●2009●

 8月30-31日 曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

  リハーサル中の友部さんとふちがみとふなとさん。会場は津南町卯の木『なじょもん』
『友部正人 ふちがみとふなと LIVE! 2009』〜 夏の終わりに、旅の始まり.. 〜
 友部正人さんとふちがみとふなとさんのコンサート無事終了。妻有我楽多倶楽部として最初に友部さんをお迎えしてから約20年、2年に1回のペースでライブを主催してきた。ふちふなさんとは3年前にお迎えして以来今回が3度目のお付き合いとなった。今回ライブに寄せる思いとしてこんな文をチラシに載せた。
 「旅人の歌を聴こう。歌って旅をする人たちの歌を聴こう。ここにいて 見知らぬ町を旅しよう。違った生活 違った生き方に出会えるかもしれない。旅人の歌を聴いて 見知らぬ人たちと出会いたい。おなじように笑い おなじように泣く 見知らぬ町の人たちに出会えるかもしれない。」
 友部さんもふちふなさんも年間100本以上のライブで日本中を廻る旅する歌い手だ。その歌にはテレビの流行り歌では感じ得ない裸の響きがある。歌を持って旅をする者のみがもつ忍耐強い生活感がある。友部さんはいつも真っ直ぐに誠実に歌う。ふちふなさんは温かく時にユーモアを織り交ぜて歌う。此処に住まう俺達は歌う旅人を温かく迎え、そして少しの寂しさと共に送りお別れをする。「ありがとう また会いましょう」と。


 8月29日 雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 S・J・ローザン『冬そして夜』読了。ああ気忙しくて...感想は後ほど。
ロンサム・ストリングス『Some Happy Day』
 
桜井芳樹(ギターほか)、田村玄一(スティール・ギターほか)、松永孝義(コントラバス)、原さとし(バンジョーほか)という名うての4人組みからなるインスト・バンドがロンサム・ストリングス。つづく


 8月28日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 娘の学校は2学期制(津南町立の小中学校も今年から2学期制かな)なので今日から1学期後期がスタート。といっても夏休み中もお盆前後以外はずっと学校へ行ってたから、夏休み明けって感じがぜんぜんしない。夏休みって言葉は小学生のためにあるのかなあ。
CROSBY, STILLS & NASH『dEMOS』
 
デヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュそして1曲だけニール・ヤングも! なんと68-71年のデモ録音集ですよ。まだこんなお宝があったんですねえ。デモ曲といっても立派に完成曲として通用するような出来映えで、当時の彼等がいかに冴えていたか勢いがあったかがよおくわかります。しかも驚くのはこの音楽が今でもまったく色褪せていないということ。新人の新譜として登場しても注目される、そんなクオリティーの高さがあります。日本中のコブクロ・ゆず予備軍の皆さんが " ちょっとした冴えたやりかた " でオリジナリティーを得たいとしたら、この「マラケシュ・エクスプレス」なんかどうでしょう(笑)。弾き語りで山崎まさよしよりかっこよくキメたいならば、この「愛への讃歌」を盗んでみては? などなど、今でも(今だからこそ)使えるネタがたくさんありますよ。


 8月26-27日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 天気は良いけど朝夕涼しい。もう秋な感じもする。長雨と日照不足の夏だった。野菜にはすでに悪影響が出ている。米の出来が心配だ。
LEVON HELM『ELECTRIC DIRT』
 
ミュージック・マガジンに興味深い記事があった。「...18世紀から19世紀初頭までキリスト教系の歌唱学校で盛んだったシェイプ・ノート・シンギングというヴォーカル・スタイルを...」というものだ。そして喉から絞り出すように歌うリヴォン・ヘルムの歌唱はまさにシェイプ・ノート・シンギングだ。ザ・バンドを代表する歌声だったリヴォンの歌唱には根深い歴史があり...、う〜んザ・バンドの魔法の秘密がひとつが顔を出した感じをうけた。さて本作だけど、サウンドは前作同様ラリー・キャンベルの仕切で引き締まり、ホーンが加わったことでパワー感がある。ホーン・アレンジにはアラン・トゥーサンも参加。曲はジェリー・ガルシア、マディー・ウォーターズ、ランディー・ニューマンそしてステイプル・シンガーズやスタンレイ・ブラザーズなどまさにディープなオール・アメリカンな感じで、これがリヴォンとの相性ピタリ。とくにスタンレイ・ブラザーズお得意の宗教歌=セイクレット・ソング(かな?)をリヴォンが歌うとじつに味わい深い。


 8月25日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 今朝の新聞には昨日の甲子園の熱気と興奮が踊っていた。俺も高校野球に興奮させられたのは久しぶりだ。「感動をありがとう」だなんて陳腐な言葉だと思っていたけど、昨日の日本文理の戦いぶりには素直に「感動をありがとう」と言おう。
LEVON HELM『ELECTRIC DIRT』
 
ザ・バンドの気骨を一心に背負うかのようなリヴォン・ヘルムの新作にして痛快作。御年69歳のロックンローラーだ。歌声は枯れたが滋味は増して、男の哀愁3割増しだ。叩くタイコは干し草匂う南部の音だ(勝手な思い込み)。今もNY郊外ウッドストックに本拠地として活動しているリヴォンにとって南部の音楽は望郷の歌なんだろうか。またかつてワン・ナイト・スタンドで巡業した想い出につながる歌の背景としての南部かもしれない。勝手な思い込みが止まらないので、このへんで...。つづく


 8月23-24日 晴れ/雨/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 昨日は友部さん出演の大地の芸術祭イベント『BankART〜Butterfly Dream』を鑑賞、というか友部さんの付き人運転手として半日を過ごした。リハから本番までの時間を利用して友部さんユミさん御夫妻と芸術祭の作品を見て廻った。アート好きな御夫妻は今日もBankARTの友人に案内されて芸術祭鑑賞に飛び回っていることでしょう。
 さて県民注視の甲子園。なんと決勝を戦う新潟の日本文理。9回表、10対4でリードされての2死からの攻撃、シビレタなあ。なんと10対9まで猛追してジ・エンド。決勝で敗れはしたがファイナリストは讃えられるのがスポーツの世界。この夏の日本文理野球は素晴らしかった。
LDK『二つの午後』
 
友部正人とふちがみとふなとによるユニットLDK。昨夜友部さんがフット・ストンピングと腕のフリで(つまり無伴奏)歌った「言葉がぼくに運んでくるものは」は、友部さんの新機軸といえるものだった。ユミさんにそのことを尋ねたら、ふちふなさんとのコラボから生まれたとのこと。この夜歌った「大道芸人」もこのアルバムに入っている印象的な曲。日本中を旅して廻り年間100本以上のライブをこなす友部さんとふちふなさんならではの「大道芸人」。スター達のアリーナ・コンサートでは感じ得ない裸の歌が息づいているんだけど、巨大なマスメディアの陰で埋没しかけているのも事実。メジャーでなければ見向きもされない、そんな底浅い文化しか持てないとしたら日本の文化芸術はつまらないものになる。


 8月21-22日 曇り/雨/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 東郷和彦『歴史と外交』読了。東郷和彦は外務省欧亜局長やオランダ大使などを歴任した外務省キャリア外交官で父もキャリア外交官で祖父東郷茂徳は太平洋戦争開戦時と終戦時の外務大臣。つまり貴族的ともいわれる外務省外交官一族なわけだ。そんな東郷による「靖国・アジア・東京裁判」論である。本人曰くイデオロギー的には右でも左でもなく中立に近い立場で書いたとあるけど、階級的な上から目線(本人は気付いていないだろう)な論考だと思う。東郷のような戦時体制を指導した支配者階級に連なる一族だからこそ、もっと国民に対して真摯な反省と謝罪の言葉が聞きたかった。つまり戦争に負けて、国民と国土をどん底に突き落とした責任は東京裁判じゃなくて直接国民によって裁かれその上で国民にたいしての謝罪が必要だった。ところが国民に対する謝罪をなんと「一億総懺悔」なんていう姑息な手段にすり替え、戦後ものうのうと生き延びた戦時体制指導者の多かったこと、これこそ戦後日本の病理だ。ヒトラーとナチスを完全否定し拒絶し続けることから戦後社会を築いたドイツに対し、日本は戦争責任を曖昧にしたことで戦後無責任社会を築いてしまった。と庶民な俺は考えているわけだ。
RICHARD THOMPSON『LIVE WARRIOR』
 
バンド仲間のヒロオ兄イからいただいた我等がRTの新作CDです。相変わらずのRT節、好きものにはこたえられない嬉しさだね。盟友ダニー・トンプソンなどバンドをバックにした演奏でスキがまったくない。ちょっとはスキを見せた方が聴いてて楽かな、と思えるほどだ。大好きなだけに、少し違った方向の音楽も聴いてみたい気もするのだが。フェアポート・コンヴェンションのヴァイオリンが絡んだプログレのような展開とか、女性ボーカルを入れるとか...。


 8月19日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 大島真寿美『虹色天気雨』読了。女友達小説です。男なんかいらないわ小説です。女達の元気さを楽しむ反面、男達の影の薄さに現実世界を重ね合わせ、へんに納得できるところがビミョーに寂しかったりするなあ。現にカミさんと娘は父をおいてディズニーランドへ遊びに行ってるし(笑)まあね、「女が元気=平和」ということなんだな。
TOTO『GREATEST HITS LIVE & MORE』DVD
 
オマケにもらったDVDです。ルカサーがバレーアーツのギターをガンガンと弾いてる映像はギター好きなら充分楽しめます。が、サウンドがあまりに80年代AORな産業ロック。TOTOってこんなにAORだったっけ?まあ考えてみれば、俺はTOTOをあまり聴いてなかったしだから印象にも残っていないんだよ。やっぱAORだったから興味を失ったんだろうね。こんなに巧い人達が集まってもったいないって気もするけど、巧い人達だからこんなハードなのにメロウで耳に優しい演奏ができるわけだ。


 8月17-18日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 お盆も過ぎてようやく休みがとれたので友人と大地の芸術祭を見て廻った。途中でデジカメのバッテリーが切れたので多くを写せず残念だった。どの作品にも多くの人達が訪れていて、この芸術祭の賑わいぶりにあらためて驚く。県外ナンバーの車も多く、この日見かけたナンバーで一番遠いのは鳥取だった。廃校を会場とした作品も多く、この日は数えて5校廻ったわけだが、俺はこの廃校というものに弱くて、作品とは関係なくなんとも悲しくなる。かつて賑やかに楽しい運動会が行われたグランドの今は荒れはてた景色には、芸術作品以上に感情を動かされた。
難波弘之『難波弘之ワークス〜ベスト』
 
難波さんはロックの人なのでそのインスト曲をフュージョンと呼ばれることが嫌いなんだよね。気持ちはよくわかる。鳴瀬喜博、是方博邦、東原力哉と組んだ野獣王国の複雑怪奇な荒々しさは明らかにロックだし、センス・オブ・ワンダーのあの感じはプログレッシヴ・ロックだし。世のブームに乗ることなく、地道に己のロックを追求したキーボーディスト難波弘之の志の高さに触れられるアルバムですよ。


 8月16日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 西加奈子『きりこについて』読了。どうもピンとこなかった。猫好きではないせいか?絶世のブスと猫が主人公で、そのどちらにもピンとこないまま、さらっと読んでしまった。
 昨夜は「なじょもん盆踊り」という半官半民地区イベントでムラの仲間達と夜店をやった。生ビールや焼き鳥などを売った。夜店が忙しくて踊りの輪に加わることはできなかった。この辺の村祭りでは、その家の奥さんは祭りお客のための御馳走やらで忙しく自分の祭りを楽しめないという話しを聞くが、俺達の夜店にもそれに近い思いをした。盆踊りの会場であくせく働くより、浴衣でも着て盆踊りの輪に加わっていた方が楽しかっただろうな。まあ仲間達と一緒に何かをやるのは楽しいことではあるが。
難波弘之『難波弘之ワークス〜ベスト』
 
お盆にプログレだ。実力派キーボーディスト難波弘之がプロ・デビューしたのは金子マリ&バックスバニー。で俺は彼の大学時代の演奏も聴いている。当時友人の樋口が学習院大学の軽音に入っていて、そこの先輩が難波さんで、その軽音部の発表会で難波さんの演奏を聴いた。上手かったはずだけど印象に残っていないのは俺がギター贔屓だから(笑)。あの頃はプログレとキーボード弾きには興味なかったからな。つづく


 8月15日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 俺が生まれたのは「もはや戦後ではない」が流行語となった昭和31年だ。それでも戦争は昔話ではなく、すぐこの前のことのように語られていた。小学生の頃の俺は戦争に怯えていた。もし戦争が起こったらどうしよう。戦争に行くのはヤダな。人を殺したり殺されたりするのはヤダな。マジに戦争が怖かった。だから大人達が「もう戦争はしない」と言ってることに少しの安堵感はあった。その頃祖父ちゃんに訊いた「また戦争がおきたらどうする?」、すると祖父ちゃんは「国のために戦う」と言った。祖父ちゃんには国(お上)に逆らうなんて気持ちは毛頭なかった。俺はその頃から漠然と国(お上)といものに不信感を持つようになったと思う。時として国というものは純粋に故郷や国土や日本人を意味しない。「国のため」と「お上」から言われる「国」とは国家権力そのものだからだ。ダメな国家権力は国をダメにし国民を不幸にする。この前の戦争のように。
 終戦から64年、戦争をまったく知らない子供達が大人となった。「カウンター・カルチャー」「反権力」の思想が若者達から消えて久しい。『反戦平和』の誓いも影が薄くなるいっぽうだ。と、終戦記念日に嘆き節ひとつ。
GUITAR SLIM『THE THINGS THAT I USED TO DO』
 
ギター・スリムがギターに100フィートのギター・ケーブル繋いでプレイしながらライブ会場を練り歩いたってのは有名な話しだ。すでに伝説かも?とにかくハデ好きな人で、もちろん酒と女にもやたらと強かったらしい。芸名からもわかるとおり、ギターを抱いた伊達男なわけだ。そこでスリムのギターだけど、これがやたらアグレッシブでかっこいい。粘着質なのに鋭いフレーズで、やはりシカゴのギターよりテキサスのギターに似ている。初めてスリムのギターを聴いた時、その頃は3大キングなんかのスクィーズ・ギターがブルースだと思っていたから、チョーキングをしないブルーノートも弾かないそんなスリムのギター・スタイルに面食らったものだ。正直LP盤の『THE THINGS THAT I USED TO DO』は愛聴盤ではなかった。ところがブルースを10年以上聴き続けた頃にCD盤で久しぶりに聴いたギター・スリムのかっこいいこと!そのヤサぐれた歌い方とギターの巧さにようやく気が付いた。ずう〜っと聴いてるといろんなことが見えてくる。


 8月14日 雨/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 レス・ポールが逝った。94歳の長寿を全うした。90過ぎても現役でギターを弾いていた偉人だった。お昼のNHKニュースで、その死を映像を交えて丁寧に伝えてくれた。そのギターと共に「LES PAUL」という偉大な名を遺した素晴らしい人生だった。ブラボーレス・ポールそして合掌
GUITAR SLIM『THE THINGS THAT I USED TO DO』
 
ニューオーリンズ〜ルイジアナを聴いてきて、やはりギター・スリムは外せないな。そういえばギター・スリムにもレス・ポール・ギターを抱いたジャケットがあったよね。つまり、人気者として高価なレス・ポールを買える程稼いでいたわけだ。タイトル曲は'54年の大ヒット。忙しくて疲れたのでこのへんで。つづく


 8月13日 曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 三浦しおん『神去なあなあ日常』読了。高校出たらまあテキトーにフリーターで食っていこう、「将来」なんて全然ピンとこないから考えないようにしていた少年が、卒業式終わって担任から言い渡された就職先とは?そこは三重県山奥の神去村。いきなり林業に従事するハメとなった無気力少年の成長記なんですね。『忘れられた日本人』読んでこの山奥林業小説にきたから、その古くからの風習など似た感じがあり、とても面白かった。ともあれこちらは青春小説でもあるので恋有り...う〜んあとは山ばっか(笑)。御神木ジェットコースターがとにかく凄かったな。
CLIFTON CHENIER『BAYOU BLUES』
 
ニューオーリンズを囲むはルイジアナ。今日はそのルイジアナ・スワンプ蛇腹ブルース。スワンプはサウス・ルイジアナの湿地帯で蛇腹はアコーディオン。そしてこの蛇腹ブルースはザディゴと呼ばれ、そのザディゴ・キングこそ本盤のクリフトン・シェニエなのであります。簡潔な紹介でした(笑)。まさにアコーディオン・ジャンプなヒット曲「バッピン・ザ・ロック」でわかるように、基本的にはダンス・ミュージックなんですね。まあ総じてブラック・ミュージックはダンス・ミュージックなんだけど。


 8月10-12日 雨/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 忙しくて日記に向かえなかった。宮本常一『忘れられた日本人』読了。"旅する巨人" 宮本常一の代表作をついに読みました。「土佐源氏」凄いね!大河小説のごとき文学だよね。でもノンフィクション。俺が小さかった頃、国道は狭い砂利道だった。ムラの家々は茅葺き屋根で、小さな玄関の引き戸を開けると土間があって土間の横に牛が飼われていた。養蚕も盛んでムラのまわりは桑畑そして家の中には蚕棚があった。耕運機が普及し牛がいなくなると、その場所が機織りの部屋に替わった。絹織物の出機(でばた)が盛んな頃だった。その後十日町の絹織物が斜陽となり出機も姿を消した。今は高齢者を除けばムラの働き手のほとんどが勤め人となった。これは俺が記憶しているムラ(卯之木)の変わり様だ。宮本常一はこんな話しをより細密に収集しながら、日本全国を歩き廻った偉大な民俗学者だった。この本で語られているのは明治から昭和初期のムラの生活史。特に驚かされたのが「夜這い」「歌垣」などの風習に見られる大らかなセックス。昔ってこんなに解放的だったんだ!
the Meters『Anthology/Funkify Your Life』
 
セカンドライン・ファンクとも言うべき独特なサウンドをひっさげてニューオーリンズより登場したミーターズ。これは'69-'77年のアンソロジー。初期のサウンドはインスト・バンドとしてクロスオーバー/フュージョンの先駆けのような演奏だよね。風変わりだけど(笑)。'70年代中頃にはヴォーカルを前面に出したファンク・ロック・バンドとなっていて、夕焼け楽団もカバーした「ヘイ・ポッキー・アウェイ」とか最高にごきげんですよ。このへんのサウンドがネヴィル・ブラザーズへ受け継がれより発展していくわけですね。


 8月9日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 昨夜は大地の芸術祭イベント「富山妙子〜『蛭子と傀儡子(ひることくぐつ)』映像とコンサート」へ行ってきた。演奏者が高橋悠治と聞けば行かずばなるまい(笑)。よく知りもせず勿論ファンというのもおこがましいが、なんと言っても高橋悠治である。やはり元気なうちに見ておかねばという感じで行ったのですが、その演奏がなかなか興味深く面白く楽しかった。高橋さんのピアノとAYUO(高橋鮎夫だと思う。親子だと思うが..)のギターとブズーキ、そして柴田暦のヴォーカルとフルートという編成でした。富山妙子さんは80代で高橋悠治さんは70代だと伺い、その老骨に鞭打ち世の不正義と戦う姿に感動を覚えた。富山さんのお話しの中には韓国の反独裁民主化運動詩人金芝河への共感や日本の戦争責任など、政治や社会を芸術がどのように照射すべきなのか、その強い姿勢が印象的だった。会場となった旧清津峡小学校では富山さんの作品展「アジアを抱いて 富山妙子の全仕事展1950-2009」が開かれていて開演前に鑑賞した。描かれた群衆がすべて前を向いていることに興味をそそられた。見るこちらは、群衆ひとりひとりと対峙させられる感じで、やはり強い訴えを伴った表現なのだが、なにかしら怖さも感じた。
DR JOHN『N'Awlinz DIS DAT OR D'UDDA』
 
俺の世代のニューオーリンズ好きはたいていドクター・ジョンの『ガンボ』にヤラれて深みにはまった連中で、その元はワーナー・パイオニアのサンプル盤『ホット・メニュー'73』に収録のドクター・ジョン「スタッカ・リー」だったはず。あの強烈なダミ声と転がるピアノによる小粋なニューオーリンズ小唄は、日本のロック青少年達をウエスト・コーストから一気にニューオーリンズまで運んでしまった。このアルバムは2004年作品で、その数年前に渋谷クアトロで彼のライブを見た。当然現役バリバリで、あの歌声とあのピアノという必殺の組み合わせを目の前で楽しむという至福の時間を過ごした。このアルバムではアール・パーマー、スモーキー・ジョンソン、デイヴ・バーソロミューといった'50年代から活躍するニューオーリンズR&Bの重鎮達も元気にプレイしていて、N.O.の豊かな音楽風土ってものを感じさせてくれる。


 8月7-8日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 天気わるいなあ。胃がちょっと夏バテ。というか二日酔い。
PROFESSOR LONGHAIR『NEW ORLEANS PIANO』
 
アラン・トゥーサン聴いたから、お次は同じニューオーリンズの大先輩長髪教授。アラン・トゥーサンから「ロックのバッハ」と呼ばれ、ドクター・ジョンからは「ファンクの父」と呼ばれ、さらにジェリー・ウェクスラーからは「ニューオーリンズのピカソ」と讃えられたその人プロフェッサー・ロングヘアー。で、意気込んで聴くと洒脱な脱力感(笑)。流石ニューオーリンズの天才です。このアルバムは'49/'53年アトランティック録音で、ブルースの輸入盤としては比較的入手しやすかったLP盤でした。「ロングヘアーズ・ブルース・ルンバ」って曲があるように、クラーベの五つ打ちをバックに演奏するラテンな感じが超個性的。強力な左手を伴うよく跳ねて転がるピアノ・プレイはこれぞニューオーリンズ・スタイル。ブギ・ウギとバレルハウスが融合したスタイルと言われているけど、なんといっても強烈にシンコペートするリズムが魅力だ。リー・アレンのサックス、アール・パーマーのドラムが絡むとゴキゲンなニューオーリンズR&B。ここからロックン・ロールやファンクが生まれたって説にも一理あるな。


 8月5-6日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 昨日は南魚沼市の総合庁舎まで出向き、9時から4時半までみっちりと「食品衛生責任者講習会」なるものを受講してきた。これ受講しないと商売ができなくなるから(笑)。講師は保健所OBの人達なんだけど、どうも聞き取り辛かったり要点が散漫になったりで、けっこう高い受講料払ってるんだから、もうすこし講師としての腕を上げて欲しい、ってのが受講した率直な感想でした。
 わぐりたかし『地団駄は島根で踏め』読了。「急がば回れ」とか「らちがあかない」「ちんたら」「うやむや」など、普段使われることの多い言葉の語源にせまるという本。なのだが、語源にせまるために旅をし美味いものを食べ面白い話しを聞く、そんな筆者の楽しみがよく伝わってくる本なので、学術書より気楽に日本語が勉強できるウンチク本として話の種になる、そんなふうに楽しめる本でした。続編を期待。
ALLEN TOUSSAINT『THE BRIGHT MISSISSIPPI』
 
今日もアラン・トゥーサンの新作。'70年代に初めて知った頃は "アラン父さん" だったよなと思いだし、今ではすっかりアラン爺さんなジャケット写真を見ながら、その偉大な足取りに拍手を贈りたいね。本作ではピアニストとしてのアランも堪能できるわけですが、ここに集ったミュージシャンが皆良い味を出していて嬉しくなる。ニューオーリンズ・ジャズといえばラッパ。そのラッパ吹きはN.O.出身ニコラス・ペイトン。丸く太い鳴りが心地良い。クラリネットのドン・バイロンはN.Y.ダウンタウン派の俊英としてオール・ジャンル吹き鳴らすプレイヤー。クラリネットもアーリー・ジャズには欠かせない楽器で、ピアノやラッパとの絡みが楽しい。マーク・リボーもN.Y.ダウンタウン派で鳴らした俊英ギタリストで彼もオール・ジャンルな活躍をみせる。ここではアコギを渋くプレイ。アップライト・ベースのデイヴィッド・ピルッチとドラムのジェイ・ベルローズはプロデューサー、ジョー・ヘンリー御用達。ふくよかなボトムでニューオーリンズのエキゾティックなリズムを表現している。鬼才ジョー・ヘンリーがアラン・トゥーサンの奥深い懐から引き出したニューオーリンズ・エレガンス。かつてはフランス領であったり、またカリブの豊かな音楽文化と海で繋がっていたり、そんな影響がニューオーリンズの音楽にはあるような気がする。


 8月3-4日 曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 3日は午後から、娘を誘い大地の芸術祭の作品を見て廻った。今回の作戦は(笑)遠い山奥の作品から攻めて行こうと決めていた。家から車で50〜60分といった範囲内に約300点の作品が点在しているこの芸術祭(越後妻有アートトリエンナーレ2009大地の芸術祭)、パスポートに作品鑑賞のハンコを押すのも楽しみに、まるでオリエンテーリングのように地図をたよりに夏山を駆け廻るのだ。この日行ったのは十日町市松代地区で写真は左上が儀明劇場、右上は脱皮する家、左下が地震計、右下が奴奈川舎。

ALLEN TOUSSAINT『THE BRIGHT MISSISSIPPI』
 
老舗の味わい。この甘さは糖衣にくるまれた上品な和菓子のよう。ニューオーリンズの音楽はどこかエレガントなんだよね。'60〜'70年代、ピアニスト/アレンジャー/プロデューサーとしてニューオーリンズR&Bを牽引した巨人がアラン・トゥーサン。ロック・ファンにはザ・バンドとの関わりで知られた、そんな彼を引っぱり出したのがあのジョー・ヘンリーだ。シドニー・ベシェ、ジェリー・ロール・モートン、キング・オリバーそしてデューク・エリントンなどアーリー・ジャズの巨人達の曲に囲まれたタイトル曲はなんとセロニアス・モンクのナンバー。こりゃあ跳ねて転がるモンクだ(笑)。もう素敵すぎて毎日聴いていたい音楽だな。つづく


 8月1-2日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 北方謙三『楊令伝 十』読了。禁軍総帥の童貫亡き後、宋は北から金の侵攻により江南へと本拠を移す。各地に軍閥が興る中、新しい国造りを目指す梁山泊。合戦シーンが減ってちょっと静かな物語となった本巻。黒騎兵を率い疾走する楊令の姿を見たいものだが...。
 8月になったというのに夏が来ない。どうしたんだヘイヘイベイベー バッテリーはビンビンだぜ(でもないか...中年だし...(笑))。
RCサクセション『シングル・マン』
 
RCが「ぼくの好きな先生」を歌っているのをTVで見た覚えはあった。ヤング720だったかなあ?まわりのフォークとはひと味ちがった連中だなとはすぐにわかった。なんといっても清志郎の一風変わった歌声が印象に残っていた。けどファンになったわけでなく、とうぜんこの'76年アルバムも聴かずじまいで。歌謡フォーク&ポップスが流行っていたあの時代に、やはりこれが売れなかったのはわかる気がする。異質なのだな。ただその異質さの中に見落とされたような美しさが、このアルバムにはある。「夜の散歩をしないかね」「甲州街道はもう秋なのさ」と「スローバラード」は断然美しい。でもこの美しさは切ないね。痛々しい美しさだと思える。忌野清志郎雌伏の美。


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