●2007●

 11月30日 晴れ  体調・ふつう  アマゾン禁止令発令中!

 北方謙三『水滸伝 十四』読了。満を持して官軍20万が梁山泊軍に襲いかかる。その合戦の駆け引きが面白すぎるぞ。楽しみはまだまだ続くね。
トクマルシューゴ『EXIT』
 〜「音を重ねだすとキリがなくなってしまうんですよ」と苦笑するこの青年〜とMM誌に紹介が載っていたトクマルシューゴ君の新作です。ひとり多重録音というのは甘い誘惑なんですよね。そしてトクマル君、多重と言ってもシンセではなく生楽器50種類以上を使ったとあります。いやあ優雅だなあ。しかもこの音楽には凄く才能を感じます。そのうえポップ。あれもこれもな感じで、歌を聴かせたいのかサウンドを聴かせたいのか、とっちらかった印象はありますが。でも楽しそうでうらやましいなあ。


 11月28-29日 曇り  体調・ふつう  アマゾン禁止令発令中!

 ジャック・プレヴェール『鳥への挨拶』読了。ジブリ映画のプロデューサーとして有名な高畑勲が訳と編集、そして奈良美智の絵という贅沢なのに人懐こい詩画集です。半年かけて1篇1篇読んでいました。歌の詩として作られた(のかな?)ものが多く、親しみと共にその反骨反権力ぶりが頼もしいです。俺はそもそもこのジャック・プレヴェールって名前が好きで、初めて知った時、なんてかっこいい名前なんだ!と憧れたものだった。ジャック・プレヴェール〜ジャック・プレヴェール〜う〜んしびれる名前だ。
ハルメンズ『近代体操』
 懐かしいなあ。1980年のジャパニーズ・ニューウェイヴ。サエキけんぞう、上野耕路がいたバンドとして知っている人だけ知っているハルメンズでしたね。今聴いてみると、新しいロックへの意気込みに溢れていたんですね。サウンド的には古びたとこもあるけど、その意気込みと一体になった音楽はけっこう新鮮です。パンクでアヴァンギャルドを装いながらもポップでキャッチーなロック。あの当時に俺も目指したかったロックなんでしたねえ。ちょっとハズレた周波数〜バッチューニン、バッチュニン♪これはジュリーだけど(笑)。プロデュースは鈴木慶一でコーラスには野宮真貴がいたり。ライダーズ周辺の音楽でしたね。


 11月26-27日 晴れ/雨/曇り  体調・ふつう  アマゾン禁止令発令中!

 桜庭一樹『私の男』読了。禁断の愛ですか。このふたり、世界中でお互い以外は求めていない眼中にないという超わがままなんだけど、読後感は不思議に良いんです。作家の力ですね。作中に欠損家族と言う言葉が出てきました。家族の在り方と世の中の仕組みとか少し考えてみました。装画は南アフリカ生まれの女性画家MARLENE DUMASの「Couples」とあります。魅せられる絵ですね。
Patti scialfa『Rumble doll』
 パティ・スキャルファが'93年に発表したファースト・アルバム。バックがやけに豪華だと思ったら、彼女ブルース・スプリングスティーンの奥さんだった。E・ストリート・バンドのメンバーでもあるし。ニルス・ロフグレン、ジェフ・ポーカロ、ラス・カンケル、ジム・ケルトナーなど、そしてもちろんブルース・スプリングスティーンが参加してます。プロデュースはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのマイク・キャンベル。だからギター・ロックです。この鼻にかかった歌い方はアメリカンな感じで、だからいかにもアメリカン・ロック!好きですよ。


 11月24-25日 晴れ  体調・ふつう  アマゾン禁止令発令中!

 浦沢直樹『PLUTO 4』読了。ロボット刑事ゲジヒトの物語が深化してる。ちょうどミュージックマガジン今月号の和久井光司の記事の中で、和久井が浦沢のことを「手塚治虫とディランでできているような男」と言ってました。浦沢の音楽好きは知っていたけどディラン・マニアだったとは!
V.A.『BLUE GIRLS Vol.3 1924-1933』
 女性ブルース・シンガーのオムニバス盤です。アンナ・リー・チザーム、コーラ・パーキンス、ヴァージニア・チャイルズ、エヴァ・パーカー、ルル・ジャクスン、ルビー・スミスを収録。初めてのシンガーばかり。もの憂いです。ピアノ弾き語りルビー・スミスのブルース小唄な感じは好きですね。あとペイス・ジュビリー・シンガーズのコーラスをバックに歌うエヴァ・パーカーは聴き徳ですね。「ケアレス・ラヴ」グッドです!なぜか西部劇が思い浮かびます。


 11月23日 雪/雨/晴れ  体調・ふつう  アマゾン禁止令発令中!

 五十嵐貴久『1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター』読了。1995年東京国立、ヒロイン美恵子は1951年生まれの44歳。そんな彼女が同年代女性4人とバンドを組んでディープ・パープルのロック・スタンダード「スモーク・オン・ザ・ウォーター」に挑むお話し。まあ軽いノリで楽しめました。さて「アマゾン禁止令」ですが、これはこのごろ目に余る自身のお気軽ネットショッピングを自制し己の内に巣くう物欲主義を反省するため、アマゾン他ヤフオクだの楽天だののネットショッピングを今日から約半年間禁止するというものです。この機会に部屋の棚に眠る音盤を聴き直し、これまた本棚に眠る内容を忘れてしまった本達を読み直そうと思います。だからこの音盤日記にはまったく影響ないわけですが。「買わない!」まあこのへんから己の生活態度を見直そうと考えておるのですよ。娘へのプレゼントくらいは買いますが(笑)。
BESSIE SMITH
 『Nobody Knows You When You're Down And Out』
 クラプトンが『レイラ』で歌った「Nobody Knows You...」は良かったなあと思い出しました。クラシック・ブルース。ベッシー・スミス、その影響力を思えばブルースの女王ですね。パワフルにもメランコリックにも歌える素晴らしい歌唱。本盤にクレジットはないけど、この'24-'29年録音にはルイ・アームストロング、ジェイムズ・P・ジョンソン、チュー・ベリーなど一流ジャズ・マンが共演しています。エディ・ラングのギターがおしゃれに絡む「キッチン・マン」はまるで古いシャンソンみたいな雰囲気。グッドですよ!マリナさん。なつかし(笑)


 11月20-21日 晴れ/雪/晴れ/雨  体調・ふつう

 秦新二『文政十一年のスパイ合戦〜検証・謎のシーボルト事件』ようやく読了す。緻密な検証報告です。シーボルトのスパイ行為より当時の開国をめぐる幕府の政治状況にスポットを当てた所がスリリングでした。
栗コーダーカルテット『ウクレレ栗コーダー』
 外は雪景色で、心静かにこれを聴いてます。栗コーダーカルテットは栗原正巳、川口義之、近藤研二、関島岳郎というどこかで聞いた名前の4人がリコーダーやウクレレで和ませてくれるグループです。映画スターウォーズの「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)」がファンの間では「やる気のないダース・ベイダーのテーマ」として愛聴されていますよね。リコーダーとウクレレというテンションを感じさせない音色合奏による「ウルトラセブンの歌」「ハイウェイ・スター」「ボヘミアン・ラプソディー」など、誰もが聴いてみたいんじゃないですか?(笑)


 11月18-19日 曇り/雨/初雪  体調・ふつう

 天気予報についに雪だるまが登場。あわてて立木の冬囲いやら冬への支度に忙しい。18日夕方、ついに初雪。19日朝の積雪は10〜15センチくらい。
LOUDON WAINWRIGHT V『STRANGE WEIRDOS』
 ルーファス・ウェインライトの親父、ベテラン・シンガー・ソングライターのラウドン・ウェインライト。シブいだの枯れてるだの" 大ベテランだから..." など斟酌無用の素晴らしい新作です。相棒プロデューサーはジョー・ヘンリー!いいねえ。ヴァン・ダイク・パークスのアコーディオンが流れリチャード・トンプソンのギター・ソロが飛び出すトップ曲「Grey In L.A.」でツカミがバッチリ。ラウドンの'70年代以降の活動がどんなものか知らなかったけど、本作で聴かれる現役感たっぷりの歌声はほんと素晴らしい。また全編で聴かれるアナログなバンド感はジョー・ヘンリーの手腕だろう。スライド・ギターやマンドリンでセンスの良いプレイを聴かせるグレッグ・リースをはじめバックの落ち着きのある演奏も心地良し。


 11月15-16日 曇り/雨/曇り  体調・ふつう

 横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されたまま30年が経ちました。新潟日報の特集写真、めぐみさんを写した横田家の家族写真ですが、見ていて涙が止まりませんでした。なにか自分にできることがあったらしてあげたいと思っているのは私だけでなく国民の多くにある感情だと思います。でもこれは悔しいことに国対国、政治の場でしか解決ができないことです。日本政府も国会議員も全力を挙げてこの拉致問題を早急に解決しなさい!!。
佐々木秀実『聞かせてよ愛の言葉を』
 浜田真理子さんのブログで話題になっていたので聴いてみました。ヌーヴェル・シャンソンとかの人と記憶していた女性シンガーですね。シャンソンやファドなどヨーロッパのポピュラー・ソングをその国の言葉で歌っているようです。アマリア・ロドリゲスの名曲「難船」は日本語詞の「霧笛」としてちあきなおみと浜田さんの歌で馴染んでいる歌です。アルバム全体としてアレンジに不満が残りましたが、2曲で演奏しているポルトガル・ギターのデュオ、マリオネットが聴けたのが嬉しいですね。


 11月12-13日 曇り/晴れ/雨  体調・ふつう

 去年は12日が初雪だった。でも少雪な冬だった。さて今年の雪はどうだろう?雪国の人間はこの時期になると雪のことが常に頭にある。冬は難儀でやはり恐い。
ミオ・フー『ミオ・フー 2』
 ムーンライダーズ鈴木博文の突然復活プロジェクト第二弾、政風会に続いては23年ぶりのミオ・フー。女性ヴァイオリン奏者で元リアル・フィッシュの美尾洋乃とのユニットですね。ライダーズ周辺に水族館レーベルとか湾岸スタジオに集まる若者達が賑やかだった時代を思い出します。美尾さんはカーネーションとかパスカルズでもプレイしていましたね。このアルバム、静かで音数が少なくミニマルな響きが感じられます。が、なにか手強いものがあります。イブシ銀てことかな(笑)。メイン美尾洋乃、アドバイザー鈴木博文といった作りで政風会のようには博文色は出していません。と思います。


 11月10日 曇り/晴れ 体調・ふつう

 いとうせいこう・みうらじゅん『見仏記』をささっと読んでます。仏像巡りの珍道中記です。なにかとサブカルに絡めるのが可笑しいね。まったく本業がわからないふたりです(笑)。以前みうらが奥村チヨを引っぱり出したその明るいマニアぶりと手腕には驚いたし拍手喝采したね。うちの娘に言わせると「いとうせいこうとみうらじゅんはNHK教育だよ」だって。いやはやたいした御二人だ。
政風会『政風会』
 はまるなあ。俺ロックとぴたりと重なり合う感じ。直江鈴木直江鈴木直江鈴木...と交互にヴォーカルと曲が変わってるけど、アルバムの主旋律は'70年代初期のロック、もっと絞ればずばりニール・ヤングですね!重心の低いモッコリとしたサウンドにウェットなメロディーが乗っています。ちょっとヤサグレていながら誠実さは隠せない、そんなイイ感じのオジサン・ロック。良い曲揃いだし、こんなアルバムが売れてくれたらいいのになあ。


 11月8-9日 晴れ 体調・ふつう

 店舗床の張り替えが昨日終わりました。床だけ新品でちょっと変な感じです。佐高信『西郷隆盛伝説』読了。明治維新とは支配の紋が「葵」から「菊」に変わっただけの王政復古だったし、歴史の真実とは勝者の歴史ではなく敗者の歴史にこそあるのだ。佐高はそれを書きたかったのだと思うし、俺もまったく同感だ。佐高は山形県酒田市の生まれでそこは幕末の庄内藩。戊辰戦争で奥羽越列藩同盟は賊軍で新潟も山県も敗者の大地だった。でもそれは武士の歴史であり、当時人口の八割を占めた農民の歴史とは当然違いがあるはずだ。多くの時代劇で舞台や主人公が農村や農民でないのは何故なのか考えてみるのも、ひとつの歴史観を養うのに良いことだと思う。安易に使用される日本人=武士道・サムライってのが俺はイヤなのだ。西郷隆盛が心配したのは虐げた百姓のことではなく滅び行く武士のことだったんだな。
政風会『政風会』
 オビには結成22年目のファースト・フル・アルバムとあります。へんだなあと考えてみたら直江政広が政太郎と名乗っていた頃のアルバムはカップリング・アルバムだったかなあ。ムーンライダーズの大ファンだったからもちろんこの政風会も知っていました。直江政広のカーネーションがここまで大成するとは思ってなかったもんね。その直江とライダーズ鈴木博文の忘れられていたバンド政風会が突然アルバムを発表したもんだから驚いたよ。スタートいきなりロックな音圧にやられて嬉しいね。直江は直江で鈴木は鈴木の個性でロックしてるとこがとっても良いです。つづく


 11月6日 曇り/雨/曇り 体調・ふつう

 4日5日と山梨へ行ってました。ワインとウイスキーとビールの旅でした。よく食べよく飲み、ああ腹くっちぇ(笑)。旅館のテレビには民主党小沢党首が映っていました。政策で論争することなく常に政局ばかりに策を巡らすオザワ・ザ・ブッチャーにはウンザリだな。
細野晴臣〜HARRY HOSONO & THE WORLD SHYNESS
     『FLYING SAUCER 1947』
 ハリー・ホソノ氏の新譜は氏の還暦記念盤ですね。ゆるくほっこりとしたスウィング感は氏の初期ソロ・アルバムの頃から心のバック・ビートだったような気がします。気のあった腕達者な仲間達とバンドを組んでのホソノ流ヒルビリー〜スウィング・ミュージックを聴いていると、音楽の新しさ古さっていったいなんだろうかと思います。'40年代のアメリカ・ポピュラー音楽なんて日本中で知っている人の方が断然少ないはずだから、ここでホソノ氏がやっている音楽を新鮮で新しいものとして聴いてくれる人もいるはずですね。ポピュラー音楽ってこうして廻り廻っているのかな。UAが歌で、内橋和久がダクソフォン&アレンジで参加したホソノ曲「夢見る約束」がとってもストレンジで良いですね。素敵なクルーナー、ホソノ氏を再認識。思えば、はっぴいえんどってロック・バンドのヴォーカルふたり細野・大瀧が、じつは共にクルーナーだったてのが面白いね。


 11月2日 曇り 体調・ふつう

 松井今朝子『果ての花火 銀座開化おもかげ草紙』読了。『銀座開花事件帖』の続編です。そしてまたもや鬼退治はおあずけ。もうさっさと鬼退治しての新展開を期待したんだけどね。でもこの落ち着きのあるプチ・ミステリ風味は気に入ってます。続編待ち遠しい。
V.A.『KINGS OF CALYPSO』
 スカに続いてはカリプソ。'50年代イギリス録音らしいです。ロード・インヴェイダーがいます。あとはマイティ・テラー、ノエル・アンソニー、ベン・バワーズがいます。カリプソは風刺的な歌詞が重要だと言われるけど俺なんか歌詞が判るわけじゃない、けどサウンドはとても楽しめるので大好きな音楽です。シャカシャカと軽快にスウィングするリズムに無理矢理乗っかってくるヴォーカルがちょっとオトボケ風で楽しいし、イナたいラッパのメロディやちょっと小粋なギター(?)のソロとか、やっぱシャレた音楽だと思いますよ。小粋に田舎っぽいってのかな(笑)


 11月1日 晴れ/曇り/雨 体調・ふつう

 やれやれ11月だよ。冬の足音が感じられるねえ。
V.A.『GAZ'S ROCKIN' BLUES/CLUB CLASSICS』
 ジョン・メイオールの息子ギャズがクラブDJとして人気だって耳にしたのはもう昔のことだったと思う。コンピュレ盤をリリースしているのも知っていて、ロッキン・ブルース関係は単独盤で持っているのも多かったからギャズのコンピュレ盤に特別興味はなかった。ところが今世紀に入ってから(笑)手軽に聴けるベスト盤とかコンピュレ盤とかを聴く機会が増えた。歳のせいか、いちいち単独盤をピックアップするのがめんどうくさくになったせいなんだが。ということでギャズ選曲の2CDロッキン・ブルース〜スカ集を楽しんでいます。アーサー・クルダップ「I Want My Lovin」をトップ曲にツカミはばっちり。スカとのカップリングということで、ブルース面はアッパーな曲が並んでます。DJ感覚なんですね。ピート"ギター"ルイスが活躍のジョニー・オーティス楽団が嬉しいな。スカ面はイナたいラッパがいかにもだけど、その中でハードなトゥーツ&ザ・メイタルズが懐かしく良かった。


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月下の遊群CONTENTS
 
ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps