●2009●

 2月25-26日 雨/曇り/  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 江國香織『間宮兄弟』読了。もてない兄弟の話だった。30過ぎで兄弟ふたりでマンション暮らし。仕事もあるしお金に困ることもない。気は優しいからモメゴトもない。周りの女達からは、恰好わるい、気持ちわるい、おたくっぽい、むさくるしい...いい人かもしれないけれど、恋愛関係には絶対ならない...と思われている。そのことは兄弟にとってちょっと悲しいことだけど、今の生活に幸せも感じている。清く正しく(美しくはないけど)生きている兄弟になんの文句があるものか。
吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ
    『スウェッティン・ボールルーム』
 日本一のサラリーマン・バンド、日本一のヘンテコなおじさんギタリストが率いるバンド、日本一のジャンプ・ブルース・バンド等々賛辞尽きない吾妻光良とスウィンギン・バッパーズ。そんな彼等初のライヴ盤です。渋谷クアトロで見たのは何年前だったかなあ、楽しかったなあ。アニキがジョージ吾妻ということは..." 間宮兄弟 " を音圧で圧倒する吾妻兄弟だ!(余談よだんw)。音楽そのものは正統派ジャンプ・ブルースなんだけど、歌が...歌の歌詞がまるでお笑いの世界。平成のエノケン(これは大讃辞!)のようだ。「道徳HOP」では ♪ ヘソ出すな ケツ隠せ 体に穴を開けるな ペニシリンもいいけど 野口英世を知ってっか おれの名前は吾妻さん 吾妻チャンなんて呼ぶなよ!〜 と若者を諭し、「嫁の里帰り」では ♪ 昔の彼女に電話しよ 今ごろどうしているんだろ 旦那が出たらすぐ切ろう 子供が出たら泣かしちゃお あの娘は驚くぜ... あの素晴らしい愛をもう一度 なんてことまずないね〜 と世の軽薄な夫を戒める。こんなバンドが丸の内コットンクラブとかブルーノート東京みたいなとこで毎晩演奏すれば、それこそ東京新名所・東京名物となってお上りさんもわんさか押し寄せ、世の中も明るくなろうというものだ。『東京名物 吾妻光良冗談音楽団』これだね!


 2月23-24日 雨/曇り/晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 沢木耕太郎『凍』読了。山野井泰史・妙子夫妻がヒマラヤの高峰ギャチュンカンに登りそして帰ってきた記録。想像を絶する苛酷さに屈することなく帰還したふたりの記録。読み終わりしばらく呆然とした。高度7200メートルの岸壁に幅10センチの棚を作りビバークとか7000メートル地点ではブランコ状態つまり宙づりで夜を明かしたり、しかも気温は零下30とか40度。吹雪にやられ雪崩に襲われ...なんなんだ!これは! 誰に頼まれたり命令されたわけじゃなく、ふたりはここにいる。それで泰史は右足の指5本全部と左右の手の薬指と小指を、妙子は手足の指20本のうち左足の小指と薬指以外の18本の指を凍傷で失っても、それでもなおクライミングをやめないふたり。人間とはここまで強くなれるものなのか、と深く考えてみる。考えても答えは出そうにない。ただただ感嘆しそして深く感動した。昨年末のことらしいが、山野井泰史さんは住んでいる奥多摩山中で熊に襲われ今度は鼻を失ったという。それでもまた山に向かうんだろうな。
NEIL DIAMOND『HOME BEFORE DARK』
 ニール・ダイアモンドは久しぶりだ。この新作('08)のプロデュースがリック・ルービンでなければ見逃していたかもしれない。'70年頃、まだ俺のラジオ・デイズの最中、ニール・ダイアモンドの「クラックリン・ロージー」と「スウィート・キャロライン」が大ヒットしていて、逞しく男っぽい(あのマユとモミアゲ)容姿にも惹かれ彼の大ファンになった。大好きだったモンキーズの「アイム・ア・ビリーヴァー」も彼の曲だった。'76年にはロビー・ロバートソンのプロデュースで『Beautiful Noise』をリリースし、そしてザ・バンドの『ラスト・ワルツ』にも出演していた。だけどニール・ダイアモンドはロック・スターではなくポップ・スターだと(ミック・ジャガーよりフランク・シナトラとお友達って感じ)あの頃思っていたはず。しだいに興味を失い忘れていた。この新作を耳にするまでは。同じくアメリカの国民的スターだったジョニー・キャッシュも棚上げにしていたひとりで、そんな大物を鮮やかに俺の前に差し出してくれたのがプロデューサー、リック・ルービンだった。そして本作のプロデュースもリック・ルービンだ。その魅力は正攻法だ。曲の良さと歌声の魅力をド真ん中に押し出す。サウンドの要はアコギの鳴りかなと思う。アコギの刻むビートがドラムレスを感じさせない程心地よいグルーヴを生み出している。それにしても...いいなあ、この歌声は。憧れるなあ。


 2月22日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

サカキマンゴー・ライヴ
 近くの信濃川の川原で親指ピアノ奏者サカキマンゴーのライヴがあるというので行ってきました。十日町雪祭りの中里地区会場で+冬の大地の芸術祭イベントとしてのライヴだったようですね。信濃川を背に川原の林の中が会場で、もちろん野外で雪原でじっとしていたら寒かったよ。今回のサカキマンゴーはバンドなしのソロ演奏。タンザニアの親指ピアノのリンバとその大型のイリンバなどの演奏と歌を聴かせてくれました。MM誌の記事によって彼に興味を持ったわけですが、やはりサワリが強力でした。ビリビリな音にPAで強めなディレイをかけているのでビリビリでグルグルなサウンドでしたね。ただメロディが人懐こくてかわいいので、とても気持ちの良い音楽でしたね。ただし.....こうゆう音楽は暑い季節に聴きたいなあ。演奏してるサカキマンゴーもやはり寒そうで、演奏してる親指が痛かったんじゃないかと心配になりました。真夏の大地の芸術祭に再び演奏しにきて欲しいですね。リンバ・トレイン・サウンド・システムと一緒の演奏も聴いてみたいしね。


 2月20-21日 雨/雪/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 スノーダンプで除雪。雪が黄色っぽいのは黄砂でも降ったのかな。
MATTHEW SWEET 『SUNSHINE LIES』
 マシュー・スウィート待望の新作('08)はLP2枚組+CD1枚というパッケージ。CDは既発のCDと同内容の13曲でLP盤は17曲入りという内容なのでやはりLP盤を買ってしまった。彼言うところの《パワー・ポップ・フォーク・ロック・サイケデリック・メロディック・シンガー・ソングライター・タイプ》なアルバムだ。ほんとそのとおりでございます(笑)。甘酸っぱいメロディーにワイルドなギターが魅力だ。あの『ガールフレンド』のマシュー・スウィート健在なり。それぞれの曲でざっくりとぶっといリード・ギターを弾いているのはグレッグ・リース、アイヴァン・ジュリアン、リチャード・ロイド。ギター・ロック!かっこいいぞ! ロバート・クワインが生きていたら、ここでワルそうなギターを炸裂させていたんだろうな...。


 2月19日 雪/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 はらだみずき『サッカーボーイズ 再会のグラウンド』読了。少年サッカー・チームの物語。小学生として最後のシーズンを迎えた6年生チームとその専任コーチ、父親達のボランティア・コーチ、ライバル・チーム、そしてそれぞれの家族。俺も10年間サッカー・スポーツ少年団のコーチをやっていたから、とても身近な物語としてハラハラしたりジーンとしたりで楽しめた。勝ち負けを重視するか、それとも先ずは楽しむことを大切とするか、これは小学生スポーツの指導者として常に頭を悩ます問題だった。俺は小学生年代で勝ち負けにこだわるべきじゃないが持論だった。でもゲームに勝つことで子供達がガラっと変わることも知っている。才能のある子がいれば伸ばしたいけど、11人全員に才能があるなんてことはない。チーム内には上手い子もいればヘタな子もいて当然なのが小学生スポーツだ。この物語の中のコーチもやはり同じ悩みを抱え、そして行き着いた自分の信念 " 子供達にサッカーを返すこと " を実践する。大人の意図ではない子供達が楽しめるサッカーを。ゲーム前の円陣で叫ぶかけ声は子供達が自ら考えた。それは「エンジョーーイ!」「フットボール!」。
CHARLES MINNGUS『THE CLOWN』
 倉橋由美子『暗い旅』では頻繁にジャズが語られる。若者達はジャズ喫茶に入りびたる。'50年代中頃から'60年代、ジャズはヒップでかっこいい音楽だった。『暗い旅』にはこんな会話が出てくる「...だれだい、オーネット・コールマンを註文(リクエスト)したやつは...まったくお好きですねえ...黙っていてちょうだい、《淋しい女》だから...。...ここのトイレの壁に落書きがしてあったよ、《オーネット・コールマンとミンガスをかけるな》って...それもひとつの見識ね...」
 日本のジャズ・ファンも'60年代に入ればベニー・グッドマンのような明るく楽しくスウィングする旧来からのジャズを求めるファンと、もっと新しくダイナミックなハード・バップこそ聴くべきジャズだと主張するファンとに別れるようになったのだろう。チャールズ・ミンガスは新しく激しいジャズの代表と見られていたのかもしれない。'56年の「直立猿人」やこの'57年アルバムの中の「ハイチアン・ファイト・ソング」のような猛々しくキャッチーな曲がカウンター・カルチャーを標榜する若者達を新しいジャズへと向かわせたのだろうか。


 2月17-18日 雪/曇り/雪/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 倉橋由美子『暗い旅』読了。インテリな文学だなあとつくづく...。大衆文学ってのがあるわけだから、大衆向きじゃない文学もあるのですね。懐かしかったな。昔は背伸びしてこうゆうのも読んだからなあ。で、あまり面白くなかったからシバレンとか読み出したのでした。が、今読んでみるとけっこう面白い。『暗い旅』は、その背景が、新幹線以前の東海道線とかジャズ喫茶とかベーゼ(接吻)という言葉とか時代を感じさせるものの、若者の生き方として古臭さいとは思わなかった。この頃の若者の精一杯背伸びした感じは好きだしそれなりに成熟していたと思う。逆に70年代以降の若者(俺もだよ)は " 大人になりたくない症候群 " な感じだったから、どーも俺の中には引け目ってのがあるんだな。作者による「作品ノート」の中に " ...小説の本家はあちら(西洋)だという意識なしに無邪気に国内の流行だけを追って小説を書いている人を見ると、西洋乞食の真似をしているという意識もなく仲間同士で真似し合っている若い男女を見た時と同じ不可解な気分に襲われる。... " とあり、う〜むこれは日本のロックやフォークにも言えてるなと思いました。
鈴木博文『凸凹』
 博文さんがランディ・ニューマンを好きだってことを思い出して、それでこの凸凹。去年リリースされた日本盤で一番好きだったアルバムです。中年ロッカーの鑑です。いい感じのロニー・レインです。くすんだ詩情と哀愁はピカイチです。兄思いではロック界一の次男坊です(笑)。兄慶一とかしぶち哲郎がそれぞれCMに出演してビミョーな味をだしているけど、博文さんの飄々とした風貌こそ映像向きだと思うんだけどなあ。それと友部正人さんのアルバムをプロデュースしてみたらいいんじゃなかって前から思ってるんだよね。


 2月15-16日 曇り/雨/雪  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 久しぶりに雪が降り積もってる。冬季国体や雪祭り関係者の安堵の顔が浮かびます。娘はインフルエンザによる学級閉鎖で帰ってきました。それで明日明後日と休みとなりました。19日は国体のバイアスロン競技を観戦することになっていて、それまでにみんな元気になってくれたらいいね。
RANDY NEWMAN『harps and angels』
 訳詞が欲しいから日本盤が出たら買おうと思ってたけど待ちきれずにぽちっとげっと。ランディ・ニューマンの旺盛な反骨精神と諧謔に富んだ歌詞をダイレクトに楽しむ能力が欠如している俺っちなので、ブッシュ政権への当てこすりやらジャクソン・ブラウンに慰められることやら韓国人が教育熱心なのは子供を医者か弁護士にするためだとか歌われているようなんだけど、聴きながらニヤリとかヒヤリとかできないのがちょっと残念。ウディ・アレンの映画を字幕で追う苦しさに似ているかも(笑)。ただ歌詞はおいといても(すまぬ、ランディ)この音楽は素晴らしい。絶品と宣言しよう。彼が弾くおしゃれに着くずした感じのピアノが粋ですね。オーケストラのあつかいも流石に巧い。渋くロマンティックにハリウッド...ですかね。プロデュースはミッチェル・フルームとレニー・ワロンカーで、そうですバーバンク・サウンド健在ってことですね。ほろ苦くアメリカを歌う。


 2月12-14日 晴れ/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 乃南アサ『風の墓碑銘』上下巻読了。あの『凍える牙』のコンビ、女性刑事音道貴子と中年刑事滝沢保の活躍する警察小説。久しぶりの乃南作品で、何故かといえば『凍える牙』の音道・滝沢コンビがイマイチだったから。ミステリとして良くできた物語で印象に残っているのに、主役コンビに魅力が足りなかった。さてこの『風の墓碑銘』、最初はやはりこのコンビのギクシャク感に馴染めないものがあった。しかし読み進むうちに、ストーリーの巧みさと登場人物の描写の細やかさにひかれて物語に没頭してしまった。ミステリとして人間ドラマとして、とても巧い作品だと思った。音道・滝沢コンビにしても、ふたりのこの距離感が物語をリアルなものにしているようでもあるし。ところで『風の墓碑銘』の " 墓碑銘 " に " エピタフ " とルビがふってあるところに、オールド・ロック親父は激しく素早く血がたぎったのだった。
CHARLIE HADEN & PAT METHENY
    『beyond the Missouri Sky』
 チャーリー・ヘイデンとパット・メセニーによる'97年グラミー賞受賞作。どの部門で受賞したんだろ?高級なイージー・リスニングって感じ。これはデュオ作なんだけど、たとえばここでジャコ・パストリアスだったら(笑)ソロとなったらもっと存在感押し出してシロウトでもワカるプレイをするとこだけど、ヘイデンさんは渋く落ち着いたプレイで、高級なオーディオで聴けばそのベース・ラインに圧倒されるかもしれないけど、うちのミニ・コンポじゃベースのフレーズがよくわからん(残念!)。そっか、こうゆう音楽は高級なオーディオ環境で楽しまなきゃいけないんですね。パット・メセニーはジョニ。ミッチェルのバックで弾いてる時がちょうど良いと思っているギター弾きなので、それ以外どーもパットしない印象があるなあ。つまり好みの問題。それじゃあこのアルバムが嫌いかといえば、ぜんぜんそうじゃなくて、この3日間ずっと店内で聴いています。良い感じなイージー・リスニング・ミュージックとして素敵です。


 2月11日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 北方謙三『楊令伝 八』読了。「...戦場で、強くなる者がいる。...呼延凌がそうであるし、花飛麟もそうだ。...童貫は、別のものでも見るように、戦場を眺めていた。呼延灼と花栄の息子たちである。なにか、むなしいものが、童貫の胸の中を通りすぎた。呼延灼も花栄も、その息子たちの中で生きている。...」う〜む。『楊令伝 』ではこのような童貫の内面描写が多くなった。水滸伝の英雄達の老いと、彼等のジュニア世代の台頭と若さ故の葛藤。合戦場面だけでなく人間ドラマにも惹きつけられる。
CHARLIE HADEN『FAMILY & FRIENDS - RAMBLING BOY』
 ジャズの巨人チャーリー・ヘイデンのカントリー・アルバム。ライナーで初めて知ったのは、彼の両親がプロのカントリー・ミュージシャンであり、彼の姉と2人の兄も加わった " ヘイデン・ファミリー " は北米中西部では人気のグループでラジオ番組のレギュラーも持っていたということ。チャーリーも2歳の頃に一緒にラジオで歌っていて、その歌がここに収録されている。なるほどカントリー・ミュージックはチャーリー・ヘイデンにとっては家族の音楽であり故郷だったわけだ。このアルバム、タイトルにもあるとおりファミリー&フレンズが集まって作った和気あいあいでアット・ホームな感じが魅力。まずファミリーはといえば奥さんルース・キャメロンに長男ジョシュ・ヘイデンそして三人姉妹(三つ子?)レイチェル、ペトラ、ターニャに娘婿ジャック・ブラックで、それぞれヴォーカルで参加。全員プロのミュージシャンなようです。そしてフレンズですが、こちらは超豪華。エルヴィス・コステロ、ヴィンス・ギル、ブルース・ホーンズビー、ロザンヌ・キャッシュ、ダン・ティミンスキー、リッキー・スキャッグスがヴォーカルに、演奏陣にはパット・メセニーの他ジェリー・ダグラス、サム・ブッシュ、スチュアート・ダンカン、ベラ・フレック、ブライアン・サットンなどナッシュヴィルの名手達が勢揃い。壮観です。楽しいです。星みっつ☆☆☆ です! 


 2月9-10日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 サッカーとロックに熱中していた高校時代、ジョージ・ベストやエリック・クラプトンなど憧れのスターの姿は雑誌のグラビアでしか見られなかった。彼等スターの動く姿が見たいという強い欲求はあったけど、まだビデオも衛星放送もなかった時代だから走るベストやプレイするクラプトンの映像など夢の世界だった。それがどうだ、YouTube ! 。下記チャーリー・ヘイデンのアルバムが楽しかったのでYouTubeで検索すると、簡単に彼等の映像を見ることができる。しかもプレイヤー繋がりでヘイデン〜パット・メセニー〜ジャコ・パストリアス〜ジョニ・ミッチェル〜チャールズ・ミンガス〜エリック・ドルフィー...と次から次へと見ることが出来る。えっこんな映像あったの!?ってビックリの連続だ。Google Earth といい YouTube といい、インターネットの世界は凄いことになっている。いやあとにかく目玉が疲れる。
CHARLIE HADEN『FAMILY & FRIENDS - RAMBLING BOY』
 あのチャーリー・ヘイデン、ジャズ・ベースの巨人であり先鋭ジャズ集団リベレイション・ミュージック・オーケストラの主宰者としてなど、ジャズマンとして高名なチャーリー・ヘイデンは知っていたけど、この新作ジャケットの絵にえっ!? RAMBLING BOY だァ!? なんかカントリーみたい、とニヤリ。ジャズも好きだけどカントリーも大好きな俺なので、こんなに嬉しいアルバムはめったにないよ。ヘイデンとパット・メセニーでカントリーのスタンダード「ワイルドウッド・フラワー」なんてやってんだから拍手喝采です。あのメセニーのカントリー・リックが聴けるなんてね。つづく


 2月7-8日 晴れ/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 須賀敦子『地図のない道』読了。異国の話しは楽しい。ことに巧い話し手は、こちらを旅の同行者としてしまう。同行者として気楽に肩を組みたくなるような話し手もいれば、良き先生と生徒のように静かに教えを受けることもある。須賀さんはもちろん先生ですね。しかも熱血先生であったり、ユーモア先生であったり。ローマのユダヤ人居住区にあるレストランで「...このレストランの白い壁を爪で掘ってでも、あの日、ここで起こったことどもを、尋ねたかった。」と、かつてナチスに強制連行されたユダヤ人達に思いをはせた文章は熱いし、またヴェネツィアの博物館では鑑賞した絵にたいして「...まるくもりあがった乳房が、大きくあいた胸もとから景気よく見えている。」と、景気よくって...(笑)。たまにはこの本のような、まっすぐな文章で眼と頭の洗濯をしなくちゃね、と思いました。
MARC RIBOT'S CERAMIC DOG
    『PARTY INTELLECTUALS』
 ライ・クーダー、ブラインド・ウィリー・ジョンソンからマーク・リボーとギター弾きが続きます。エルヴィス・コステロや矢野顕子といったアクの強い歌い手御用達ギタリストとして異彩を放つマーク・リボーがホームグラウンドに戻ればと書きかけてハテ?彼のギタリストとしてのホームってドコだっけ?このバンドはトリオだからまたアヴァン・ジャズかなと思っていたら、なんとロックだったし、しかも歌っているし、やっぱりヘンタイ入ってるし。ここではヘンタイ・ロック、あちらではヘンタイ・マンボ、もちろんヘンタイ・ジャズやソロ・フリー・インプロヴィゼーションにも気合い入ってるし。ますますトラエ所のないギター弾き兼作曲家兼歌手となったマーク・リボー。わたしゃそんな彼が大好きです!タイクツさせないもんね。


 2月5-6日 晴れ/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 平安寿子『恋愛嫌い』読了。ランチ・メイトの3人のOL、職場も年齢も違うけど妙にウマがあう。揃って恋するのがメンドウだったり傷つくのがコワかったりで男に避けて生きている。そんな彼女達の連作短編物語。短編の題名が「恋が苦手で..」「前向き嫌い」「あきらめ上手」など、ああそうかそうかな感じの話しで終章が「恋より愛を」でオチがつく。中でも良かったのが「一人で生きちゃ、ダメですか」。永井荷風の挿話の強引さにニヤリ。身勝手な親近感に永井先生も困ってらっしゃる?(笑)。
BLIND WILLIE JOHNSON『THE COMPLETE』
 ライの『パリ、テキサス』を聴いてたら、やはりこちらが聴きたくなった。強烈なダミ声でダイナミックに歌いそしてディープなスライド・ギター。ブルースに聴こえなくもないブラインド・ウィリー・ジョンソンの歌は間違いなくゴスペルであり、彼はキリスト教の説教師でした。ギター弾き語り流浪のギター・エヴァンジェリスト。福音の歌ゴスペルと悪魔の歌ブルース、聖と俗が背中あわせのようで、ギラつく陽光と深い闇を想像しゾクッとくる。ライナーにはブルース研究家サミュエル・チャーターズが素晴らしい紹介文を寄せていて、その中に「...テキサス州マーリンの町での土曜の午後のことを覚えていた。その町の一角でブラインド・ウィリー・ジョンソンが歌をうたい、別の一角でブラインド・レモン・ジェファスンが歌っていたという光景である。その瞬間のマーリンの街頭はおそらく、黒人音楽世界の核のようなものだったと思われる」。う〜ん、凄すぎる光景だなあ。


 2月4日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 椎名誠『全日本食えば食える図鑑』読了。椎名のエッセイ本はドカドカ読んでたつもりだったけど、おっとこれは未読だった。タフなアニキの相変わらずの面白さってことで。
 それより
『本の雑誌』が大変だほぼ30年定期購読している『本の雑誌』が経営難らしい。あれは二十歳過ぎた頃だったか、お茶の水駅前通りの右側にある茗渓堂で立ち読みしたのが初めての出会いだった。その頃よりちょっと前、椎名誠はシーナと呼ばれていて、俺はその呼び名を平岡正明のエッセイで知った。また青林堂の漫画雑誌『ガロ』にナニかパーティーの集合写真が載っていて、南伸坊をはじめ平岡正明、荒木経惟、糸井重里、クマさんなどと一緒にシーナも写っていたはずで、思えばカウンター・カルチャー/サブ・カルチャーが意気盛んな頃だった。初めて手に取った『本の雑誌』の編集長がシーナだと知り、また内容が同人誌にしては馴れ馴れしく、敷居の低い「話しの特集」っぽくもあり、沢野ひとしのヘタウマ画の表紙と相俟って、その人懐こさからつい買ってしまったのを思い出す。上記の人達の他、マッド・アマノ、村松友視、香山二三郎、岡庭昇、和田誠、嵐山光三郎、鏡明、東海林さだお、群ようこ(社員だった)など錚々たるサブカル文化人が連載なり文を寄せていた。俺を冒険活劇中毒にしたのはこの雑誌の北上次郎と坂東齢人(後の馳星周)だったし、とにかく『本の雑誌』なしに俺の読書は成り立たなかったと思う。牛に引かれて善光寺みたいなもんだ...?(笑)。「このミス」や「ダヴィンチ」を本屋で見かけても「フンッ!」とよそ見をしていた俺なのだ。
 だからよ〜
ガンバレ『本の雑誌』フレーフレー『本の雑誌』なのだ。
RY COODER『PARIS, TEXAS - OST』
 先日東京の友人から「酒飲む時に聴くいい音楽ないですかねえ?」と訊かれたので、ライ・クーダーの『パリ・テキサス』と即答した。なぜ即答かといえば、この前買ったライのアンソロジーをちょくちょく聴いていて、とくにサントラ曲がBGMとして店内に馴染んでいたからなんですね。「Dark Was The Night」ですね〜。ブラインド・ウィリー・ジョンソンこの映画に「Dark Was The Night」を使ったってことがエラかったのだ!なんですね。今TVのドラマやCMのバックで時々流れるスライド・ギター、この " スライド効果 " はライ・クーダーのこの『パリ、テキサス』の影響から始まったと感じています。


 2月3日 雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 節分です。そして雨降り。冬季国体に雪祭りと冬本番を向かえるというのに。少雪はたしかに暮らすには楽だけど、ここまで少ないとナニかと困る人達が多いのも雪国です。
DAVID BYRNE & BRAIAN ENO
  『EVERYTHING THAT HAPPENS WILL HAPPEN TODAY』
 聴いて驚いたのがこの聴き易さ親しみ易さ。「サウンド・オブ・サイレンス」と「ラストダンスは私に」のメロディーが浮上する1曲目に全体が現れている気がする。" エレクトロニック・フォーク・ゴスペル " だとバーンは言っている。サウンド&レコーディング誌でこのアルバムの制作についてイーノは「..トーキング・ヘッズでもブライアン・イーノのどちらでもなく...つい口ずさんでみたくなるような曲、...誰もが一緒になって歌うことのできる音楽を常に目指していただけだった。」とイーノ語る。サウンド・トラックはイーノが作り、歌と詞はバーンが担当したとあります。しかもお互い離れた所でのデータの送受信で大部分の作業を行ったそうです。ネットでのやりとりで音楽を作るのって今では普通のことなんですね。まあとにかく大物同士のコラボはとても素敵な大人のエレクトロ・ポップを生み出しました。ロバート・ワイアットやフィル・マンザネラもふらっと立ち寄り客演、エレキ・ギターのキラキラした音色に刺激を受けたりで、いやあまいったまいった。


 2月1日 雪/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 豪雪の都津南町も今冬は少雪で今現在積雪50センチくらい。毎年これくらいなら定住者が増えたりしてね。この前の夜、TVで映画『二十世紀少年』をやっていた。我が家族は原作漫画を超愛読していたので楽しみして見たけど超ガッカリ!出来の悪いダイジェスト版を見せられた感じで後味が悪い。原作をまったく知らずに見た人達はあの映画を楽しめたのかな?
DAVID BYRNE & BRAIAN ENO
  『EVERYTHING THAT HAPPENS WILL HAPPEN TODAY』
 デヴィッド・バーンとブライアン・イーノと言えば'80年トーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』そしてバーン&イーノ『マイ・ライフ・イン・ザ・ブッシュ・オブ・ゴースツ』がピンとくるけど、本作はアレ以来なんと27年ぶりの再会アルバムだそうだ。NYのインテリ・ヘタウマ・バンド、トーキング・ヘッズを大変身へと導いた張本人がイーノだと思っていて、ロキシー。ミュージックに惹かれなかった俺がイーノに興味を覚えたのはこのトーキング・ヘッズ及びバーンとの共演から。でもイーノって音楽家は捉え所の無い人で、今までも遠くから眺めていたていど。でもバーンとの久々のアルバムとなれば俄然舌なめずりですよ(笑)。つづく


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