●2007●

 5月30-31日 晴れ/曇り/雨 体調・ふつう

 武士道とか侍=サムライをやたらと美化するのはイヤだなと思う。たしかに時代小説や水滸伝に登場する武人達の高潔な志には心を打たれることが多いけど、武士というのは人間同士で命のやりとりをするという特殊な職能の人達だと思うことにしている。それに日本人のほとんどは武士じゃなかったんだから安易に日本人=武士道とか侍とかを結びつけないでもらいたいよ。
 松岡農水相の自殺に関して石原慎太郎が「松岡大臣は死をもって罪を償った彼も侍だった」とかインタビューに答えていた。石原よ、侍って無責任な男のことか!?
浅川マキ『DARKNESSW』
 浅川マキで印象に残っている姿は'70年の第2回全日本フォーク・ジャンボリーを記録した映画『だからここに来た』に出てくるものだ。当時のフォークの精鋭ともいえる赤い鳥、五つの赤い風船、遠藤賢司、岡林信康、高田渡、はっぴいえんど、六文銭などに混じっての登場なんだけど、浅川マキのステージだけ空気が違っていた。それはアマチュアの中にひとりだけプロがいたっていう感じだった。彼女は今も昔もフォーク歌手ではない。クラブ歌手といったほうが近い。だから新宿アンダーグラウンドの匂いを引きずって中津川のステージで歌う浅川マキの嗅覚は凄いと思った。中津川で歌うことで彼女はファン層を拡大したはずだ。新譜ジャーナルなどのフォーク雑誌に載ることで、当時興隆途上だったフォーク・シーンの一員と認識され、地方の高校生だった俺なんかでもごく普通に浅川マキを知り聴いていた。'70年代も中頃になると、日本のフォークはよりポピュラーな存在となるのだが、この頃になってようやくフォークの人達と彼女との違いが鮮明になってくる。もともと文化の背景が違っていたのだから当然ともいえるわけだが、フォークが抒情歌謡化していくのとは逆に彼女の歌はより豊かな黒の世界を獲得していった。本盤には'68年から'71年頃の初期の音源とその後の様々な音源が収録されているが、萩原信義のギターをバックにしていた頃、近藤等則や渋谷毅などのジャズな人達をバックに歌う時、そして下山・奈良・池畑といったメンタイ・ロックの鋭さの中で歌う時、そのどんな演奏の中でも浅川マキの歌はブレないしその歌の世界は揺るがない。浅川マキこそひとりいちジャンルを確立した希有なシンガーだといえる。そんな浅川マキのアルバムが、こうした編集ものでしか手に入らないってのは寂しいかぎりだ。東芝EMIは早急に彼女の全オリジナル・アルバムを紙ジャケ+リマスター+未発表ボーナストラック満載でリリースすべきだと声を大にして言いたい。などと小心者の叫びでした(笑)。そうそう、写真はいつもの田村仁ですが、今回のジャケット写真は最高です!


 5月29日 晴れ 体調・ふつう

 娘の寝顔が明日への活力だったんですよね。彼女が生まれてからは寝る前には欠かさずその寝顔をのぞき込んではニンマリしていたものでした(じつは見るだけじゃなく頭をなでたり手を握ったりもしてたんだけどw)。ああ過去形だ...。そうです、娘は「今夜から一人で眠るから」とこれまでの親子3人" 川の字" 生活を解消し、自分の部屋に行っちゃったのですよ(泣)。もうおチビちゃんじゃないのね、と観念してますが、ああ寂しいなあ〜つまんないなあ〜。
 北方謙三『水滸伝 八』読了。どんどん面白くなるなあ。19巻まで一挙怒濤に読みたいものだが、まあ月イチでも楽しみがより持続していいかもね。
V.A.『SQUEEZE IT !
 スクィーズ・ギターはブルース・ギターの華だよね、と俺は思う。初めてブルースから衝撃を受けたのはキュイ〜ンギュイ〜ンとブルースを絞り出すスクィーズ・ギターの叫びだったからね。そしてもちろん初めてエレキを手にした頃は毎晩キュインギュインとチョーキングでスクィーズ三昧だったサ(笑)。さて本盤は毎度お馴染みblues&soul records誌の付録CD(というか雑誌の方が付録?)。B.B.キング、オーティス・ラッシュ、バディ・ガイ、フレディ・キング、アイク・ターナー達がこれでもか!とスクィーズしまくってますよ。もう悪かろうはずがない!しびれる〜、のけぞる〜。


 5月26-27日 晴れ/曇り 体調・ふつう

 祝一等賞みはるちゃん!昨日の運動会でうちの娘は生まれて初めてゴールテープを切ったのです。それは100m徒競走5年生第6組でのこと。保育園からずっと徒競走では勝ったことがなく " 駆けっこがおそい " が定説(笑)となっていた我が家の娘。初めての一位に本人も家族も大喜び。今朝家族揃ってそのビデオを見るときには、亡くなった祖父ちゃんの遺影を持ってきて一緒に喜び合いました。とさ。
 エマニュエル・ボーヴ『ぼくのともだち』読了。友達作りに失敗し続けるお話しなんですね。主人公の妄想ぶりが悲しくて可笑しい、なんかチャップリンの映画のシーンを思い出しました。
竹内まりや『Denim』
 このアルバム、結論から言えば、ジャケット写真が一番良かった。エヴァーグリーンなポップスを作り歌い続けてきた竹内まりやさんなので、その安定感はいつもながら素晴らしく、この新作ももちろん良いにきまっている。けど、ちょっと物足りない。抜きん出た曲がない。たしかに「人生の扉」は良い曲だけど、この曲が目立ってしまうくらい、あとの曲がみんな地味な感じがする。俺も50を過ぎた今、「人生の扉」は沁みてくるけど、まりやさんにはいつまでも弾けたポップな曲も歌っていて欲しい。デニムといえば、「人生の扉」の告井くんのマンドリンの音色に思わずデニムの香りを感じた俺でした。


 5月25日 雨/曇り 体調・ふつう

 昨夜はDVD『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』を見た。ダイヤル式だったレッコーディング・コントローラーをスライド式に改良した話しを少年のような目で嬉々と語るダウドに親しみがわいた。トム・ダウドは40年代から第一線で活躍してきたサウンド・エンジニアでありプロデューサーで、最盛期'60〜'70年代にはドリフターズ、オーティス・レディング、アレサ・フランクリン、ウィルソン・ピケット、ブッカーT.&ザ・MG's、ジョン・コルトレーン、オーネット・コールマン、MJQ、ハービー・マン、ラスカルズ、クリーム、エリック・クラプトン、オールマン・ブラザーズ・バンド、レーナード・スキナード、ロッド・スチュワートといった錚々たる面々の代表作に関わったまさに伝説の男だ。この映画はその生涯を描いたものだから、特別「レイラ」がフューチャーされてるわけでなく、駆け足で辿った感じが物足りなくちょっと残念。ちょこちょこ挿入される映像には " 動くドゥエイン・オールマン " などヨダレものが多いけど、すべて細切れでくり出され、これがまた残念。この映画の出来はともかく、トム・ダウドの偉大さはよくわかる。
V.A.『ENDLESS HIGHWAY the music of The Band』
 そして国内盤が届いた。輸入盤は誰かに買ってもらわなきゃね。ガヴァメント・ミュールによる「シェイプ・アイム・イン」、ようやくオリジナリティーに溢れたザ・バンドのカバー曲を聴くことができました。ジャム・バンド系のゆったりうねるリズムがちょっと新鮮。「エイント・ノーモア・ケイン」をやっているのはジョン・ハイアット&ノース・ミシシッピ・オールスターズ。武骨な歌声とアーシーな演奏で、太っといです(笑)。そしてラストのジョー・ヘンリーが歌うのは、ダンコ&ロバートソン作の隠れ名曲「ベッシー・スミス」。良いですね。期待どおりのベスト・トラックです。ストレートに歌いながらも陰影と哀愁を感じさせます。何故これら上出来なボーナス・トラックが本編に収録されなかったのか、おれには理解できないなあ。


 5月22-23日 晴れ 体調・ふつう

 田植えも盛り、天気も良くて屋外仕事は暑いねえ。夕方日が陰ったらアスパラ摘みに行ってきます。父が遺してくれたアスパラです。
V.A.『ENDLESS HIGHWAY the music of The Band』
 あ〜〜〜〜くやしい!俺の輸入盤には国内版収録のボーナス・トラック、特にジョー・ヘンリーの歌う「ベッシー・スミス」が入っていないんだよ〜(泣)。買い直さなきゃ、くっそ〜。いや、このままでも大満足なザ・バンド・トリビュート盤なんだけどね。オールマン・ブラザーズ・バンドも入ってるしと。そのオールマン、かつて'73年ワトキンスグレンでザ・バンド、グレイトフルデッドと共に行った野外コンサートでなんと60万人を集めた当時の3大バンドのひとつで、そのオールマンがザ・バンドのカバーをやるっていうので俺的には大注目だったけど...意外に良くなかった(笑)。残念。しかあし、ここでの意外な発見はガスター、マイ・モーニング・ジャケット、ゴメスといったオルタナ勢による溌剌とした演奏。原曲のコピーに近いんだけど、そこがまたザ・バンドへの敬愛が感じられて嬉かった。想えばザ・バンドも当時のロック・カルチャーの中では(そして今でも)オルタナティブだったもんね。まあなにはともあれ、ザ・バンド不滅の名曲群はカバーされてもやはり名曲だったと再認識。


 5月20-21日 曇り/雨/晴れ 体調・ふつう

 盛田隆二『ラスト・ワルツ』読了。盛田は前から好きな作家だったので本屋さんにあったこの文庫本を期待を込めて買って読んでみました。これは彼の処女作であり私小説なのだそうです。どうも読んでいてツラかったですね。アルコールとドラッグで堕ちていくシュールな描写など、読んでいて楽しくはなかった。盛田のあとがきにあるけど、最初に「私」を出して失敗する覚悟でこの小説を書いたとのことだ。まあいいさ、'73年新宿のアノ堕ちたくなる感じは俺にも少しはわかるから。
GRATEFUL DEAD『LIVE/DEAD』
 さあてデッドのトリップにつき合えるかどうか、10数度目かの挑戦です。シスコ、ヒッピー、ドラッグ・カルチャー、サイケ....どれもロック伝説として知った俺にとって、グレートフル・デッドはその伝説の総本山のようなもので、もちろん導師はジェリー・ガルシア。ドラッグと深く結びついてるデッドのゆるい長尺なインストなどに、俺の心が動くことはなかった。デッドのインストに影響されてるオールマンの「マウンテン・ジャム」には熱くなれるんだけどね。ただねえ、久しぶり聴いていて思うのは、俺も50を過ぎて人生下り坂で、いろんなとこがゆるくなってきているせいで、ようやく「デッドもいいよね」とかひとに言えそうです。


 5月18-19日 曇り/雨 体調・ふつう

 我が家は屋根雪が自然落下式なので錆びて滑らなくなったら一大事と塗装屋さんに塗ってもらっていました。ついでに家の外壁も塗ったので約2週間かかりました。連休前には店のシャッターが壊れたので連休過ぎからシャッター屋さんが修理に来ていました。職人さん達の仕事ぶりを楽しく見学しながらの店番も本日で終わりのようです。
V.A.『オヤジの復讐×→復習○』
 収録曲はオールマンの「statesboro blues」「done somebody wrong」、ジョー・ウォルシュの「rocky mountain way」「walk away」「turn to stone」、ジミヘンの「little wing」、CSN&Yによる「southern man」とニール・ヤングの「on the way home」「like a hurricane」、そしてロリー・ギャラガーの「messin' with the kid」。このラインナップはなにかと言えば俺がその昔カバーした曲の自作コンピュレ盤です。俺がギターを弾いていたロック・バンド "EARNY BAKERY"(註:兄ばっかり、のシャレ)の リーダーのhiroさん(註:学生時代に竹内まりやさんとバンド活動をしたというクヤシイ先輩だ)とドラムのヒロシと3人で飲んでた時に(註:飲んでる時の決心は...)、久しぶりにがんがんロックしたいねって話しになって、よし!じゃあバンド復活だとなった次第。それで、自分をその気にさせるためにカバーした曲を聴きなおしてみようと思い、このコンピュレ盤を焼いたわけです。自分の大好きな曲ばかりのCDなのであたりまえだけど、ほんとに良いよなあ。昔のロックはよ〜。シンプルで力強くてエモーショナルでさあ。


 5月17日 曇り/雨/曇り 体調・ふつう

 昨日は午後から小売酒販店の総会&懇親会。会場が十日町駅の前なのですご〜〜〜く久しぶりに野上書店に寄りました。十日町でも数少なくなった町の本屋さんです。文庫本2冊レジに持っていくと店員さんがまた懐かしい女性の方でした。俺のこと憶えていたかな?
the art ensemble of chicago『BAP-TIZUM』
 これじゃあ二日酔いにむかい酒な感じだなあ。これは'72年アン・アーバー・ブルース&ジャズ・フェスティバルのライブが収録された音盤です。まずはメンバー全員が打楽器をうち鳴らし叫び声をあげて祝祭を盛り上げます。彼等のこうしたパフォーマンスはやはり生で見て味わうものだと思うので、CDでしか聴けないってのが非常に残念。レスター・ボウイ、ロスコー・ミッチェル、ジョセフ・ジャーマン、マラカイ・フェイバース、ドン・モイエによるアート・アンサンブル・オブ・シカゴ歴代最強のメンツによる演奏を、直に体験しておきたかったなあ。


 5月15日 曇り/雨 体調・ふつう

 桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』読了。物語は昭和28年に始まる。だから伝説といっても昔話ではない。舞台は山陰鳥取の紅緑村。万葉は"山の民"に置き去られた少女だったが、後に地元有数の富豪で旧家赤朽葉家の嫁となる。物語はこの「千里眼奥様」万葉とその長女で「猛女」の毛鞠、そして毛鞠の娘瞳子、この赤朽葉家三代クロニクルな感じ。とても面白い話しなので、いっそ年代記ではなく万葉と黒菱みどりとの奇妙な友情で一冊、毛鞠と寝取りの百夜で一冊と、それぞれをよりズームアップした物語を読みたい気になった。もひとつ読んでいて感じたのは、これは映画というよりアニメをイメージしてしまう物語だなってこと。これって新しい世代の感性なのかな。
V.A.『HIT ME! ATRIBUTE TO JB』
 毎度お馴染みBLUES & SOUL RECORDS 誌付録CDは去年のクリスマスに亡くなったファンクの王者ジェイムズ・ブラウンへのトリビュート盤です。日本のオーサカ=モノレールとスペインのザ・スイート・ヴァンダルズが米国以外のバンドとして収録されています。で、これがなかなか良いので、いっそのこと『JBは世界を廻る』とかにして、世界中のJB似バンドを集めてくれたら面白かったのにね。白人ギタリスト、ボビー・ラドクリフによるサックス・ブロウの名曲「ナイト・トレイン」はイキが良くてかっこいい。


 5月12-13日 雨/曇り/晴れ 体調・ふつう

 初めて噴霧器背負って除草剤を撒いてきた。父がいなくなって、こうした無賃労働(笑)が増えて困る。出来ない事からは徐々に撤退しないとね。
沖山秀子『Summertime』
 沖山秀子のことは女優として知っていた。『神々の深き欲望』『どですかでん』!!。派手な目鼻立ちのアクの強い女優として印象に残っていた。しかしなあ、こんなに素晴らしいジャズ・アルバムを残していたシンガーだったなんて知らなかった。このアルバムは'81年にトリオ・レコードからリリースされていたもので、2006年に目出度くCD化された。演奏者はピアノの渋谷毅をリーダーに、宮沢昭(ts.fl)、粉川忠範(tb)、中牟礼貞則(g)、潮先郁男(g)、川端民夫(b)、亀山賢一(ds)。すごく良い意味での女優さんシンガーだと思う。その成りきり度、表現力の深さ、まるで生き様のように歌を歌う。そして太く深い歌声には鍛えられた喉力が感じられる。バックの演奏も見事で、特に宮沢昭と渋谷毅の情感豊かなプレイに聴き惚れる。有名な曲が多い中、「五木の子守歌〜サマータイム」のメドレーが出色。まさにブルースです。浜田真理子もこれを聴いたに違いない、とか(笑)。


 5月10-11日 晴れ/曇り/雨/晴れ 体調・ふつう

 桜庭一樹の『赤朽葉家の伝説』を読んでます。面白いよ。ずっと前に読んだ坂東真砂子『道祖土家の猿嫁』にちょっと似てるかも。といってもまだ三分の一しか読んでないんだけど。
The Rolling Stones『LOVE YOU LIVE』
 ワイセツ物ような唇のミック・ジャガーと爬虫類のような目つきのキース・リチャーズ、この絶対的カリスマふたりこそストーンズそのものなんだと思う。ファンには異論も多いことだろうが(笑)。ミックとキースの存在そのものが雄弁にストーンズとロックを象徴しているのだ。そのローリング・ストーンズ絶頂期のライブ盤がこれ。'76-'77年ライブから選曲されていて、発売当時にLP盤を愛聴したものだ。当時驚いたのがシークレット・ギグのこと。ここに収録の内4曲はトロントのエル・モカンボというクラブ(?)に250人の観客を集めておこなわれたギグからのもので、ストーンズは大きなツアーのただ中にこうしたシークレット・ギグを突如行うのだそうだ。もし、こんなギグの観客になれたらと思うと...う〜も〜超超最高だよね。ストーンズのライブといえば、俺が東京ドームの天辺から小さな小さな彼等を見下ろしたのは'97年頃だからもう10年も前。今のうちに " 生きてるストーンズ " を見ておこう(笑)と思い立ちライブに行ったわけなんだけど。今にして思えば、あれはアイツ等の健康を気遣った俺の早合点、アイツ等俺よりもよっぽど健康だったわけだ。去年63歳(かな)でワールド・ツアーをやったミックとキース、チャーリーにいたっては65歳!。転がる石には病魔も寄りつかなぜ!とはね。恐れ入りました。


 5月8-9日 晴れ 体調・ふつう

 チャンドラリアン(だったのか!?)な友人がチャンドラーの特集だよと貸してくれた『ミステリマガジン』を読んでました。2篇の短編新訳「待っている」「ヌーン街で拾ったもの」は共にマーロウ物じゃないけれど、鋭い観察者チャンドラーの繊細な描写は相変わらず。でもそうとうにクドい村上版チャンドラーを読んだ後だから、こちら2篇の短編があっさり味に感じられました。
Ben Harper『Welcome to the Cruel World』
 ベン・ハーパーといえば、ワイゼンボーンにエフェクトめいっぱいカマしたスライドのラスタ(笑)ってイメージだったけど、この'94年盤で出だしのシンプル・サウンドを聴いた時には、うへっウインダムヒルかよ!ってな感じでしたね。カリフォルニア育ちのハーパーはこのアルバム当時は24歳。たしかに若い。ゆえに若いリスナーを意識した音楽だと思う。こうしたルーツ寄りの音楽には過去に名人・達人・偉人が多いから、その先人達に比べられたらハーパー君は分が悪いと思うんだよ。ギターが特別巧いわけじゃないし、歌はヘタな方だし...。ただ、こういった音楽を初めて聴く若い人達には良いと思う。分かり易いから。俺もこうゆう音楽は好きです。ワイゼンボーンが欲しくなるなあ。


 5月7日 曇り/晴れ 体調・ふつう

 綾辻行人&佐々木倫子によるミステリー漫画『月館の殺人』が愛読書の我が娘(小5)は目下、田辺イエロウの『結界師』に夢中である。その娘、「鉄道マニアは " テツ " でしょ。じゃあ『結界師』マニアは......" ケツ " かな」と言ってひとりで大笑いしている。若いっていいなあ。
Leo Kottke『PECULIAROSO』
 リッキー・リー・ジョーンズがプロデュースした'91年作。この辺詳しくないので、何故にリッキーがプロデュースまでしているのかは知らないけど、ルーツの香りを醸しながらも知的で上品な感じのするアルバムです。アコギによるインスト曲にシブい歌ものも加わり、リッキーはハーモニーVo.でも参加、さらにヴァン・ダイク・パークスのアコーディオンも楽しめます。近年ではフィッシュのベーシストのマイク・ゴードンとのコラボ作があり、この日記でも紹介済みですが、とにかく大ベテランのギタリスト。こんなに弾けたらいいよなあと思わせる、イヤミのない巧さが素晴らしい。とくにここではバック・サウンドが'70年代的というかバーバンク的なので俺的にはとても和めますね。


 5月6日 曇り/雨 体調・ふつう

 ジェス・ウォルター『市民ヴィンス』読了。主人公ヴィンスは被害妄想な小悪党。この被害妄想にはワケがある。取り巻く悪党達のユーモラスな意気の良さはエルモア・レナードを思わせる。他登場人物達のキャラ立ちも良い。原題は『CITIZEN VINCE』でこの" 市民 " がこの物語のキモかもね(笑)。「証人保護プログラム」というシステムのことを少しだけ知りました。面白かった。
 本日は半日まるまるスコップを振っていました〜。疲れた〜。はやくビールが飲みて〜。
JOHNNY WINTER AND『LIVE』
 '71年のライブ盤。昔から有名な音盤だけど、俺はどうもこのジョニー・ウインターのギターとヴォーカルが好きじゃない。せかせかしい感じがどうもねえ、と思っていた。しかし、俺もいい歳だし、許容範囲も広がってるかもしれないのでと再挑戦してみたが、どうもいかん。一本調子で潤いが感じられない。う〜ん残念。


 5月5日 晴れ 体調・ふつう

 うわ〜更新時に消しちゃったよ5日の日記。何を書いたのか定かではないが聴いていたのはこれだね。で、こんな印象だったはず。
PINK FLOYD『THE DARK SIDE OF THE MOON』
 全世界で3千万枚以上売ったというピンク・フロイドの超有名盤。'73年作で邦題は『狂気』。あの頃のことを思い出すけど、俺は怒っていたわけだ。結局日本人なんてハード・ロックやプログレのような形の分かり易いロックしか聴かないと。シブヤのばか、とか思っていたもんだった。だから当然このピンク・フロイドは聴いてなかったよ。超のつくベストセラーなんか、わざわざ聴きたくないし。しかし世紀も変わりほとぼりも冷めたので、さて聴いてみようかと(笑)。聴いてみると...なかなか良いんだよね(笑)。ピンク・フロイドってバンド、ずっと感じているのは、難しい演奏はしていないんだけど、メロディーと巧い仕掛けで高揚感を創り出す術に長けているバンドだなってこと。ギルモアのギターも、指先のテクニックに走らずに「歌わせる」ことがじつに巧い。それで思ったけど、ピンク・フロイドは他のプログレ・ロック・バンドに比べてクラシックやジャズや現代音楽の要素が少なくて、ポップ・センスに秀でたバンドだったんだよ。だからどこよりも売れた。30年以上経っているけど、古びた感じはない。はい満足です。


 5月3-4日 晴れ 体調・ふつう

 昨日は中学時代の同級生が懐かしいギターを持って現れた。'77年頃の国産アコギでブルーベルのドレッドノート・モデル。当時5万円くらいだったというから高級ギターだ。状態の良いオールド・ギターの響きが心地よかった。夜はもちろん飲みにでた。
Nilsson『Schmilsson』
 ニルソンのアルバムを聴くのは初めてだなあ。そうそう「ウィザウト・ユー」だよねえ。ストリングス&ホーン・アレンジはポール・バックマスターだ。懐かしいね。エルトン・ジョンの初期の名作のアレンジャーだよね。ドラムは当時のファースト・コール、ジム・ゴードンとジム・ケルトナー。楽曲的にもサウンド的にも文句なし。でもどうして俺の興味を惹かなかったのかと考えるに、バンド感が薄いってことなんですね。そして今、初めてきちんと聴いてますが、すごく良いですよ〜(笑)。やはり聴かず嫌いはいけません。


 5月1-2日 晴れ/曇り 体調・ふつう

 「見上げなくても 空はあなたの指先から始まっている あなたの想像力さえ超えて 限りなく」谷川俊太郎『写真ノ中ノ空』より。
VAN DYKE PARKS『Discover America』
 '72年にアメリカでカリプソを歌ったヴァン・ダイク・パークスは流石の才人だと、今にして思う。あの頃アメリカではノスタルジー・ミュージックの流れはあった。ライ・クーダー、レオン・レッドボーン、ダン・ヒックスそしてマリア・マルダーなど。グッド・オールド・アメリカン・ミュージックの潮流はあったけど、こっちはトリニダードのカリプソだからね。細野晴臣を聴いてヴァン・ダイク・パークスのこれを思い出したわけだが、'60年代以前のグッド・ミュージックを再認識したいという両音楽仙人の活動は古いのに新しくて刺激的だ。だって今聴いてもかっこいいもの。このアルバムの面白さのひとつがローウェル・ジョージ、リッチー・ヘイワード、ロイ・エストラーダのリトル・フィート勢が参加していること。古いカリプソ・ソングに新しい活を入れているのが彼等のサウンドだと感じた。俺が初めて本物のカリプソのレコードを買ったのは'77年でマイティ・スパロウだった。以後カリプソは大好物となったわけだけど、じつはこの『ディスカヴァー・アメリカ』を初めて聴いたのはそれよりずっと後のことだった。すまん、ヴァン・ダイクよ、'72年にこんなシャレた音楽を味わう力が俺にはなかったのだよ。


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月下の遊群CONTENTS
 
ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps