●2007●

 10月29-30日 晴れ/曇り 体調・ふつう

 清津峡の紅葉を窓越しに眺めながら松井今朝子『銀座開花事件帖』読了。主人公久保田宗八郎30歳、元幕臣次男坊、けっこう屈折した性格なれどそこが母性本能をくすぐるのか女性にもてる。明治7年、生まれたばかりの東京という時代背景と舞台としての赤煉瓦の銀座がいい。
JIMI HENDRIX『THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE』DISC4
 このDISC4は'69年12月から死の約1ケ月前'70年8月20日のスタジオ録音を収録。ここでジミヘンはメジャー・チェンジを計る。黒人回帰というか、ロックのパワー・トリオからソウル・ファンクへと。この時期、'69年8月には大所帯バンド、ジプシー・サン・アンド・レインボーを結成しウッドストックの大トリに登場、その後ここに収録のバンド・オブ・ジプシーズを結成そして解散そしてエクスペリエンス再結成と慌ただしい。待望のエレクトリック・レディ・スタジオでのレコーディングを大いに楽しんでいたらしい。ただしライブ音源を聴くかぎり、さまざまな疲れからかプレイに精彩を欠くように感じる。ジミヘンのファンク・ロックは発展途上だった。生きていればいち早くパーラメンツ〜ファンカデリックのようなスペース・ファンク・オペラをやっていただろうし、プリンスの目の上のタンコブとしてロック〜ソウル界に君臨していたに違いない。と気楽に想像してみた(笑)。


 10月27-28日 雨/晴れ 体調・ふつう

 町議選投票日です。町議ともなると個人的に知っている候補も多いので思いは複雑。自立したというか合併したくなかった町長に従った形の津南町。明るい展望が描けない中、町会議員になろうという人達にはより広い視野でこの町の将来を議論し形にして欲しいと願う。ご苦労様です。
JIMI HENDRIX『THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE』DISC2-3
 ジミヘンの4枚組未発表ヴァージョン集。聴き始めるとやっぱジミヘンはいいわ、最高!。ロックだったらジミヘンだけでいいって気になってくるよ。『In The West』と同じ音源の「リトル・ウイング」「レッド・ハウス」「ヴードゥー・チャイルド」が収録されていますよ。もう興奮!スピーディーでワイルドでセクシーでソウルフルでおまけにディランで、やはり不世出のロック・スターだよね。叫んで泣いてスクィーズ・ミー(笑)、エレキ・ギターのこの豊かな表現力はどうだ!ジミの死後37年間ずっとその後のロックにつきあって来たけど、彼ほど凄いそしてかっこいいギタリストはいなかったぞ。と思うのどかな日曜の午後であった。


 10月26日 曇り/雨 体調・ふつう

 北方謙三『水滸伝十三巻』読了。読み始めたら一気呵成、面白いなあ。梁山泊軍本隊を率いた呼延灼、関勝、穆弘の戦いぶり、朱仝決死の奮戦など戦闘シーンはダイナミックでスリリングで当然面白い。けど今回は武松、李逵コンビが宋江の父を訪ね一緒に暮らし農耕を助ける、じつは敵から守る役目があったわけですが、このコンビの優しさと豪快な強さが際立つ一篇が、大きくうねる物語の中で程良いアクセントになっておりました。
JIMI HENDRIX『THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE』DISC 1
 ジミヘンの4枚組未発表ヴァージョン集。トップ曲は'67年1月スタジオ録音の「パープル・ヘイズ」。まるでニュー・ロックの狼煙だね。颯爽とかっこいい!。2曲目は'66年10月パリのライブ録音で「キリング・フロア」。疾走するブルース!原曲はハウリン・ウルフ。衝撃的なブルース解釈だったと思う。これなくしてはクリームもレッド・ツェッペリンもなかったかも。そしてこのCD1のラストは「ライク・ア・ローリング・ストーン」。'67年6月のモンタレー・ポップ・フェス。ロックのカリスマとしてアメリカに凱旋したその演奏。黒人でありながら(混血だけど)ロックの世界でチャンスを掴んだ男が、時代の寵児ボブ・デイランを歌う。これこそロマンじゃないかと、60年代〜ロックの時代を振り返って想う。


 10月24日 晴れ 体調・ふつう

 銀林みのる『鉄塔 武蔵野線』読了。こんな小説初めて読んだ。鉄塔小説!(笑)。夏休みの2日間、二人の少年、5年生の美晴と3年生のアキラが鉄塔武蔵野線の81号から1号までを遡る冒険物語。ただ鉄塔を辿るだけ?と思うのは大人の見方で、少年ふたりにとっては未知なコトに対するワクワク感、親に内緒で知らない土地へ向かうドキドキ感などとても大冒険なわけです。にわか鉄塔マニアになった気分で面白かった。
ハンバート ハンバート『道はつづく』
 この1年間で一番聴いてるのがこのアルバム。飽きないんだなあ。英国田舎音楽と米国田舎ロックが絶妙に混じり合い、それがフツーに日本の歌となっているんですね。カドの取れた聴き易いサウンドだけど、おもねたところがなく、凛とした自然体がとても良いのです。ハンバート ハンバートは佐野遊穂(ヴォーカル、ハーモニカ)と佐藤良成(ヴォーカル、ギター、マンドリン、フィドル)によるふたり組。作詞作曲は佐藤良成。彼の作る歌と佐野遊穂の歌声がとても穏やかで、この穏やかさはとても貴重です。彼等は友部正人とCCRのファンだそうです。とても良いお二人ですね。大好きな音楽のことを書くと、とてもとてもがとても多くなりました。


 10月21-22日 曇り/晴れ 体調・ふつう

『うた会 ふちがみとふなと』会場 津南町卯の木「なじょもん」

 俺達妻有我楽多倶楽部主催による初の野外コンサート「うた会ふちがみとふなと」は、ごらんのとおりの青空の下で行われました。お客さんは芝生に腰を下ろしたり稲のはさ木に腰掛けたりとそれぞれ思い思いの場所でライブを楽しみました。
 ふちふなさん....ふふふふっ。ふちふなさんのことを思うとつい顔がゆるんでしまいます。ふちふなさんはコメディー・バンドではありません。が、とても可笑しいです。渕上さんのたどたどしいMCはもう立派な話芸だし、毎回思わず吹き出してしまうような面白い歌が登場して油断も隙もないスリルを味わうことになります。♪〜百万円拾ったら女学校建てて僕先生 月謝は少しもとりません きれいな娘さん募集して 毎日恋愛エロ講義 裸ダンスを教えます 面白いですね〜♪ なんだこりゃ〜(笑)。これは昭和初期の歌で、流行歌手二村定一の持ち歌「百万円」。よくもこんな歌見つけてきて、しかも自分の持ち歌にしちゃうんだからまったくもう破天荒な面白さですね〜。♪〜クソったれ〜やってみろ〜♪と叫ぶ「汚い言葉で」これもねえ(笑)。しかしですね可笑しさだけが魅力ではありませんよ勿論。やはり温かさですね、ふちふなさんの歌の魅力は。ほんわか温かい「お店やさん」(船戸さんのコーラスで温かさ10倍)とか、懐かしく温かい「at home」とか、しんみりと温かい「泣く女」(この日は歌われなかったけど)とかね。ふちふなさんには美しい歌もたくさんあるんですよう。そうそうこの日印象的だった1曲に「鮪に鰯」がありました。山之口貘の詩を高田渡が歌ったその曲なんだけど、しみじみ反骨な良い歌だったなあ。
 まあとにかく良かった良かったの一日で、もちろん打上も盛り上がりました。ふちふなさんも俺達もみんな顔真っ赤で(笑)。


 10月19日 曇り/雨 体調・ふつう

 碍子連V吊男性型鉄塔、碍子連U吊女性型鉄塔、赤白巨大鉄塔、鋼管鉄塔と等辺山型鋼鉄塔、帽子を被った形の料理長型鉄塔などなど、これら数々の鉄塔が我が家の窓から一望できるんだな、と今朝知った。昨夜から銀林みのる『鉄塔 武蔵野線』を読んでいるせいだ。この地域は信濃川とその支流の中津川と清津川の囲まれていて水力発電所が多いせいで鉄塔も多い。その上アノ柏崎刈羽原発の送電線も山を越えて関東に向かっている。鉄塔は子供の頃から身近で普通なモノとしてソノ辺に立っていた。その形の差異を気にしたことはなかったけど、今朝眺めて見たら、その形が様々なのに驚いてしまった。しかもその異物感が面白い。本来田園風景とは合わないモノだろうから。鉄塔は俺のすぐそこにいるのだ(笑)。
STEPHEN STILLS『STEPHEN STILLS』
 そしてこれがスティルス'70のファースト・ソロ・アルバム。ジャケットには、雪景色の中、MARTIN 0-45Sを弾くスティルスと側で見守る赤いキリン(笑)。ジミ・ヘンドリクスとエリック・クラプトンがそれぞれ1曲ずつリード・ギターで参加している豪華なアルバムでした。「Love The One You're With」はその後フリー・ソウルで復活し、シブヤ系としてもて囃された。キャッチーなオルガンを弾いているのもスティルス。広い音楽性、音楽的なセンスも良いし演奏も巧い。冴えてるヤツがスティルスなら、シンプルで一本気なのがニール・ヤング。同じ年にサード・アルバム『アフター・ザ・ゴールドラッシュ』をリリースしたライバル、ニール・ヤングだけど、俺はヤングのアルバムの方により深いところで魅力を感じる。でも当時のスティルスの才気にも愛着があるのです。


 10月17-18日 曇り/晴れ 体調・ふつう

 川上弘美『大好きな本』もうじき読了。書評集なので気になる本からつまみ食いのように読んでました。主にトイレで(笑)。川上さんほどの小説家ともなると俺の10倍は敏感なんだな感受性が。そおか、そおゆうふうに感じることもできるわけか。と感心したり、わからんなあ〜と素直に思ったり。
STEPHEN STILLS『JUST ROLL TAPE』
 お〜!ひとりCSNですね。「青い目のジュディ」がソロの弾き語りで聴けるとはね。本盤はスティーヴン・スティルスが'68年4月26日にニューヨークのスタジオで録音したもので、正規じゃなくてデモ録音のようなものだそうです。それでもこの時代のスティルスの未発表音源集だからヨダレものですよ。この時代つまりバッファロー・スプリングフィールドとCSNの間。" 青い目の" ジュディ・コリンズのレコーディング・セッションでN.Yにいたんですね。翌年のCSNアルバムで発表される「Helplessly Hoping」「WoodenShips」「Suite:Judy Blue Eyes」の原型というかほぼ完成型がここで聴けます。チューニング・ダウンしてD(?)の変則チューニングで弾き始める「青い目のジュディ」のあの有名なイントロ!生々しいしやはり初々しい。


 10月15-16日 曇り/晴れ/曇り 体調・ふつう

 アーロン・エルキンズ『水底の骨』読了。スケルトン探偵ギデオンのシリーズですね。俺がこのシリーズ読むのは3作目だけど本作は12作目だそうです。ギデオンの本職は探偵じゃなくて人類学者。つまり残された骨から謎を解くというミステリイです。腕っぷしに頼らないミステリイはどこか上品です。
art ensemble of chicago
  『a jackson in your house/message to our folks』
 アート・アンサンブル・オブ・シカゴが'69年にパリで録音したアルバム。彼等は当時パリを根拠地に活動していましたね。ブリジット・フォンテーヌ『ラジオのように』に参加したのもこの頃。'69年のパリは前衛の都だったのかな?本作のAEOCメンバーはロスコー・ミッチェル(as)、ヨセフ・ジャーマン(as)、レスター・ボウィ(tp)、マラカイ・フェイバース(b)の4人。この4人の担当楽器、めんどうだから書かなかったけど、各人打楽器を含め多くの楽器を持ち替えて演奏しています。ステージでは黒人意識を強調した衣装やメイクで芝居がかった(勿論前衛でしょうが..)パフォーマンスを披露していたようです。本作を聴いていても感じるけど、音楽だけじゃない視覚的な要素を含んだジャズですね。シカゴ前衛派集団 AACM(Association for the Advancement of Creative Musicians)を代表するグループでした。生でライブを見たかったグループです。


 10月14日 晴れ 体調・ふつう

 昨夜はねえ..ほんとうなら横浜で浜田真理子さんのライブのはずだったけど、仕事を抜けられなくて行けなかったすよ。ああ残念!かわりにヒロさんとビール飲みながらバンド練習。21日に行う「うた会 ふちがみとふなと」で開演前の音楽をやるのですよ。本来はエレキでロックなんだけど、今回はドラム・ベース抜きのアコギ2人組でやります。オールド・ロックをアンプラグドでやりますんでヨロシク!って誰に言ってんだか(笑)。
あがた森魚『タルホロジー』
 バンド練習後、ヒロさんと酒を飲みながらCSN&Yの映像を楽しむ。見ながら感じたのは、この'70年前後に20代前半だった彼等クロスビー、スティルス、ナッシュ、ヤングの才能の煌めき迸り。ニール・ヤングは勿論だけど彼等全員いまでも現役で活動しています。それでも彼等のベスト盤はと考えると『デジャ・ヴ』『4ウェイ・ストリート』『アフター・ザ・ゴールドラッシュ』『ハーベスト』といった'70年前後の作品となります。う〜ん、これはしかたないことなのか。そこでデビュー35周年の森魚さん。誰でも知っている(であろう?)のは'72年の「赤色エレジー」。でも俺の場合、彼の初期の熱心なファンではなかったので、その後の彼のアルバム、空想冒険歌謡ロック(笑)とかテクノ・ニューウェイヴ歌謡、バンドネオン " あがタンゴ " など、変容ぶりを楽しめたし、その表現力豊かな歌唱の安定感に内心驚いていた。この最新作のあがた森魚は凄い。久保田麻琴も凄い。世界中の面白音楽からサンプリングされたエッセンスが押しつけがましくなくサウンドにとけ込んでいる。いやあ〜ビックリだ。とりあえず象徴的なのはブラジル北東部のリズムによるルイス・ゴンザーガ作「白い翼」と、まるでバルカン〜タラフ・ドゥ・ハイドゥークスな躍動感の「Sexi Sexi」。素晴らしい!


 10月12-13日 雨/曇り/晴れ 体調・ふつう

 今年は9月に入ってからも暑い日が続いたせいか紅葉は遅くなりそう。冬まで遅いってことはないだろうから、短い秋になるかもしれないな。
あがた森魚『タルホロジー』
 この数日、店関係の会やらなにやらで店にいないことが多くて日記もさぼりました。ずっとこの『タルホロジー』は聴いていました。あがた森魚の新譜はとても良いアルバムです。あがたがずっと以前よりその影響を語っていた稲垣足穂からとった " タルホロジー " 。「雪が谷日記」は足穂の日記にあがたが曲を付け語り歌っています。タルホ的盟友鈴木慶一がゲストヴォーカルの「東京節」あの♪ラメチャンタラギッチョンチョンデ パイノパイノパ〜イ〜ですが、さらに細野晴臣までもゲストで歌います。めちゃくちゃ楽しい!でもこれは大正ロマンのアルバムではありません。" アルバムというオブジェ的なものを作るのが好き " と語るあがただから、ここでも一筋縄とはいきません。そのうえ相棒プロデューサーが久保田麻琴だからさらに広く深くワールド・ポップなサウンドが加味されて、渋い高級感があります。このアルバム・ジャケットのような高級チョコレートの味わいがありますよ。つづく。


 10月9-10日 晴れ 体調・ふつう

 河治和香『侠風むすめ 〜 国芳一門浮世絵草紙』読了。江戸末期に活躍した浮世絵師歌川国芳とその娘登鯉(とり)そしてふたり取り巻く人達の物語。国芳の反骨ぶりとお侠な登鯉がとても魅力的で是非続編を期待したい。
いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー
   『アワー・コネクション』
 これと先に聴いた雪村いづみ、やまがたすみこのアルバムは日本コロンビア " 昭和アーカイブス " というシリーズのもの。これは'77年リリースで、コラボしてるのが元キャラメル・ママのティン・パンの人達。細野晴臣は半分6曲の作編曲も担当しています。矢野顕子がキーボード、吉田美奈子と山下達郎がコーラスという豪華なゲストながら、扱いが地味すぎてもったいないね。細野も控えめだし。いしだあゆみの軽やかというか貧血ぎみな歌声に合わせたのか、全体的におとなしめです。やはり「ブルーライト・ヨコハマ」の方が断然いいな。


 10月6-7日 晴れ 体調・ふつう

 北方謙三『水滸伝 十二』読了。晁蓋亡き後の梁山泊、盧俊義にも危機が...、北の将軍大刀関勝が梁山泊に出陣...、物語のうねりが大きいよ。丁寧な登場人物の内面描写と物語の大きなストーリーを見事に両立させた北方水滸伝は凄面白い読み物だ。
雪村いづみ『スーパー・ジェネレイション』
 大瀧詠一、細野晴臣両師匠関係の買い忘れ音盤。大瀧詠一の趣味趣味エレキ・インストに続いては細野キャラメル・ママが服部良一、雪村いづみとコラボした'74年の超名盤です。録音当時、服部良一67歳、雪村いづみ37歳、キャラメル・ママ平均年齢24.7歳だったそうです。あらためて服部良一と雪村いづみの大きさに気づかされました。昭和音楽の主流は歌謡曲で、その歌謡曲はもの凄い雑食性を持っていてナンデモアリの世界でした。GSだってフォークだって歌謡曲に取り込まれたわけだし。そんな歌謡曲の世界でもはみ出してしまうスケールの大きな個性が服部良一にはあったし、雪村いづみの歌唱力は歌謡曲に収まりきらなかったと思う。そしてその " 収まりきらない遺伝子 " を受け継いだのが細野晴臣だった。今でこそ音楽仙人のような細野さんだけど、この当時の彼はベース・プレイヤーとして最もホットだった。キャラメル・ママ〜ティン・パン・アレイと音楽職人集団を率いた彼は、常に新しいサウンドを模索していたし、荒井由実を起爆剤として歌謡曲のサウンドが変わるきっかけを作ったのも細野達だったと思う。まあとにかくこのアルバムは、服部良一、雪村いづみ、細野晴臣が集った唯一にして最高の成果だった。


 10月4-5日 曇り/雨/晴れ 体調・ふつう

 絲山秋子『逃亡くそたわけ』読了。博多の精神病院を脱走した21歳の女花ちゃんと24歳の男なごやん2人組のまさにロード・ムービー。乗ってる車が " 広島のメルセデス " マツダ・ルーチェ(笑)。病気を抱えての逃亡しているわけだから切なさ怖さも当然漂ってるんだけど、どこかあっけらかんと笑えてしまうのは九州が舞台だからか?全編主人公の博多弁がびゅんびゅん飛んでくる。新潟弁や東北弁じゃこうは行かないね。面白かった〜。
多羅尾伴内楽團『多羅尾伴内楽團vol.1&vol.2』
 多羅尾伴内こと大瀧詠一の趣味趣味エレキ・インスト集です。'77年vol.1は駒沢裕城のスチール・ギターを、'78年vol.2はエレキ・ギターに村松邦男をそれぞれフィーチャーしています。エレキ〜テケテケ〜GS・ブームは俺より上の世代の兄ちゃん達を熱くさせたようで、それも日本全国津々浦々で、だから俺が高校でバンド始めた時に周りの連中が持っていた楽器の多くは、兄貴達が使ったらしい、そして押入に入っていたらしいテスコやグヤトーンのギターでした。そう言えば子供の頃家にあった「家の光」にはエレキ・ギターやシンエイのファズ!の広告があったのを憶えています。俺が突然エレキ・インスト(フュージョンじゃないよ!)に熱中したのは'90年頃で、フェンダー・ジャパンのジャズ・マスターを買って(カタチから入るタイプだからw)しばらくテケテケ・ビィヨイ〜ン(トレモロ)・ビシャビシャ(濡れたリヴァーブ)で遊んでいました。ベンチャーズやシャドウズなんかのエレキ・インストってエレキ・ギター弾きにとってはとっても快感なんですよね。それでこの多羅尾伴内師匠のエレキ・インスト楽団、当時俺買ってませんでした(笑)。その頃は興味なかったのね。てことで初めて聴いています。ちょっとキレイすぎかなあ。まるでガレージ・パンクのようだった初期ベンチャーズのワイルドさとシャドウズのエレガントさを愛す俺だから、多羅尾楽団はちと物足りないです。


 10月3日 晴れ 体調・ふつう

 宇江佐真理『卵のふわふわ』読了。副題「八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」。主人公は八丁堀同心の妻で、その舅が腹空かせの食べ物好き。なので各章の題が「秘伝 黄身返し卵」とか「美艶 淡雪豆腐」そして「安堵 卵のふわふわ」など食べ物の名前です。でも美食小説ではありません。食べ物も質素です。捕り物付き江戸人情家族小説でしょうかね。
RY COODER『Borderline』
 '80年の本作だけ何故か紙ジャケ・リマスター・シリーズから外れていました。可哀想だから聴いてあげます。連続して聴いてるから気付いたけど、やはり音が小さいし音質もモコっとしていますねえ。なんで今回のシリーズから外れたんでしょうか。だってライのアルバムでは一番売れたやつですからね。前作の続編て感じで'50-'60年代のR&Bが多く選ばれています。そして前作より演奏に勢いが感じられます。特に1、2曲目の「634-5789」と「スピードゥ」はいかしてますよ。ウィルソン・ピケットとザ・キャデラックスのそれぞれカバーです。ライ・クーダー流R&B完成型ですね。表情豊かなドラムは勿論ジム・ケルトナー。テックス・メックス風バラード仕立ての「メイク・ア・ブロークン・ハート」はジョン・ハイアットの作品。しみじみとした大人の歌ですね。


 10月2日 曇り 体調・ふつう

 えーと、本日よりBフレッツです。光ですヒ・カ・リ。なんせ今までISDNだったからなあ。革命的な速さを期待していたんですよ。繋がってみてわかったのは、革命的ではないにせよ今までより速いってことですね。なにかもっと速くする方法があるのかな?
RY COODER『BOP TILL YOU DROP』
 '79年リリースの8作目はR&B集。ライのアルバム中一番黒っぽいし売れセンのアルバムですね。なんせチャカ・カーンとデュエットしてるもんね。1曲目「リトル・シスター」の軽快さとスイート・ハーモニーのイメージが強かったのか、好印象のアルバムだったけど、こうして連日ライのアルバムを聴き続けていると、やはり初期のアルバムにあったハッとするような面白さ(知らない世界を覗くような)が、ここでは感じられません。といって好きなことは好きなんですが。趣味性の強かった前作『JAZZ』に比べるとずっとポップな本作。おかげか全米ヒット・チャートで62位まで上がり、当時で30万枚売り上げたそうです。後で知ったことなんだけど、ライさんの音楽活動は玄人筋には評判となっていたんだけど、セールス的にはまったくパッとせず、生活苦に陥っていたとゆうことです。だからこの辺でヒットが欲しかったのかもしれません。結局ライさんを生活苦から救ったのは『パリ・テキサス』など映画の仕事だったそうです。


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月下の遊群CONTENTS
 
ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps