白かったね。凄い凄いと両チームの攻防を見つめていたら、まだたったの10分しか経っていなかったよ。密度の濃いゲームだった。フランス代表に帰ってきた古強者、ティラム34歳、マケレレ33歳、ジダン34歳。勝利後このベテラン達の笑顔が印象的だった。それにしてもスペイン...万年いまいっぽのスペインでした。
ELVIS COSTELLO & ALLEN TOUSSAINT
   『THE RIVER IN REVERSE』
 チクショ〜かっこいい!いきなり「オン・ユア・ウェイ・ダウン」だよ。リトル・フィートの『ディキシー・チキン』で覚えたトゥーサンの曲。昨年8月末のハリケーン・カトリーナによる大災害に" ニューオリンズよ蘇れ!エルヴィス・コステロとアラン・トゥーサンによる入魂のコラボレーション" (タスキの文句)として生まれたアルバムであります。素晴らしい!つづく。


 6月28日 晴れ/曇り 体調・ふつう

 ブラジルvsガーナ、まったく"らしくない"ブラジルでしたが、それでも3-0で勝ってしまう。さて次の対フランス戦がヒジョ〜に楽しみです。イタリアが終了間際に得たPKでオーストラリアを下したアレだけど、サッカー一流国にはアレがあるんだよね。アレでPKをもらっちゃう(笑)。アレもテクニックのうちだからね。日本のFWにも是非身につけて欲しいワザのひとつです。
MUDDY WATERS『The Complete 1947-1967』
 DISC4は'56年〜'58年録音から。メンフィス・サン・レコーズから登場したエルビス・プレスリーがブレイクしたのが'56年。マディにもロックン・ロールの波が押し寄せました。エルビスがサンに吹き込むちょっと前、同じスタジオで「コットン・クロップ・ブルース」という強烈なブルースを吹き込んだのがジェイムズ・コットンそしてギターはパット・ヘア。この二人がマディのバンドに加入します。ピアノはオーティス・スパン、ベースはウィリー・ディクソン、ドラムがフランシス・クレイ。時にヒューバート・サムリン、ロバート・Jr・ロックウッド、ルーサー・タッカーがギターで参加。バンドはますますパワーアップ。"シカゴで1番"のバンドを率いロッキン’ブルースを歌うマディ親分です。"メンフィス・アグレッシヴ・ギター"パット・ヘアのシャープなギターも好きなんだけど、マディがヴォーカルに専念してスライドを弾かなくなったのがとっても残念す。


 6月27日 晴れ/曇り 体調・ふつう

 大沢在昌『パンドラ・アイランド』は2004年の柴練賞受賞作です。柴練賞と山周賞は数ある文学賞の中で一番信頼しています。この大沢『パンドラ・アイランド』ですが、読んでくうちになんだか金田一耕助モノみたいになってきて面白かった。殺人阻止率が低いとか。絶海の孤島、旧村民vs新村民、村の隠し財産みたいなモノ、顔のない死体ってのもあった。主人公はそんな島に雇われた保安官。横溝調大沢ハードボイルドって感じ。大人のエンタテイメントですね。
MUDDY WATERS『The Complete 1947-1967』
 DISC3は'53年から'55年、リトル・ウォルター、ジミー・ロジャース、オーティス・スパン、ウイリー・ディクソン、フレッド・ビロウなどを従えアグレッシヴなマディです。じょじょにR&B寄りになってきてるのはヒットを意識してのことかな。渋くひたすらサイド・ギターを刻んだジミー・ロジャースはここでバンドを離れます。


 6月26日 晴れ/曇り 体調・ふつう

 W杯、ドイツがのってきました。FWふたりで点取れちゃうんだから理想的だよね。ポドルスキは21歳。ラームが23歳でメルテサッカーとシュヴァインスタイガーが22歳と、とにかく若手の台頭が羨ましいドイツです。久しぶりの大沢在昌『パンドラ・アイランド上下巻』読了。その面白さは流石の一言。
MUDDY WATERS『The Complete 1947-1967』
 DISC2は'50年から'52年、リトル・ウォルターがそしてジミー・ロジャースが仲間入り。シンプルでイナセなリフを背骨にもつ「Rollin' Stone」のかっこよさはどうだ!'60年代英国の若者達の一群をしびれさせたこのサウンド。ブルースを最高にヒップでクールな音楽として楽しんだ一群の若者達によりブリティッシュ・ロックは生まれたのだ!(もちろん強引な発言ですw)大音量で歪ませたらレッド・ツェッペリンになりました、とかね。


 6月24日 晴れ 体調・ふつう

 W杯、韓国も敗れてアジア勢総崩れ。次回W杯ではアジアの出場枠が減るのは避けられないかも。おまけにオーストラリアがアジア予選に入ってくるということで、日本のW杯出場はもう大変ですよ。一から出直しでまずJリーグのレベル・アップが急務。アジア・クラブ選手権で優勝できないようじゃだめだよ。
MUDDY WATERS『The Complete 1947-1967』
 しばらくはマディを聴こうかなとBOXを持ってきました。彼の最盛期チェス・イヤーズです。この芸名、なんでなの?っていつも思います。"泥水野郎"ですよ。たとえば"Howlin' Wolf"、唸る吠える狼、文句なしにかっこいい。たとえば"Lonesome Sundown"、ロマンティック!詩情溢れてますね。"Lightnin' Slim"、モテ男って感じだし。で、"泥水野郎"だよ。なんか偉大な由来でもあるのかな?まあ芸名はさておき、マディ・ウォーターズのブルースは最高です。偉大です。絶倫です。DISC1は'47年から'50年、「Gypsy Woman」から「Rollin' and Tumblin'」まで。デビュー時はブルーバード〜シティ・ブルース風で、サニーランド・スリムのピアノが都会的な雰囲気を醸し出してますね。ミシシッピから大都会シカゴに出てきたマディでした。都会派マディ(笑)。しかし'48年の「I Can't Be Satisfied」でついに我慢しきれず(かどうかわからんが)デルタ魂炸裂。ついにあのシンプル&ストロングなスライド・ギターが鳴り出した!エレクトリック・バンド・スタイルのデルタ・ブルース。これが大都会シカゴの黒人達に受けたんですね。ちょうど昭和30年代の三橋美智也のようなもの。地方から都会にでてきた若者が「哀愁列車〜達者でナ」に喜んだように。ただマディのエレクトリック・デルタはもっと革新的でパンクの匂いがするんですよ。ロックに直結するナニカがあったように思います。暮れてきましたのでこのへんで。Lonesome Sundown...


 6月23日 晴れ 体調・ふつう

 W杯、日本の挑戦、決勝トーナメント進出ならずに終了。早朝の対ブラジル戦、も〜どうしようもないぜ〜♪とサムライ・ブルースが聞こえていました。思えばオーストラリアに敗れた初戦で終わっていたような気がします。マスコミはさっそく敗戦の戦犯捜しを始めましたね。今大会の戦犯なんかよりずっと気がかりなのは、新生日本代表を託せる若手が見あたらないことです。
町田町蔵+北澤組『腹ふり』
 芥川賞作家町田康はパンクの町田町蔵だった。'92年北澤組と組んでた町蔵はパンクではなかったがいかにもコワそうなお兄さんだった。幕末京都を闊歩していた若者はきっとこんな面構えだったのではと思わせる抜き身の刀のような美しくアブない顔つきだった。今でもこんな感じなんだろうな。こうゆう奴は変わらない気がする。そのまんまアブないジイさんになっていく。バックの北澤組が巧いんだよね。ソリッドなロックからジャズ・ファンク、達者な人達によるバンドだったけど、今どうしてるんでしょ。


 6月22日 曇り 体調・ふつう

 大川渉『文士風狂録』読了。今の日本では絶滅危惧人種である「文士」がたくさん登場。もうそれだけで嬉しい悲鳴(笑)。銀座のバー「ルパン」のカウンターに太宰と安吾と織田作之助が腰掛けて、写真家林忠彦がひっそりカメラで狙ってる...。いいねいいねえ(笑)。
 津南町は町長選真っ直中。新聞に載っていた各候補の公約読んでカチンときた。五選をめざす現職町長の公約「いままで通りの普通の生活が続けられる町づくり」だあ!?自画自賛か?津南町は老人ホームか!?"余生モード"に入ってる人に町長なんかやって欲しくないな!県下最低賃金地域の津南町だぜ、このままでいいわけないだろ!そんな公約で町の未来を拓けるのか?俺はこの町に住んでいて明るい展望なんか見えないんだけど、"いままで通りの普通の生活"と言われちゃ気が抜ける。自分の思い通りに自律宣言した町長の頭ん中がこれじゃお先真っ暗じゃん。
フリーボ『Smoking Blues』
 これがデビュー・アルバムだっけ?'98年ですね。安定したアメリカン・ルーツ・ロック・サウンド。もちろん好きですねえ。発売時に聴いた時は、このサウンドはオールド・ロック・ファンとしては好感持てるけど、若者ならもっと冒険しても良かったよな、との感想を持ったのでしたが。吉田奈邦子のヴォーカルは'70年代のシンガーを彷彿とさせて好きです。作詞作曲も彼女です。やっぱり'70年代テイストだなあ。ギター・サウンドは時折マシュー・スウィート"ガールフレンド"風だったりしますね。


 6月21日 曇り 体調・ふつう

 ブラジル戦だねえ。奇跡って言葉が飛び交ってるね(笑)もう期待されてないってことだけど、やっぱり凄い闘志を見せつけた戦いで日本の存在ををアピールして欲しいよね。1-0で勝つのって、奇跡よりは高い確率で可能と思うんだけど、2点3点取るのはね...。
 そこで俺が要望する"これで負けたのならしかたないよね"フォーメーション。
 
FW    高原
 MF  中村   小笠原
    小野 稲本 中田
 DF 中田浩 茂庭 中沢 加地
 GK    川口
 はいこれがブラジルと戦う「11人の侍」!!!どんどんどん。ブラジルのロナウドにはゴール前でどんどんボケをかまして欲しいなあ。サッカーは楽しくなくっちゃ。
『七人の侍 早坂文雄の芸術 管弦楽作品集』
 マイ早坂ブーム第2弾。有名な「七人の侍」だけど、たった2曲の収録で残念。「しののテーマ」を聴きたかった。映画音楽からは「七人..」と「羅生門」。純音楽から「古代の舞曲」「序曲ニ調」「管弦楽のための変容」が収録されています。演奏は本名徹次指揮、日本フィルハーモニー交響楽団。'99年録音。黒澤映画の音楽には監督から曲想など細かく具体的な指示があったようです。だからここの映画音楽はやはり映像付きで聴かないと、そのほんとの良さは解らないのかもしれません。逆にクロサワのシバリのない純音楽の方は伸び伸びとした感じがしますね。


 6月19日 晴れ 体調・ふつう

 昨夜の日本vsクロアチア、日本は相変わらずラストパスの精度が低いなあと思った。だけど、絶好のラストパスが入っても決められないんだからどうしようもない。MFのレベルはW杯で戦える程には上がったけど、FWとDFとGKはまだアジア・レベルだと思う。しかしなあTV解説の松木よ、「ボールは汗かかない」とか「シュートで終わったのは良いことだ」とかW杯の解説で言うんじゃないよ。解説までレベルが低くてまったくはずかしいぜ。セルジオ越後は同郷のジーコが監督なので歯切れが悪いしね。
浜田真理子、小泉今日子、他『元気ですか』
 浜田真理子歌う「アザミ嬢のララバイ〜世情」の合間に他の曲も聴いてました。小谷美紗子による「狼になりたい」の歌と演奏の雰囲気はとても良いです。徳永英明歌う「時代」は最初女性シンガーと思ってました。ムリに熱唱しないとこに好感。一番聴きたくなかった福山雅治の「ファイト」が以外に良かったし、小柳ゆき「後悔」も好きだな。奈歩の「ヘッドライト・テールライト」はナチュラルな感じでこれも悪くないね。小泉今日子の「元気ですか」は語りなんですね。本歌もそうなんですか?これはもう流石としか言いようがない。小泉さんは女優さんです。


 6月18日 晴れ 体調・ふつう

 吉本隆明『日々を味わう贅沢』読了。大先生の好々爺エッセイ。飄々としかしその観察眼は流石の大先生です。食中毒ならぬ食欲中毒であると大先生は告白する。食べものの欲望にうち克つのが、何よりも難しいというのがその症状だそうだ。それなら俺だって食欲中毒であると胸を張って言える。さあて、今夜はW杯日本vsクロアチアですね。順当なら勝てる相手じゃないけど、勝っても不思議じゃない相手だよね。ブラジルに勝ったことのある日本だもの。あの時はヒデも川口もいたんだからね。
浜田真理子、小泉今日子、他『元気ですか』
 中島みゆきは弱くて脆くて頼りない男が好きなのかもしれない。そんな男を好きになる女はどうなんだろ?とふと考えた。答えは風に舞っている...(苦笑)。ずっと勝手に思い込んでいたのだが、男達は中島みゆきが苦手で逆に女達には絶大な人気がある。これ俺の思い込みです。そもそも中島みゆきをきちんと聴いたことがないんだから。そんな俺がこの中島みゆきカバー・バージョン集を聴いてるわけは、そこに浜田真理子がいるから。彼女が歌っているのは「アザミ嬢のララバイ〜世情」。いつものように歌とピアノだけ。静かにさりげなく歌がそこにある、いつもどおりですね。そしていつものようにジワ〜っと浸透して身体に居着いてしまう。昨日の夕方からこの「世情」ばかり繰り返し聴いている。それにしても「世情」だ。中島みゆきはこうゆうふうに世間を見ていたのか。久しぶりに歌に揺さぶられた。奥田英朗『サウスバウンド』のいかしたお母さんのセリフが思い出された。" 世間なんて小さいの。世間は歴史も作らないし、人も救わない。正義でもないし、基準でもない。世間なんて戦わない人を慰めるだけのものなのよ " こんなセリフ。「世情」では " 世の中はとても臆病な猫だから 他愛のない嘘をいつもついている " と歌っています。サビの " シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく " からその詞と旋律が感傷をあおるんだけど、どんな感傷かと自問する。久しぶりに歌に揺さぶられている。


 6月16-17日 晴れ 体調・ふつう

 笹生陽子『楽園のつくりかた』読了。〜 ぼくの希望はエリートコースをまっしぐらにつき進むこと。中高一貫教育をへて、一流名門大学へ進み、一部上場企業に就職.....そんな中学生のぼくが、あろうことか山村の中学校しかも分校に転校。同級生3人。ここから物語は始まります。面白かった、けど、もうちょっと続きを読みたかったな。次は今年の50冊目、吉本隆明の『日々を味わう贅沢』。
GIDON KREMER『EDITION LOCKENHAUS,VOL.1,2』
 ヴァイオリニスト、ギドン・クレーメル主催のロケンハウス・エディションより'80、'82、'84年の作品を収録したアルバム。'85年にECMよりリリース。このECMってのが面白いというか新しかった気がしたんだけどね(当時)。ECMは純クラシックのレーベルじゃなくて、ジャズやニューエイジ・ミュージック(なんなんだ?)で有名だったから。クレーメルは近代クラシックの小品を旧来のクラシック・ファン以外の人達に聴いて欲しかったんだろうね。この中で一番聴いたのはストラヴィンスキーの「兵士の物語よりタンゴ〜ワルツ〜ラグタイム」。これは大好き。あとはフランク、カプレ、プーランク、ヤナーチェク、ショスタコーヴィッチの作品の演奏が聴けます。憂いとか不安とかそんな表情を持った曲が多いけど、それがまた妖しく美しい。ただ、店番しながら聴くもんじゃなかった(笑)。


 6月15日 曇り/雨 体調・ふつう

 サッカー観戦にビールはつきもの。と決めてるわけです。柿の種も(笑)だから今月は休肝日なし。
高橋アキ『早坂文雄:室内のためのピアノ小品集』
 「日常生活における深い静かなそして短くとも芸術味に富んだピアノ曲がほしいと思ふ。さういふもののためにこのピアノ曲を役立てたいと思ふ。〜 きつとかういふものは多くの人々が愛してくれていつまでもいつまでも孤独な月の夜に、また雨の日やよく晴れた朝にも弾いてくれるであらう。やめたい時にはやめて、さうしてさうした自由さといふものをこの曲集の性質としたい。〜」昭和16年12月27日 早坂文雄「作曲ノート」より ......この文章にも感銘を受けました。深く静かに清らかにピアノは響きます。


 6月14日 晴れ 体調・ふつう

 W杯、昨夜は韓国vsトーゴをギターつま弾きながら観戦。やはり韓国は逞しかった。日本より逞しかった。くやしいなあ。箸休めの山本幸久『はなうた日和』読了。
高橋アキ『早坂文雄:室内のためのピアノ小品集』
 評伝『黒澤明と早坂文雄〜風のように侍は』を読んで、早坂文雄に俄然興味が湧きまして、さっそくアマゾンから取り寄せました。思ったとおり俺好みのピアノ曲です。高橋アキはサティの演奏者として定評のある人だから、彼女の早坂なら良いはずと期待して...はい期待どおりの素晴らしさです。赤貧洗うがごとくの生活を送りながら独学で作曲に打ち込んだ早坂の青春時代、彼が好んで聴いたのはドビッシーやサティだったそうです。そこからスタートして徐々に日本的〜東洋的な音楽の創造にまさに命を削った男が早坂でした。そして俺が生まれる前年に41歳の若さで逝ってしまったのでした。合掌。 つづく。


 6月13日 曇り/晴れ 体調・ふつう

 あらあ、これじゃサムライ・ブルーならぬサムライ・ブルースだよ。悪夢のような日本の敗戦。こんな気持ちはあのドーハ以来だ。オーストラリアには絶対に勝ちたかったのに。日本クラスのチームは100パーセントの力を出し切らなきゃこのW杯の舞台じゃ戦えないし、強豪国と戦うには120パーセントは必要なのに昨夜の日本代表は70パーセント位の出来だった。前線から中盤にかけてのプレスがまったくかからない。簡単に自陣ゴール前を脅かされる。しかも相手は日本が勝てるはずだったオーストラリア。でもこれがW杯だからね。次のクロアチア線では闘志で相手を圧倒し勝利する姿を見せて欲しいな。負けても怒らないからさ(笑)。
maria muldaur『maria muldaur』
 邦題『オールド・タイム・レディー』。あの「真夜中のオアシス」の入ったやつです。俺のオール・タイム・ベスト10・アルバム。敗戦のあとはこれ聴いて心落ち着けよう。ライ・クーダーとデヴィッド・リンドレー、クラレンス・ホワイトとデヴィッド・グリスマン、それぞれの掛け合いは時代を超えて音楽の楽しさを届けてくれる。ころころころがるピアノはマック・レベナック。ジェントルにドラムを叩いているのはジム・ケルトナーとジム・ゴードン。そしてもちろんエイモス・ギャレットの官能陶酔不二正宗ギター・ソロ。女盛りマリア・マルダーの艶っぽさときた。きたきたきたきた.....う〜ん最高。調子が戻った(笑)。


 6月12日 曇り/晴れ 体調・ふつう

 西村雄一郎による評伝『黒澤明と早坂文雄〜風のように侍は』読了。感動を越えて早坂文雄の仕事に圧倒された。凄すぎて感想の言葉が見つからない。肺結核を抱えながら猛烈に音楽を創造し続け41歳で逝ってしまった早坂文雄。黒澤明、溝口健二という二大巨匠に愛され、武満徹、芥川也寸志、湯浅譲二といった後輩作曲家から慕われた。伊福部昭とは同い年、札幌で音楽活動を始め研鑽した同志でありライバルだった。〜 風のように侍は 大地の上を吹き過ぎる 〜
 さあて今夜はW杯日本初戦だ。旨いビールが飲めますように(笑)。
MAHLATHINI『THE LION OF SOWETO』
 南アフリカ、ソウェトのライオン=マハラティーニです。そのダミ声はハウリン・ウルフそっくり。このビート感いっぱいの音楽は南アのポピュラー音楽ンバクァンガで、マハラティーニはその第一人者。'70年代が全盛期で、マハラティーニ&マホテラ・クイーンズとして大活躍。来日して、なんとパルコのCMにも出演した。彼の歌声が面白いのは、元は女性コーラスの合いの手として歌っていて、これグロウナーと呼ばれてるんだけど、その女性コーラスと低音ヴォーカルのコンビネーションが受けたんですね。ホコリっぽいけどバイタリティー溢れる音楽で、例の高音キラキラ・アフリカン・ギターも心地いい。


 6月11日 曇り/晴れ 体調・ふつう

 絵本作家でイラストレーターのスズキコージ氏が近所の"なじょもん"に来たのでサインをもらってきた。今スズキさんの絵本原画展をやってるんですよ。スズキさんは友部さん、渋さ知らズなど多くのレコード・ジャケットのイラストを手がけていて音楽ファンにもお馴染みなんです。ちょっとお話ししてたら故高田渡さんの話しになって、スズキさんイラストによる高田渡さんの絵葉書をいただきました。昨夜W杯はイングランドvsパラグアイを観戦。どちらも成熟したチームで充実の一戦でした。中盤の底、ジェラードとランパードが一発のロングパスで攻守を一転させる様は見事だし、失点後も冷静さを失わず後半にしっかりと反撃に出たパラグアイの安定感も見事でした。
ORCHESTRE VEVE『THE BEST COLLECTION』
 もいっちょリンガラを。フランコのOKジャズでサックスを吹いていたヴェルキス=ヴェヴェが率いたオルケストル・ヴェヴェの'70年代後半名演集。素晴らしいルンバ・リンガラです。フランコよりキューバ臭いね。これは、フランコがギター奏者でよりギター・サウンドを前面に出したのに対し、ヴェヴェはサックス吹きなのでブラスがよりフィーチャーされてるし、またコーラスの甘さもよりルンバ的。キラキラしたリンガラ・ギターと甘いルンバ・コーラスが味わえるこの頃のリンガラって好きなんだよね。


 6月10日 晴れ 体調・ふつう

 W杯が開幕です。開催国として開幕戦を戦うドイツvsコスタリカを半分だけ観ました。眠いしゲームとして面白くなかったから。今のドイツには精神的支柱となる選手がいないみたいだね。かつてのベッケンバウアー、マテウス、ザマーといったような中心となる人がね。今朝のニュースで4-2でドイツ勝利を知ったけど、あの失点のしかたはいただけないな。しかしねえドイツ、その勝負強さは過去のW杯で何度も観てきたからね。そのゲーム・スタイルを自国民からでさえ酷評されてるけど、そのつまらない戦術で決勝まで来ちゃったりするんだよね。
PAPA WEMBA『PAPA WEMBA』
 これもザイールのリンガラ・ポップ。フランコの次世代を担ったパパ・ウェンバの'88年作品。プロデュースは当時ワールド・ミュージックの仕掛け人としてパリ発の名盤を数多く発表したマルタン・メソニエ。フランコに比べてよりシャープになってますね。俺はフランコのまるさが好きだなあ。


 6月9日 雨/晴れ 体調・ふつう

 「シンドラーのリフト」だってさ。そんな恐いエレベータ、シンドラー社のマークをデカデカと貼っておいてよね。うっかり乗りたくないから。まあこんな田舎ではエレベータに乗る機会もないんだけど。今日から梅雨に入ったようですね。朝から雨だったけどお昼にはあがりました。畑にはもの足りない雨だったかな。
FRANCO ET LE T.P.O.K.JAZZ『LIVE EN HOLLANDE』
 堂々たる貫禄のフランコさん。惜しくも'89年に亡くなりましたね。リンガラ・ミュージック〜ザイーレアン・ルンバの確立者であり、'60〜'70年代アフリカン・ミュージックの大看板だった人でした。ルンバとあるようにキューバン・ルンバの影響からスタートしてる、だからアルバム1曲目のコーラスのコール&レスポンスなんかその影響が良く出てますよ。あと特徴はなんといってもギター・サウンド。高音クリーン・トーンによる細かく転がるようなリフが心地よい。ユッスー・ンドゥールもサリフ・ケイタも凄いけど、フランコのリンガラから放たれる明るさ大らかさには大地のダイナミズムを感じ、思わず身体を委ねたくなる。フランコは大きいなあ。


 6月8日 晴れ 体調・ふつう

 『黒澤明と早坂文雄〜風のように侍は』、ようやく半分読んだ。読み応えあります。で、そろそろ他のも読みたい。本屋に北原亞以子が土方歳三を書いた小説があったので買ってしまったし。
V.A.『大衆音楽の真実・2』
 この大袈裟なタイトルは中村とうよう氏の著書『大衆音楽の真実』との連携のためでしょう。これはCDブックといってCDと本が合体したありがたいモノ。監修は中村とうよう&原田尊志。LP版の頃から愛聴していたものです。世界中の「ラ・パローマ」を集めたCDを聴いていた時、『大衆音楽の真実』にアメリカのマーチ王として有名なスーザとその楽団による「ラ・パローマ」が入っていたのを思い出し、棚から出してきて聴いてます。スーザの「ラ・パローマ」から始まってジェリー・ロール・モートン、ブラジルの古い流行音楽ルンドゥー、中国チョウシュアンによる「何日君再来」のオリジナル、スペインの歌姫ラケル・メレ、アルゼンチン・タンゴの大スター、ガルデール。ここまでの流れはハバネーラの影響が見られる曲ってことのようです。面白い!アジアで括れば中国のチョウシュアン、マレイシアのサローマ、レバノンのフェイルーズ、そして珍しいネパールのポップス、これらアジアン・ポップスは歌謡美の魅力を伝えてくれる。カリプソのザ・ライオンは「メリーさんのヒツジ」みたいのを歌っていたり、スリム・ゲイラードがカリプソを歌ったり、キューバのミゲリート・バルデスがキャブ・キャロウェイの物真似みたいなことしてるし、とにかく楽しいんだよね。そしてラストがザイールのリンガラ。ザイコ・ランガ・ランガのキンシャサ産ダンス・ミュージック。これは'85年作なのでこのアルバムの中ではダントツに新しいですね。このギター・サウンドなんか、あ〜もう最高だな。明日からアフリカン・ポップスを聴こうかな。


 6月7日 晴れ 体調・ふつう

 午前は役場で「たばこ増税」に関する説明会。上越新幹線も全車両禁煙になるし喫煙者にはツライ御時世です。俺は30歳の時に喫煙止めたんだけど、喫煙者に対する社会(お上かな?)の風当たりを思うとたばこ止めて良かったよね。売ってる側なので大きな声では言えないけど。
The DELMORE BROTHERS『Fifty miles to travel』
 大好きなデルモア・ブラザースのキング音源リイシュー盤。英エイスによるキング・レーベル音源発掘プロジェクトからの1枚。録音は1945〜54年。なんとも素晴らしいヒルビリー・ブラザーズ・デュオなんですよね。ディランもザ・バンドの面々もライ・クーダーもガルシアだってスプリングスティーンだってみんなギター抱えて歌った曲の数々がここにあります(と思うw)。カントリーもブルースもジャイヴもジャズもブギーもみんなここにある。アメリカのミュージシャンは、ロックでもジャズでもパンクでもアヴァンギャルドでもみんなここ、デルモア・ブラザーズの音楽に戻ることができるんだよね。うらやましいような気がする。


 6月4-5日 晴れ 体調・ふつう

 眠り続けているサッカー熱を呼び起こそうと、W杯直前でもあるし、日本代表vsマルタのゲームをTV観戦。う〜どうも煮え切らないゲームだった。俺思うに、今回のW杯日本の戦い、小野の投入時間が重要だと見た!(笑)。前半から失点はできないから福西スタートは良しとして、やはり小野を使わないなんてもったいないよ。
RED HOT CHILI PEPPERS『STADIUM ARCADIUM』
 あれ!?やんちゃな曲が1曲もないよ。飛ばしてる曲もないよ。なんか大人のレッチリですよ。この新作2枚組、日本でも売れてるようだけど、わしぁちょっと寂しい。もっとヤバさが欲しいよな。でもフルシアンテのギター・プレイは存分に楽しめるね。サウンドの中心となってる。ギターで多くのトラックを使ってるよね。ギター好きには楽しいかな。俺もそこんとこは楽しんでる。というかフルシアンテのギターにしか面白味が見つからないんだよな。堂々たるロック・アルバムなんですが...。


 6月3日 晴れ 体調・ふつう

 昨日の新聞第一面、「機体に青き戦士」の見出しで日航ジャンボの機体にW杯日本代表の勇姿とSAMURAI BLUE 2006 がデザインされた写真が載っていた。か〜っこいい。で、帰りはSAMURAI BLUES なのね、とか(笑)。日本サッカー、W杯出場だけでも俺は嬉しいよ。
V.A.『La Paloma#4 One Song For All Worlds』
 銀河系初のポピュラー・ミュージックとも初のワールドミュージック・ヒッツとも言われる「ラ・パローマ」(笑)。この曲は1870年頃にスペインの作曲家セバスチャン・イラディエールが発表し、1877年にはN.Y.で楽譜が出版され、とくにヨーロッパ各国で盛んに歌われたようです。19世紀末、レコード産業のスタートと共にさまざまな楽団や歌手により録音されたそうです。と、その昔中村とうよう先生の文章で勉強いたしました。キューバのダンス音楽ハバネーラのリズムを用いた甘美な音楽「ラ・パローマ」。19世紀末、植民地文化の終焉を告げる舞踏会の音楽。なんちゃって(古い!w)


 6月1-2日 晴れ 体調・ふつう

 朝起きた頃は寒かったのに、じょじょに暑くなってきた。周りの水田もあっという間に田植えが終わっていた。西村雄一郎による評伝『黒澤明と早坂文雄〜風のように侍は』に向かう。厚くて重くて、でも面白いよきっと。そして今日、我が家二階奥座敷、物置同然だった奥座敷の片付けを始めた。床の間にはD-45が鎮座しています(笑)
THE ALLMAN BROTHERS BAND
   『THE FILLMORE CONCERTS』
 暑い日に「Hot 'Lanta」を聴くのが好きだな。このオールマンのね。爽やかな熱風て感じがして。オールマンの『アット・フィルモア・イースト』は俺ロックの聖典です(笑)。この'71年の偉大なライヴの完全版がこれ。このCDも何度も聴いてるんだけど、違和感が拭えないんだよね。やっぱりLPで聴き過ぎてるから、このリミックス盤の音質の違いやソロの差し替えなんかに耳が行ってしまう。明日につづく。暑い〜。そして今日も暑い。オリジナルLP盤との違いはねえ、全体的にクリアーでタイト。丸さモコモコ感が無くなったってこと。ギターの音に顕著で、エッジの立った音になってるんだよね。甘さが無くなってる。スライド・ギターのドライヴ感は増してますね。ツイン・ドラムスの音もクリーンになって、その豪快さだけじゃない緻密なドラミングが楽しめます。まあ、これからは、このリミックス盤のサウンドに馴れていくんだろうね。演奏そのものは最高なんだから。


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月下の遊群CONTENTS
 
ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps