●2008●

 11月29日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 天気が良いので2階洗濯干場(バルコニーみたいな)の防雪ネットを張り始めた。この頃やることといったら冬支度ばかりでうれしくないのだ。
THE BROTHERS FOUR『GREATEST HITS』
 カミさんのCD棚にあったので聴いています。ブラザース・フォーってまともに聴いたことなかったから。'60年代初頭のムーヴメントだったフォーク・リヴァイバルの中、モダン・フォークとして人気のあったグループで、あとキングストン・トリオとピーター・ポール&マリーが有名。彼等が大学生だったのでカレッジ・フォークとも呼ばれ、その影響は日本にも飛び火してカレッジ・フォーク・ブームをおこしたんだよね。俺の上の世代の話しだな。アイビー・ファッションがギター弾きながら健康的な歌を歌っていたってイメージがある。「バラが咲いた」の感じかなあ。そんな本家本元のブラフォーだけど、やはり垢抜けてる。フォーク・ソングから土や草の匂いの変わりにセッケンの匂いがする感じでなんだか大学のグリークラブ(男声合唱団)がフォークを歌ってる風に聞こえるんだけど、でもこれはこれで嫌味がなくて良いんじゃないかな。「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」の間奏ギター・ソロなんか、なかなかスインギーでかっこいい。エリック・アンダーソンの「おいでよ、僕のベッドに」を折り目正しく歌っているのが可笑しいし、「青春の光と影」ではニュー・フォークを意識したちょっとラフな歌い方をしてみたりで面白い。フィル・オクスの「木の葉の丘」の原題は「CHANGES」。♪風に舞う花びらのように 僕達は銀のヒモであやつられるパペット 何もかも変えられていく〜 希望と挫折...フィル・オクスのその後を知っているだけに、ちょっと切なくなった。


 11月28日 雨/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 ドラマ『風のガーデン』がいいなあ。貞三(緒形拳)が息子貞美(中井貴一)のキャンピングカーへ乗り真相を知るシーン...。ちょっとした仕草表情から目が離せない。脚本は倉本聰で演出は宮本理江子。宮本は脚本家として倉本のライバル山田太一の娘だそうだ。ルイ( 黒木メイサ)と岳 ( 神木隆之介)がとても良い、とくに貞三とのやりとりが素晴らしい。中井貴一はその滲み出る清潔感のせいで馴染めない役者だったけど、難しい貞美役のそれこそ入魂の演技に惹きつけられる。笑顔の内側に泣き顔が透けて見える、役者って凄いなと思う。倉本脚本で北海道で石田えり・布施博とくれば『昨日、悲別で』を思い出す。あれも良いドラマだった。この頃のTVドラマは漫画原作のドラマ化が多く、いかにも子供若者向けな感じでバラエティー化している。俺はニュース・ショーやバラエティーよりは質の良いドラマが見たいのだ。
FOTHERINGAY『2』
 英トラッドの歌姫サンディ・デニーがフェアポート・コンベンションの次に在籍したグループがこのフォザリンゲイ。'70年にファースト・アルバムをリリースし翌年には解散した短命エレクトリック・トラッド・バンドだった。ファーストと同年にセカンド・アルバムに着手し完成間際に解散にてしまったためセカンドは日に目を見ずマスター・テープは散逸状態だったそうだ。そのテープを回収し編集し目出度くリリースに漕ぎ着けたのが元フォザリンゲイにして我等テレキャス愛好者が誇る(笑)" 惑星一のベンド・マスター " ジェリー・ドナヒューだ!どうだ。聴き所はもちろんサンディ・デニーの歌とジェリーのギター。けっこうサウンドがハードでびっくり、プログレに聴こえる箇所もあったりで面白い。ロックがまだまだ沸騰していた時代の熱い記録だ。


 11月27日 曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 色川武大『なつかしい芸人たち』読了。春風亭柳朝の章「あした天気になァれ」にしんみり。" 自分が主役でないと思ったら、一気に隅のほうにひっこんで、悪あがきを見せない。....淡泊、見栄坊、恥かしがり屋。あるんだなあ、私(色川氏)にも。" 。あるんだなあ、私(俺)にも。身につまされた(笑)。登場する芸人達、俺の全く知らないか、名前だけ知っているか、または晩年を見た憶えがあるそんな芸人さん達。戦前の浅草水族館でカジノフォーリーのエノケン・二村定一のオペレッタに笑い転げ、国際劇場ではターキーに拍手喝采し、新宿ムーランルージュで有島一郎達のアチャラカ軽演劇を楽しむ、そんなタイム・トラベルがしてみたくなったな。可笑しくて哀しい芸人さん達を面白く活写した色川武大。小学校5年頃から浅草をうろつき小さな劇場や映画館をはしごしたという。そんな色川武大本人がもっとも興味深い人物に思えてくる。
Anne Briggs『Anne Briggs』
 そして昨日に続きこちらがアン・ブリッグスのデビュー・アルバムでセカンドと同じ'71年作品。セカンドがオリジナル中心だったのに対しこちらはトラッド・ソング中心だ。英トラッド・ファンならば、アンの持ち歌「Blackwaterside」をバート・ヤンシュがアンから教わりレコーディング、その曲をジミー・ペイジがカバーして出来上がったのがツェッペリンの「Black Mountain Side」だということは有名な話し。サンディ・デニーにも影響を与えたという彼女のトラッド・シンギング、清涼と立ちのぼる朝霧のように現れて、気づかぬうちに身体に奥まで入り込んでいる、おそろしく浸透力のある歌声だ。なにか魔法の力が働いているのかも....。


 11月25-26日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 母とふたりで母の姉が入所している老人保健施設を訪ねました。母の姉は以前と変わらず穏やかな笑顔で迎えてくれました。でもほとんどお喋りをせずただニコニコしているだけでした。いつものことながら寂しい思いで施設を後にしました。
Anne Briggs『The Time Has Come』
 英国トラッド・フォークの歌姫だったアン・ブリッグス'71年作品。ギターとブズーキを弾きながら自作を歌っているんだけど、その清楚な歌声と達者な弾きっぷりに惚れ惚れします。曲調とギターの浮遊感がジョニ・ミッチェルに似た感じもあります。オープン・チューニングを多用しているからかな。ギターの方はバート・ヤンシュからの影響が大きいそうですが。英国には素晴らしい女性フォーク・シンガーが各地にいますね。イングランドのサンディ・デニー、シャーリー・コリンズ、マディ・プライア、ジャッキー・マクシーなど、宝庫アイルランドだったらドロレス・ケーン、メアリー・ブラック、モーラ・オコンネル、モイア・ブレナンにエンヤもいたし、スコットランドにもカパケイリーのシンガーとかまあ英国各地にはたくさんいて、フォークということで地味な存在ではあるんだけど、大地の香り草の匂いのする彼女達のたおやかな歌声は一度耳にするとずっと身体の中に居続けるような心地よさがあります。その中でもアン・ブリックスはずっと伝説的シンガーとして語られていました。'73年にサード・アルバムを録音したけど満足がいかず未発表のまま音楽活動を止めてしまったという話しでした。つづく


 11月23-24日 曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 中学生の頃、姉が映画雑誌「スクリーン」を毎月買って読んでいた影響で俺もあの頃の映画やスターを懐かしく想い出したりする。姉はアラン・ドロンのファンで、俺はジョアンナ・シムカスが好きだった。昨夜DVDで『冒険者たち』を見た。'67年のフランス映画でアラン・ドロンとリノ・バンチェラそしてジョアンナ・シムカスによる愛と友情と冒険の映画。映画の登場人物の歳を追い越してしまったせいなのか、妙な醒めた感傷に浸りながら見た。あの頃のアラン・ドロンのひりひりする鋭さが凄いね。
伊集加代子、沢田駿吾グループ『GO GO SCAT〜恋のフーガ』
 '68年のアルバムです。ジャケットはオッパイぽろりです。きゃ〜(笑)ぽろりの女性は伊集さんではありませんよ、念のため。伊集さんと言えばなんといっても「11PM」の♪シャバダバシャバダバ〜のスキャット、そして「ルパン三世のテーマ」のオープニング♪ Lupin the Third 〜のコーラスが有名です。伊集加代子の名前は知らなくても伊集さんの歌声なら誰でも知っている、そんな存在なのですね。このアルバムは伊集さんとそのグループ、シンガーズ・スリーのスキャットをメインとしたイージー・リスニング・ジャズ。軽いラテン・タッチでとても洒落てます。子供の頃、TVドラマや映画のバックでよく流れていたのがこんな音楽だった気がします。あの頃大人の音楽だなと思って聴いていた音楽が、今聴いても大人の音楽と感じるってことは、こっちがあまり成長していないってことかな(笑)「11PM」のテーマ・ソングが耳に入ると周囲を気にしたりして(笑) 


 11月21-22日 曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 久世光彦『マイ・ラスト・ソング』読了。" あなたは最後に何を聴きたいか " というテーマの音楽エッセイ。16日に三軒茶屋で聴いた浜田真理子&小泉今日子のライブがこの本をもとにした企画だったので是非読んでみたかったのだ。想い出の歌に想い出の人を絡めたドラマのような文章にしみじみ感動した。死ぬ間際にどんな歌を聴きたいか?などと考えたら、俺の場合あれもこれもと止めどなく浮かんできそうでコワイ。
小林啓子『ちょっと気分をかえて』
 ♪ うちは比叡おろしですねん あんさんの胸を 雪にしてしまいますえ 〜 このオソロシ・ソング「比叡おろし」が超ポップス「恋人中心世界」とカップリング・シングル盤だったとは驚いた。「比叡おろし」は当時からその歌の得体の知れ無さでよおく知っていたけど「恋人...」はずっと後になって渋谷系に掘り起こされるまでほとんど忘れていた。ストレートのロングヘアーにジーンズでいかにもフォークなお姉さんが、いきなりヤング101ではミニスカートでポップス歌いながら踊って登場したのには驚いた。いやいや良い想い出なんですが。そんな彼女の'77年シティ・ポップ・アルバムがこれ。なんで聴いてるかといえば、高橋幸宏などサディスティックスの面々や松木恒秀達がマジに新しいポップスを生み出そうと頑張っていた頃のアルバムだからなんですね。成果はどうかといえば、ポップスじゃない「比叡おろし」が一番印象的だった。


 11月20日 初雪/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 志水辰夫『みのたけの春』読了。「変わりばえのしない日々のなかに、なにもかもがふくまれる。大志ばかりがなんで男子の本懐なものか」と主人公清吉は思う。舞台は幕末の但馬貞岡領。郷士清吉は病弱な母をかかえた貧しい生活の中養蚕に精を出す。京都に近く時代の変わり目を感じ血気にはやる若者達。維新を遠景に山里に暮らす親子兄弟の在り方を近景に、青年清吉の清冽な生き方がまぶしい。
JOE WALSH『SO WHAT』
 " だからどうだっていうんだい " と不敵な面構えのジョー・ウォルシュがジャケットで睨む。「タイム・アウト」と「ターン・トゥ・ストーン」は自分達のバンドでカバーしたことのある大好きなナンバーだ。この'74年のサード・アルバムにはイーグルスの面々も参加していて、この後ジョーはイーグルスのメンバーとなるわけだ。このアルバムのサウンドは『ホテル・カリフォルニア』に持ち込まれ、イーグルスをカントリー・ロック・バンドから完全に脱皮させてしまった。ワイルドでビター・スイートなジョーのロック、颯爽としたカントリー・ロックと哀愁のバラードのイーグルス、その両方が好きだった俺は、両者が一緒になったと知ってちょっと残念だった。それぞれに持ち味を発揮して欲しかったと、その頃は残念に思っていた。今では落日アルバム的に語られる『ホテル・カリフォルニア』だけど、これはこれで今でも大好きだし素晴らしい名盤だと思っている。だけど『ホテル...』以降、ジョーからもイーグルスからも気持ちが離れてしまった。たまに聴くのはその昔のアルバムだけになった。


 11月18-19日 晴れ/曇り/晴れ/雨一時みぞれ  体調・普通  

 天気予報に雪マーク、今年もやっぱりやってくるのね、と冬支度を急かされる。立木の冬囲いに消雪ホースの設置に地下倉庫シャッターの囲いに...まあいろいろあるんだわ。
JOE WALSH『THE SMOKER YOU DRINK,THE PLAYER YOU GET』
 どんより曇り空が暗く重そうで、雪になるのかなあと気弱になる心にカツを注入するためにジョー・ウォルシュ。いきなり「ロッキー・マウンテン・ウェイ」! このギター・サウンドはサイコー。俺もこの曲はライブの定番で何度もギター弾いてるけど、ゆるくウネる大らかなシャッフルに乗ってスライド・ギターをタメこんで弾いていく気持ち良さったらないんだよね。「ウォーク・アウェイ」からジョー・ウォルシュに入ったから、シンプルでキャッチーでファイト一発なロッカーってイメージが俺の中にあるんだけど、じつはメロディアスでナイーブな曲調が得意な人なんですね。そんな曲もあの独特な粘着質な歌声とラフなギターで演奏されるからワイルド系に聴こえちゃうんだよ。


 11月16-17日 雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 15日土曜は立木の冬囲い、ついでに北方謙三『楊令伝 七』読了。ついに梁山泊と禁軍の決戦が始まる。楊令の意表をつく動きにドキドキ。若い力の台頭もあり目が離せないぞ。16日日曜は朝PTA作業の後上京。上野でフェルメール展を鑑賞。その光の陽射しの柔らかさに感動しかけたが、人の多さに息苦しさを憶えた。もっと静かにゆっくりと堪能したかった。上野を飛び出し三軒茶屋へ、浜田さん出演の公演があるので駆けつけ、そして感動。終演後猛ダッシュで東京駅の新幹線に滑り込み10時に帰宅。晩ご飯を食べ損ねたのでコンビニ弁当と缶ビールで1日を終える。足腰は痛いしお腹は空いたけど、大満足な一日!
浜田真理子×久世光彦ライブ at 世田谷パブリックシアター
 『マイ・ラスト・ソング .....
〜あなたは最後に何を聞きたいか〜
  浜田真理子(歌・ピアノ) 小泉今日子(朗読)
 名演出家であり文筆家であった故・久世光彦のエッセイ集『マイ・ラスト・ソング』の世界を、浜田真理子の歌・ピアノと小泉今日子の朗読で表現した素晴らしいライブだった。歌われた曲は【第一部】「みんな夢の中」「月の砂漠」「離別(イビヨル)」「冬景色」「朧月夜」「おもいでのアルバム」「プカプカ」「海ゆかば」「港が見える丘」、【第二部】「愛のさざなみ」「星の流れに」「爪」「十九の春」「黒の舟歌」「テネシーワルツ」「哀しみのソレアード」【アンコール】「わたしたちのうた」「胸の小箱」。つまりアンコール以外すべてカバー曲。浜田さんのファンなら彼女がこうした昭和歌謡の抒情と哀愁をとてもうまく掬い上げ歌ってくれることを知っていた。知ってはいても「イビヨル」にはいつも胸を打たれるし、「テネシーワルツ」には昭和の青空が遠くに見えた。唱歌も良かった。「冬景色」「朧月夜」のような歌には浜田さんの歌の本質が垣間見えた気がした。そして園児が卒園で歌う明るい別れの歌ですといって歌われた「おもいでのアルバム」♪いつのことだか おもいだしてごらん〜をとても楽しそうに幸せそうに歌った浜田さんが印象的だった。それでもライブを終えて一番印象に残った曲はと考えると、「イビヨル」は番外として「哀しみのソレアード」「わたしたちのうた」「胸の小箱」の3曲。噂の「ソレアード」は初めて目の前で聴かせてもらいマジ感動した。これは良い曲ですね。あと2曲は彼女のオリジナルで、さらに深みというか包容力を増した歌に打たれた。攻撃的でないのに打たれっぱなしだな(笑)。歌という素材を大切に、歌唱に無理な脚色をせず、シンガーの個性より歌そのものの良さを伝えたいという、そして歌に打たれる。素直さほどこわいものはないのだ(笑)。
 小泉今日子さん、あいかわらず可愛らしかった〜。もちろん朗読も素晴らしかった。今や実力派の女優さんだもんね。そしてサプライズ・ゲストの渡辺杏ちゃん、現れた瞬間その良すぎるスタイルに感情がはっとする。あんな足の長い娘をおじさんは初めて見た(笑)。企画も出演者も会場も文句なしの素晴らしさでした。拍手拍手


 11月13日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 西村賢太『小銭をかぞえる』読了。ダメ男小説ですね、私小説。同じダメ男でも佐藤正午が書くような女にモテるダメ男ではなく、こちらはまったく取り柄が見つけられないようなダメ男。でもなんとかくっついてる彼女がいてしかも同棲してる。俺はやはり私小説より物語りが好きなんだなと、久しぶりに私小説を読んでみて再認識。まあ面白かったんだけどねえ...愉快じゃない(笑)
CHIEFTAINS『CELEBRATION』
 これは'91年リリースのチーフタンズで録音は'88年。1988年は彼等が住む町ダブリンの千年祭が行われた年なんですね。なので本盤はダブリン千年祭祝賀記念盤です。アイリッシュ・ハープと木管フルートの重なりに優しさを感じ、そこにティン・ホイッスルがお茶目に登場し、片面太鼓バウロンが鳴り出すと身体が揺れ始め、颯爽と2本のフィドルがダンスに誘う。アップな曲でもスローな曲でも、そこに人々の笑顔が透けて見える、笑顔の裏の哀しみまで。楽しく逞しく美しい、まさに音楽の鑑だと思います。


 11月12日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 デニス・ルヘイン『運命の日』下巻読了。けっこう悲しみに充ちたツライ話しではあるんだけど、どこか温かい、遠くの空に青空が見えているような小説。そうあの『ミスティック・リバー』に似たトーンを感じた。移民一世達の不屈の逞しさへの讃歌が底に流れている感じだ。また黒人青年ルーサーを通して、アメリカ社会の中で足場を固め地位向上を目指す黒人達にエールを送る。最終章でベーブ・ルースとストで職を追われた元警官が言葉を交わすシーン、ルースがボストン市警ストライキについて「あんたらは何を考えてたんだ?」、元警官「公平な扱いを望んでいただけだ」、ルース「だがそんな結果にはならなかった。.....おれを見てくれ。おれは世界で一番ビッグな野球選手だが、トレードされても何も言えない。おれは無力だ。小切手を書く人間がルールも書くってことさ」。と世の中の理不尽さを嘆きながらもお互い希望を持って明日へのステップを踏み出して物語りは終わる。ルヘインらしい骨太な人間讃歌だと思う。
Chieftains『The Long Black Veil』
 『運命の日』を読んだ後だから、アイルランド人とそのウイスキー(笑)に敬意を表してチーフタンズ。'95年リリースの愛聴盤です。アイルランド伝統音楽を携えて世界中を巡る楽団チーフタンズですが、このアルバムは多くの音楽の友人達を招いて作り上げた和やかな音盤です。ミック・ジャガーがザ・バンドの名演で有名な「ロング・ブラック・ヴェイル」を歌ってます。スティングもマーク・ノップラーもシンニード・オコナーもマリアンヌ・フェイスルスもそしてヴァン・モリソン御大もおります。で、影の主役はライ・クーダーなんですよ。俺の勝手な思い込みなんですが。詩情をあふれるスライド・ギターが絶品です。あとカルロス・ヌニュスのガリシアン・パイプも聴こえるし、ポール・ブレイディーのギターも鳴ってたりで....う〜ん贅沢だなあ。


 11月7-8日 曇り/晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 デニス・ルヘイン『運命の日』上巻読了。背景は第一次世界大戦の終わり頃、舞台は労働運動、人種問題、テロとストライキに揺れ動くボストン。そこにボストン市警の若き警官ダニーと黒人青年ルーサーがいる。まだ上巻、大きなドラマの渦中に放り込まれて途方に暮れてる俺(笑)。
 今回のホッコリ台詞...コグリン家の使用人、アイルランド女性のノラと黒人青年ルーサーの会話...「わたしは白人じゃないわ、ルーサー。アイルランド人よ」「へえ、アイルランド人は何色です?」ノラは微笑んだ。「ジャガイモの灰色」ルーサーは笑って自分を指さした。「おれは紙やすりの茶色だ。初めまして」ノラはさっと膝を曲げてお辞儀をした。「光栄ですわ」.....
BOB DYLAN『TELL TALE SIGNS』
 このディラン・ブートレッグ・シリーズ第8集がこれまでのものと趣が違って感じられるのは、収録曲が'89年『オー・マーシー』から'06年『モダン・タイムス』という近年のアウト・テイク集だということだ。だから現在のディランであり、新作としても聴けてしまう、そんな感じなのだ。近年のディランといえば、" 古くさい音楽 " を全肯定すること、オリジナルの古い歌を作り出すことでパワー・アップしてきた印象がある。そして俺はそんなディランの古くさく力強い歌がとても気に入っている。詩的な表現より物語り性の強い歌詞も好きだし。....そして夕方、親戚の法事から帰宅。酔ったハートで聴くディランは圧倒的にドラマティックだ! 生きてるうちにノーベル文学賞を与えて欲しいよなあ。


 11月5-6日 曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 「南部の木には奇妙な果実がなる 葉には血が、根にも血を滴たらせ 南部の風に揺らいでいる黒い死体...」ビリー・ホリデイのレパートリーとして有名な「奇妙な果実:Strange Fruit」は'30年代に作られた人種差別を告発する歌だ。人種差別による黒人虐殺が日常茶飯事だった頃のアメリカを本やレコードや映画でしか知らなかったが、昨日そんなアメリカに黒人大統領が誕生した(正式にはまだだけど)。「どうだ、凄いだろ、これがアメリカさ!」と上気した笑顔でインタビューに答える中年白人男性。たしかに、これがアメリカ!と、ちょっと羨ましかった。
BOB DYLAN『TELL TALE SIGNS』
 ディランのブートレッグ・シリーズもこれが第8集で、これはアウト・テイク集のシリーズなわけで、よくもまあこれだけの音源が大量にあったもんだと感心というか、さすがボブ・ディラン!。アウト・テイクなのに駄作が無いって凄いよなあ。まあファンはどんなもんでも好きになっちゃうもんだけど(笑)。ありがたやありがたやです。つづく


 11月4日 雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 2日3日は近所の仲間達と出かけて来ました。雪の志賀から万座を通って浅間山の鬼押し出し、そして湯田中温泉に泊まって善光寺でお戒壇めぐりをして戸隠で忍者ごっこをして帰宅と。年に一回の骨休みと言いたいところだけど、飲んで食べて歩いて胃も身体を疲れ気味(笑)。
矢野顕子『akiko』
 サウンド的にはこれまでで一番好きかな。T・ボーン・バーネットのサウンドだよね。俺の中ではまさに旬な味わいです。エルビス・コステロ、ジョー・ヘンリーそしてロバート・プラント&アリソン・クラウスのあのアルバムのプロデューサーですよ。だからマーク・リーボウ(g)もジェイ・ベラローズ(ds)も参加しています。渋く腰の据わった、そしてちょっとダークな音響感を持ったサウンドなんですね。ところがそんなT・ボーンの土俵の上でも抜群な存在感の矢野顕子さん。流石ですね。やっぱ彼女のピアノは凄い。派手なことはやってないけど、浮遊するテンション・コードと独特なノリのリズム感でグルーヴを引っぱります。レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」のカバーは彼女ならではの秀逸な出来。「The Wall」の♪〜 武装解除をお願いします Google と CNN とTimes で固められたあなた 〜 って歌詞も面白いね。


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