●2006●

 11月30日 雨/曇り/雨 体調・ふつう

 小川洋子『ミーナの行進』読了。" ちっちゃくて、目と髪が栗色で、芦屋で本当に一番利発な少女ミーナ "(小六)とわたし朋子(中一)とポチ子(偶蹄目カバ科コビトカバ属)、そしてミーナの家族の物語。カバをこんなに愛おしく感じたのは初めてで、おしまいにはちょっと涙が...。小さなマッチ箱の絵から生まれる壮大な空想の物語がとても良かった。挿画(装幀も寺田順三)も物語にピッタリで、カバーを外すとカバカバカバ...だし(笑)、とても素敵な1冊でした。
SPECIALS『SPECIALS』
 あの市松模様、白黒2トーンのスカ・バンド。流行ったねえ。これは'79年のデビュー・アルバム。パンクの後に登場し、マッドネス等と共に2トーン・スカは一世を風靡したんだよね。彼等はコヴェントリー出身の白人黒人混成でリーダーはオルガンのジェリー・ダマーズ。レゲエでなくスカにパンクってサウンドが時代にぴったりハマってた。ルード・ボーイとかあの帽子とかファッションとしてももてはやされて、日本の若いあんちゃん達もマネしてたね。じつに久しぶりで聴いてるんだけど、張り切った歌なのに哀切感が漂ったりするのがいかにも英国バンドらしい。女王陛下をいただく階級社会英国のロックには鈍色の空が似合う。


 11月28-29日 雨/曇り/雨 体調・ふつう

 27日新潟日報「日報抄」によると、財政破綻した夕張市に対し総務省は、一般行政職員を三分の一に削減し給与は三割カット、さらに市民には市民税や公共料金のアップ、11あった小中学校をそれぞれ1校に統合、さらに図書館や市民会館大ホールなど使用休止、もちろん補助金も大幅に減額と容赦ない。こんな情け容赦のない命令じゃ夕張市民は立ち直る元気も出ないだろうに...。それならば国の財政破綻の責任は誰が取るのか。一般財源に対する債務残高の割合が、夕張市9.6倍に比べ国は18.5倍の借金を抱えているという。本来なら霞ヶ関の官僚群が真っ先に責任を取って最低生活の範を示すべきなのに、アイツ等ときたら天下り先確保と既得権益確保に余念がない。この先、国の放漫財政のツケは国民への増税と行政サービスの低下となって押し寄せて来るに違いない。国民が堪え忍ぶ「美しい国」なんかに誇りを持てるわけがない。
EMIR KUSTURICA & THE NO SMOKING ORCHESTRA
   『UNZA UNZA TIME』
 『黒猫白猫』のサントラ盤に続きシューイチ君より持ち込まれた音盤。このバンド、'80年にサラエヴォで結成、セックス・ピストルズに影響されたとある。ユーゴ内戦時にはいったん解散し、'94年に再結成された。若いメンバーを加え、ミクスチュアー度の高いロック・バンドとして注目された。以上ライナーより勉強(笑)。例のサントラ盤で聴かれた、バルカン〜ロマ(ジプシー)〜ミュゼット〜パンク・ロックなどのミクスチュアー音楽が、やはり本盤でも炸裂しています。ただしサントラ盤より歌ものが多くまた聴きやすいのは、これがバンドのアルバムだからですね。ヴァイオリンとチターかツェンバロウムのような(使用楽器として書かれていないので..もしかしてベース・バラライカ?)弦楽器の哀愁を帯びたメロディが耳に残ります。またアップテンポ2ビートのバイタリティ溢れる曲にはストリート感というより大衆団交の賑やかさを感じてしまうのは俺だけか?


 11月27日 雨/曇り 体調・ふつう

 天気が悪いと朝起きても真っ暗だわ。
ERIC DOLPHY『IN EUROPE,VOL.1』
 盤友A1氏の持ち込み音盤。ドルフィーの中ではアルト・プレイが一番好きなので、本盤のようなフルートとバス・クラリネットだけのやつは、ちょっと物足りない。それでもバスクラによる無伴奏ソロ「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」には、やはり聴き入ってしまう。'61年9月コペンハーゲンにて録音。バック3人のリズム隊はデンマーク人。ジャズの盛んな北欧の地、地元ジャズ・マンも好演している。しかしねえ、まあねえ、地味かなあ。


 11月25-26日 晴れ 体調・ふつう

 沢木耕太郎『無名』読了。沢木が尊敬し愛しそして畏れた自分の父親を書いた。その最期を看取り、そして父の人生に想いをはせる。俺はどうだろうかと思う。生まれてからずっと一緒に暮らし一緒に仕事をしている両親について、なにか特別な思いを持つのは難しい気がしている。いまは二人とも元気だからなのかもしれないが。
大友良英『山下毅雄を斬る』
 大友良英プレイズ・ミュージック・オブ山下毅雄、'99年作品です。これだけ痛快に斬られたら山下さんも本望でしょう(笑)。昨夜は大阪で浜田真理子さんのライブがあり、大友さん始めこのアルバムに参集のミュージシャンの方々の何人かも参加されていたようです。このアルバムは山下毅雄が残したTV音楽を大友が料理しなおしたものです。山下の名は知らなくても「プレイガール」「ルパン三世」「ジャイアントロボ」「スーパージェッター」「七人の刑事」「大岡越前」などの音楽は、誰もが耳にしたことがあると思います(若〜い人達はどうかな?)。大友曰く「アヴァンギャルドな世界を渡り歩いてきた私の本質は案外素朴な浪花節だったりするのだけれども」。なるほど、『see you in a dream』で中村八大を鮮やかにリメイクしてみせたその元は、この辺にあったのかな。アヴァンギャルドな遊び心が音響として浮遊する、そんな浪花節...じゃない山下毅雄の世界でした。やっぱ原曲を聴いてみたいな。


 11月24日 雨/曇り 体調・ふつう

「涙じゃないよと 言いたいけれど こらえても こらえても まつ毛がぬれる
 君よりせつない この俺なのさ だから笑顔が ほしいのに
 さよならが さよならが 霧にむせぶ夜」
『霧にむせぶ夜』 作詞:丹古晴己/作曲:鈴木淳 
 歌手黒木憲さんのご冥福をお祈りいたします。
 この歌は昭和43年のヒット曲。23日の新聞で黒木さんの訃報を知り、それからずっとこの歌が離れないんです。大ファンでもレコードを持っているわけでもないのに、つい口ずさんでいるんですね。まだ演歌なんていう狭い括りのなかった頃、歌謡曲が大らかだったころの名曲でした。さよならじゃないな、あばよ!黒木憲。あなたの歌声は忘れないよ。

吾妻光良『THE UN-CHRONOLOGICAL
      MITSUYOSHI AZUMA 1979-2005』
 blues&soul records誌のおまけCD。吾妻を初めて知ったのはプレイヤー誌のブルース・ギター講座。いや、'74〜'75年頃にウィーピング・ハープ妹尾のバンドを何度か見ているから吾妻のギターも聴いたかな。でその頃プレイヤー誌は薄い雑誌で、楽器屋さんで売っていて、ちょうど吾妻のギター講座がスタートした頃だった。だからつき合いは長いんだよ(かってにねw)。歳も同じで魚座で俺が5日先輩。吾妻は日本一のジャンプ・ブルース楽団スウィンギン・バッパーズのリーダーで、そして日本一のジャンプ・ブルース・ギタリストで、しかも会社員だ(笑)。フジ・テレビ勤務という、羨ましい二足のワラジだよな。さてここに収録されているのは日本のブルース・バンドのローラー・コースター、ブルー・ヘヴン。後はロイ・ゲインズ。フィリップ・ウォーカー、ロニー・スミス、リトル・ジョー・ワシントンとのセッション。どの曲でもエッヂの立った高血圧ギターで存在感を誇示していますね。誇示ったって威張ってるわけじゃなくて、吾妻のプレイってのは陽性でハレのギターなんだよね。だから音色といいフレージングといい風体(笑)といい、やっぱ目立つ!吾妻にはカリスマ性があると思うんだ。でなきゃ日本一のサラリーマン・バンドであるスウィンギン・バッパーズを27年も維持できないもんね。


 11月23日 晴れ/曇り 体調・ふつう

 北方謙三『水滸伝1』読了。待ちに待った北方水滸伝の文庫化。宋江、晁蓋、魯智深、林冲、盧俊義、史進など、懐かしい顔ぶれ。と言っても以前読んだのは横山水滸伝なんだけどね(笑)。
BOZ SCAGGS『BOZ SCAGGS』
 10代の終わり頃に買ったレコードに一番思い入れが強いと今にして思う。このボズのファーストは18才の時に原宿のメロディハウスで買った。探し求めたレコードを見つけた時のトキメキってのがあの頃には確かにあったな。高校の頃に読んでいた音楽雑誌「プラス・ワン」に " 日本未発売名盤レコード " というコーナーがあって、松平維秋さん達が紹介していたレコードに目が離せなかった。リトル・フィートの「ディキシー・チキン」、ハングリー・チャック、ボビー・チャールズ、ロジャー・ティリソン、そしてこのボズのファーストなど。とーぜんあの頃はアマゾンなど無かったし、あってもお金のない高校生。欲しくても手に入れるすべもなくモンモンとしていたのであった。だから高校終えて上京して真っ先に向かったのがレコード屋さん。吉祥寺の芽瑠璃堂、高円寺のジョージア、原宿メロディーハウス、お茶の水ディスク・ユニオン、渋谷のヤマハなど。彼女はいなかったけど(笑)楽しかったな。
 このアルバムは'69年リリース、録音はサザン・ソウルのメッカ、マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオ。注目はデュエイン "Skydog" オールマンのギター。その名演の誉れ高い「Loan me a dime」なんだけど、今聴いてるCD盤の作曲者にはフェントン・ロビンソンとなっていて、これが正しいんだけど、これ発売時LP盤では作曲者がボズ本人となっていて、黒人の曲を白人が掠め取る悪しき例とか言われてたんだよね。ともあれ、この曲におけるデュエインの、思いを込めエモーショナルに放つブルース・ギターは、ほんと素晴らしいの一言。


 11月22日 晴れ/曇り/雨 体調・ふつう

 天気がどんどん崩れてきて...大荒れで...雪までも?冬に向かう今の時期って諦めの境地。で雪が降り積もってしまえば、居直りの境地。
Les Negresses Vertes『Famille Nombreuse』
 フランスのレ・ネグレス・ベルト、'92年のセカンド・アルバム。昨日『黒猫・白猫』のサントラを聴いてたら、なんか引っかかって、たとえばアイルランドのフロッギン・モリーやこのレ・ネグレス・ベルトなど、自国の伝統音楽にロック(パンク)などをブレンドしてるバンドの存在なんだけどね。彼等は自国の音楽だけでなく周辺の国の音楽も巧に取り入れてるってとこが面白いしスリリング。レ・ネグレス・ベルトにはフランス人のほかスペイン、イタリア、モロッコの移民の血をひくメンバーがいて、そのサウンド同様にミクスチュアー度の高いバンドなんですね。久しぶりに引っぱり出して聴いてるんだけど、かっこいいね。パリジャンなんだよね。ストリートの疾走感とヤサグレ感は大都市パリの裏町ロックだし、その妖しくエキゾチックな雰囲気は...なんだろ?花の都だから(笑)。


 11月21日 晴れ 体調・ふつう

 娘と眼科に行く。めがねっ娘の誕生です。
O.S.T.『Chat Noir, Chat Blanc』
 以前映画『アンダーグラウンド』のDVDを貸してくれた新聞記者のシューイチ君が本日持ち込んだのは、同じくエミール・クストリッツァ監督の'98年作品『黒猫・白猫』のサントラ盤。本作の音楽はゴラン・ブレゴヴィッチではなく(喧嘩したらしい)クストリッツァ監督自身がメンバーとして参加しているノー・スモーキング・オーケストラのメンバーが参加して作られたようです。『アンダーグラウンド』でも聴かれた高速バルカン・ブラス、あのパンクな感じのドライヴィン・サウンドがここでも登場。高速で強烈にドライヴする音楽がロックの影響ばかりとは言えないかも知れない、と思うのはルーマニアのロマ(ジプシー)音楽楽団タラフ・ドゥ・ハイドゥークスにもこんな感じの演奏が聴かれるんですね。もともと東欧のロマ(ジプシー)のダンス音楽にも、こんな速いテンポの曲があるのかもね。というかアイリッシュにしてもクレズマーにしてもダンス音楽にはめちゃくちゃ速いのがあるからなあ。さて、このアルバムはサントラなんですね。だから打ち込みありジューズ・ハープありミュゼットありと、いろんな音楽が楽しめます。ただし、肝心の映画を見ていないので、なんかカタ手落ちな感想でした。


 11月19-20日 晴れ/曇り/雨 体調・ふつう

 カルロス・ルイス・サフォン『風の影』上下巻読了。満腹です。読書の醍醐味を味わいました。作者サフォンはバルセロナ生まれ、物語の舞台もバルセロナ。バルセロナと言えば今ならサッカーのロナウジーニョのいるFCバルセロナだけど、この街はスペイン内戦の傷跡が人々の心に深く残る街でもあります。オーウェルの『カタロニア讃歌』を読んだ人なら、この正義や大義が一晩で逆転してしまうような精神的にも耐え難い内戦が、カタロニアの人々に根深く影を落としていることを知ってしまったはずです。『風の影』はこの内戦の前・中・後のそれぞれの時代を背景に、10才の少年が「忘れられた本の墓場」で手に取った1冊の物語と幻の作家の謎を追うミステリーであり、そこに恋愛、友情、悪漢、風俗など様々な物語が巧妙に織り込まれていて、読む者をぐいぐいと物語の迷宮に引き込んで行きます。ああ面白かった!しばし脱力(笑)。
ムーンライダーズ『MOON OVER the ROSEBUD』
 祝ムーンライダーズ30周年!!!30年間変わらずに付き合ってきたバンドはムーンライダーズだけですね。「あの娘のラブレター」に初めて針を落としたのが、ついこのあいだのような気がします(うそうそ)。50代現役ロック・バンドの新作は凄いです。なんか語るのがめんどうだ。もう充実しまくってるんだもの(笑)。ひとつの勝因(?)は慶一君のヴォーカルが暴走してないってこと。大人のロック・ヴォーカルに徹しています。ヴォーカルさえ安定すれば、あとはもう百戦錬磨のライダーズ、恐いモンなしです。ポップとロックの境界を涼しい顔でスイスイと、ヤサグレ加減もちょうど良く、マニアに対するサービスも忘れない、もうファン冥利に尽きるアルバムです。そしていつものことながら、万人向けではありません。あしからず(笑)。


 11月17-18日 雨/曇り/晴れ 体調・ふつう

 カルロス・ルイス・サフォン『風の影』上巻をようやく読了。評判通りの面白さです。バルセロナの迷宮へ潜り込んでしまったぜ。
ステージ101『ステージ101ベスト』
 この前ステージ101を聴いてみたらけっこうはまっちゃって、『タイム・トラベラー』と一緒にNHKから購入。こっちのベストはウルトラ・ヴァイヴの高護制作で、土龍団と大池マリさんの監修・選曲です。ライナーの解説も丁寧でステージ101に対する愛情を感じます。解説を読んでみて今になって知ったことも多くて(知っていたけど忘れていたこととかも)、たとえばヤング101のメンバーの年齢だけど、一番若かった西玲子と太田裕美が当時現役高校生(俺よりひとつ上)だったのは知っていたけど、上のメンバーは20代中頃だったんですね(オトナだったんだ)。あと、プロ歌手からの転向組がけっこう多いんです(苦労人だったんだ)。今ではアニメ歌手として有名な串田アキラはGS出身でソロ歌手としてデビューした後にレコード会社の意向でヤング101入り。GS出身はワカとヒロもザ・バロンというバンドまるごとで101入りだし、ピコこと樋口康雄と惣領泰則達のシングアウトも「涙をこえて」を抱えてバンドごと101入りしてます。塩見大治郎は初代ジローズ(戦争を知らない子供達!)だったし、ザ・バーズの豊田姉妹(「アテンション・プリーズ」の主題歌ね!)もレコード・デビュー後に101入り。あらためて思うのは、みんな歌が上手い。優れた歌唱力と鍛え抜かれたコーラス・ワーク。もちろんTVではダイナミックな群舞も披露していました。多くの101オリジナル・ソングを提供した中村八大、東海林修、宮川泰や歌唱指導の和田昭治、ダンス振り付けの中川久美とチャチャ遠藤、そして番組制作スタッフなど関係者全員一丸となって、良質のポップスと音楽バラエティーを創り出そうという志の高さがビンビンと伝わって来ます。それにしても「恋人中心世界」はタイトルも内容も凄いね。ボサノヴァ風低血圧ポップスの大名曲です。♪恋人たちがいない地球は さみしい顔の星だわ〜。聞くところによると、「涙をこえて」と「怪獣のバラード」は合唱コンクールの定番曲だとか。ワカとヒロの「にくい太陽」と塩見大治郎「若い旅」も印象に残ってる。ワカとヒロがドン・マクリーンの「アメリカン・パイ」をフル・バージョン歌った時のシーンも思い出したよ。めっけもんはワカこと河内広明こと本名芹沢廣明(後に「少女A」「タッチ」「ぎざぎざハートの子守歌」などの作曲者として有名)が歌う「シーモンの涙」。イングランド・ダン&ジョン・フォードのヒット曲のカバーなんだけど、シングル・カットして欲しいくらいの良い出来映えです。それとザ・バーズの歌声に惚れました。♪陽に光りひらける波を 今私は見る アテンション・プリーズ〜。 


 11月16日 雨/曇り/雨 体調・ふつう

 教育基本法改正だぁ!?真に再教育されるべきは政治家と官僚と社長さん達と思うが、違うかね!教育委員会は上ばっか見てないで、しっかり子供達の顔をのぞき込んで仕事をして欲しい。学校の先生は、「イジメはある」という前提で子供達と接して欲しい。スポ小のコーチを10年やっていて感じたのは、子供達は無邪気さの中にイジメの芽を持っているってこと。そして親に必要なのは、愛と誠(笑)と勇気かな。
O.S.T.『タイム・トラベラー 〜 NHK少年ドラマシリーズ』
 NHKの『タイム・トラベラー』といったらケン・ソゴル!だよね。なぜかケン・ソゴルだけ印象に残ってる。少女は「芳山くん」だった。中学の頃に見たと思っていたけど、放映が'72年だから高校生だったんだな。原作はもちろん筒井康隆『時をかける少女』。ジューズハープのビィヨ〜ンビィヨ〜ンがプリミティヴを越えてストレンジに響くテーマ曲も印象的だった。あらためて聴いてみると、テーマのメロディーはヨーロッパのサスペンス映画って感じ。翳りと哀愁。音楽を担当したのは高井達雄。「鉄腕アトム」も高井さんですね。こうしたサウンドトラックにありがちな電子音はまったく使用されず、奇妙なおとはジューズハープのみという潔さ。「タイム・トラベラー2」に至ってはラウンジーなピアノ音楽って感じで楽しめます。ボーナストラックとしてニニ・ロッソによるカバーも収録。


 11月14-15日 雨/曇り/晴れ 体調・ふつう

 お昼ちょっと前にビリビリッと部屋が揺れた。恐っ。即TVで確認したら、十日町震度2だった。ちょっとの揺れでもビクッとしちゃう。地震の恐怖が身体に染みついているんだよね。
サディスティック・ミカ・バンド『ナルキッソス』
 日本語表記はミカ・バンドだけど、英語表記ではMikaela Band となっちょります。帯のコピーが「三止めの正直!音があれば、年の差なんて!」だって。泣けるねえ。新ヴォーカリストは木村カエラ。若い!可愛い!キュート! で、おじさん達は嬉しいわけだ。DVD収録の記者会見やお披露目ライブの映像からは、ウキウキしたおじさん達の笑顔満開(笑)。加藤和彦の鼻の下も長いね(笑)。日本ロックの金字塔『黒船』を創り出したサディスティック・ミカ・バンドの新作だと思えば、ぜんぜん物足りないし、日本ポピュラー・ミュージック界一の才人加藤和彦の音楽を期待して聴けば、やはりぜんぜん味気ない。だけどこれはミカエラ・バンドなんだと聴けば、とても楽しいアルバムです。どうせだったらカエラをもっと前面に据えて作って欲しかった。カエラのリード・ヴォーカルが3曲だけなんて、おじさん(俺)はさみしいぞ。


 11月13日 晴れ 体調・ふつう

 昨日の大荒れ天気がウソのような晩秋の青空。今年はどこへ出かけても紅葉がきれいです。赤系が鮮やかなせいだね。野沢菜の漬け込みも始まりました。雪降り前はみんなが忙しい。
ステージ101『ゴールデンベスト〜ヤング青春の日々』
 このアルバムは2枚組で、昨日聴いた1枚目はステージ101のオリジナル・ソングが、そして2枚目はカバー曲中心の構成です。サイモン&ガーファンクルが10曲も収録されてますね。たしかに'70年頃のS&Gの人気はビートルズに匹敵してましたね。この正しい歌唱法によるきれいなコーラス、歌唱指導は和田先生なんだよね。懐かしい。やっぱり、折り目正しく真面目な感じが伝わってくる。「スイート・キャロライン」を歌う若子内悦郎、「マミー・ブルー」を歌う河内広明、ワカとヒロ!憶えてるよ。俺は塩見大次郎・田中星児派じゃなくてワカ&ヒロ派だったな。見たいなあ、やっぱ映像で見たいよなあ。


 11月12日 みぞれ/あられ/雨/晴れ/雨あられ... 体調・ふつう

 雪おろしが鳴った。昨日から泊まりで松之山温泉で家族忘年会。シンシア・カドハタ『草花とよばれた少女』松之山で読了。主人公スミコはカリフォルニアの花農家で育った少女。日米開戦、アメリカ日系人の強制収容と収容所の様子がスミコの視線をとおして語られています。先の見えない希望の持てないような状況の中、それでもどこか温かくユーモアを忘れない、そんな人々に囲まれた日々を澄んだ眼差しで描いています。原題は「weedflower」野に咲く花です。今年の100冊目に読もうと取って置いた本です。とっても良かった。
ステージ101『ゴールデンベスト〜ヤング青春の日々』
 温泉から帰ったらコレが届いた。ステージ101はNHKで'70〜'74年に放送された番組で、俺の高校時代とちょうどかぶさってる。もうその頃は目覚めたばかりのロック少年だったから、ステージ101にはNHKっぽい優等生っぽいからと距離を置いているように見せかけていたけど、じつは毎回見ていました(笑)初期の方が好きだったかな。後期になると当時流行の日本フォーク臭い曲が増えてきてキライだった。初期はほんとポップスだったね。「アクエリアス〜輝く星座」とか「ビートでジャンプ」など当時のビルボード・ヒッツを歌って踊る、あの感じが好きだったな。そしてテーマ・ソングのようにいつも歌われていた(シング・アウトされた)「涙をこえて」。やはり「涙をこえて」が一番印象に残ってるね。かぜ耕士作詞、中村八大作曲なんだよね。胸がきゅんとする自分が恥ずかしい(笑)。しかたないじゃん。


 11月8-9日 晴れ 体調・ふつう

 森絵都『DIVE!!』上下巻読了。文庫本解説は上巻あさのあつこ、下巻佐藤多佳子だ。素晴らしきトライアングル!。佐藤多佳子は書いている。「私は好きな本が終わってしまったことが悲しくて、自分勝手に"続編"を書いたりしていた。...好きな本の世界の中には、いつまでも、いつまでもいたいものだ。」と。俺だって『DIVE!!』のこの後の書かれていない物語とずっと付き添って行きたいと思ったよ。登場人物がみんな生き生きとしていて、いろんな苦難葛藤もあるんだけど、ほのぼのと幸せに笑える物語だから。そしてこれが今年の99冊目なんだよね。100冊目はどれにしようかな。本を読む幸せ(笑)。
浜田真理子『夜も昼も』
 9月の横浜ソロ・ライブで一番印象深かった歌は ♪ 五十センチだけ離れて あなたとわたし〜と歌われる「旅路」だった。五十センチ離れて愛し合う、覚悟の恋の歌。真理子さんのソロ・ライブのお客さんというのはまるで蜘蛛の巣に絡め取られたまさに「お客さん」のように見える。彼女が歌っている時の会場の雰囲気がそんな感じで、だから俺はいつも覚悟を持って聴きに行っている。彼女のライブはソロの時もあるし共演者を伴う時もあり、そのどちらにも確固たる浜田真理子の世界を感じてきた。だからこのアルバムのように共演者がいるアルバムでも違和感は感じない。でも違和感を感じるアルバムを期待してもいた。なにか変わった姿も見てみたいような。このアルバムは " 浜田真理子の歌とピアノという世界 " をそのまま引き受けている。共演者は伴奏者としてさりげなくそこにいる。ここで " 浜田真理子の歌とピアノの世界 " と言っているのは彼女のセカンド・アルバム『あなたへ』を指している。『あなたへ』から本作までは繋がっている。じゃあ『mariko』はどうしたんだ。新作を聴く度にいつも感じるのはあのファースト・アルバム『mariko』のことだ。あの歪んだピアノと過剰な残響に包まれた浜田真理子の歌声を初めて聴いた時の興奮が忘れられない。『mariko』は屹立した峰で山脈を成さなかった。では本心で『mariko』の続きを聴きたいのかといえば、それはまだ聴かなくてもいいと思っている。そのへんは複雑な心境。文章もずたずただな(笑)。
 『夜も昼も』を何度も繰り返し聴いている。馴れ合いたくはない。五十センチ離れて愛おしく感じていたい歌がある。


 11月7日 晴れ/雨/曇り 体調・下痢ぎみ(苦笑)

 5.6日と能登半島輪島を観光。輪島は高校3年の時に友達と旅の途中に寄った町。その時、岩場に囲まれた海水のプールで競泳をしたのが懐かしい想い出。あの頃は貧乏旅行だったから民宿やユースホステルに泊まった。今回は旅館もご馳走も立派だったけど、あの頃の気儘な楽しさは二度と味わえないだろうね。フォーク・ギターなんか持っちゃって旅してた(笑)。「朝市に行ったら輪島塗のギター・ケースがあったぞ!」と友達に言われ本気にしたりね(回想)。あれから30数年ぶりの輪島と能登の旅。二日間の暴飲暴食のせいか腹の調子が悪い。
 帰宅したら浜田真理子さんの新作『夜も昼も』が届いていた。
浜田真理子『夜も昼も』
 ジャケットが素敵だね。林静一の絵を使った見開きの紙ジャケット。開くとランプが灯り、そして曲名が大きな字で書いてある。ゆっくり眺め曲名を読んでみると、すでにそこにはドラマがある。と先ず自分で盛り上がってみる(笑)。アコースティック・ギターとバンドリンの演奏に乗って歌われる「スプーン」。この歌の持つ表情には初めて出会う気がする。全曲聴き終えてふぅ〜と身体の力を抜く。なにリキんで聴いてんだよ俺(笑)。素晴らしく充実したアルバムだということは一聴しただけで感じられる。そして何度でも繰り返して聴いていたい音楽がここにはありますね。つづく。


 11月3-4日 晴れ 体調・ふつう

 「 人生は、世界は、リレーそのものだな。バトンを渡して、人とつながっていける。一人だけではできない。だけど、自分が走るその時は、まったく一人きりだ。誰も助けてくれない。助けられない。誰も替わってくれない。替われない。この孤独を俺はもっと見つめないといけない。俺は、俺をもっと見つめないといけない。そこは、言葉のない世界なんだ...たぶん。」(佐藤多佳子『一瞬の風になれ 3.ドン』より)佐藤多佳子『一瞬の風になれ 2.ヨウイ』『一瞬の風になれ 3.ドン』読了。爽やかな高揚感。読んでいる間ず〜っと良い気分。高校生スプリンターの、そして400mリレーの情景が鮮やか。よくぞ書いてくれた。
 紅葉真っ直中、行楽の車が通りすぎて行く。今、椎名誠の写真集『ONCE UPON A TIME 』が本の雑誌社より届いた。椎名さんのサイン入り!「旅には、めざすものがある。」と書いてある。 感激!。
佐藤允彦トリオ『パラジウム』
 この前宮沢昭の『いわな』を聴いたらすごく良かったので、あの時代'69年の熱い日本ジャズを再び聴いています。'69年は日本のフリー・ジャズの黎明期。黎明期ってのはいいね。野心でギラギラしてる。熱い奴等が目つき悪く切磋琢磨していた、ジャズで喧嘩ができた時代。ピアノの佐藤允彦とベースの荒川康男は共に'68年バークリー・スクール・オブ・ミュージックを卒業しアメリカの最先端をインプットされ帰国。この二人にドラムの富樫雅彦が加わりトリオ結成。その昔、初めて佐藤允彦のピアノを聴いた時、黒さが感じられなくてイヤだと単純に思っていて、あの頃の俺は黒人音楽至上主義(笑)だったから。洗練されたリリシズムを醸し出す佐藤のピアノに内にクールなソウルがメラメラと燃えているのが今なら感じられる。荒川も燃えている。富樫も燃えている。富樫のドラムは凄いな。ついついドラムにだけ耳が行ってしまう程だ。'69年の東京に20代の青年としてタイムスリップしてみたい。


 11月1-2日 雨/曇り/晴れ/曇り 体調・ふつう

 11月だねえ。今年の秋は比較的暖かい日が続いていたんだけど朝晩は寒くなってきた。今朝の早朝読書では今秋初のストーブ点火。鼻水が止まらないぞ。
HOWLIN' WOLF『The Complete Recordings 1951-1969』
 チェス7枚組コンプリートBOXのvol.5。'58-'62年。このチェス時代のウルフに欠かせない存在がギターのヒューバート・サムリンそしてウィリー・ディクソン。ディクソンはシカゴ・ブルースの黒幕にして巨漢。'40年代にはビッグ・スリー・トリオの一員としてジャズ&ジャイヴを小粋に演奏していた。'50年代以降はシカゴのブルース界にあって、ベースを弾き、曲を作り、そしてまたプロデューサー的立場で多くのブルースマンを影から支えた人です。ディクソンがブレインとなってからのウルフのブルースはワイルドでありながらもキャッチーでR&B寄り。'60年以降はディクソンの曲が多く、ここではクリームで有名な「スプーンフル」もやってます。マディの持ち歌「フーチー・クーチー・マン」もディクソン作曲で、この2曲に共通なのは脱定型ブルースの試み。所謂3コードと12小節じゃなくて、ほとんどワン・コードで押していくスタイルなんだけど、ウルフやマディといった千両役者が歌うと、そのカリスマゆえか納得させられるね。「スプーンフル」の新しさ、サムリンのギターの新しさはそのまんまロックへの道に続いているんだよな。


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