●2009●

 12月31日 雪  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 毎朝めくってきた日めくりカレンダーが最後の1枚になった。日めくりカレンダーをくれる問屋さんも商店もだんだんに減ってきて、年末にもらった新年の日めくりカレンダーはついに1個になった。不景気なんだなあとつくづく思う。それでも我が家でいえば、家族みんなたいした病気もせず悪いことも起こらず、娘も初めての中学生活を楽しそうに過ごしたし、俺のバンド活動もまずまず充実していたと思えるし、まあ良い一年だったんじゃないかな。新年もよりよい年でありますように。
NEIL YOUNG『AFTER THE GOLD RUSH』
 ♪ 若くて自分だけでなんとかやっていた時 ひとりぼっちでいるってどんな気分だい?....「オンリー・ラヴ」。 ひとりぼっちでロックに浸っていた70年代のあたま頃、若者の間ではフォークが大ブームとなってみんな拓郎だ陽水だと騒いでいた頃、俺は家に帰るとヘッドフォン付けて大音量でCSN&Yとかクリームを聴いていた。たしかにひとりぼっちだったけど、世界は開けていた。今俺と同じように暗い部屋でニール・ヤングを聴いているヤツらが見えていた。だって、こんなに素晴らしい凄いロックが、聴かれていないはずがない!と思っていたから、じつは、ひとりぼっちでほくそ笑んでいたんだ。そしてなんてこった、53歳の今でも、ひとりぼっちでほくそ笑んでいるなんて。相変わらず俺の今好んでいる音楽は圧倒的な少数派だ。J・ポップなんか聴かないしナツメロ・フォークなんか大嫌いだし予定調和なジャズなんか退屈だし、なんてアレもキライこれもキライなんて言ってると川上弘美さんに「あなたはキライなものでできてるの?」とか突っ込まれそうだけど(笑)、それよりもっともっと素敵な音楽や面白い音楽がたくさんあるのに、どうしてみんな耳をかたむけないんだろ、と不思議でならない。相変わらずひとりぼっちで聴いてるけど、世界は開けているんだよ。あの頃出会ったニール・ヤングやエリック・クラプトンのおかげかな。
 新年も素晴らしい音盤に出会えますように、そしてロックンロールよ永遠なれ!


 12月29-30日 雪/雨/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 柳広司『ダブル・ジョーカー』読了。もちろん『ジョーカー・ゲーム』の続編で、形式も同じ連作短篇なので、一作毎に趣向が凝らしてあって楽しめる。特に表題作「ダブル・ジョーカー」、戦時下帝国陸軍の結城中佐率いる秘密諜報組織"D機関"(これが小説の主人公ね)に対する、同じ陸軍内から差し向けられた刺客"風機関"。陸軍大学校出身エリートで構成された風機関を手玉に取るアンチ軍人組織D機関の働きが痛快だった。
遠藤賢司『君にふにゃふにゃ』
 相変わらず恍惚でエキセントリックなエンケンだ。♪ 僕の音楽は本当に良いの 僕が頑張って歌い続けている年寄りだから僕を誉めるの 僕はそのお世辞にのって調子にのってるだけなの 今とても自信がないよ... と歌うナイーブで寂しがりなエンケンだ。♪ フォーク ロック パンク ジャズ クラシック 演歌 人間が平等であるようにあらゆる音楽は平等だ...そう!だから!フォロパジャクエンNO.1〜と怪気炎のエンケンだ。それでね、ミュージック・マガジンの年間ベストでこのアルバムを高評価してる評論家の皆さん、「僕が頑張って歌い続けている年寄りだから僕を誉めるの」的に、ある頃からエンケンを聖域化してない?なんかそんな気がするエンケン周辺なんだけど。まあそんなことより、俺がエンケンのこうした表現に飽きているのかもしれないな。『東京ワッショイ』のあの吹っ切れ方はかっこよかったなあ、とつくづく思う。


 12月27-28日 晴れ/雨/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 やれ師走だのもうじき正月だの周りがバタバタしてるからついこっちも忙しい気になってしまうけど、年末年始ったって、こちとら世間の土日休みとなんら変わらず仕事してるわけで、こうした正月騒ぎがうっとうしくもある。
FRENCH,FRITH,KAISER,THOMPSON
    『LIVE, LOVE, LARF & LOAF』
 ♪ いっさいがっさいUSA 〜 と空耳アワーな「サーフィンUSA」や、なんとも青い目のガイジンさんチックな「ハイサイ・オジサン」が楽しいこのアルバムは'88年作品。久しぶりに聴いてみたらじつに面白い。そしてメンバーがさらに面白い、というか組み合わせが超凄い。先ずはドラムスのジョン・フレンチだけど、彼は変態ロック・バンド、キャプテン・ビーフハートのバンドのドラマー。そしてベースのフレッド・フリスとギターのヘンリー・カイザーはフリー・ジャズ〜アバンギャルド界の有名人。ヴォーカルとギターのリチャード・トンプソンは、言わずと知れたブリティッシュ・フォーク・ロック界の巨匠。そんな4人が無邪気にロックンロールだよ!ギター・ロックだよ!楽しいなあ。


 12月24-26日 曇り/晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 娘が中学生になったのでサンタさんの役目も終わっちゃった。あ〜あ寂しいなあ(笑)。山田詠美『学問』読了。おそらく今年100冊目の読了本。小二で出会った男女4人が友情を培いながら成長していく物語、かと思わせながら、じつは奇抜な自慰小説だったりでびっくり。いやはや山田詠美は面白い。「生身の男は使いものにならないな...」と高校生になった仁美に語らせ、「私ねえ、欲望に忠実なの。愛弟子といってもいいね」とも言わせてる。でもぜんぜんいやらしさがない小説です。清々しさを憶えるのはテンちゃんの存在が大きい。きっとテンちゃんのようなタイプが理想の初恋の男子なんだろうね、女子にとって。各章のあたまに4人の主人公(+ひとり)の人生の終着点が記してあり、終章くらいまでそれに戸惑ったけど、読み終えてもう一度その部分を読み返し、じ〜んと感動してしまった。山田詠美の思うつぼか(笑)。しかも『学問』だからね。参りました。装本も素敵!
BOB DYLAN『Christmas In The Heart』
 ディランの直球勝負なクリスマス・アルバムである。68歳にしてキャリア47年を誇る御大初のクリスマス・アルバム。塩辛いけどあったかい歌声がいかにもディランのクリスマス・ソング。日本のクリスマスは、ケーキを食べてプレゼントして恋人達がいちゃいちゃする日なんだけど、キリスト教本場のクリスマスはこれだけ多くのクリスマス・ソングが歌われてるわけだから、とてもスペシャルな日で、だからその多くの歌がポピュラー・ソングでもあるようです。ルーツ・ミュージックや古いポピュラー・ソングが大好きなディランだから、クリスマス・ソング集だからといって違和感はまったくない。バックのサウンドもライヴ・ツアーや前作のレコーディングに参加しているお馴染みのメンバーなので、まさにディランのロックとなっているし。
 う〜ん、なんかまとまりが悪いなあ。二日酔いのせいで集中力欠如だ。


 12月23日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 また行けなかった。ちょうど今、浜田真理子は渋谷パルコ劇場で歌っている頃だ。暖冬を予想して雪のないこの日を期待してチケットを用意していたんだけど、やはり無理だった。まあしかたない、そのうち聴きにいける日がくるだろう。
 おっと、なんと、びっくりな(俺的に)発見。母がTVで懐メロ番組を見ていたのでつき合っていたら田端義男さんがいつものエレキ抱えて登場し歌い出した。そのギターのストラップ!、俺がニール・ヤングにあやかってヤングと同じピースマークのストラップを手に入れて使用しているんだけど、そのピースマークの同じストラップをなんと田端義男大先生も使っていらっしゃるではないか!これからは「このストラップはニール・ヤングも田端義男も愛用の凄いやつなんだぜ!」と自慢しよう。判ってくれる相手がいないんだけど...(笑)
浜田真理子『mariko live 月の記憶』
 2002年11月9日、渋谷文化村シアターコクーンだった。見開き紙ジャケの中に写るステージ上の彼女とピアノが、まるでまぼろしのように朧気で、今このアルバムを聴きながら、あれはまぼろしだったのかと思ってしまう。儚げなミューズに逢ったという甘美な記憶。あれほど、澄み切った緊張感に会場全体が包まれたライヴは、俺の人生で一度きりと思えるし。
 浜田さんはこのライヴの前、9月に予定されていた2本のライヴを異常な集中力によるオーバーヒートで中止してしまっていた。そんなもろもろの経緯を、まだ小さなサークルだった彼女のインターネット掲示板を通して知っていたから、この渋谷での彼女初のメジャー・ライヴに寄せる期待とそして不安を抱えて開演を待ちかまえていたことを想い出す。そして歌い出した彼女は、ゆるぎないプロのシンガーとして眩しくステージ上にいた。♪ 胸に手を当てて ここに心があったのと 笑って言ってみる...(月の記憶)が心に沁みた夜だった。そして終演後の渋谷の街を♪ 山こえ遠くに離れても 海の彼方はるか離れても...(イビヨル)なんて鼻歌しながら歩いた、幸せな夜だった。


 12月22日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 夜降らなかったので今朝は除雪作業なし。うれし〜!そのかわり国道の消雪パイプからの散水はなく冷え込んだので道路が滑りやすく、車の運転も恐る恐る。
 青山七恵『かけら』読了。井上ひさしが賞賛するようなキラリと光る感性ってものを俺は感じ取ることができず、どうも不完全燃焼。収められた三編の小説とも、えっこれでおわり?と、なにか物足りなかった。
Fairport Convention『Liege & Lief』
 昨日からずっと聴いてるフェアポート・コンヴェンション。'70年当時、若さに似合わず背筋のしゃんとした雄弁なロックを演奏した彼等。この姿勢の良さは当時でも今でも珍しいと思う。ロックとブリティッシュ・フォークを融合させるという気高い志向がそうさせたのか?トラッドのダンス・チューンをロックに持ち込んだ長尺な演奏の素晴らしさ!眩しく感じていたのはツェッペリンのジミー・ペイジだけではなかったはずだ。サンディー・デニー、リチャード・トンプソン、アシュレー・ハッチングス、デイヴ・マタックス、サイモン・ニコル、デイヴ・スウォヴリックというフェアポート史上最強のメンバーが集った英ロックの豊穣がここにある。


 12月21日 雪  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 今朝も40センチ程積もった雪を除雪。重い雪だった。12月の除雪は心身に応える。何故か考えてみた。12月はまだあまり積もらないかもという期待があるからか。1月に入るともう心も体も冬の態勢になっている(笑)。諦めというか、エエイッ春まで我慢だと開き直る。12月はなあ...今からヤダよなあ。と思ってしまう。
Fairport Convention『Liege & Lief』
 言わずと知れたフェアポート・コンヴェンションの名盤で俺の愛聴盤でもあるけど、これはリマスター&ボーナス・トラック付きのやつで盤友ヒロオ兄イがわざわざ持ってきてくれた。リマスターということで気のせいか音が生き生きして聴こえる。サンディー・デニーの歌声がクリアーに前に出ているし、そのバックのリチャード・トンプソンのギターもやけにリアルに鳴っている。つづく


 12月19日 雪/曇り時々雪  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 土門拳『腕白小僧がいた』読了。1935年から1960年の間に撮影された写真と文により構成された写真集。写真集はけっこう好きで(ヌードじゃないぞ)年に1、2冊くらい買ってしまうんだけど、そもそも値段が高いのがツライとこ。だけどこの本は文庫本なので気楽に手元に置いて眺めていられるから嬉しかった。タイトルどおり子供達を写したものだ。懐かしさがこみ上げてくる。ああこんなカッコしたやつ、こんな笑い方するやつ、いたいたこんなやつ。とにかく子供が路上で空き地で群れていたあの頃。そして閉鎖された炭坑の子供達。その貧しさとそう遠くない所に当時山間僻地だった津南のつつましい生活もあったように思う。それでも子供達は元気に群れて遊んでいた。♪ぼろは着てても 心は錦〜ってなもんだった。こんな子供達、今は日本中探してもどこにもいない。『忘れられた日本人』ならぬ" 忘れられた子供達"。忘れてはならないもの、捨ててはならないものなのに、無くしたことに気付かない。この写真集はそうしたことを私達に気付かせてくれた。
 朝、積雪50センチくらい。国道の消雪パイプの水でべったり重くなった雪を片づけるのが一苦労。店の前と車庫の前の除雪で1時間かかった。これが連日とならないことを祈る。  
浜田真理子『うたかた』
 降る雪を眺めながら、ひとり聴く(暇な店内で)浜田真理子。♪もうすぐ終わるのね ふたりの砂時計...だなんてもうドラマだなあ。ドラマ待ちな俺(笑)。おとなの歌なんだなあと思う。そしてそう思う自分がおとななんだなあと思うひそやかな喜び(53にもなってバカな俺)。♪静かな風に吹かれて 大地が奏でる ひそやかなうたを あなたとききたいの.... ほらほらほらいいでしょう(笑)。もう、ひとり悦にいるしかない。


 12月17-18日 晴れ/曇り/雪  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 北沢秋『哄う合戦屋』読了。和田竜の戦国モノのような痛快時代活劇を期待して読んだらちょっとハズレた。戦国時代の小豪族が割拠する中信濃を舞台とした面白い話しなんだけど、剣を振るえば無双の豪傑でありまた天才的な戦略家である主人公石堂一徹の孤独がツライんだなあ。
 さあて今冬初のスノーダンプ出動、30センチ程の雪を片付けてくるかな。...で約1時間の作業が終了。やたらに疲れた〜。無報酬労働〜。
浜田真理子『うたかた』
 今週はず〜っとこれ聴いてます。浜田さんの新作です。相変わらず素晴らしい浜田真理子の世界ですね。これはもう芸術の域だなあ。NHK教育の芸術劇場や芸能特撰でもまったく問題がない。詞も曲も極めてシンプルにして、流れ出る歌からはイマジネイション豊かな広い空間と深い精神性を感じさせる。じゃあ難しく取っつきにくいのか?いやまったく人懐こい。人肌な音楽なのだ。つづく


 12月13-16日 曇ったり雨だったり雪だったり 体調・普通そして二日酔いもあり  

 13日はライヴだった。『いしばしゆみこ わたしのうたvol.4』を津南町文化センターホールで開催。前日夜にPAや楽器など機材を車に積み込み、ライヴ当日の朝9時に会場へ出発。開場到着してすぐに搬入とPAセッティング開始。これらほとんどすべてを俺達バンドのメンバーで行う。俺は出演の2バンド掛け持ちだから、リハ2回やってそのまま本番。当然、本番頃には疲れも溜まる。しかしそこは老骨に鞭打ってエイヤッ〜!と頑張ったのだ。演奏にそれ程破綻はなかったと思うし、今の俺達の練習量からすればこの程度でしかたないと思う。しかしなあ...終演後に知り合い数人から「ギターの音が小さかった」と言われ大ショック。俺はロックをプレイしてるつもりなんで、ロックにとって「音が小さい」程つらいものはない。ガンガンと鳴らしてこそロックなのに。ステージ上ではちょうど良い音量だっただけに、ミキサーとの打合せミスなのかなあ。
 まあ私事はともかく、オープニング・アクトを引き受けてくれた滝沢満春君と仲間の滝沢正君に感謝。彼等とは高校時代からのつき合いで、今回は彼等の得意な"南こうせつモノ"と満春君のオリジナルを演奏。俺にとっても馴染みの曲なのでとても楽しかった。特にこうせつの曲ではレコードでDR.Kこと徳武弘文が弾いてるフレーズを、俺もDR.Kモデル・テレキャスターで楽しく弾かせてもらった。
 俺達"いしばしゆみこ&ワイズクラックス " も楽しく演奏できたのは勿論。ただ、オリジナルだけで1時間30分というのは、やはり俺達の力量から考えてちょっと長かったとも思う。それでも最後まで聴いてくれてアンコールまでしてくれたお客さん達には感謝いっぱいだ。
 終演、そして撤収、そして卯之木の「じょんの喜」で打上。当然次の日14日は身体の疲れに二日酔いが乗っかって不調。夕方からは雪が降り出し、15日朝は真っ白。これが初雪って感じもするなあ。15〜16日は店の前に消雪ホースを設置、そして洗濯干し場のテラスに防雪ネットを張った。これで一応、冬本番への備えはできた。


 12月11-12日 曇り/雨/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 小路幸也『brother sun 早坂家のこと』読了。さすが『東京バンドワゴン』の小路幸也、おもしろホームドラマの達人だ。幼い頃に母を亡くした三姉妹がいる。男手一つで三姉妹を育てあげた父親は長女が大学を出て仕事を始めた頃に再婚する。近所で別々に暮らす三姉妹と父親の一家の関係はすこぶり良好だ。ハッピーなホームドラマ。そこへ20年も音信不通だった父の兄が現れる。謎が謎を呼ぶ。さあそこからがちょっとした三姉妹探偵モノだ。結局、みんないいひと過ぎてズルイよって言いたくなるくらい、でもこれがハッピー・ホームドラマの王道だから。ああ楽しかった!
 さて、明日はいいよ俺達のバンドのライヴ本番なので、昨日あたりから気もそぞろ(笑)。演奏前には機材の積み込みとセッティングがあり、これがけっこう重労働。本番が始まる頃にはクタクタだったりするんだ、この歳になると(笑)。
RAY DAVIES『THE KINKS CHORAL COLLECTION』
 レイ・デイヴィスの地元ノース・ロンドンのクワイア、ザ・クラウチ・エンド・フェスティヴァル・コーラスとの共演なんだけど、スリーブの写真を見るとコーラスにはおじさんおばさんお祖父ちゃんお祖母ちゃんな感じの人が多い。きっと、レイの同級生や幼馴染み、近所で知り合いのおじさんおばさん達もいるような気がする。レイは当然地元のヒーローだし、キンクスの60年代70年代のヒット曲は、この人達の青春の歌だったんじゃないかな。だって、歌とコーラスがとてもしっくりいっているんだものね。温かく楽しそうで。そして若々しくてかっこいい。そしてあらためて、レイ・デイヴィスの楽曲の良さと歌の味わい深さに感服いたしました。


 12月9-10日 晴れ/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 向田邦子『思い出トランプ』読了。やまだ紫の訃報を知ったからか、ふと本棚にあった向田邦子の本に手が伸びた。さりげない日常に潜む鋭い闇を見事に描くことにかけて、やまだ紫と向田邦子は名人であったと思う。ドラマ名人であった向田さんの短篇には、名人ならではの情景描写と心理描写そして人物の造形で、短篇ながらそれを感じさせない堂々としたドラマとなっていて、読み終わる度にふっとため息がでる。文庫本のあとがきでは水上勉が「みごとな人生画帖」と讃えていた。
RAY DAVIES『THE KINKS CHORAL COLLECTION』
 これまたクリスマス・シーズン最良の贈り物。ありがとう!レイ・デイヴィスの新作は、彼の地元ノース・ロンドンのクワイア、ザ・クラウチ・エンド・フェスティヴァル・コーラスとの共演、そして選曲はベスト・オブ・キンクスだ。そりゃあもっと聴きたい曲はあるけど、これでも大満足です。レイのヴォーカルのバックにはバンドがシンプルかつタイトにサポートしていて、コーラスはそれに乗ってくる形なので、ロックの耳で聴いても充分楽しめるはずです。つづく


 12月6-7日 曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 漫画家やまだ紫さんが今年の5月に亡くなったということを昨日知り、'80年頃に熟読していた彼女の『しんきらり』や『性悪猫』のことを想い出していた。それは単に漫画というより、大人の女性の視点で書かれた良質なエッセイのような趣があった。合掌
Geoff Muldaur & the Texas Sheiks『TEXAS SHEIKS』
 娘さんクレアの新作に続いては親父さんジェフ・マルダーの新作です。ジェフ・マルダーに呼ばれて集まった腕達者達はスージー・トンプソン、シンディー・キャッシュダラー、ステファン・ブルートン、ジョニー・ニコラス、ブルース・ヒューズ。そのバンド名がテキサス・シークス! さてシークス、米国ルーツ・ミュージック好きなら即ピンと来るのがミシシッピ・シークス。戦前の南部一帯で一番人気があったと言われるストリングス・バンドだ。このミシシッピ・シークスのトリビュート盤に参加したジェフ・マルダーと上記の仲間達が、良い感じのセッションができたこのメンバーで自分達のアルバムを作っちゃおうとなり、その名もミシシッピ・シークスにあやかってテキサス・シークスと名のり本盤のリリースとなったらしい。内容はミシシッピ・シークス始めビッグ・ビル・ブルーンジー、ガス・キャノン、ロバート・ジョンソン、スキップ・ジェイムス、ボブ・ウイルス&ヒズ・テキサス・プレイボーイズなどストリング・バンド、ブルース、ウエスタン・スウイングなどの渋〜いカバー集。アメリカン・ルーツ・ミュージックに精通したジェフ・マルダーならではの素晴らしい音盤です。


 12月4-5日 雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 奥田英朗『無理』読了。あの『最悪』『邪魔』の路線が復活ですね。転がり落ちる惨憺たる人生滑落小説(?)。まるで他人の不幸を見てきたように書いてる立場にユーモアが漂ってるから、ついついこっちも他人の不幸は密の味式にもっともっと知りたいと...読んでる自分がイケナイ人に思えてくるような...。福祉行政、派遣労働、援助交際、市民運動、新興宗教、格差社会...そういったモロモロを、冴えない地方都市とそこに生きる市民に思い切りぶつけた現在形あるある小説。けっこう身につまされる(笑)。
CLARE AND THE REASONS『ARROW』
 ファースト・アルバム『ザ・ムーヴィー』を聴いたのが今年に入ってからだから早くも2作目って感じのクレア&ザ・リーズンズ。NYブルックリン産ドリーミー・ポップスだ。雑誌でチェンバー・ポップ・ミュージックと紹介されてるとおり、小編成のストリングスや管楽器を配した室内楽的ポップ・ミュージック。クレア・マルダーは知る人ぞ知るジェフ・マルダーの娘さんで、父親譲りの才人ぶりを発揮している。ちょっとウィスパーな感じの可愛い歌声に甘いメロディー、ちょっと刺激が足りないとも思えるけど、こんな音楽が聴きたくなることもある。センスの良い楽曲が並んでいるから、聴き込むのが楽しくなってくるしね。クリスマス・シーズンにもぴったり。


 12月2-3日 晴れ/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 野菜作りが好きだった父が亡くなり家で食べる野菜に困るかなと思えば、それは農村ど真ん中、親切な皆さんが大根、白菜、ねぎ、じゃがいも、キャベツなどを「これ、食べてくんねかい」と言って取れたてを持ってきてくれる。ありがたいことだとしみじみ。
カーネーション『Velvet Velvet』
 最初に直江を知ったのは直江政太郎の名でムーンライダーズの鈴木博文と「政風会」を組んだ時で、だから直江もカーネーションもライダーズ〜湾岸スタジオ周辺のバンドという括りが俺に中にあった。両者の関係は今日まで続いているし。脱退した矢部がライダーズのサポート・ドラマーだったこともあったな。直江の詞から滲み出る叙情性は博文君の持ち味と似た感じもあって大好きだ。ただバンドとしてのカーネーションはライダーズより直球ロックだし骨太で、それは直江が野武士が似合い博文君には温厚な町医者が似合うような、そんなキャラの違いだと、俺は勝手に楽しんでいる。
 鐘がキンコンカ〜ン♪と鳴り響き、うわっ師走なロックだなって感じの「Velvet Velvet」から始まり、「annie」「ジェイソン」のようなアッパーなロック・ナンバーが快調に続き、あいだにはニヒルな「砂丘にて」なんてかっこいい曲があって、後半には「songbook」なんて達郎が歌いそうな素敵にドリーミーな曲もある。2009年の日本ロック、ベストな一枚に決定!
 ♪ 一度も使わない傘がある 背のびをする朝をつかまえてる 何度も言うけど 変なこと言うけど 信じていい ほらいつもの天気とちょっと違うでしょ すべてがいつもとちょっと違う I Love you Love You 〜 「songbook」より


 12月1日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 師走に入り、そして今日はなんとも小春日和な良い一日だった。久しぶりにきれいな青空を見た。でも洗濯物が乾かないと祖母ちゃんはこぼす。しかたないよ気温は低いんだから。
 NHK新潟の番宣、『新潟の歌姫たち』だったかそんなタイトル。その歌姫たち、Negicco、Yucca、Hanna だってさ。このネーミング、今そこいら中こんな名前だらけだよな。なんで???
カーネーション『Velvet Velvet』
 今年聴いた日本ロック最良の一枚だな!聴けば聴くほど良さが滲み出てくる。パワフルな女性ドラマーが増えてる日本ロック界。このアルバムで叩いてる中原由貴も凄いよほんと。まあ体格も直江政広より大きいみたいだけど。とにかく重心が低くキレがある。スリー・ピース・ロックのボトムを確実に支えてる。かっこいい!だからこのアルバムのパワー感・音圧は文句なし。ロックの風圧だ!そして直江の泣けるメロディーとホロ苦い歌声が、これまた文句なし!顔つきまで侍みたいになってるよ。直江政広と太田譲って侍役とか素浪人役が似合いそうな雰囲気があるな。きっと人間的にも味わい深いんだろうな。つづく


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