●2007●

 7月31日 曇り/晴れ 体調・ふつう

 夏の日差しに打たれるのは久しぶりだな。只今藤沢周平『漆の実のみのる国』を読んでいます。貧窮にあえぐ米沢藩の財政再建に乗り出した上杉鷹山のお話し。再建は思うように進まず、その成果が出たのは鷹山の後々の代になってからだったという史実は知っているものの、後世名君と讃えられた鷹山と重臣達の志の高さに触れてみたいと思います。
JOHNNY HORTON『ROCKIN' ROLLIN'』
 " 歌う太公望 " ジョニー・ホートンの50年代コロンビア録音集。お馴染み独ベアファミリーによる編集盤です。ここで聴かれる名手グラディ・マーティンのトゥワンギーなギター・プレイは、そのまま昨日聴いたようなサーフィン・ギターに繋がってるんだよね。ホンキー・トンクなんとかって曲名が多いのはハンク・ウイリアムズの影響でしょうか。で、ジャケに一緒に写っているのはエルヴィス・プレスリー。録音が'56〜'60年だから、当然エルヴィスやロカビリーの影響も大。もうとってもいかしたロッキン・カントリーというかR&Rアルバムですね。ホートンのホースヴォイス(だみ声)とシャープなロッキン・サウンド。'50年代にしてはサウンドが新しくて'70年代カントリー・ロックのような感じの曲もあります。ギター好きにとってはグラディ・マーティンのプレイで大満足。それにしても何故 " 歌う太公望 " なんだろ?と調べたら「シンギング・フィッシャーマン」というほど釣り好きで有名だったんだとさ(笑)。そんなジョニー・ホートンは1960年に31歳と云う若さで自動車事故に遭い亡くなったのですね。


 7月29-30日 雨/曇り 体調・ふつう

 またまた日記さぼってしまった。昨日は一日中二日酔いだったしなあ。大沢在昌『砂の狩人』上下巻読了。『新宿鮫』の近作でも感じたんだけど、これもくどいね。言い訳がましい感じで、そのせいで物語が長ったらしい。だからといってツマラナイわけじゃないんだけどね。
 昨日の参院選は自民党大敗。長崎では国見の小嶺先生が敗れましたね。久間前防衛相に担ぎ出され、その久間さんに足を引っ張られての敗北。「スポーツの世界とは違うところもあった」との敗戦の弁でした。みなさんお疲れさまでした。
ミューズメント『Random Access Melody』
 大好きなロック・バンド、カーネーションのドラマー&コンポーザー矢部浩志のソロ・プロジェクトです。ポップなインスト曲に混じって安藤裕子、鈴木祥子、武田カオリが詞とヴォーカルで参加。また音楽評論家として有名でしかも俺と同い年のふたり萩原健太と高橋健太郎がギター、ヴォコーダー、録音で参加。それからマダム・ギター長見順が存在感のあるプレイを披露しています。矢部がセッションでスライド・ギターをプレイしているのは知っていましたが、ここでも全編にわたって彼のスライド・プレイが聴かれ、それがドリーミーでスペイシーで良い感じです。スライドを含めギター・サウンドが印象的で爽やかなギター・ポップ・アルバムとしても楽しめます。4曲目のスペース・サーフィン・インストなんか聴いてると俺もやりたい!って気になるもんね。インストも良いけど3人の女性ヴォーカル曲もそれぞれにとても良いんですよ。これだけ良い曲を書けるコンポーザー矢部のポップ・センスにあらためてびっくり。まさに美メロのショーケースですよ。 


 7月26-27日 雨/曇り/晴れ 体調・ふつう

 夏休みの朝はラジオ体操ですねえ。今朝も娘にお供して参加してきました。小学生に混じって保育園児もお父さんお母さんに連れられて参加しています。想えば娘を初めてラジオ体操に連れて行ったのも保育園児の時だったな。
MONTE EASTER『THE COMPLETE RECORDINGS Vol.2』
 まるでいかさないヘア・スタイルのトランペッター、モンティ・イースターの'52〜'60年録音集。これはギタリスト、ジミー・ノーランを聴くためのゲット音盤。B級ジャンプ系コンボの垢抜けないジャンピンR&Bって感じなんですが、これはこれで味わいがあって好きなんですよ。全曲でノーランがプレイしていますよ。ノーランはテキサス系所謂ティーボーン〜ゲイトマウスの流れを汲むギタリストで、ジョニー・オーティス楽団で活躍し、65年からはあのジェイムズ・ブラウンのバックでファンク革命に荷担したことで有名(知る人ぞ知る程度かな)です。まあたしかにノーランのワイルドなギターは楽しめます。で、やはりどこかのどかなB級ジャンピンR&Bなんですね。 


 7月25日 晴れ/曇り/雨 体調・ふつう

 友人が経営している清津峡温泉の清津館(十日町市)でもキャンセルが相次いでいるという。所謂風評被害。津南・十日町地域は中越沖地震の本震にはヒヤッとする揺れは感じたものの、その後の余震はほとんどこちらまで届かない程だし被害もなかったし、まったく普通の生活ができている。それでも東京から眺めれば新潟県全域が危険地域に見えるらしい。新潟県の観光地はどこも大変だそうだ。
CHARLES BROWN『GROOVY』
 前日のビッグ・ビルに続いての英国レーベルRev-Ola盤です。'45〜'56年フィロ、エクスクルーシヴ、アラディンが原盤。チャールズ・ブラウンと言えばレイ・チャールズやサム・クックにも影響を与えた戦後西海岸で最高の人気を誇ったシンガー&ピアニスト。スロー・ブルースとバラードが売り物でその甘くて暗いムードのクラブ・ブルースが俺はそんなに好きじゃないんだけど、本盤はあれっ?とびっくりな程良いんですよ。初期のナット・キング・コール・トリオに似た感じの軽快で洒落たジャイヴ調がいかしてますよ。名手ジョニー・ムーアのギターに負けじとブラウンのピアノも小粋にスウィング。あ〜も〜これほんとに良いよ! 


 7月23-24日 曇り/晴れ 体調・ふつう

 24日、久しぶりの青空だ。やっぱり夏は暑い暑いとヒイヒイしていたいね。仕事上がりのビールも旨いし(笑)。でも月曜火曜は休肝日、ううう.......。
BIG BILL BROONZY『ROCKIN' IN CHICAGO 1945-53』
 戦前'30〜'40年代のシカゴ・ブルースの中心人物にして顔役、戦後は白人客相手に農夫兼シンガーを演じてフォーク・ブルースを歌った、と戦後部分には厳しい評価も聞かれるビッグ・ビルですが、本盤はその戦後録音。フォーク・ブルースでなくバンドを伴ったロッキン・ビートでかっこいいですよ。サックスのブロウに転がるピアノ(メンフィス・スリム!?)、ビッグ・ビルのエレキ・ギターもごきげんで、大衆音楽のバイタリティーに溢れています。ドラムだけをバックに弾き語りが3曲あって、これがまたビート感抜群の生ギターで、ほんとビッグ・ビルはギターの名手だな。もちろん格調高いその歌声にも大物感がプンプンです。後半の7曲はウォッシュボード・サム名義でこれまたノリノリな演奏。


 7月22日 曇り/雨 体調・ふつう

 昨夜のアジア・カップ準々決勝、日本vsオーストラリア戦の高原のゴールにしびれた!日本にようやく登場したワールド・クラスのストライカー高原。プレイの逞しさにドイツで揉まれ続けた成果が出てますねえ。嬉しいよお〜。小野も負けるなよ〜。
 北方謙三『水滸伝 十』読了。ついに呼延灼軍との戦い、連環馬も出てきましたね。しかし梁山泊、組織も大きくなり内部に苦悩も見えてくる頃かな。敵方青蓮寺も汚いこと考えてるしなあ。物語も半分終わりましたか。
高田渡『ごあいさつ』
 ごあいさつ「どうもどうもいやどうも いつぞやいろいろこのたびはまた まあまあひとつまあひとつ そんなわけでなにぶんよろしく なにのほうはいずれなにして そのせつゆっくりいやどうも」(詩・谷川俊太郎)。参院選の最中です。議員の皆さんの言ってることがすべてこの「ごあいさつ」に聞こえてきます。作者谷川俊太郎の鋭さなんだけど、自分のレパートリーにして広く紹介した高田渡もまた鋭い。有馬敲の詩に曲をつけた「値上げ」も笑わせる。今ならさしずめ消費税の歌ですね。♪値上げはぜんぜん考えぬ....値上げがあるとしても今ではない...値上げには消極的であるが年内値上げもやむを得ぬ...値上げにふみきろう♪と歌われる。笑えるけど悲しくなるね。ザ・バンドを意識したと思える重心の低い演奏を聴かせているのははっぴいえんど。「自転車にのって..ファンキーヴァージョン」の演奏はキャラメルママ。はつらつとシブい高田渡がここにいます。


 7月20日 曇り/雨 体調・ふつう

 カズオ・イシグロ『わたしを離さないで Never Let Me Go』読了。あまりに良い小説を読むと感想とかなにも書きたくなくなるね。もったいなくて(笑)。静かにしかし確実に身体に入り込んで来る小説でした。イギリスの寄宿学校で学び暮らす少年少女達の物語と思い読み始めました。でも様子が違うことに気づいて来ます。ミステリーでありSFでありそして人間そのものを見つめざるをえない小説です。彼女達の運命を知った時から、その切実な一刻一刻に寄り添わねばなりません。読み終えたばかりでまだ呆然と遠くを眺めています。
colleen『les ondes silencieuses』
 邦題『静かな波〜レゾンド・シランシウーズ』。コリーンことセシル・スコットはパリ在住の女性アーティスト。ヴィオラ・ダ・ガンバの音から始まる1.2曲目を聴き始めた印象ではクラシックのアルバムで室内楽による現代音楽かなと思わせます。彼女が演奏する楽器はクラシック・ギター、クラリネット、スピネット、クリスタル・グラスそしてヴィオラ・ダ・ガンバ。これらの楽器がミニマルに反復し、ドローンに響き、さりげないメロディーを奏でます。スピネットというのは小さなチェンバロのような古楽器らしいです。2007年の最新作ながら、ここにある音楽は時から隔絶した場所で奏でられる現代社会へのレクイエムのように聴こえます。クラシックではありません。 


 7月18-19日 曇り/晴れ 体調・ふつう

 原子力発電所の隠蔽体質って国策民営体質から来てると思うので、当然政府の責任も重いわけです。その政府自民党の隠蔽体質も相変わらずで、赤城大臣のバンソウコウのコト、誰かこっそり教えてくれないかな(笑)。
大橋純子&美乃屋セントラル・ステイション『S.T.』
 ベスト盤です。阿久悠、筒美京平による「たそがれマイ・ラブ」と来生えつこ、来生たかおによる「シルエット・ロマンス」は大橋純子を代表する名曲名唱でしょう。でも俺にとって忘れることのできない大橋純子は土屋昌巳在籍時の美乃屋セントラル・ステイションと一緒に歌う彼女であり、'77年3rdアルバム『レインボー』です。「フィール・ソー・バッド」「ナチュラル・フーズ」といったファンキーでスピーディーでスリリングな土屋色丸出しの美乃屋サウンドはあの頃の俺の憧れでした。大橋純子は後年「良くも悪くも個性の強かった土屋昌巳」とどこかに書いていましたが、土屋の居ない大橋&美乃屋は良質なシティ・ポップ・バンドに留まっていたと思います。もちろん大橋純子自身はシンガーとして堂々たる存在でしたが。これ程に土屋の美乃屋への印象が強い理由は、その頃TVで彼等のライヴを見たことが大きいと思います。野外のロックフェスのようでしたが、そこで感じたサウンドの新しさと巧さ、そして白スーツに帽子姿でストラトを弾く土屋昌巳のかっこよさ!後に一風堂で脚光を浴びた頃、「すみれSeptember Love」ヒットの頃(テクノ・カット+お化粧)と違って、まだ美乃屋の土屋はフツーに(笑)かっこよかった。ツチヤツチヤとばかり書いたけど美乃屋にはバンド・リーダーでドラムスの見砂和照 、キーボードの佐藤健と小田健二郎 、ベースの福田郁次郎、もうひとりのギター滝本大助、パーカッション高杉登と巧くてセンスの良いプレイヤーが揃っていて、その演奏に素晴らしい歌唱力の大橋純子が乗っていたわけだから、やはり凄いバンドだった。


 7月17日 曇り/雨 体調・ふつう

 昨日の地震は中越沖地震と名付けられた大地震だった。夜の地震特番では地震学者が今回の地震のメカニズムとやらを説明していた。「新潟県にはおわかりのように3本のシワが平行に走っておりまして、この一帯は特に地震が起きやすい地形なんですね。」なんですねっておい!俺ん家はまさにそのシワとシワの間にあるんだぜ!え〜いもう神頼みしかないのか?くわばらくわばら(は雷除けか?)。
泉邦宏『ゴー!ゴー!ジャンボマン!』
 ひとり渋さアフリカ支部!(笑)。盤友えーいちさんが置いていきました。渋さ知らズの(元?)メンバー泉邦宏による一人多重録音盤です。2007年最新作ですね。サックス各種、笛、腹太鼓、ギター、ベース、シンセ、ドラム、カリンバ、声、太鼓とひとりで大活躍の大盛り上がり(笑)。一人多重録音盤をいいことに詰め込み御免とばかりに音が満載の曲が盛りだくさん。ちょっとお腹がいっぱいになりました。そんな時、ラスト2曲がワン・ホーンで歌いあげる。構成も考えられているのでありました。


 7月15-16日 雨/曇り 体調・ふつう

 14日夜、BSで五つの赤い風船結成40周年記念ライヴをやっていた。植木いじりが似合いそうな好々爺な感じの西岡たかし、そして結成時からの相棒中川イサト、新メンバーの青木まり子と竹田裕美子がステージにいた。「遠い世界に」は高校の頃よくみんなで歌った。'60年代後期にできた曲でもちろん西岡の作詞作曲。'60年代のあの頃若者達はごく普通に " ぼくたち "" 俺達 " とか使って話していたと思う。同世代で連帯してる気持ちを持てた時代だった気がする。でも高校3年の時に読んだ 柴田翔『贈る言葉』(1966年作)の中に今でも憶えている場面があって、それは主人公の大学生が大学構内で「全学の学友諸君ー」とスピーカーが呼びかけるのを聞いて、「学友って厭な言葉だな」とつぶやく場面。苛立ちと屈折、諦観や虚無といった空気もあの時代にはあったと思う。そして'70年代が青春だった俺達は " しらけ世代 " と呼ばれたんだっけ。俺は'60年代の残り香を嗅いでいたし「遠い世界に」とか「戦争を知らない子供達」は今でも大好きだ。そして「結婚しようよ」と「神田川」はどうにも好きになれない。
 15日夕方は卯の木子供会のバーベキュー。そして16日10時すぎ、揺れた!久しぶりに大きく揺れた。ここの震度は4だったらしい。原発のある柏崎刈羽は震度6強!おいおい大丈夫か? 
V.A.『MONARCHS OF MINSTRELSY
    〜 Historic Recordings by the Stars of the Minstrel Stage
 アーキオフォン・レーベル3枚目はミンストレル。ミンストレル・ショーというのは19世紀末頃盛んだった舞台芸能で、一座を組んで町を廻って公演していました。歌や踊りやコメディーが主な出し物だったようです。白人が顔を黒く塗って黒人のふりをして芸をするのがミンストレルの当たり芸でした。作曲家フォスターもミンストレル一座に曲を売っていたそうです。前に聴いてきたラグタイムやストンプなどシンコペイトする音楽に比べて古臭く(じっさい古いんだけどw)面白味が感じられません。まだ余震が心配なのでこのへんで。


 7月14日 曇り/雨 体調・ふつう

 俄バンジョー熱に冒され、その昔手に入れたギター・バンジョーを取りだし弾いてみた。が、弾けなかった(笑)。以前弾いたときに弦やチューニングをいろいろ試してみたせいで弦の張り方が変則だった。いやはや...。
V.A.『STOMP & SWERVE 〜 American Music Gets Hot
 「米ポピュラー音楽黎明期に光を当てる画期的な復刻レーベル、アーキオフォン」by中村とうよう。と、とうよう氏に讃えられたアーキオフォン・レーベルを昨日の『REAL RAGTIME』に続いて今日も聴いています。本盤に収録されているのは1897-1925年に録音されたマーチ、ラグタイム、ポピュラー・ソング、ジャズ、ブルースなど。選曲のポイントはずばり " HOT! " 。ジャズ・エイジ、ローリング・トゥエンティーズ(狂乱の20年代)前夜の熱気を伝えてくれる貴重な録音盤です。'20年録音のメイミー・スミス「クレイジー・ブルース」は当時の大ヒット曲。この大ヒットによりブルース・ブームが起こり、ブルース録音が盛んになったんだそうです。ジャズ・バンドをバックに筋金入りのヴォードヴィル・ブルース。ぶっとい芸能魂を感じさせますね。


 7月12-13日 曇り/雨 体調・ふつう

 佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』読了。作者から放たれるイメージの流れに付き合わされ振り回された感じで、小説として好みじゃないし楽しくなかった。まあ俺には合わなかったということです。
V.A.『REAL RAGTIME 〜 Disc Recordings From Its Heyday
 早朝、音盤棚の整理をしながら聴いていたのはブランドン・ロス。彼は凄腕ギタリストでありながらバンジョーもよくプレイすることで有名。ロスの最新型音楽にバンジョーの音色が加わることで、アメリカ音楽の連続性が浮かび上がるような気がしました。さてラグタイムです。日本人に一番馴染みのあるラグタイム曲と言うと映画『スティング』で流れた「エンターテイナー」。スコット・ジョプリンのピアノ・ラグですね。ついでにバンジョー曲はと言えば映画『俺達に明日はない』で流れた「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」。名手アール・スクラッグスの演奏でしたね。スコット・ジョプリンの影響か、ラグタイムといえばピアノ演奏と思っていましたが、本盤を聴いた感じでは、ラグタイムはバンジョーから生まれたんじゃないかという思いがしてきました。1898年(古い!)から1919年にかけて録音されたラグタイム曲を収録した本盤で大活躍なのが Vess L. Ossman と Fred Van Eps という二人のバンジョー・プレイヤー。メロディアスでリズミカルなソロ・バンジョー・プレイを聴き、まさに目からウロコが...状態。バンジョーのよく転がる歯切れのいい音色がラグタイムにぴったりな気がします。また、マーチ王として知られるスーザのバンドもラグを演奏しています。スーザ・バンドが19世紀と20世紀の境目の頃にヨーロッパ演奏旅行をした時、一番受けたのが当時アメリカの流行音楽だったラグタイムとケイクウォークだったそうです。本盤の曲名を見るとRagは当然としてMarch、Cake Walk、Fox Trot なんてのがあり、ラグタイムって寛容(笑)な音楽だったようです。ジャズ以前のシンコペイテッド・ミュージックの総称だったかもしれないね。ラグタイムって。


 7月11日 曇り/雨/曇り 体調・ふつう

 このところ毎晩ボブ・ディランのDVD『ドント・ルック・バック』をコマ切れに(笑)見ている。映画は見たことがあったので新鮮な驚きがあるわけじゃないけど、やはり若いディランはかっこいい。そしてすごくナマイキ。
V.A.『DIP & FALL BACK
 DR.KINSEY TO HALLE SELASSIE
〜CLASSIC JAMAICAN MENTO
 '50-'60年代ジャマイカのカリプソ〜メント集です。これはジャケ買いです(笑)。ジャケ写真のジャマイカン・バンドが人懐っこくて惹かれました。聴いてみると内容も素晴らしい。しなやかでリズミカルで各楽器の音が楽しいね。ジャマイカの音楽と言えばレゲエだけど、それ以前'60年代のスカよりも前の'50年代にポピュラーだったのがメント。アメリカのR&Bの影響が濃いスカに比べ、メントはカリプソにとてもよく似ています。アコースティック・ギター、バンジョー、ルンバ・ポックスそれに手作りの竹のサックス、クラリネット、フルートなどが使われたようで、ジャケにもネックの短いバンジョーとルンバ・ボックスが写っています。'80年代にマルチニークのカリが『ラシーヌ』で鮮やかに登場した時に抱えていたバンジョー、あのネックの短いバンジョーがこのメントにもメロディー楽器として使われています。トリニダードのカリプソは良いリイシュー盤がたくさん出ているのに比べ、ジャマイカのメントはリイシュー盤も少ないようなのでこうした好編集盤はとっても嬉しいですね。


 7月9-10日 曇り/小雨/曇り 体調・ふつう

 北方謙三『水滸伝 九』読了。豹子頭林冲危機一髪。首領晁蓋自ら騎馬隊を率いて出陣。敵方青蓮寺もさらに強力に。物語の強力な推進力に乗せられっぱなし。次巻はいよいよ連環馬の呼延灼将軍登場か!?
 マイコプラズマ肺炎のため約2週間学校を休んだうちの娘が、ようやく今日から登校。長かったなあ。今夜は特別にポテチ・パーティーにしよう(笑)。
BENNIE K『THE WORLD』
 あっけらかんとアッパーで元気いっぱいな世界旅行。ベニーケーはシンガーとラッパーの女性ふたり組でもちろん日本人。ひとりは中学卒業後、もう一人は高校卒業後にそれぞれ渡米し、ふたりの出会いはLAだったそうだ。行動派なんだね、まぶしいなあ。なんでもグループ名のベニーケーは弁慶からとったそうだ(笑)。歌とラップが1曲の中に程良く共生していてとても良い感じ。


 7月5-6日 曇り/雨/晴れ 体調・ふつう

 " 腹いっぱいの愛を " じゃなくて " 腹八分目の愛を " 。川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』読了。究極の女たらしニシノ君の14歳から50代中頃の亡くなるまでを、彼とつきあった10人の女性による10篇の短編小説集。読み終わって気づくのは、ニシノ君は " 究極の都合の良い腹八分目男 " だったんじゃないか?ということ。女達は冷静にニシノ君との距離や愛の深さを測っていたりするのに比べ、ニシノ君は愛そのものの在処がわからず苦しみながらも、二股三股(もっと?)をかけて恋愛を重ねる。葬式のあと彼女同士がはち合わせ、「西野を愛するのは、せんないことだったけど、楽しいことでもあったからね。甲斐のある苦役だったわよ」と言われたりする。素敵な恋愛小説でしたよ。
くるり『Tanz Walzer』
 新作『ワルツを踊れ』ウィーン録音です。岸田が選んだMM誌年間ベスト・アルバム2006で10枚の内8枚がクラシック・アルバムだったのを思い出した。思い切りの良い人なんだな。だからといって、このアルバムがベタにクラシック臭くはないのですね。一安心(笑)。でも巧いんだよね、そのサウンドにクラシックの要素を埋め込むのが。感心しました。詞と歌声はくるりそのものだし、というか岸田繁だし、ウィーンで録音しようが大きく変わった感じはしません。いろんな曲調と転回するサウンド。アイデア豊富で抽斗の多さ。鋭い才気をさりげなさの中に隠した岸田繁にご用心!それにしても「ジュビリー」、こうした曲はムーンライダーズの鈴木慶一の独壇場だったのにねえ。


 7月3-4日 曇り/雨 体調・ふつう

 「もはや戦後ではない」と経済白書に明記され流行語ともなった昭和31年に俺は生まれた。高校生の頃はギターを抱えて高らかに「戦争を知らない子供達」を歌った。おれはバリバリの " 戦争を知らない戦後っ子" だ。俺より1歳半だけ年上の安倍晋三だが、特権階級意識の強い彼は俺とはまったく異なった戦後風景を見て育ったのだろう。彼は戦後が嫌いだ。彼の唱える戦後レジーム (終戦以来続いている政治体制)からの脱却とは、今の日本を「戦後」ではなく「戦前」に変えようというものだ。俺は日本が孫子の代まで戦後であって欲しいと願う。だから俺は安倍晋三が大っ嫌いだしアメリカ傀儡の自民党も大っ嫌いだ。
RUFUS WAINWRIGHT『RELEASE THE STARS』
 Harry Smith PROJECT LIVEで大活躍だったケイト&アンナ・マクガリグルのケイトを母にもつルーファス・ウェインライトの新作です。リチャード・トンプソン、ジョン・メデスキそしてセックス・モブのスライド・トランペッター、スティーヴン・バーンスタインといった腕達者が演奏陣に名が記されています。名が記されているとわざわざ書いたのは、彼等のソロ・プレイを期待した俺が、肩すかしを喰らったからです。ところがところがこのアルバム、そんなの関係なしに良い仕上がりなんですね。ゴージャスなサウンドに乗って朗々と歌うウェインライト。ロックでもポップでもないような、それ以前のポピュラー・ミュージックやクラシックを感じさせながらも現代的で素晴らしい音楽です。同じくゲイを名乗る(名乗ってるわけじゃないか?)アーティスト、ルイス・フューレイのファースト・アルバムに似た表情の曲があったり、クルーナー・ヴォイスが大瀧詠一に似ていたりして、そんな発見も楽しい。


 7月1-2日 晴れ/曇り/雨 体調・ふつう

 ボリス・アクーニン『リヴァイアサン号殺人事件』読了。舞台が19世紀末ってことでヴィンテージ・ミステリーの趣がありますが、でも作風になにか新しさも感じさせるミステリーでした。作者のボリス・アクーニンはロシアの人気作家で'56年生まれ。俺と同い年。このアクーニンという作家はもともと日本文学者であり日本の文化にも精通しているんだとか。アクーニンというペンネームは日本語の「悪人」からとったそうだ。いやとにかく面白かった。ついでに松本大洋『竹光侍 二』も読了。凄い絵だなあと毎度感嘆。刀の國房がひよひよひよと笑い、また次回。ははは楽しみ楽しみ。
V.A.『Harry Smith PROJECT
   Anthology Of American Folk Music REVISITED』DVD
 リージョンコードが合わず部屋のDVDプレイヤーで見られなかったこのDVD2枚ですが、店内のiMacで見ることができました!ぱちぱちぱち。やはりライヴは音盤より映像盤の方がより楽しいね。発見も多いし。まず楽しめたのがリチャード・トンプソン、ジェフ・マルダー、ルー・リードの60年代生き残りトリオ。見た目も音楽も贅肉無しで現役感たっぷりの演奏です。RTとガース・ハドソンの共演にニンマリし、ジェフの渋いスライド・ギターにまたニンマリし、ルー・リードのディープなアタッチメントをカマしたリード・ギターにまたまたニンマリ。ほんと楽しませてもらいました。エルヴィス・コステロのバックのクラリネットはNYダウンタウン派の才人ドン・バイロンでしたね。デブっちょデヴィッド・トーマスのバックを務めたのはヴァン・ダイク・パークスとリチャード・グリーンのストリングス・アンサンブル+ホーン・セクション。ヴァン・ダイクのアレンジと思わしき19世紀末ラグタイム風の演奏にレコード録音最初期を想いました。
 音楽とは豊かな想像である。てなことで。


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