●2008●

 2月28-29日 雪/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 昨日27日はよく降ったよ、一時は本気の雪降りだった。午前午後と雪かきに出て、夜も大荒れで心配しながら翌朝外を見たら、それほど積もっていなくてほっとした。それでも雪かきには出なくちゃならないけど。29日は待望の晴天。気持ちいい〜。夜は娘と子供会の雪像作りだ。
 北方謙三『水滸伝 十七』読了。全十九巻の十七巻目で、どうも総帥童貫率いる禁軍との戦いがクライマックスとなる予感。原典にあったような、朝廷に帰順し官軍として宋の外敵遼、方臘などとの戦いに駆り出され、過酷な戦いの中多くの同志が死んでいく梁山泊の終焉...といった話しとは違った結末になりそうだ。それにしても敵ながら天晴れな童貫軍の強さ。そろそろ轟天雷の大砲に活躍して欲しいが、次の巻あたりに起死回生の一発ってのがあるかな。早く読みたいけど終わってしまうのが寂しいような。
奥田民生『Fantastic OT9』
 奥田民生の " エレキ・ギター大好き " 全開のアルバム。雑誌のインタビューで、ステージではマーシャル3段積みでコードはカールコードで、とかロック度を強調していると語っていたけど、まさにこれもそんなロック度満点のアルバム。小原礼(b)、斎藤有太(kbds)、湊雅史(ds)がバックの基本形で、ギターは全て奥田が弾いている。相変わらずと言えば相変わらずの民生節。ぶっきらぼうで人懐こい歌が骨太ロック・サウンドに気持ちよさそうに乗っかってる。
  ♪〜 愛を夢を胸に抱いといて 歌いながら ずんずん進む
      左か右かは何ひとつしらん そういう 明日はどうだ 〜♪
 そりゃあ、こんあふうに歌えたら気持ち最高だよね。エレキ掻き鳴らしてさ。


 2月25-26日 雪/曇り  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 川上未映子『乳と卵』読了。ページ開いたとたん、改行がなく句点もカギ括弧も極めて少ない文章のベタさが目に飛び込んできて、うわ〜これ苦手かも?と思いながら読み始めた。ところが不思議とすらすら読めてしまった。大阪弁で饒舌な口語調の文体は、かなり練り込まれたワザが詰まっているとみた。面白かった。登場人物は女3人だけ。豊胸手術と生理...。男として興味深くもありました。ぱちぱちぱち。
高田みち子『TOKYO GIRLS TALK』
 タモリが一番面白く刺激的だった頃にやっていた音楽バラエティ『今夜は最高』。この番組のハウスバンドがコルゲンこと鈴木宏昌(p)率いるコルゲンバンド。松木恒秀(g)、岡沢章(b)、渡嘉敷祐一(ds)達がメンバーで、フュージョン・ブームの前から " 日本のスタッフ " のような音楽を聴かせてくれた大好きなバンドだった。今は亡きコルゲンさんの代わりに野力奏一が参加し、今ではWhat is HIP?というバンド名で活動する彼等がバックアップしているアルバムがこれ。おまけに竹内まりやに似ているとか書かれていたのでつい聴いてしまった。もうすっかり忘れていたけどこれはシティ・ポップですね。それも堂々たる王道ポップス。そしてここで歌われている世界は上に書いた『乳と卵』とはまさに " 対岸の彼女 "。格差社会を考えてしまった。もちろん音楽そのものは心地良いですよ。でもこの路線で行く限り、竹内まりやとユーミンの壁は高く厚くそびえているし、ポップスとしても鈴木祥子ほどの冴えは感じられなかったけど、もっと寄り添えば良さが滲み出てくるような音楽って気もするな。


 2月24日 雪  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 朝起きて階段を降りる時、おっけんちん汁のにおいが...。おおっと52歳の誕生日だったぜ。俺の誕生日には母がけんちん汁を作って祝ってくれるのですよ。
ムーンライダーズ『Sweet Bitter Candy 秋〜冬
 いかにもムーンライダーズな、青春のおじさん達を感じさせるナンバー。ゲスト・ヴォーカルの奥田民生が見事にハマってますよ。
              :
 鈴木慶一  いつの日か 甘い星くず ポケットに
        持ってるような 人になるよ 〜♪
              :
 奥田民生  いつの日か 苦い思いは ロケットに乗せて
        飛ばせるような 男になる 〜♪
              :
 慶一民生  キャンディ 夜が明ける
        ゆっくり大人に なってゆくぼくら
         なにかを 決めなきゃね 〜♪
              :
 若い頃から、あんな男になりたい、おっこんな男もいいな、となりたい男を想像していたのに、52歳現在なれたのはフツーのオジサンだったな(笑)。でも朱夏を生きている(青春の次は朱夏だから)俺としては、人生まだまだこれからなんで、せめてロマンの残党としてふんばりたいと思っているのであります。と、かる〜くロマンの残党宣言(笑)。


 2月23日 晴れ/雪  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 時代錯誤。今朝新聞の社説読んでたら最後の一言で吹き出した。「本を捨て、街に出よう」。..そして誰も本を読まなくなった平成日本で「本を捨て、街に出よう」とはあまりに空疎だな。「見る前に跳べ」ってのもあったな。'60年代末の若者達に放たれた言葉だったよね。あの頃の若者達は今よりずっと本を読んだし社会意識も高かったことをふまえての先の発言だったはず。今の若者がもっと本を読んでいたらヒットソングの詞ももうちょっとはマシになるし、明るい無邪気な全体主義に陥ることもないのにと思うけど。無意識下で全体主義が進行しているのが今の日本。なんか息苦しいんだよな。俺が信奉するロックンロールの第1テーゼ「お前が何をしてもいいけれど、俺のブルースウェードシューズだけは踏むんじゃないぜ!」。エラそうなこと言いながらも小心者の俺には全体の名で個を押しつぶすような世の中は怖いしもちろん御免だ。
LINDA THOMPSON『VERSATILE HEART』
 このアルバムの参加者の中でテディ&カミラ・トンプソン、 ルーファス&マーサのウェインライト兄妹、イライザ・カーシー、ジェニ・マルダーはみんな二世ミュージシャン。彼等彼女等の親達の音楽を愛聴してきた俺にとって本盤はいろんな意味で嬉しいアルバムです。地味だけど凛としたこの歌の世界に若い者達が参加し、歌の切実さ誠実さを学ぶのは良いことと思います。またリンダもルーファス・ウェインライトに贈られた美しい曲「ビューティ」を歌うことで若い感性に触れることになったりで、世代間の素直な交流が微笑ましくもあります。トム・ウェイツの「デイ・アフター・トゥモロウ」、イラクで戦う若いアメリカ兵が故郷に向けて思いを綴る曲ですが、これをジョン・ドイルのギター1本をバックにして娘カミラと歌うリンダの滋味を感じさせる歌声が素晴らしく、ゆえに切実な歌として静かに沁みてきます。


 2月22日 晴れ  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 上橋菜穂子『闇の守り人』読了。『精霊の守り人』の続編です。生まれ故郷カンバル王国に養い親ジグロの汚名を晴らしに帰ったバルサ。活劇が冴えまくった『精霊の..』とはすこし趣が異なり、本編では心理面で多くを語らせているようです。地底世界とそこに棲むもの達をファンタジックに描くワザは流石。物語の楽しさを堪能しましたよ。
LINDA THOMPSON『VERSATILE HEART』
 リンダ・トンプソンの新作。息子と作った歌を息子と娘と一緒に歌い演奏し、そして仲の良い友人達も親子でサポート。だからといってただのほのぼのファミリー・アルバムではなく、背筋のピンと伸びた凛々しい音楽がここにあります。素朴で温かなアルバムです。いいなあと気持ちよく聴いていたら閉店時間となりました。閉店がらがら〜。つづく


 2月20-21日 晴れ/雪/曇り  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 今朝娘が泣いていた。飼っているインコの1羽が死んでいたのだ。娘が初めて飼ったペットでそして初めての死だった。
Grady Martin『ROUGHNECK BLUES 1949-1956』
 超ごきげんな音盤です。へんてこなダブルネック・エレキ・ギターを抱えたグラディーさんのジャケット写真を目にしただけでエレキ好きは即買いですね。グラディ・マーティンはナッシュヴィルで活躍したカントリー系セッション・ギタリストで、これはそのセッション・ワークのコンピュレ物。そのセッション・プレイはじつに幅広くて、レッド・フォーリー、ジョニー・ホートンといったカントリーからバディ・ホリー、ジョニー・バーネット・トリオといったロカビリー&R&R、そしてブレンダ・リーのようなポップ系からなんとブルースのセシル・ギャント!。セッション・マンという脇役ながらアグレッシヴなプレイは爽快です。ポピュラー・ミュージックの世界でエレキ・ギターはまだ発展途上だった当時、ギター・プレイヤーのその弾く喜びが勢いとなって伝わってくるよ。エレキの先達に拍手拍手また拍手!


 2月19日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 ようやく晴れた!嬉しい!。大雪でも晴れ間があると助かるね。
高橋克彦『天を衝く 2』読了。この第1巻は昨年読みました。なんで間が空いたかと言えばこの主人公九戸政実に違和感を覚えたからで、けど全3巻買ってあったから読まねばもったいないし、それにとても評判の良い作品ではあるのですよ。戦国時代陸奥南部氏の一族九戸党を束ねる九戸政実の物語。戦記戦略小説として面白く読めるけど、武士の滅びの美学ってやつが好きじゃないからな。
サンタラ『High & Low』
 アコギを中心としたサウンドにはCSN&Yなど'70年代初期アメリカン・ロックへの憧憬が感じられるね。これはサンタラのインディーズ時代のアルバムにライブ音源をオマケした音盤です。この頃から今のサンタラは出来上がってましたね。アメリカン・ルーツ・ロックに影響されたシンプルなサウンドと独特な節回しとネバっこいメロディが魅力の田村キョウコ。ラスト曲「MUDDY WATER」、リゾネーター・ギター1本をバックにしたブルース、これなんか聴くとやはり関西のバンドだな京都だなあと思います。京都の大学で結成されたサンタラですからね。


 2月16日 雪  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 今朝店のシャッター開けたらどーんと50センチの積雪。一昨年の豪雪を思い出したよ。消雪用の井戸水が連日の使用でついに枯れてきて雪を消せなくなった。この先まだ降り続くようだとツライな。
サンタラ『Hey, Romantist!』
 雪片付けにうんざりなので、ちょっとアッパーな音楽をと思いまして。あら?意外としっとり(笑)。シンプルな楽器構成だけど、その使い方が巧いからふわぁっとした広がりを感じさせます。田村キョウコのちょっとはすっぱで悪ぶったようでじつは気の良いお姉さんな歌声が好きだし、それに相棒砂田和俊の弾くギター系がさりげなく効いているね。アコギ、エレキ、リゾネーター、12弦そしてバンジョーを曲に合わせて使い分けていて、それが楽しそう。俺もその気持ちよくわかるから(笑)。持ってる楽器はみんな使ってみたい!ってその気持ち。


 2月15日 雪  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 毎日毎日10センチ20センチ30センチと降り積もるので、少雪と思ってた今年の積雪はいつのまにか平年並みとなったようだ。お日様が恋しいなあ。
EDITH PIAF『LA VOIX DE LA CHANSON FRANCAISE』
 その昔『パリのミュゼット』という音盤を愛聴してまして、それはパリ下町のダンス・ミュージックでアコーデイオンによって奏でられる音楽でした。それでミュゼットというのはフランスで言うところのアコーディオンかと思っていました。ところがこのピアフのアルバムで田中勝則の解説を読んでいたらおっとっととなりました。ミュゼットというのはオーヴェルニュ地方の人達がパリに移り住む時に持ち込んだ楽器でバグパイプの一種だそうです。ところがこのミュゼットのダンス音楽にいつしかイタリア移民が持ち込んだアコーディオンが使用され取って替わられたんだそうですな。なあるほど。それからラストに収録の『群衆』という素晴らしい曲がありまして、もちろんワルツで、そしてもちろんピアフの名唱が聴かれる曲なのですが、この曲は南米ペルーの曲とあります。軽快なノリのワルツでして、巻き舌の強調はスペイン風だとあります。歌も楽器も世界を廻るってことですねえ。


 2月14日 たまに晴れまた吹雪  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 蜜蜂が怖いやうに 私には接吻が怖い。
 夜も寝られずに 僕は心配だ。
 僕には接吻がこはい!
    :
    :
 今日は聖ヴァランタンのお祭だ!
 今朝僕はかの女に云はねばならないのだ......
 でもそれは 何と云ひにくいことだ
 ああ、聖ヴァランタンのお祭はつらい日だ!
    :
  ポオル・ヴェルレエヌ「若い哀れな牧人」より 

 毎日2、3篇づつ読み続けている堀口大學翻訳詩集『月下の一群』ですが、今朝たまたま(ほんとだってば!)開いて読んだ詩がこれだった。ほんとにたまたま...。
EDITH PIAF『LA VOIX DE LA CHANSON FRANCAISE』
 ヴェルレエヌの詩を読んだせいかシャンソンが聴きたくなったので、エディット・ピアフ『シャンソンの声』。「愛の讃歌」も「バラ色の人生」も入っていない本盤をピアフ最高の編集盤だと言い放つ選曲者の田中勝則。その言い分は「ワルツこそピアフの真実であり、素晴らしいリズム感こそ彼女の最高の魅力だった。」ということだ。俺はシャンソンやピアフに詳しいわけじゃないが、LP盤の頃からシャンソンには親しんでいたから田中さんのワルツへの拘りも判る気がする。なによりミュゼットが奏でるワルツは大好きだし。三拍子そのものが好きだから。つづく


 2月12-13日 雨/雪たまに晴れまた吹雪  体調・普通 アマゾン禁止令発令中!

 穂高明『月のうた』読了。登場人物が澄んでいて瑞々しく綺麗な小説でした。そして読みながらちょっと涙が滲み出ちまいました。歳とったら涙もろくて...ね。主人公は中学生の民子で、小学生の時に母親を癌で亡くしている。父と祖母がいて継母がいる。物語は民子の語りから始まり、継母宏子の語りになり、亡き母の親友祥子の語りとなり、最終章は父亮太が語り手となり、それぞれの立場から民子や家族への思いが語られる。民子が大学生として東京へ旅立って行くとこで物語は終わるんだけど、まだこの先、民子を始めみんなのその後の暮らしぶりに触れていたくなるような、別れがたいような素敵な小説でした。
鈴木常吉『ぜいご』
 江戸っ子の鈴木常吉です。まだこの'06年作が最新作だと思います。つれれこ社中の人でした。その前やってたセメントミキサーズは知らなかったな。一見古風なその洒落っ気は江戸っ子の末裔って感じがします。田舎では育たない洒落っ気だものね。歌から感じられる折り目正しい寂しさ哀しさ、だけどそれに湿り気はない。レトロ・モダンな雰囲気がある。鈴木の唄とアコギにアコーディオン、そしてコンポステラのふたり中尾勘二と関島岳郎によるブラス隊。鈴木翁二の絵、桑本正士の写真はいかにもオフノート・レーベルという印。真面目で真っ直ぐに音楽に向き合うレーベルの孤高な志を感じさせる音盤であります。神谷さんに拍手!


 2月10-11日 曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 今野敏『リオ』読了。警視庁強行犯係・樋口顕シリーズです。以前読んだ同シリーズ『朱夏』が面白かったので読んでみたけどこれも良かった。当然警察小説でミステリーで、ストーリーも登場人物の出来も良い小説なんだけど、主人公のヒグッちゃん(樋口顕)がねぇ...真面目人間でいつも悩んでるわけさ(笑)。どうも悩みの根底には昭和30年前後生まれの世代というものがあるんだね。ヒグッちゃんは昭和30年生まれで作者今野も30年生まれ。31年生まれの俺と同世代なんだよね。「全共闘には乗り遅れ、遊びの世代にもなれなかった..」「私達は、常に全共闘世代の残飯を食わされてきたんです。」という思いの強いヒグッちゃん。同じ年の妻には「あなたは被害者意識がつよすぎるのかも..」と言われてしまうヒグッちゃん。作者の思いなのか全共闘世代への批判をやたらに口にするヒグッちゃんに俺はちょっとシラケ気分(どうせ俺達シラケ世代だしw)。学生運動全共闘を世代と結びつけるとこにムリがあるでしょう。団塊世代の大学進学率は1割程度だったらしいし、地方農村からは中卒で集団就職した所謂「金の卵」が都会の工場や商店で多く働いていたし、だから全共闘運動してた大学生なんてほんとごく一部だったはず。たしかに俺の世代にとって団塊の世代って目の上のたんこぶに思える時もあるけど、作者のようにイコール全共闘世代と書かれると違和感を持っちゃうね。小説は面白かったけど、そこだけ妙にひっかかった。
大工哲弘『ウチナージンタ』
 サハラ 砂漠のティナリウェンの次は八重山諸島石垣島の大工哲弘だ。謳い文句は「小さな島の大きな記憶。八重山諸島に漂着したヤマトうたがジンタサウンドにのって甦る。大工哲弘が朗々と歌う、もう一つの近代史。」だ。どうだ!はいっまいりました。素晴らしいです。素朴で大らかで力強いです。歌われているのは大工さんのお祖父ちゃんが良く歌っていたという明治から本土復帰に至るあいだの流行歌で、それらの曲が替え歌となっているのが多いです。「カチューシャの唄」「 籠の鳥」「 東京節」「 安里屋ユンタ」「さよなら港」など。大工さんの唄と三絃、奥さん苗子さんの唄と囃子、そして強力ジンタ隊は梅津和時、大熊亘、中尾勘二、関島岳郎、向島ゆり子、石川浩司、長谷川&高田宣伝社。プロデュースは梅津和時。島唄の大工哲弘に古い流行歌を歌わせるという企画がずばり的中ですね。たしか続編もあったはずだから、そのうち見つけよう。


 2月7-8日 雪/曇り/雪/曇り  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 樋口有介『ぼくと、ぼくらの夏』読了。青春ミステリーです。と、自分で照れてる。もっと大人のミステリーを読めって。主人公達の親だって俺より若いし(笑)。でも好きなんだよ青春ミステリーとか学園ミステリー。樋口有介は『彼女はたぶん魔法を使う』が俺的に好印象なんだけど本作もとても面白かった。高校生の主人公がハードボイルドよろしくワイズクラックを使うんだよね。ナマイキなやつだ(笑)。" NHK少年ドラマシリーズ " な感じで懐かしさもある。もしかしてホントにドラマ化されたのを見たことがあったのかも...?。
TINARIWEN『AMAN IMAN』
 " 砂漠のブルース " ティナリウェン。砂塵舞い上げ大地を穿つ骨太ロックと見た!。前作『アマサクル』が良かったので期待の新作でしたが、さらにパワーアップして凄いバンドになってる。彼等はサハラの誇り高き遊牧の民ベルベル系トゥアレグ人。今は西アフリカのマリを生活拠点として音楽活動をしているそうだ。砂漠を背景に荒くれたならず者達がエレキ抱えてる、このジャケット 写真だけでも今のロックには感じられない得体の知れぬ迫力がある。アメリカのブルースをアフリカ音楽と簡単に結びつけちゃう論法には腹立たしさを覚えるが、このティナリウェンの音楽はブルースに通底した感覚がある。とくにエレキ・ギターのヤサグレたサウンドはじつにブルースだね。ワン・コードでズ太くグルーヴする曲はブルースならジョン・リー・フッカーな感じだ。リーダーのイブラヒムはボブ・ディランとボブ・マーリーに感銘を受けたという人で、けっして伝承音楽家ではない。音楽に対しては柔軟な頭を持ち、出てくるサウンドは強靱だ。21世紀のリアル・ブルースだなこれは。


 2月5-6日  曇り/雪/晴れ  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 海野碧『水上のパッサカリア』読了。情念系ロマンティック・ミステリーかと思ってましたが、意外やあっさり淡々系。回想が含まれたストーリーだからもあるけど、このさっぱりしたタッチは作者の持ち味でしょうか。ストーリーも登場人物も良く出来ているのに、俺はもうちょっと濃い〜方が好きかな。
TOTO LA MOMPOSINA『PACANTO』
 トトー・ラ・モンポシーナ『パカント』。南米コロンビアを代表する女性シンガーです。コロンビア音楽はコンピュレーション盤とクンビアの音盤など少ししか聴いてないけどカリブ系ラテンとインディオ系フォルクローレが感じられる音楽で気に入っていました。トップのタイトル曲ではクラーベの五つ打ちが聴こえてきてキューバ音楽がざざざっとうち寄せて来るし、アフリカを感じさせる太鼓と笛の音楽、マリアッチのようなブラス、そしてダイナミックなクンビアなどコロンビア音楽の多様さが楽しめます。トトーのケレン味のないスカッとした歌いっぷりが気持ちいいですね。伴奏で聴こえるダブル・コースのギターのような弦楽器もじつにいい。欲しい(笑)。ラストの西アフリカ伝統音楽「ママ・ワタ」ではいかにもなアフリカン・エレキ・ギターが伴奏し、これがまったく違和感なく、アフリカと南米・カリブは近いんだなと実感。なんでもトトーさんはコロンビアのノーベル文学賞作家ガルシア・マルケスのお気に入りで、ノーベル賞授賞式のセレモニーに同行し歌を披露したそうです。写真で見た感じは庶民的な肝っ玉母さんで、そのふくよかさと人懐こさが歌にも表れていますね。大衆音楽のパワーを感じさせてるとこが素晴らしいです。


 2月3日  雪  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 節分です。豆まきです。世間的には盛り上がっているのだろうか?うちは静かだなあ。子供の頃は大好きなお菓子をまいてもらって拾うのが楽しかったな。今じゃ自分がまく役目だからなあ。
DONALD FAGEN『KAMAKIRIAD』
 日本語の「カマキリ」とは関係ないらしい。フェイゲンのニュー・エイジ・カー「カマキリ号」からアルバムはスタートする。前作から10年ちょっとぶりの'93年リリースのセカンド・ソロ・アルバム。相変わらずAORなジャズファンク・ロック。前作程の吹っ切れた渋みが感じられず、ドナルド・フェイゲンの作にしては物足りないなってとこ。プロデュースはウォルター・ベッカー。前作の後ずっとスランプだったフェイゲンと、そしてドラッグ中毒の療養生活を送っていたベッカーによるリハビリを兼ねた復帰作だったと今にして思う。


 2月2日  晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 雪が降り止んでしばし休戦。道路沿いの雪の壁もブル&ロータリー&ダンプによる除雪隊が取り除いていったので車の出入りも楽になった。
Donald Fagen『The Nightfly』
 煮詰まった鍋を捨てて新しい鍋で料理してみました...ってとこかな。ドナルド・フェイゲンのソロ第一作は『ガウチョ』への不満を吹き飛ばす傑作でしたね。今では名盤の誉れ高い'82年作品。渋いね。ハードボイルドだ。苦み走ったいい男ドナルド・フェイゲンが素敵です。惚れました(笑)。このアルバムのテーマ、フェイゲン曰く「50年代後期から60年代初期にかけて北東部の都市郊外に育った若者が心に抱いていたファンダジー」だそうです。肩の力が程良く抜けたラフな仕上がりが良い感じで、リズムに開放感があるのも良いね。一流セッション・プレイヤー総動員は『aja』『ガウチョ』と同じだしプロデュースもゲイリー・カッツでダンと変わりないのに、ずいぶんと吹っ切れた風通しの良い仕上がりで、やはり気持ちの持ちよう(短絡的w)でガラリと変わるんだね。


 2月1日  雪  体調・普通  アマゾン禁止令発令中!

 北方謙三『水滸伝 十六』読了。精強を誇った史進の遊撃隊を手玉に取る禁軍の童貫強し。燕青と洪清の体術による静かで壮絶な闘いが凄い!。公孫勝がついに青蓮寺を急襲。新たにラストへの序章が始まった感じ。
 今年は少雪で助かると言いながら、連日の除雪作業がボディ・ブロウのように効いてくるのです。
Steely dan『Gaucho』
 第一期スティーリー・ダンの'80年作ラスト・アルバム。当時の一流セッション・プレイヤーを総動員したようなレコーディング。売れっ子プレイヤー達のスケジュール調整が大変でレコーディング・セッションも細切れ状態。それでも緻密で洗練されたサウンドは流石だけどいかんせんAORなスティーリー・ダン。随所に聴かれる素晴らしいギター・プレイもAORな感じでコーティングされてしまい上品なBGMに聴こえてしまうのが残念。当時流行のAORフュージョンを眺めながら、テクニックってなんだろうか?と考え始めた気がする。感覚的でエネルギー感溢れたトーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』やポップ・グループのアルバムが凄く刺激的だった1980年だった。


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ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps