●2008●

 12月31日 曇り/雪  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 花村萬月『ワルツ 下巻』読了。百合子と城山と林敬、このヤクザの世界に身を置く主役3人が揃ってインテリで、だから自身の身の処し方や心の内を語り出したら長い長い。この小説が全3巻となったのはインテリ・ヤクザ・トリオのせいだと思う。できれば1巻にギュッと収めて欲しかったな。つまらなかったワケじゃない。凄く面白かった。花村の描く暴力場面は北方謙三よりワイルドでしかし馳星周のような凄惨さはなく、綺麗に冷たい独自の美学を感じさせる。相変わらずの花村を堪能できたんだけど読み終えてみて、このストーリーで3巻は長過ぎるよなとも思う。
 本年の音盤日記&読書備忘録もここまでだね。読んだ本は数えて105冊。今年も飽きずに楽しく続けることができました。ひとえに素晴らしい音盤と本を世に送り出してくれた音楽家作家の皆々様のおかげです。ブラボ〜!拍手喝采!では良いお年を〜!
岡林信康『岡林信康コンサート』
 小林多喜二の『蟹工船』が突然のブームとなった今年の大晦日に1970年の岡林信康ライヴを聴いている。"...絶望的な前衛で頑張ってきたい " と言って喝采の中歌う出す「私たちの望むものは」のヒリヒリする激しさがじつにかっこいい。岡林が一番ディランに接近していた時期だとわかる。ディランとザ・バンド。ここでのバックははっぴいえんど。当時岡林が語るに、「風に吹かれて」は好きだったけど「ライク・ア・ローリング・ストーン」を聴いたらこっちの方がずっと好きになった。また労働運動絡み(労音とか)のフォークの世界に嫌気がさしていて、だからフォークからオイラいちぬけた、とロックの岡林が誕生した。これが当時の岡林だった。そこで興味深いのが吉田拓郎の発言で、" 岡林信康の「私達の望むものは」に感動はしたが、「私達は」と言えない。俺は「俺」っていう歌を作りたい " 。そして思い出すのは芥川賞作家柴田翔の'71年のベストセラー『贈る言葉』。大学紛争に反戦フォーク集会など狂騒の「70年安保」を背景にした青春小説で、主人公の大学生が運動家の発する「我々は〜」に反発するシーンがあった。教条主義的な運動に対するシラケた気分、運動の敗北と空しさ、'70年を境に若者達から「我々は〜」という気勢が失われていったあの当時の雰囲気は田舎の高校生だった俺にも少しは感じられたものだ。
 そして'72年「結婚しようよ」の大ヒット。反体制のそして大人社会への反逆のシンボルだったフォーク・ソングは、「結婚しようよ」以降聞き易く変質して若者の流行歌となった。「我々」を嫌って「俺」を歌った吉田拓郎だったけど、あの'75年の「吉田拓郎・かぐや姫 コンサート インつま恋」に集まった5万人を越える聴衆は、幸せなチューリップハットを被った「僕達わたし達」であり、彼等は現在まで続く " 群れたがる若者=ひとりが怖い " のハシリだった気がする。そんな彼等は今、フォークを青春の想い出とすることを楽しんでいる。'70年にフォークに目覚めた(ロックが主流だったけど)俺とわずか2年後の「結婚しようよ」以降にフォークを好きになった人達とは、フォークの風景が違っているように思える。

  ♪ 私達の望むものは生きる苦しみではなく 
        私達の望むものは生きる喜びなのだ
     私達の望むものは社会のための私ではなく 
         私達の望むものは私達のための社会なのだ...

 ワーキングプア、貧困層の拡大、貧富の階級化、こんな今の日本だから岡林の「私たちの望むものは」が俄然リアルな歌として浮上し、新たな「我々」の歌が誕生する予感がする年の暮れであります。


 12月29日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 今日送られてきた友部正人さんの『リクエスト・タイムス』に奥さんのユミさんの添え書きがありました。「京都で浜田真理子さんに会いましたよ。」とね。はいはい俺も真理子さんのブログ掲載の写真でそのことは知ってました。びっくり嬉しかった。友部さんと真理子さんとふちがみとふなとさんがご一緒の写真でしたね。このお三方は俺の敬愛するミュージシャンとしてこのChamky Boxのトップページに仲良く並んでリンクが張られている方々。そんなお三方がこうして一緒の写真に収まっているなんて!
STEVE WINWOOD『NINE LIVES』BONUS DVD
 付録のボーナスDVDをまだ見ていないことに気づきまして鑑賞。トラフィック時代の映像に感傷。「ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ」でアコギ弾きながら歌うウインウッドにうっとり。トラフィックの頃を回想して.....俺達はソング・ライターじゃなくてミュージシャンの集まりで、だからジャムるのが大好きだった。だけどジャムだけじゃレコード出してもらえないから歌を作ったんだ.....とかいう発言が興味深かった。トラフィックってたしかに元祖ジャム・バンドみたいだったね。このアルバムは前作『アバウト・タイム』の延長上にあり、ベースレスでそこをウインウッドのハモンドB3ペダルボードがカバーしてるあのサウンド。フジ・ロックで見たあの感じで、そしてより熟成されてる。ラテンやアフリカ音楽のリズムも程良く取り入れて緩やかなグルーヴを醸し出していますね。若い頃からコクがあるとか熟成されてるとか賞賛されてきたウインウッドもついに60歳だとか。え〜まだ60だっけ!?と一瞬思ったけど、考えてみればデビューが早かったんだよね。半ズボンはいた天才少年だったから。それにしてもこの還暦ウインウッドの若々しさはどうだ!


 12月27-28日 曇り/雪/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 平岩弓枝『鬼女の花摘み〜御宿かわせみ30』読了。年末のばたばたしてる合間にはこうした定番小説でほっとひと息。麻太郎と千春と源太郎がそのまま東吾とるいと源三郎の若き日を想わせ微笑ましい。というか東吾達もいつのまにか歳を重ねたんだなあと感慨新た。江戸市井物にすこしミステリーを加味したいつもながらの小編を人物像生き生きと描く様は見事としか言いようがない。最新刊はたしか明治の代になっているんですね。ゆっくり楽しく追いかけ読みをしましょう。
JENNY LEWIS『ACID TONGUE』
 オルタナ・カントリー・バンド、ライロ・カイリーの歌姫だというジェニー・ルイス28歳。ソロ・アルバムとしては2作目ということだけど堂々とした逞しさを感じさせるアルバムだ。ルーツ・ロックを背景としながらも多彩な曲調とサウンドで飽きさせない。エルヴィス・コステロが溌剌と歌う「カーペットバガーズ」がかっこいいよ。ミディアムなカントリーがサザン・ソウルに聴こえるサウンド・メイクも好きだな。


 12月〜26日 晴れ/曇り/雨/雪  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 いやはや毎日気忙しくて日記に気持ちが向かえない。そもそもこの日記、夜書斎でバーボン飲みながら葉巻くゆらせて(北方風に...笑)書いてるわけじゃなく、店番しながら聴いてる音楽を店内のMacで書いてるもので、つまり毎日更新=店が暇ってことなんですね(笑)。たまに忙しいとこうして何日も休んじゃいます。気楽にやってますから。ちなみに読書は寝床とトイレです。
 恩田陸『きのうの世界』読了。『夜のピクニック』以降、意欲的かつ技巧的な作品が続きイマイチ付いて行けない感がありましたが、本作はその集大成としてじつに巧くしかも面白い物語となっていました。ミステリーにファンタジーに伝奇ホラーまで垣間見せるその技が素晴らしい。読者を「あなた」と呼び込み、登場人物達のすぐ隣りに立ち会わせるその巧さ!「ようこそ 塔と水路の町へ」招かれて、すぐそこにあるかのような不思議世界を堪能。
JENNY LEWIS『ACID TONGUE』
 ロックの新録盤では今年一番の収穫かな。ジェニー・ルイス!初めて聴いた女性シンガーです。とここまで書いたところで外はカンパ襲来で真っ白状態。今期初のスノーダンプ除雪をしてきます。...で除雪終えて店に入ったけどグッタリ疲れたので今日はここまで。ふぅ〜


 12月20-21日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 20日午後は卯の木子供会のクリスマス会にPTA役員として参加。俺達が子供の頃はとにかく毎日遊んでいたものだ。上級生がリーダーとなって神社境内で野球したりビー球にメンコやあとは山遊びとか、とにかくみんなで一緒に遊んだものだ。親の干渉などまったくなくて、何しろあの頃の親は仕事が忙しくて子供をかまっている暇がなかった。子供達は当然のように上級生をリーダーとして従い、そして自分達が上級生になるとしっかりとリーダーシップを発揮したものだった。この日の子供達を見ていて一番残念なのは、上級生が下級生の面倒をしっかり見られないということだ。普段みんなで遊ぶ機会がほとんどないからしかたないんだろうけど。俺達が子供だった頃に見ていた世界と今の子供達が見ている世界にどれ程の違いがあるのか、とても気になっている。
LOUDON WAINWRIGHT V『RECOVERY』
 ベテラン・シンガー・ソングライター、ラウドン・ウェインライト3世の新作。ちょっと前に聴いたジョー・ヘンリーとの共演盤(サントラ盤?)がとても良くて期待していたんだけど、これも充実してますね。60代半ばでこの歌声の逞しさには脱帽です。ジョー・ヘンリーのプロデュースだからちょっとダウナーでアコースティックで音響系なんだけど、ラウドン・ウェインライトの骨太な歌とギターの弾き語りが太い幹となってサウンドを支配している。強いなあ、まったく。


 12月18-19日 曇り/雨/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 多島斗志之『黒百合』読了。避暑地の初恋小説としては瑞々しさが感じられて良かったけど、ミステリーとしては物足りない。昭和十年のドイツを舞台にしたあの章の生かされ方は疑問。平穏を装ったこの小説には、あの章はなくてもいいと思う。"黒百合"に合点がいったラストにも心は動かなかった。残念。
 昨夜は『風のガーデン』最終回だった。緒方拳の告別式にいるような、そんな気持ちで毎回見続けていた。緒方拳の最後の素晴らしい演技を見ることが出来て本当に良かったし、緒方拳もこの仕事納めは役者冥利に尽きる役柄で、幸せな役者だったなと思う。共演者も皆、抑えの効いたじつに巧い演技を見せてくれた。TVドラマはまず本で決まる。安易な人気漫画原作ドラマばかり作ってないで、作者の思いを乗せた本による丁寧な作りの心に残るドラマを期待したい。
浦沢直樹『半世紀の男』
 新作漫画じゃないよ(笑)。超売れっ子漫画家のファースト・アルバムですよ。さすが浦沢、詞も曲もキャッチーでツカミが上手い。まあ歌唱力がイマイチなのはしかたないよね。プロデュースは和久井光司で、そして演奏も和久井のバンドがベースとなっているので、サウンドの感じは和久井の『ディランを歌う』に似ている。共にディラン好きな浦沢と和久井ならではのロックが気持ちいい。ボブ・ディラン、ザ・バンド、ニール・ヤング、トム・ペティー&ハートブレイカーズそして新六文銭(憶えてるかなw)、そんな浦沢の好きなロックが生かされた爽快なアルバムです。ハード・カヴァー100ページ『半世紀の男』反省記もセットされた超豪華仕様で、流石売れてる漫画家、太っ腹です。弾いてるギブソンも高価ヴィンテージに違いないし(嫉妬嫉妬よw)。漫画『二十世紀少年』の主人公ケンジの歌「Bob Lennon」がようやく聴けて嬉しいし、それが想像以上にかっこいいロック・チューンだったのがまたまた嬉しい。エンディングのギター・ソロは白井良明によるジョー・ウォルシュ風です。オールド・ロック万歳!


 12月16-17日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 牧薩次『完全恋愛』読了。〜 他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ、では、他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか? 〜 と始まるこの本格ミステリー、主人公の一途な恋とそれに絡まる人間関係は読み応えがあり面白かったのに、ラストの謎解きがイマイチつまらなかった。満州子さんがいつかは出てくるぞとの予感はあったが、この登場は...で、この結末...。う〜ん...
クレイジーケンバンド『青山246深夜族の夜』
 ニカさんの歌う「せぷてんばぁ」聴いて、あれっ良い曲だなあとクレジット見たら横山剣とある。そうかクレイジーケンバンドのナンバーかと思い、CD棚のCKBをチェックしてみたらありましたよ「セプテンバー」収録のこのアルバム。2000年作、なんか懐かしいライブ・ショーですね。イイネッ!イイネッ!イイネッ!(笑)。横浜ソウル・レヴューって感じでバタ臭さがたまんないね。ソウル・パーティーの最中に歌われる哀愁歌謡「セプテンバー」と「コロ」に思わずほろり。ほろりと笑えます。スペシャル・ゲストになんと野坂昭如が登場し「マリリン・モンロー・ノー・リターン」「黒の舟歌」など6曲を披露。もの凄い存在感!恐るべし老人力! いやはやなんとも楽しいな。


 12月14-15日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 ダカーポ特別編集『今年最高の本』やら『本の雑誌』の年間ベストやら、こんなのに目を通していると読みたい本で山脈ができそうでこわい。時間はともかく(暇だからw)タフな眼球が欲しいなあ。
二階堂和美『ニカセトラ』
 ふふふっ...って微笑ましい。こっそり持っていたいような素敵なカバー・アルバムです。もちろんたくさん売れていることでしょう。でもやはりこれは、こっそり...がいいです。宅録物と言ってもいいですが、フィールド・レコーディングでもあります。自分の部屋でギターを弾きながら歌っていたり、山道や小川でハミングのように歌っていたり、こんな寛いだ雰囲気がプライベートな感じがして、ついひとりで向き合って聴きたくなるんですね。「白いパラソル」なんて寝転がっての弾き語り(笑)。4年前に実家の部屋で録音したという「少年時代」には、裏の幼稚園で走り回る子供達の声やバイクの走りすぎる音や蝉の音が入っていたり(よおく聴かないとわかりませんが)。意表をつく名曲との遭遇もあったり。それは横山剣(CKB)作の「せぷてんばぁ」となんと大女優大竹しのぶのアイドル時代(!?)の曲「みかん」。良い曲なんだな〜これが。こうゆう出会いがあるから音盤採集はやめられない。


 12月13日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 中田永一『百瀬、こっちを向いて』読了。青春小説です。この歳で青春恋愛小説を読む楽しみは、やり残したことや気づかなかったことへの想いをエレベーターにして一気にあの頃へ戻ってみること。でも近頃では、思春期入り口の我が娘がどんな青春を送るのかが気になって(笑)。だからヘンな青春物は読むのがコワイ。その点この『百瀬...』は良いね。父も安心(笑)。
鈴木博文『凸凹』
 ロマンチスト揃いのムーンライダーズの中でも一番の抒情派が博文君であり、もちろん優れた詩人です。彼の詞は矢野顕子もあがた森魚も歌うけど、彼自身が歌う時が一番リアルです。サウンドは一見シンプルだけどじつに凝っています。これまでもそうなんだけどね。その音楽的抽斗は多いけどハデに聴かせるタイプじゃないから。今回はエンジニアの原口宏が音響的に遊んでるらしく、全体的に美しく歪んだサウンドで、もわんとした太さがある。美味しいキャラメルのようなロックだなあ。って意味不明?


 12月12日 曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 絲山秋子『ばかもの』読了。『ワルツ下巻』へ行くまえの箸休め。『ばかもの』はばかもの小説です。ダメ男の脱皮成長物語。ダメダメダメととことん貶めておいてヒョイと掬い上げるのが巧い絲山さんなのであります。今朝TVに谷村新司還暦祝パーティーの模様が流れた。森喜朗元首相や奥田碩元経団連会長が一緒に笑っていた。権力と仲良しな歌うたい。チンペーと呼ばれていたアリス時代からウサン臭いやつだと感じていたが。ああ胸くそ悪い。昨夜見た『風のガーデン』の岳のシーンを思い浮かべ、今朝見た谷村を洗い流そう。
鈴木博文『凸凹』
 「揺らぎのない姿勢で、揺らぎっぱなしの心を表現する相変わらずの名人である」とのレココレ誌の評を読んで思わずそうそうと肯いた。TVのCMで香取慎吾と共演する兄慶一をみたばかりなので、この鈴木兄弟の持ち味の違いを面白く思った。兄弟とも飄々としている。もちろん共にロマンチストである。でも兄慶一が太陽だとしたら弟博文は月、昔からこの兄弟の役回りはこんな感じだった気がする。もちろんムーンライダーズのベーシストであり、作詞作曲しフロントで歌うこともある。ミオ・フーや政風会など別ユニットでも良いアルバムをリリースしている。むしろ活動は旺盛。でも博文君に寄せるイメージ、メトロトロン・レコーズを主宰し自宅湾岸スタジオでコツコツとソロ作を録音する、地味で頑固でナイーヴな音の職人、東京下町のロック職人。こんなです(笑)。ホームメイドな手触り、揺れる歌声、そこに街のロックが息吹いているんだよ。


 12月11日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 そして花村萬月『ワルツ 中巻』読了。上巻を本屋の平積みで目にしてああ上下巻ね読も読もと思ってたらなんと上中下巻でしかも各巻ブ厚いぞ。話しの面白さでグイグイ読者をひっぱる花村だからこの全3巻もゆるせるけど。さて " ワルツを踊れ " ときた。百合子と城山と林敬が狂おしくワルツを踊る。ひとりの女とふたりの男。お互いが惹かれ合いながらも愛欲と嫉妬が交錯する。舞台は任侠の世界。そして戦いは始まろうとしている...下巻へ。
三村京子『東京では少女歌手なんて』
 な〜んかずっとこの三村京子を聴いている。ハスッパなふりした文学少女のような詞、その歌声はすくっと立っていて気持ちいいし、その表情はキリッとアゴを上げてまっすぐ前を見つめている、そんな感じの歌世界。バックがシンプルなだけに、歌が生々しい。現在25歳、若い娘さんなのに(って失礼か)ウディ・ガスリー、ジャック・エリオット、高田渡にも惹かれているという激シブ好み。


 12月6-7日 曇り/小雪/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 花村萬月『ワルツ 上巻』読了。剛腕花村の極上エンタメ小説。とにかく面白い!これでまだ上巻だよ、この後どうなるんだろ。昭和20年、敗戦直後焼け跡の東京新宿界隈を舞台に花村得意の男と女と極道とそしていつものセックス&バイオレンスな物語。剛直な生き様にくらくらしたい。
三村京子『東京では少女歌手なんて』
 昨夜横浜で浜田真理子のライブがありまして、また今回もチケットを用意しながらも行けなかった不運な俺なのですが、今朝彼女のブログを読んだらイーグルスの「Desperado」を歌ったとありました。真理子さんの「Desperado」を聴けなかったのが悔やまれます。ああ〜.....。彼女の歌声の素晴らしさは、意識された技巧的な素直な発声だと思っています。この三村京子はちょっと浜田真理子に似ています。詞はそうとうエグイんだけどね。発声が似た感じなのかな。この三村さんは初めての人ですが、プロデュースが我等が船戸博史なので買ってしまいました。大正解!アヴァン・フォークな歌や、70年代アングラ演劇の劇中歌のような歌もあり、なかなか一筋縄ではいかない少女歌手(?)でありますね。アコギの腕もなかなかで、それに寄り添い時に挑発する船戸さんのコンバスもお見事で、次作も期待大ですね。船戸さん、よろしく!

ふちがみとふなと外山明『はじめまして』DVD
 
上の三村京子と一緒に東京「円盤」より購入。というかこのDVDは円盤でしか取り扱っていないという理由ですが。円盤さんのおかげでこんなにも面白いライブ映像が見られるわけですね。2008年1月12日渋谷でのライブです。ちいさな会場ですね。空気の濃さが映像からも伝わります。ドラムの外山明はサプライズなゲストみたいで、ぶっつけ本番てな感じです。そこはプロ×プロ、ぶっつけならではのスリリングな音楽が楽しめます。フレキシブルな音楽性のふちがみとふなとにフリー・ジャズから歌謡曲までこなす達人ドラマー外山明による、フリーなスピリットに満ちた音楽がここにあります。フリー・ジャズで有名なあのメールス・ジャズ祭で見てみたいような(笑) 


 12月4-5日 晴れ/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 『風のガーデン』緒形拳を見たくて欠かさず見ている。あの花言葉は可笑しいね。知的障害をかかえている孫の岳(神木隆之介)が一心に唱える花言葉。祖父貞三(緒形拳)によるオリジナルの花言葉なんだけど、なぜか嫁入り前の女に係わるものが多い気がする。「かなり目標のラインを下げないと、結局一生独身で終わる」とか「どうせあたいは田舎物、街の女にゃなれないの」とか「行きおくれ女の危険な色気」とか「女の盛りは40過ぎからよっ!」とか「早熟な乙女はわりとすぐ老ける」とかいろいろと。「孫娘を嫁に出す日」にはすこし泣けた。
オフコース『SELECTION 1973-78』
 これはカミさんのCD棚ではなく俺のCD。オフコースはデビューの頃の2人組時代から知ってはいたけどタイプじゃなかった。なんで聴くようになったかと言えば、その昔十日町で歌っていたすずめという高校生シンガーが「秋の気配」を十八番にしていて、これがなかなか良かったんだ。そのすずめ達と一緒に長岡でオフコースのライブを見た。これがびっくりで、素晴らしいバンド・サウンドとコーラス・ワークだった。その歌声や曲調は俺の好みではなかったけど、音楽性の高さと演奏の巧さに圧倒された。なんでもあの頃はTOTOのサウンドを意識しているとMCで話していた。売れセン歌謡フォークが跋扈していたあの時代、このオフ・コースとユーミンは数段高いレベルで売れセンを行っていた。これ聴いて思い出したけど、オフコースって小田和正と鈴木康博の双頭バンドだった。ヤスさんファンも多かったはずだけど、彼は今どうしているのかな?いかしたギター弾いてたんだけどね。で、どの曲が一番好きかといえばやはり「秋の気配」だな。センチメンタルなおじさんと化してます(笑)。


 12月3日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 堀江敏幸『河岸忘日抄』読了。堀江の「いつか王子駅で」「雪沼とその周辺」は好きだったけど、これはツラかった。台詞・会話のない小説って苦手だな。読み始めてうわっこりゃだめだってわかったけど根性で読み通した。この人の文章が持つ雰囲気は好きなんだけど、これはちょっと長すぎる。これは小説なのかな?
甲斐バンド『シングル・コレクションVOL.1』
 カミさんのCD棚シリーズ第四弾は甲斐バンド。甲斐や長渕剛や松山千春は昔っから苦手。男っぽいふりして歌っているのは若者におもねた売れセン・フォークと変わりないベタで判りやすい歌で、出来の悪い歌謡曲みたいだからだ。ロックとフォークは客におもねないってトコが好きなんだ。そんな印象の甲斐バンドというか甲斐ヨシヒロなんだけど、1曲だけ耳に残ってるやつがあって、それが♪ あなたに抱かれるのは 今夜かぎりね〜 の「きんぽうげ」ライブ・バージョン。あの頃はちょっといいかなと思っていたんだけど、このシングル・バージョンはフツーな感じで、ああ残念。甲斐の歌声は好きなんだけど。


 12月2日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 今日も良い天気。冬に向かって行くこの時期、こうしたぽかぽか陽気は嬉しいね。
沢田研二『ROYAL STRAIGHT FLUSH』
 カミさんのCD棚シリーズ第三弾はジュリーです。'79年リリースのベスト盤だったやつで、LP盤を俺は買って持ってたはず。現役で頑張ってるジュリーに懐かしいは失礼だけど、70年代のジュリーは一番星の大スターだったからね。「危険なふたり」「勝手にしやがれ」「時の過ぎゆくままに」....キラキラに歌謡曲でありながらバリバリにロックだったのはジュリーくらいだったな。井上堯之バンドを従えてね。刹那の恋のエロチシズムや危なさを都会的に切り取った安井かずみ。歌に豊かな物語性を築き上げた阿久悠。この二人の作詞家の存在もとても大きかったと再確認。大衆的でありながら危なく尖っていた大スター沢田研二。ジュリーの時代を知っていて本当に良かったと思う。


 12月1日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 小泉武夫『くさいものにフタをしない』読了。漫画「もやしもん」の教授は小泉先生がモデルなんでしょうか?きっとそうなんですね。醸しとニオイに対するインディー・ジョーンズの如き冒険心に拍手喝采。これからは東大より東農大の時代なんじゃないか、と錯覚したいほど食と環境と国とがリンクする研究は重要だと思いました。
チューリップ『おいしい曲すべて 1972-2006 Young Days
 これもカミさんのCD棚にあったものです。チューリップは懐かしい。デビュー・アルバム『魔法の黄色い靴』から4枚目までのLP盤を持ってますよ。姉がファンだったから。俺が高校生で姉が大学生の頃、姉の大学祭に出演したチューリップにすっかりのぼせてしまった姉上様。それが'72年デビューしたてのチューリップ。当時デビューしたバンドの中でポップ・センスが抜群だったのを思い出す。今あらためて聴いてみると、そのポップ・センスの良さがビートルズ直系だったのがよくわかる。当時ビートルズを聴かないロック・ファンだった俺には、そこんとこがわからなかったんだね。高校の時に結成したロック・バンドで、英語の歌を歌えないヴォーカルを考慮してカバーしたのがこのチューリップとキャロルの曲だった。ただし「魔法の黄色い靴」だけは好きな曲だったけど、ハーモニーや転調が高度すぎて向かえなかったのも思い出す。聴いてるぶんにはポップで人懐こいのに、いざカバーしてみると難しいってとこもビートルズに似ていたね。もうひとつ思い出すのは彼等が " 日本のリヴァプール " 博多を中心としたブリティッシュ・ビート色の強い福岡の出身だということ。ポップの皮の下に生真面目なビート・ロックが息づいているのがわかるよね。


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ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps