●2009●

 9月29-30日 雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 新潟国体なのにテレビでちっともやらないので不満な母と俺。以前いつ頃だったか、NHK教育テレビで国体の「弓道」「なぎなた」「空手のカタ?」などを放送したことがあって、普段目にすることのないスポーツがじつに新鮮で面白く、テレビに釘付けになった憶えがある。国民体育大会なんだから教育テレビで一日中やるとか(笑)まあ頑張って放送してもらいたいものだが。
 半藤一利『昭和史1926-1945』読了。昭和の始まりから敗戦までの20年間を戦争と政治に目を据えて語ったもの。この間の戦争による日本人の死者は軍人と市民を合わせて約310万人...。これがこの20年間の結論だと俺は思う。なんとも悲惨であるとともに、「根拠なき自己過信」ゆえに国を滅ぼした戦時指導者達へ限りない憎しみを覚えると共に、マスコミに煽られ戦争賛美へと走った国民的熱狂の恐ろしさに身震いした。
Atomic『Retrograde』
 
エレクトリックなヘンタイ・ジャズも好きなんだけど、正攻法なアコースティック・ジャズで今現在もっともパワフルでスリリングで新しさを感じさせるのはこのアトミックだと思う(まだ解散してなければ)。所謂北欧ジャズだ。本盤は2007年スタジオ録音+2008年シアトルでのライヴ録音の3枚組。彼等はシカゴのフリー・ジャズ・シーンやトータスなど音響派/ポスト・ロック勢とも親交があり、このアルバムの録音エンジニアはスティーヴ・アルビニに連なるボブ・ウェストンでオルタナ/グランジ/ハードコア・パンクで名を上げた人だ。フリー・ジャズや音響派やハードコア・パンクなどがゆるやかにに関係しあっているところがシカゴ・シーンの面白いところ。そんなシーンとの交わりがありながら単純にアヴァンキャルドなジャズに向かわないのがアトミックの凄いところで、エレクトリック・ジャズの新しさに対抗できるアコースティック・ジャズの可能性に挑戦しているとライナーで語っている。メンバーはマグヌス・ブルー(tp)、フレデリク・ユングヴィスト(sax,cl)、ホーヴァル・ヴィーク(p)、インゲブリクト・ホーゲン・フラーテン(b)、ポール・ニルセン・ラヴ(ds,per)。プレイヤー個々が好奇心と向上心を持って演奏しアンサンブルする姿に爽快感のあるグループだ。


 9月26-27日 晴れ/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 一周忌に出席した。今月は2回目。法事というと正座だが、まあ俺の場合45分が限度だな。30分過ぎからはお経も上の空だ。じつはこのごろ胡座も辛くなってきた。膝が痛くなるからだ。いやはやどうにもとしか言いようがないが。
OMAR SOSA『ACROSS THE DIVIDE』
 
ジャズをイージー・リスニングとして聴いたことがない、というかイージー・リスニングにしか聴こえないジャズは聴いたことがないからだが。ジャズとクラシックはプロの音楽だ。高度に訓練されたプロがやるからジャズもクラシックも楽しいし素晴らしい。比べてロックとフォークはアマチュアらしさが生かされる音楽だ。高度なテクニックが音楽衝動を抑制する場合もあるからだ。日本では近年ずっ〜と敷居の低いジャズ・ブームが続いていて、食事と酒のサカナに都合のいいジャズが好まれているようだし、ジャズのスタンダード曲を演奏すればジャズだと喜んでいるアマチュア・プレイヤーも多いみたいだ。そもそもジャズのスタンダードって呼び方もヘンで、ポピュラーのスタンダードをジャズったってのが多いわけだから...。なんか回りくどくなったけど、何を言いたいかといえば、本盤のような凄いジャズがジャズ・ファンの感心を呼ばないってことに、ジャズ・ブームの底の浅さを感じるわけだ。そういえばジョー・ヘンリーの新作『BLOOD FROM STARS』だってジャズとして楽しく聴くこともできる。優れた音楽はどんどん越境し異種交配を繰り返す。このアルバムのサブ・タイトルは「A TALE OF RHYTHM & ANCESTRY」" リズムと先祖の物語 " だ。キューバ出身で青年期にエクアドル〜サンフランシスコと移り住み、現在はスペインを拠点に活動しているジャズ・ピアニスト、オマール・ソーサ。" 分水嶺を越えて " 展開されるソーサの音楽にはアメリカの古い歌やカリブ、アフリカの音楽が聞こえ、ファンクが聞こえフリー・ジャズが聞こえる。じっと聴き込む楽しさを味あわせてくれる、これからの季節秋の夜長にぴったりなジャズ・アルバムなんですけどね。


 9月24-25日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 加納朋子『モノレールねこ』読了。" モノレールねこ " ってなんだ?と単行本の時から気になっていて、そのうち読もうと思いながら数年経ち、文庫本が本屋の平積み台にあったので即購入。なかなか気の利いた短篇が並んでます。辛いこと挫けそうなこともあるけど、熾火のようなささやかな温かさに気付くことで救われる...こともある。ザリガニで泣かされたという解説の吉田伸子のようには泣けなかったなあ。
 昨夜は珍しく町商工会スタンプ会総会に出席。友達が会長やってるし、出席者が少なく困っていると聞いて行ってみたのだが、やはり自分の居場所とは違う気がしてしまった。商売不熱心な自分が悪いのだが。
RCサクセッション『カバーズ』
 
「すばらしすぎて発売できません」と原発企業を親会社に持つ東芝EMIから発売を中止された88年のアルバムですね。そんな話題性もあって、再発されてアルバム・チャート1位となり、じゃああの発売中止騒ぎはなんだったの?って当時は思ったよ。風刺の効いたガラッパチ・ロックンロール・アルバムで曲はすべて洋楽ヒットのカバーで、正攻法の作品とは思えないこれが結局RC唯一のオリコン1位獲得作品となったわけだ。イイネ〜イイネ〜と思わず頬を緩めて聴いてしまう大好きなアルバムだし、高井麻巳子(きゃぁ〜、秋元のバカヤロー!)、三浦友和、泉谷しげる、山口冨士夫、坂本冬美、クワタケ・イスケなんかのゲストも楽しい。でもなんでこれが1位だったんだろ?晩年の高田渡の騒がれ方にも感じたけど、忌野清志郎にしても高田渡にしても、本当の彼等の「真の歌」とは別のところで面白がられていた感じがしてしかたない。「清志郎〜」とか「渡さ〜ん」とか騒いだ若者達(おじさん達もかな)の多くはJポップだって同時に楽しんでた人達だと思うんだよ。だからどうした?と言われると、まあそんなもんだよね、と思うだけなんだけど。


 9月22-23日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 シルバー・ウィークも関係無しに変わらぬ毎日。おまけに昨日今日とムラ祭りで、それなりに祭り行事に参加しながらも普段どおりに店はやってるわけで、ただただ疲れるだけだ。
RICHARD THOMPSON, JOE HENRY, CASSANDRA WILSON, ALISON KRAUSS, LUCINDA WILLIAMS, ROSEMARY CLOONEY,etc『crossing jordan』
 
ジョー・ヘンリーは『タイニー・ヴォイシズ』と同じ2003年に興味深い作品に参加しています。それがこのテレビ・ドラマのサントラ盤『crossing jordan』。レーベルはT・ボーン・バーネットのDMZ、そしてプロデュースはクレイグ・ストリート。つまりジョーのアニキ分にあたるふたりが仕切るアルバムへの参加で、ここではヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「ペイル・ブルー・アイズ」を歌っています。とにかく渋い実力者揃いで、歌われる曲はリチャード・トンプソンがドノヴァンの、カサンドラ・ウィルソンがジミヘンの、アリソン・クラウスはブラインド・フェイスの()、他にキンクスやボブ・ディランなどのロック・クラシック・カバーが並びます。演奏陣にはドラムのジェイ・ベルローズ、ベースのデヴィッド・ピルチ、キーボードのパトリック・ウォーレン、ギターはクリス・ブルースとグレッグ・リーズなどが参加。このバックの陣容はジョー・ヘンリーのアルバムとほとんど同じで、だからサウンド的には兄弟のように似ています。


 9月20-21日 晴れ/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 半藤一利『幕末史』読了。嘉永6年(1853)ペリー艦隊来航から明治11年(1878)、山県有朋による軍参謀本部創設と統帥権独立までの政治の流れを語ったものです。半藤氏が統帥権独立までとしたのは、この統帥権の独立こそが軍事優先国家として、後に軍部の暴走を許し大敗戦を導いた元凶だからです。本書は大学内市民講座で講義された話しをもとにまとめられているので、その話し言葉から厚さのわりには楽しめる内容でした。また半藤氏の反薩長史観という立ち位置が俺と同じなので親しみも覚えました。ようするに幕末の暴力革命から太平洋戦争の敗戦までの歴史を薩長史観=皇国史観とし、幕末から明治の始まりについてあまりに薩長の言い分で語られてきた、と指摘しているところが新しく嬉しい。今の日本でも明治の誕生を「維新」として美化する傾向が強い。これは勝者による薩長史観=皇国史観が土台としてあるけど、武士が好きで西国びいきの司馬遼太郎が維新の志士を美化しすぎたことの影響も大きいかなと俺は思っている。
JOE HENRY『TINY VOICES』
 
『Scar』と『シヴィリアンズ』の間に挟まる2003年作『タイニー・ヴォイシズ』です。1曲目のソウル風な曲にニヒルな歌い方を聴いてるとローファイなスティーリー・ダンてな感じもします。そう考えると彼の作る曲の感じはドナルド・フェイゲンに似た感じがありますね。ほろ苦い語り口による街のショート・ストーリー。ジャケット写真から喚起される物語性を意図的に用意し、音楽のイメージに加味しようとしている(かどうか?)ジョー・ヘンリーの作家性が俺は好きなんだけどね。


 9月17-18日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 実りの秋。周りの田んぼで稲刈りが始まった。早朝は福寿会(ムラの老人会)が神社の清掃をしていた。秋祭りが近づいてきたな。
Joe Henry『civilians』
 
2001年の『Scar』から間に『タイニー・ヴォイシズ』があってこの2007年の傑作がある。もちろん『タイニー・ヴォイシズ』も傑作だった。やはり『Scar』に比べるとすいぶん練れている。曲が良いし、ヴォーカルに気負いがなく聴きやすい。サウンドもジェイ・ベルローズのドラムとデイヴィッド・ピルチのベースが醸す落ち着いたボトム、左右で鳴り響くのビル・フリゼールとグレッグ・リーズのギター類、そしてパトリック・ウォーレンのピアノという基本セットが 偶発生に富んだ" 歌伴 " を披露。2曲でピアノを弾くヴァン・ダイク・パークス、セピア色のアメリカがピアノからこぼれ出てくる感じがいかにもですね。どこかザ・バンドにも通じる、なんというか燻製の旨味とでも呼べばいいのかな。


 9月15-16日 曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 みうらじゅん『色即ぜねれいしょん』読了。1958年生まれのみうらは俺より2つ下だからほぼ同世代。だから彼の自伝ともいえるこの高校1年男子達の青春が、俺には痛いほど恥ずかしいほどよくわかる。「ポケットパンチOh!」やら「フリー・セックス=スウェーデン」やら奈良林先生の「ハウ・ツー・SEX」やらが時代を思い起こさせ(ヒゲゴジラも!「ハレンチ学園」...なんという時代だ!(笑))、思春期男子のエッチな妄想が生み出す悲喜劇を想い出させてくれる小説だ。小説では夏休みに3人組でフリーセックスの島=隠岐島(妄想)でユースホステルに泊まるって話しで、主人公はギターを持って行くんだけど、そこんとこも俺の想い出と重なるんだよね。俺達は4人で能登へ行ってユースホステルに泊まって、しっかりギターも持ってね(笑)、あの頃ギター持って旅に出るのが流行りだったのかなあ?でもねこの小説、思春期男子のエッチな妄想の話しが主題じゃなくて、ロックな青春物語なんだと思うよ。文化祭のシーン、周りは拓郎のコピーやかぐや姫、NSP、ふきのとうなんかのコピーバンドばかり、ディラン好きの主人公はオリジナルの弾き語り、そんなところへヤンキー・バンド " 法然ズ "(仏教系高校だから) が強引に割って入ってキャロルのコピーを歌い出す。ヘタクソなんだけどそこにロックなフェロモンを感じ取った主人公はフォーク調の曲をやめてロックン・ロールを歌い出す...。このへんも俺達とそっくりなんで、他人事とは思えず楽しく読ませてもらった。これは是非とも映画も見なきゃね。臼田あさ美演じるオリーブも楽しみだし。
 社会の動きをひとつ、本日鳩山内閣誕生。政権交代は成ったわけだが、民主党が自民党に替わっただけとはならぬよう願いたい。これを機会に、弱肉強食化し貧困化し右傾化した日本を立て直して欲しいものだ。立ち止まり周りを見渡せばよく判る、生活弱者がいきなり増えた感のある日本。政治家の使命は重大だ。
Joe Henry『Scar』
 
2001年作品でプロデュースはクレイグ・ストリートと協同でしたね。これはオーネット・コールマンとマーク・リーボウが参加してるから買ったアルバムで、その頃ジョー・ヘンリーに興味があったわけじゃないし、聴いた後のこの音楽にもいまいちピンとこなかった。歌もサウンドも陰鬱な感じで、ただ奇妙なサウンドには興味を憶えたし、オーネット・コールマンのサックスが巧く溶け合っていたのが印象に残っていた。久しぶりに聴いてみたけど、同じような感想かな。


 9月14日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 『越後妻有アートトリエンナーレ2009大地の芸術祭』閉幕。津南マウンテンパークの「やまもじプロジェクト」も12日夜に " やまもじ送り " 。作品が炎の送り火となって、芸術祭の閉幕とゆく夏を惜しんだ。写真は友人の村山榮一氏よりいただいた。
 7月26日から9月13日にわたって開催された『越後妻有アートトリエンナーレ2009大地の芸術祭』。2000年に始まり4回目となる今回、俺が見て廻った作品は数えて72作品だった(上の写真はそのパスポートと押されたハンコ)。前回より少ないのは、父が亡くなり暇がなくなったせいもあるが、梅雨の長雨のために行こうと思った日が雨にやられ出渋りが続いたせいもあった。
 きれいな作品、面白い作品、可愛い作品、怖い作品、がっくりな作品などほんと様々な作品に出会えた芸術祭だった。
 中でもふたりの女性作家向井山朋子「Wasted」と塩田千春「家の記憶」には、奥深いところから湧き上がる情動のようなものが感じられ、作品の中で何度も足が停まった。
 桐山集落という松代最深部で作品を展開したBankART1929、そのフレンドリーな雰囲気そしてチャーミングな女性達、山奥のオアシスのような心地よさだった。
 土市の117号線沿いの作品ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー「ストーム・ルーム」は民家の二階の古い歯科診療室、バケツに雨漏り、ガラス窓に叩き付ける雨水、雷鳴に時折チカッ点灯する蛍光灯...その部屋でじっと嵐の過ぎるのを待つ俺達...古い診療室ってのがなんとも変な居心地だった。
 松代室野の大谷俊一「奴奈川舎」は集落から集めた写真で民家を化粧。集落の歴史や営みが喜怒哀楽となって古民家に取り憑く。怖いわけでなく懐かしく温かい。
 大地の芸術祭の作品は空き家となった古民家と閉校した学校を会場もしくはそのもの作品としたものが多かった。作品を見て廻る楽しみの反面、空き家、廃校、限界集落など過疎という現実を目の当たりにし、この地に住む俺達に突きつけた芸術祭でもあった。
 菊池歩の「こころの花」は芸術祭とは別の展示作品だったが、今回もやはり素晴らしく感動的だった。作家と村人が協働して大地に捧げたビーズの花畑。清冽なブナ林の足下に静かに咲くその姿はまるで妖精のように愛らしく、自然との違和感を感じさせない穏やかさが魅力だった。まさに大地の芸術祭!


 9月12-13日 雨/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 寒い、と思いながらも未だ半ズボン。サンダルと半ズボン、自営稼業の証(笑)。ううっ寒い...
JOH HENRY『BLOOD FROM STARS』
 
ミュージック・マガジン誌のインタビュー記事で自らのサウンドについて「光りを放つようで、深くて、厚みのある、ドリーミーで、スモーキーで、ミステリアスなサウンド、そういうのが好きなんだ。また楽曲中心主義で、ソングライター第一主義...」と語るジョー・ヘンリー。アルバムにもいつも彼の文章が添えられていて、本作ではその雷のように鳴るバス・ドラムの話しから始まっている。音・音響・音像への関心の高さが彼の創り出すサウンドの特徴だと思う。プレイヤーの個性的な抜きん出たプレイより、楽曲の持つ感情に寄り添うプレイが求められる。これはプレイヤーにとって難しい要求だ。だからヘンリーのアルバムのプレイヤーは気心の知れた常連が多くなる。ドラムのジェイ・ベルローズ、ベースのデヴィッド・ピルチ、キーボードのパトリック・ウォーレン、そしてギターのマーク・リーボウだ。そして本作ではヘンリーの息子リヴォンがサックスで見事な感情表現を聴かせている。プレリュードを奏でるジェイソン・モランのピアノも素晴らしい。ブルースの情感でアーリー・ジャズをダイナミックに再構築した先鋭な音楽とも言える本作。セピア色のアメリカを現在形に引き寄せる力業が冴える。毎度楽しませてくれる冴えたジャケット写真、本作なんとユージン・スミスだ!


 9月11日 晴れ/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 片岡義男『花模様が怖い-謎と銃弾の短篇-片岡義男コレクション1』読了。編集はハードボイルド&ミステリの案内人池上冬樹。俺にとって片岡義男は『僕はプレスリーが大好き』に尽きる。50年代以降のアメリカの音楽とそれを取り巻く風俗を描いたこの本は、俺のアメリカン・ミュージックの副読本だった。彼の小説は読んでない。トレンディ映画の原作としてもて囃されたせいであえて読まなかった気もする。だから今になって再び片岡義男だ。ハードボイルド短編集。ハードボイルド風クライム・ノヴェルといった感じかな。ハードボイルドは好きだけど、これは面白くなかった。残念。たんにドライで刹那的衝動的でストーリーが稀薄。残念。
JOH HENRY『BLOOD FROM STARS』
 
近頃一番気になる男と言えば勿論ジョー・ヘンリー。プロデューサーとしてランブリン・ジャック・エリオットやアラン・トゥーサンの新作でみせた手腕はじつに見事だった。そして近年のソロ・アルバム「タイニー・ヴォイシズ」「シヴィリアンズ」は俺にとってその年ベストの愛聴盤だった。本盤は待望の新作。うううう...凄い!凄く充実した音の塊がそこにあった。つづく


 9月10日 雨/晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

V.A『Where Have All the Flowers Gone
        The Songs of Pete Seeger』
 
ピート・シーガー・トリビュート盤『花はどこへ行った』には凄い顔ぶれが参加してます。ジャクソン・ブラウンとボニー・レイットはなんとデュオで参加、そしてブルース・スプリングスティーン、ブルース・コバーン、ロジャー・マッギン、ジュディ・コリンズ、ナンシー・グリフィス、アーニー・ディフランコ、ドノヴァン、アイルランドのドロレス・ケーンにスコットランドのディック・ゴーハンなど、まだまだたくさんの有名シンガー達がこのフォーク界の最長老にトリビュートを捧げています。スプリングスティーンが歌う「勝利を我等に〜ウイ・シャル・オーヴァーカム」は60年代の公民権運動で歌われ、ドロレス・ケーン&トミー・サンズ歌う「花はどこへ行った」はベトナム反戦運動で一躍反戦歌として広まり有名になりました。「死んだ女の子」は54年アメリカによるビキニ環礁水爆実験で被曝した第五福竜丸の悲劇を歌ったものです。「腰まで泥まみれ」「太陽の子供達」などベトナム反戦を歌ったものや、「3人のことを忘れない」「歌わずにはいられない」など政治的弾圧に向けられた歌など社会性の強い歌がやはり多いですね。ウディ・ガスリーがギターのボディに「このマシンはファシストを殺す(This Machine Kills Fascists)」と書き込んでいたことは有名ですが、それに触発されたシーガーは、バンジョーに「このマシンは憎しみを包囲し、降伏させる(This machine surrounds hate and forces it to surrender)」と書き込みました。なんとも勇ましい行為ですが、これこそプロテスト・ソングとしてのフォーク・ソング、民衆の叫びを歌うシンガーの心意気というものです。偉大なる先達に拍手を!


 9月9日 曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 7日は朝9時半に出発して夕方5時まで大地の芸術祭の作品を見て廻った。13日閉幕となる芸術祭、もう俺にとって休めるのはこの日だけなのでガンガン見て廻るつもりだったが...妻有は広いし山は深い。結局この日見た作品は15点だった。一番下の写真は十日町市池谷集落の見事なブナ林にある作品だが、ついブナの落書きに目が行った。「一九六八年八月十七日池谷中学キャンプ」と刻まれていた。68年に中学生ということは俺と同じ位の歳なので親近感が湧いた。今はもうない池谷中学校。かつては妻有そして東頸城の地の隅々まで学校があって子供達がたくさんいたのだろう。この芸術祭であまりに多くの廃校を目にし、改めて過疎そして限界集落という問題が、この地に住む俺達の眼前の問題なのだと思い知る。池谷(地元読みでイケダン)のブナ林で見つけた落書きをもう一つ。みんなにもこんな憶え、あるでしょ?

 いったいいつ頃の人達だろうか?今は何処でどうしているんだろうね、おふたりさん。
V.A『Where Have All the Flowers Gone The Songs of Pete Seeger』
 
上の写真編集に気をとられて、あまり聴いてなかったよ。つづく


 9月7-8日 晴れ/曇り/雨/  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 昨日は一日休みをとって大地の芸術祭を見て廻った。各会場相変わらずの賑わいで、よくもこんな山奥の村に、しかも現代アートを鑑賞するために、全国から老若男女が訪れるものだと感心と唖然(笑)。写真は後ほど。
V.A『Where Have All the Flowers Gone
        The Songs of Pete Seeger』
 
『花はどこへ行った』ですね。ピート・シーガー・トリビュート。先日 NHK-BSでやっていた『花はどこへいった〜静かなる祈りの反戦歌〜 』が素晴らしいドキュメントであり感銘を受けました。なので、久しぶりにこの盤を引っぱり出して聴いています。そのドキュメンタリーではカタリーナ・ビットの映像が使われていました。1994年のリレハンメルオリンピック、サラエヴォへの思いを込め、フリー演技で「花はどこへ行った」の曲に乗せての感動のスケーティング。そしてマレーネ・ディートリヒ。彼女が「花はどこへ行った」を愛唱歌にしていたことを初めて知りました。「花はどこへ行った」は直接反戦を歌っているわけではありません。それでもカタリーナもマレーネも、この歌に反戦と平和への願いを込めて歌い演技しました。この歌の生みの親はもちろんピート・シーガーです。ピート・シーガーを聴いて、フォーク・シンガーとは?フォーク・ソングとは?などと考えません。ピート・シーガーこそフォーク・シンガーだからです。90歳の今でも環境問題や反戦の集会でバンジョーを抱え歌っているようです。それに比べて日本のフォークは...、「フォーク」の名を返上しろ...とダメさを並び立てるつもりでしたが、くだらないのでやめます。本盤の感想は明後日へ。


 9月5日 曇り/雨/晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 きのうは十日町で『関口良一の手仕事・回顧展』を鑑賞。故関口良一さんは親友のお父さんです。会場となった十日町市の古民家町屋は関口さんの住居でした。僕が20代の頃、よく酒を飲んでは泊めてもらった想い出深い家です。関口さんは家業の機屋で染色デザイナーとして名声を得るかたわら、陶芸・竹芸・書にもプロを凌ぐ程の腕前の持ち主でした。会場には次から次へと鑑賞者が訪れ、故人を偲びつつ作品の美しさや素朴な味わいなど熟練の手仕事に見入っていました。

V.A『SACRED STEEL Traditional Sacred African-American Steel Guiter Music in Florida
 
ロバート・ランドルフによってセイクリッド・スティールを知るまで、まったくこのスティール・ギターを使ったゴスペルにはノーマークだった。ランドルフのサウンドはそのバンド編成からパワフルで現代的なので、新種のロックっぽいソウル・ミュージックに聴こえたり、また演奏力の高さからジャム・バンドとの共演もあって、そのゴスペルのなんたるかがよく判らないままだった。本盤収録のウィーリー・イースンなどベテランの演奏は素朴な味わいながら、そのスティール・ギターが驚くほど良く歌う。しかもポップで人懐こい。やはり " みんなの音楽 " としてのゴスペルなんだな。ブラック・ゴスペルの世界にはブラインド・ウィーリー・ジョンソンのようにスライド・ギターを得意としたなギター・エヴァンジェリスト(伝道師)なども活躍していたし、スティール・ギターで言えばホップ・ウィルソンのようなディープなブルース・マンもいた。こすりのギターが大好きな俺なので、こうしたアルバムにはいろいろと想像力をかきたてられる。


 9月4日 晴れ/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』読了。素晴らしい!さすが小川洋子だ。まさに物語だ。私小説など実生活を描くようなものとは違う物語世界。すこしズレた世界を書かせたら、小川洋子はじつに生き生きとじつに巧い。チェスに生きた男の物語なのだが、チェスをまったく知らなくてもチェスが愛しく思える、そんな物語を創り出す才能にため息ひとつ。リトル・アリョーヒンとミイラの恋の物語。すこし悲しく、静かな感動がある。
V.A『SACRED STEEL 
   
Traditional Sacred African-American Steel Guiter Music in Florida
 
セイクリッド・スティール、スティール・ギターを使ったゴスペルです。輸入盤なので立派なブックレットもちんぷんかんぷんですが、小出斉氏の『ブルースCDガイドブック』に本盤の説明があったので助かりました。それによるとこのセイクリッド・スティール、フロリダのホーリネス系ペンタコステ派の中でスティール・ギターをメインにしたゴスペルが独自に発展していたのだそうです。そうそう、近年ではロバート・ランドルフの活躍でロック・ファンにも少しは知られるようになったあのゴスペルですね。つづく


 9月3日 曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 新たに巨大与党が誕生した。巨大すぎるよ。まあ結局アメリカと同じ保守2大政党の時代となったわけだ。どうしてヨーロッパのように労働者市民を代表する労働党のような政党が根付かないのかな。
ロンサム・ストリングス『Some Happy Day』
 
昨日書き忘れたんだけど、このアルバム収録の内3曲は俺もそのライブにいたことがライナーにより判明。そうだったのか、2004年吉祥寺スタパの浜田真理子さんのライブに彼等が共演したんだけど、その時のインスト曲がこれだったんだね。あと8月30日に津南で素敵なライブを披露したふちがみとふなとさんも、このアルバムで1曲歌っています。それがなんとリトルフィートの「ウィリン」。なんでも渕上純子さんがフィートのファンということで選曲されたそうです。ほんわかした「ウィリン」ですよ。船戸さんのベース・ソロもキマッテます。それと、リーダーでギターの桜井芳樹が「ケルン・コンサート」についても書いていて、このキース・ジャレットの有名なジャズ曲、彼は若い頃何度聴かされても好きになれなかったそうです。ところが後年ヨーロッパ・ツアー中にふとした時に耳にした「ケルン・コンサート」がじつはヨーロッパ的でシンプルなフォークに似たメロディーを持ってることに気付きそして好きになったとありました。俺も20代の頃「ケルン・コンサート」をまったく受け付けなかったクチなので、もし今聴いてみたら...と誘惑に駆られました。聴いてみようかな。


 9月1-2日 雨/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 8月29日からの続きです。S・J・ローザン『冬そして夜』読了。久しぶりのハードボイルド探偵モノですごく面白かった。コロラド州の小さな町の高校で実際に起きた事件、日頃からジョックス(アメフト部を中心とした体育会系の生徒)にいじめを受けていた二人の生徒が銃を持って登校し13人の生徒・教師を銃殺しそして自殺したあの事件、映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』の元になった事件だが、本作の背景には明らかにこの事件がある。だから社会派小説でもあるわけで、だからこのラスト、解決したのか判らない宙ぶらりんな感じに、これが現実ってことなんだろねと思うけど、でもやはりエンタメ小説的な痛快な終わり方もあったんじゃないかなあとも思う。
ロンサム・ストリングス『Some Happy Day』
 
桜井芳樹(ギターほか)、田村玄一(スティール・ギターほか)、松永孝義(コントラバス)、原さとし(バンジョーほか)という名うての4人組みからなるインスト・バンドがロンサム・ストリングス。04-09年のライブ音源によってまとめられたCD2枚組。今ラストの「ディープ・リバー」を聴いてます。ゲストおおはた雄一のスライド・ギターがじつに味わい深い。このバンド、そのバンド名と楽器構成からカントリー系の演奏をするのかと最初に出会った頃に思っていました。ところがどっこい、まったく不思議なストレンジな演奏で、たしかにアメリカン・ルーツミュージックは感じられるけど、より斬新な音楽を目指しているようです。ギターの音色からラウンジ・ミュージックな感じも顔を見せ、なかなか一筋縄ではいかない連中ですね。なにしろキース・ジャレットの「ケルン・コンサート」まで演奏してますから。


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ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps