●2009●

 4月28-29日 曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 この時期ムラは一斉に忙しくなる。天気が良いとなおさらだ。俺も今朝は沿道の花壇作業に出てきたし、神社ではPTAがネット張り、好きな人は山菜採りにゼンマイ干し、田んぼ仕事も始まった。
THE POGUES『If I Should Fall From Grace With God』
 ちょうど一月前、ムーンライダーズの鈴木博文を聴きに訪れた新潟市で友人が誘ってくれたアイリッシュ・パブ、そこでリクエストしたのに聴き損ねた「ニューヨークの夢」のポーグスを取りだしてきた。ロンドンのアイリッシュ移民の子弟で結成されたのがポーグスで、これは'87年の3作目。プロデュースは当時売れっ子のスティーヴ・リリーホワイト。ヴォーカルでバンドの中心人物シェイン・ムガウアンがパンク・バンド出身なだけにサウンドは一言で言えば(乱暴だがW)アイリッシュ・パンク。このアイリッシュとパンクの融合がじつに見事で天晴れだ。かなりの数のライヴをこなした後のレコーディングということで、バンドの勢いと演奏の錬度が良く表れたアルバムだ。それぞれの曲の良さもあるね、名盤と呼ばれるわけは。そしてピカイチが「ニューヨークの夢」。荒くれた哀愁に一輪の花、シェインとカースティ・マッコールの掛け合いが切なく胸に沁みる。


 4月26-27日 雨/曇り/雨/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 寒さが戻ってきた。26日夜渋谷では浜田真理子のライヴがあり、日帰りで行って来るつもりでチケットも買っておいたけど、やはり家を放れることができず残念だった。福井晴敏『Op.ローズダスト』は中巻読了。う〜ツラかった。戦後日本の国防とその国民意識の在り方について延々と意見を聞かされての中巻だった。こうした作者自説の開陳は他に新書にでも発表すればいいんで、小説ではもっとスマートにストーリーに絡めて欲しい。越後七浦の海岸で3人がローズダストに出会うシーンの抒情が、上記の理由で隅っこに押しやられた感じでもったいないよ。まあ続く下巻が面白ければ許すとしよう。
ROD STEWART『ATLANTIC CROSSING』
 これは'75年リリース時にリアルタイムで聴いたロッド・スチュワート。とにかく大好きなアルバムで、これがあったからロッドの過去のアルバムを遡って聴くようになったんだよね。本盤は米ワーナー・ブラザーズ移籍第一弾であり、活動の本拠地をアメリカに移した(フェイシズも脱退)まさに心機一転アルバムであり、だからその意気込みが喜びとともに歌声に溢れている。レコーディングはメンフィス・マッスルショールズを軸にNY、マイアミ、LAで行われ、そしてプロデュースはトム・ダウド!。参加ミュージシャンなんか豪華すぎて書ききれない。サザン・ソウルをサウンドで支えたマッスルショールズとSTAXのMG'Sやメンフィス・ホーンズの面々、そしてジェシ・エド・ディヴィスやデヴィッド・リンドレーといったLAの実力者達による骨太な演奏が爽快だ。だがなんといっても本盤の良さは、選曲の素晴らしさと歌うロッドのノドヂカラだな。クレイジー・ホースの「もう話したくない」やバリー・ゴールドバーグ&ジェリー・ゴフィンの「それはスポットライトじゃない」そしてサザーランド・ブラザーズ「セイリング」などは、ここで歌われスタンダードとなった隠れた名曲だ。自作の「スリー・タイム・ルーザー」「ストーン・コールド・ソウバー」は十八番のアドレナリン・ロックン・ロールで、こうした曲がなきゃロッドじゃないぜ!ってなかっこよさだ。でも、俺のロッド・スチュワートはここまで。この後スーパースターでアイム・セクシーなロッドにはつき合いきれなかった。


 4月25日 雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 今日は娘の中等校のPTA学習参観&PTA総会があった。自分で行きたい自分でやりたいと思えないとヤル気がまったく出ない俺なので、なんで中学にもなってPTAなんだよと無関心を決め込んでいたら、カミさんがさっさと行ってきてくれた。PTAと関係づけたいわけじゃないけど、自立できない親=子離れできない親が増えているんじゃないかな。
RONNIE LANE & SLIM CHANCE
   『ANYMORE FOR ANYMORE』
 バリバリなモッズ・バンド、スモール・フェイシズのクールなナンバー2といえばロニー・レイン。ロッド・スチュワート初期のアーシーなロックを聴いてたら、同じブリティッシュ・アーシー繋がりでこのロニーの'74年アルバムも引っぱり出して聴いている。アーシーというより長閑な感じもする名盤だよね。アメリカのブルースやフォークやカントリーそしてブリティッシュ・トラッドにミュージック・ホールの音楽など、こうした大衆音楽への素直な親しみが温かさを生んでいる。生粋の都会っ子が抱く田舎への憧れとも思われ、だからか泥臭さはなく爽やかな田園ロックともいえる、かな。


 4月23-24日 曇り/雨/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 「アイドルグループ「SMAP」の草なぎ剛容疑者(34)の公然わいせつ事件で....」そうかネット上では草なぎ剛の " なぎ " は変換されないのか。試しにMacのATOKで手書き入力でやってみたけどダメだった。まだまだこうした漢字は多いのかな。それだけ漢字の歴史が古いということか。それはともかく草なぎ君の一報にはビックリしたし、裸で芝生に座っていたと聞いて自分の尻がチクチクしたのは俺だけではないだろう(笑)。可哀想と思いながら「まったくしょうがないなあ」とニヤニヤしてしまったのも俺だけじゃないだろう。酒はこわいね酔っぱらいはホントにね。俺もいろいろあったよ酒の失敗。他人には絶対に知られたくないことも(笑)。
ROD STEWART『EVEEY PICTURE TELLS A STORY』
 '71年のヒット・アルバムですね。日本ではノー・ヒットだけど英米ではチャート1位だからね。ただ当時の俺の耳に届かなかったのは、サウンドが軽いせいかな。あの頃、ロック初心者な俺にはハードでヘヴィーなロックの方が取っつき易かったんだよね。だからこのロッドの良さが判らなかった。前作もそうだけど、アコーステイック楽器が多用されていて、アコギにスライド・ギターにマンドリンやヴァイオリンとか。当時のアメリカにもカントリー・ロックやらフォーク・ロックがあったけど、ロッドはアコギが鳴っていても強烈にロックを感じさせるとこが良いね。ハード&ヘヴィーに代表されるブリティッシュ・ロック的なサウンドよりボブ・ディランやアメリカ南部のR&Bやカントリーのようなアーシーな音楽に興味が行っていたし、自らのルーツのトラッドもサウンドに反映させてる。なのにロックとしか言えない音楽になるのはロッドの歌唱のせいだと思う。本作でもカバー曲は冴えていて、ディラン「トゥモロー・イズ・サッチ・ア・ロング・タイム」、テンプテーションズ「アイム・ルージング・ユー」、ティム・ハーデン「リーズン・トゥ・ビリーヴ」などどれも素晴らしい出来なんだけど、代表する曲となると自作の「マギー・メイ」が断然光る。同じく自作「マンドリン・ウインド」も渋い名曲だ。マンドリンてのが良いよなあ(笑)。この頃のロッド・スチュワートって地味なんだか派手なんだかわからないなあ(笑)


 4月21-22日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 昨日今日と店の前は道路の舗装工事で一方通行。開店休業って感じ。福井晴敏『Op.ローズダスト』だけど、上巻読み終わり中巻へ。流石福井晴敏、読み始めるとジェットコースターのスリルと疾走感で持って行かれる。
ROD STEWART『GASOLINE ALLEY』
 スーパースターでアイム・セクシーになる前のロッド・スチュワートは大好きだ。あのパイナップル・ヘアは長髪でもサッカーができるようなヘア・スタイルってことで、ロッドといえば大のサッカー狂としても有名、もちろんスコットランド贔屓はあたりまえ。ジェフ・ベックとロン・ウッドも同じヘア・スタイルだよね。あっそうそうムッシュ・かまやつも(笑)。この'70年のセカンド・ソロ・アルバム、すでにジェフ・ベック・グループのヴォーカリストとして名を上げ、フェイセスも始動した頃だったけど、まだどこかローカル・ヒーローなB級っぽさが漂うところが凄く好きだなあ。風情があるよ。ロック侍みたいで(笑)。サム・クックに影響された、というかミーハーな歌唱はソウルフルだけどポップ。求道的じゃないんだよね。そこがロッドの良いとこ。もうひとつ肝心なのが選曲のセンスの素晴らしさ。ここではボビー・ウーマックの「イッツ・オール・オーヴァー・ナウ」、ボブ・ディランの「オンリー・ア・ホーボー」絶品!、エルトン・ジョンの「カントリー・コンフォート」が光る。どれもロッドの歌唱により彼の持ち歌のように聴こえるとこは後年の「セイリング」しかり。スーパースターじゃなかった頃のロッド・スチュワートはほんと味わい深いロックン・ローラーだった。


 4月20日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 高校からの仲間4人で同じ仲間がやっている清津峡の温泉旅館「清津館」へ遊びに行ったり、ムラの公園の桜が満開なので村人総出で花見をしたり、とか楽しんでたらもう20日。読んでる本は津南新聞の修一君から借りた福井晴敏『Op.ローズダスト』でこれがなんと上中下巻という凄いヴォリューム。この厚さに怯みそうだ。
佐井好子『タクラマカン』
 三村京子に続いて同じ関西女性歌手の大先輩佐井好子を引っぱり出してきた。去年出たカムバック作品、30年ぶりの全曲オリジナル新作!とありますね。昔の印象が薄いから懐かしい感じはないけど、体温の低そうな妖しげな歌声に聴き憶えがある。ただし本作はバックが山本精一だの早川岳晴だの芳垣安洋だの猛者ぞろいなので、サウンドは力強く、そのせいか彼女の歌にも逞しさが感じられる。片山広明のサックスが咆哮しJOJO広重がコーラスというディープなメンバーによる「変わり者」はコワモテな祝祭感がなかなかよろしい。Jポップとはかけ離れた位置にあるこうした歌が、もっと多くの人の耳に届けばいいんだけどなあ。


 4月15-16日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 山本幸久『笑う招き猫』読了。お仕事(職場)小説の名手による初期作品が文庫化されてたので読んでみました。これもお仕事小説と言えるのかな。女性漫才コンビのお話し。登場人物それぞれのキャラ立ちの良さは抜群で、話しのテンポも良くて、泣けるエピソードも用意しエンタメ小説として文句なし!。漫才コンビのアカコとヒトミが深夜自転車二人乗りで自分達のテーマソングを歌うシーンが印象的な " しあわせなのよ♪" 小説でした。
三村京子『東京では少女歌手なんて』
 少女歌手なんて....(笑)。俺は昭和の歌謡曲育ちだけど、" 少女歌手 " って呼び方あったかな?と思わず考えた。このアルバム中数曲に'70年フォークの匂いは感じられたけど、でも健康的フォーク少女の匂いじゃないし。もっと裸な感じかな、詞と歌が。その裸が熟した女性というよりは少女に近い感じはして、駆け引きのないコワサみたいなものがある。


 4月13-14日 晴れ/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 暖かい日が続いたのであっというまに(ほんとに!)桜が満開。車で走っていると、日本人の桜好きがよくわかります。森下くるみ『すべては「裸になる」から始まって』読了。人気AV女優(なんと10年選手!)のエッセイ集なんだけど、解説の花村萬月が指摘しているとおりなかなかの文才です。AV辞めて作家になるのかな。「....まったく、人間の価値観というのはおもしろい。多種多様で、限りなく残酷になれて、限りなく偏れて、限りなく狭くも広くもなれる。そのさまざまな価値観を、AV女優という側から見られて、得したくらいだ。」と彼女。AV女優について偏見を持たずにいられない俺のような男にとって、つい「ごめんなさい!」と言ってしまいたくなるほど、この本の森下さんは立派です。
RANDY NEWMAN『harps and angels』
 反骨・反権力の人、皮肉屋、天の邪鬼などどれもランディ・ニューマンに当てはまりそうだけど、彼の音楽には温かくて優しい響きがある。彼が多用するブラスやストリングスが奏でる大衆性こそ彼の本質だと思うのだが。しかし時として安易に権力に迎合しがちな大衆を嫌悪し痛烈にやり玉に挙げるのもランディ・ニューマンだと思うし。つまりだ、彼は俺にとって信頼できる男だということだ。


 4月8-9日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 高城高『墓標なき墓場』読了。和製ハードボイルド小説を熱心に読み始めたのは北方謙三、大沢在昌、志水辰夫などが活躍を始めた'70年代の終わり頃からで、それ以前の作家についてはよくは知らなかった。大藪春彦、河野典生を読んでいたくらいで。そこでこの高城高( こーじょーこー)、彼こそ和製ハードボイルドの先駆者だと知り、そして読んでみた。いいねえ、このしっとりとした情感あふれるミステリー。舞台は昭和30年代の北海道東部釧路から根室あたり、サンマ漁で賑わう町の荒くれた感じが背景として効いている。主人公は新聞記者で、作者自身が北海道新聞の記者だったせいか物語にリアリティが感じられる。1962年作品の46年ぶり初文庫化として、まさに濃霧の彼方から忽然と甦った和製ハードボイルド小説の名作。これだから本捜しはやめられないな。
SEX MOB『Dime Grind Palace』
 アメリカ・ジャズ界のハミダシ者としてNYニッティング・ファクトリー界隈にたむろしていた彼等が表舞台に登場してきたのはジャム・バンド・ブームの頃だったと思う。だからといってこの2003年アルバムがあのグレートフル・デッドを彷彿させるようなジャム・バンドっぽいかというとそうでもない。彼等がここで演奏しているのは、どちらかといえばトラディショナルなもの、ニューオーリンズ・ジャズやクレツマーやポルカみたいなオールド・タイム・ミュージックで、所謂みんなで楽しもうという音楽。もちろんストレートにやってるわけがなく、随分と屈折した演奏ではある。でも雰囲気は、みんなでワイワイ音楽だ。スライド・トランペットやトロンボーンやスライド・ギターの揺れたウニョウニョしたプレイがヘンテコだけど人懐こくて楽しい。そんな彼等は、今どんな音楽に向かっているのかな。ちょっと気になる人達だ。


 4月6-7日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 6日は娘の入学式。中高一貫校の津南中等教育学校に入学した。俺達の時代の長閑な中学校生活とはずいぶんと違う学校生活が待っているようだ。そして今日が初授業、帰ってきた娘にどうだった?ときいたら「楽しかったよ」という返事。ほっとした。
Jeff Beck『ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラブ』DVD
 ち・近い!ベックがすぐそこにいる。DVDの有難味満載の最強ライヴ映像だ。会場はロンドンのジャズ・クラブでキャパ200だよ!こんな狭さでベックを堪能できるなんて卒倒ものだ。この前新潟市で鈴木博文さんのライヴを最前列で見たときの距離が1メートルで、この近さに驚いたけど、このベックのライヴも1〜2メートルって近さだ。狭い会場でカメラワークにも制限があるらしく、ほとんどがアップの映像なので凄い臨場感だ。肉声のようなベックのギター・プレイがどれだけ繊細にコントロールされているのかが良く伝わってくる。トレモロアームがフローティングにセットされたストラトを極限まで使い切る。曲中に何度もボリュームとトーンを操りギターが表情を変える様は見事だし、アーミングだけで繊細なメロディーを紡ぎ出し、ボトルネックを使ってのブリッジ近くでこれまた繊細なメロディーを奏でる、こんな凄い技を見せつけられて、こっちはもう感激通り越して桃源郷で感涙だ。ジェフ・ベックは間違いなくギタリストとして前人未踏の境地に入っている。共演してる神様クラプトンが霞んでみえるほどだから。
 そのクラプトンのクロスロード・ギター・フェスに登場した時のベック・グループで気になっていたベーシスト、タル・ウィルケンフェルド。彼女の存在がベック変えた!!と俺は思いたい。小柄で金髪で20代前半だけど10代にしか見えないメチャかわいい彼女がジャコのようなプレイをするなんて!ほんと凄いよ天才だね。プレイしてる時の表情がほんと可愛い。ベックはきっと彼女が可愛くてしょうがないんだよね。だって、こんなにヘラヘラ楽しそうにプレイするベックなんて初めて見たよ。彼女の存在が確実にバンドを活性化させてるように見える。もちろんヴィニー・カリウタの瞬発力溢れるスピーディーなドラミングは快感だし、ジェイソン・リベロのピアノ・シンセ・オルガンのプレイは確実にベックのギターをサポートし、時に飛び道具として渡り合い、バンドに厚みをもたらしている。大好きなギタリスト、60年代から活躍しているジェフ・ベックの只今絶好調というプレイが見られるなんて、ファンとしてこんなに幸せなことはない。


 4月4-5日 晴れ/曇り/雨/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 中島誠之助『ニセモノ師たち』読了。悪党小説を読んでるような楽しさだった。あとがきで「無断でのシナリオ執筆によるドラマ化等は、切につつしまれたい。」とわざわざ中島さんが記するほど、骨董品のニセモノをめぐるお話しが人間ドラマとしてじつに楽しい(端で見てね)。骨董の世界にはド素人(ビンテージのギターには興味があるけど)だったのでヘエヘエ・ボタンを叩きっぱなしで、例えば...「目利きの人、あるいはプロの骨董商は鑑定をしません。...鑑定士の名のもとに鑑定をしているテレビ番組や講演会・鑑定会などの場合、鑑定は私の芸能活動であり公共の使命と割り切っています。」とある。なるほど芸能活動か(笑)。いい仕事してますねえ。
SHADOW VIGNETTES『BIRTH OF A NOTION』
 ミンガスの音楽には同胞に対して吐き出されていると思える曲が多い。テーマでのツカミの上手さや雄弁な物語性などを感じさせる曲が多い。そこでこのシャドウ・ヴィネッツだ。'90年作品で当時の最先端のジャズと言われた1枚だ。主宰(?)はシカゴAACMの古参幹部でサックス奏者のエドワード・ウィルカースンJr、総勢24人の大所帯バンドだった。'60年代中頃シカゴで結成されたAACMとは「創造的ミュージシャンの発展の集団」、アート・アンサンブル・オブ・シカゴやエアーなど多くの俊英達を生み出したシカゴ前衛派の集団で、現在でも旺盛に活動しているそうだ。このアルバムで感じられるコミュニティーの匂いはそんなAACMの雰囲気を現しているのかもしれない。彼等の名刺代わりというか伝統の集団即興演奏やフリーキーなソロも飛び出すが、それよりも広い意味の(そして深い意味の?)ソウル・ミュージックをやってるように思える。ラップありカリンバありストリングスをバックにしたムーディーな歌ものありで、バラエティーに富みしかもそれぞれ長い曲ながらその構成がじつに巧い。各方面から高い評価を受けた彼等は当然「なぜニューヨークに進出しないのか」と問われることになる。それに対しウィルカースンは「20年代や30年代と同じように地方ごとにその土地のバンドがなければならないからだ。」と答えている。シカゴでAACMという母体があるからメンバーを集めやすいからとも答えている。ここで聴かれる音楽が先鋭的でありながら温かみが感じられるのは、コミュニティーに根ざしているからかもしれない。


 4月2日 雨/晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 矢野隆『蛇衆』読了。舞台は室町後期戦国前夜の九州、破天荒な強さを発揮する傭兵集団「蛇衆」の物語。読み始めは和田竜『忍びの国』のようなヒーロー物かと思いワクワクしたのに、ラストがどうもねえ。『忍びの国』のような痛快さがない。せっかくひとりひとりのエピソードを混ぜ込んだのにこのラストじゃもったいないと思った。滅びの美学は武士だけにしといてくれよ。
Charlie Mingus『Blues & Roots』
 メンバーはミンガスとジミー・ネッパー (tb)、ウィリー・デニス (tb)、 ジョン・ハンディ (as)、 ジャッキー・マクリーン (as)、 ブッカー・アーヴィン (ts)、 ペッパー・アダムス (bs)、 ホレス・パーラン (p)、 マル・ウォルドロン (p)、 ダニー・リッチモンド (ds)。6管編成でサウンドを特徴づけてるのはトロンボーンとバリトン・サックスの中低域隊。アンサンブルの重心が低いので不気味で力強い感じがする。トボケた感じも飛び出すしね。「MOANIN'」のバリトン・サックスによるテーマのかっこよさはいかにもミンガス的で、これがもしドルフィーのバス・クラリネットだったら...などと想像を逞しくしたり。怒りのミンガスとか呼ばれるけど、曲のテーマはスタイリッシュでツカミ上手だよな。


 4月1日 曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 西原理恵子『パーマネント野ばら』読了。西原読むたびに女の逞しさにタジタジとなるなあ。気の弱い男子はコソコソと逃げ出すかも(笑)。でもここで逃げ出すような男子は求めておらんのだな女子は。
 話変わって下の写真。鈴木博文さんと俺なんだけど、俺は博文さんの肩の後ろなんだよ、なのに...顔デカ〜イ、しかも酔っぱらい顔(笑)。厚顔無恥ってやつだな。
Charlie Mingus『Blues & Roots』
 ついに春だな。芽吹きの音がバリバリ聞こえてくるようなダイナミックな1発目はミンガスのこれ「wednesday night prayer meeting」から始まる'59年録音盤。黒人教会のゴスペル、その強烈なコール&レスポンスをミンガスとその強者共が演奏で表現する「wednesday night ...」は、これぞミンガス・ミュージックって感じで、混沌と統制、知性と暴力、静寂と熱狂、こうしたアンビバレンツなせめぎ合いがスリリングに展開する。つづく


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月下の遊群CONTENTS
 
ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps