●2010●

 3月30-31日 晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 宮本昌孝の『風魔』上中下巻の内上巻を読み終えた。単行本の時はたしか上下巻だったと思うけど。全3巻は読み応えありそうだ。忍者物は大好きだし特に「風魔」という名には子供の頃から惹かれていたから読んでいて楽しいよ。さて今日で3月も終わり。年度末でもあるね。
the feelies『CRAZY RHYTHMS』
 音楽誌でヴァンパイア・ウィークエンドの記事を読んでいたらフィーリーズの『CRAZY RHYTHMS』と音楽的接点があるとか書かれていて、おお〜フィーリーズ、あのジャケット懐かしいぜ!ってことで引っぱり出してきた。'80年作だったのか。ちょっとインテリっぽくていかにもダサい大学生な感じの4人が並ぶジャケットは、あの当時ヘンに新鮮だったのを思い出す。ギター・ロックなんだけどスムーズじゃない引っ掛かるようなリズムに、ああコイツらもヒネクレ者なんだなって感じだった。ドラムのアントン・フィアーはこの後ペルウブそしてラウンジ・リザーズに参加し、そしてゴールデンパロミノスを結成したのだったかな。まあ一筋縄ではいかなかった連中ってことだよね。ただ当時も今も、このアルバムにはいまいちインパクトを感じないんだよね。'80年頃って、トーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』に圧倒されてた頃で、だからこのフィーリーズはちょっと軽かったような気がしたと思う。ヒネクレ・ポップ愛好者としては今の方がこのアルバムを楽しめたかな。


 3月28-29日 雨/みぞれ/雪...  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 3月末、年度替わりだけど、どうもヒマなせいか気合いが入らないなあ。
リクオ『RIKUO & PIANO』
 黒っぽいピアノが心地よくころころと転がる。リクオのピアノはいいなあ。友部さんともつき合いのあるリクオだから、そのピアノのプレイは耳にしていたけど、歌をアルバムとして聴くのはこれが初めてだ。そうそうこうゆう歌声だったと思い出した。地味だけど味のあるシンガーだよね。歌詞を丁寧に歌うところがいいな。本作はカバー集で、沢田研二の「時の過ぎゆくままに」のような有名曲からボ・ガンボスの「魚ごっこ」のような俺的に嬉しい曲などバラエティに富んだ選曲だ。ソウルフラワー中川敬の「道草節」は見事にハマってるね。♪べっぴんさんの笑顔があって 我等は生きる〜(笑) ラストに歌われる「胸が痛いよ」はリクオと忌野清志郎の共作で、これはやはり心に沁みる。


 3月26-27日 曇り/雨/晴れ/みぞれ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 「忘れてはいけない!僕が好んだのは辺境の地の音楽家だ。かつてのニューポートのディランもファイブスポットのエリック・ドルフィーも、ワイト島のマイルスもジョン・ケージの生涯も。皆その疎外感を味わったはずだ。だから強く自分を信じて創作しよう。」高田漣のツイッターより
 さすが高田渡の息子(と言っちゃ本人に悪い)。これこそ表現する者の心意気だよね。 迎合せず、媚びず、ぶれず、挑戦し、変化し続け、そして我が道を行く。そんな風に人生も音楽もと理想は高く現実は...(笑)
BOB DYLAN AND HIS BAND (3月26日 Zepp Tokyo)


(写真「How to Follow Bob Dylan」より)

 前回2001年 以来のボブ・ディランだった。会場はお台場のゼップ・トーキョーでオール・スタンディングだ。案の定、前のノッポ二人連れのせいで隙間からボブを覗き見ってかんじのライヴになったけど、演奏が始まり音圧が押し寄せて来たとたん、覗き見とかそんなことどうでもよくなった。それ程ボブ・ディラン&ヒズ・バンドのブルージー・ロック・ショウは素晴らしかった。まるでアメリカ南部チトリン・サーキットをワンナイト・スタンドで廻るタフなロックン・ロール・バンドが東京に出現したかのようだった。ボブ・ディランといえば、未だ日本のマスコミは「風に吹かれて」と" フォークの神様 " のような紹介しかせず、だから世間一般でもそんな'60年代的な捉え方しかされていないと思う。ディランがフォークだったのなんてデビュー時のごく短い期間なのにね。そして21世紀のデイランが素晴らしく充実した活動をしていることも、マニアやロック・ファンのみぞ知るだ。まあいいけど。今回のデイランはなんと言ってもオルガン弾き!オルガンを弾きながら歌うか、スタンド・マイクで歌うか。ギターを弾いたのは1曲のみだった。しかしそのオルガン弾きが様になっていて驚いた。ギターを抱いて歌うディランしか見たことがなかったからね。オルガンを弾くバンマスとしてオルガンでバンドを煽り鼓舞するなんてまったく驚きだ。ブルージーにアレンジされた曲が多かったからなおさらオルガンが引き立っていた感じだった。もちろん歌もハーモニカもパワフルで、これで70歳かよ!と恐れ入る。チャーリー・セクストン始めバンドの重心の据わったタイトな演奏も見事だった。

Tokyo, Japan Zepp Tokyo March 26, 2010
1. Leopard-Skin Pill-Box Hat
2. Lay, Lady, Lay
3. Just Like Tom Thumb's Blues
4. Every Grain Of Sand
5. Summer Days
6. Sugar Baby
7. Tweedle Dee & Tweedle Dum
8. Make You Feel My Love
9. Honest With Me
10. Po' Boy
11. Highway 61 Revisited
12. I Feel A Change Comin' On
13. Thunder On The Mountain
14. Ballad Of A Thin Man
(encore)
15. Like A Rolling Stone
16. Jolene
17. Blowin' In The Wind

Band Members
Bob Dylan - guitar, keyboard, harp
Tony Garnier - bass
George Recile - drums
Stu Kimball - rhythm guitar
Charlie Sexton - lead guitar
Donnie Herron - banjo, electric mandolin, pedal steel, lap steel
(曲目・メンバー・リスト「How to Follow Bob Dylan」より)


 3月25-26日 雨/雪/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 久世光彦『触れもせで 向田邦子との二十年』読了。「...『星影の小径』をいやに長いことハミングしていたのは、何かわけがあったのだろう。きっとその何かが、生きていることのいちばん大切な部分と、意外な関わり方をしているのだ。」感心させられる描写と観察眼にただただ唸る。久世光彦と向田邦子。プロデューサーと脚本家として『寺内貫太郎』を始め多くのヒット・ドラマを生み出したプロ中の一流プロ。そんなふたりのおつきあいを眺める贅沢。田舎では絶対にお目にかかることのないオトナ達に憧れる青二才の俺がいる。田舎のひとは一生懸命田舎自慢をするけれど、俺は都会で生まれ暮らしたかったのだ。
鈴木祥子『SYOKO SUZUKI
    
WITH JACK-TATI & SHINOBU KAWAILive At The SHIBUYA-AX
 おおっ!鈴木祥子オフィシャル・ブートレッグ・シリーズ第1弾で限定1,000枚プレスだ。いきなりツェッペリンのロックンロールだ。そうか、ロックな夜だったんだな。バック・バンドはジャック・タチ&カワイシノブ。ゲストには武川雅寛も。うんうん、ラウドでワイルドな鈴木祥子だ。さすがニール・ヤング好きな祥子さん、ザラついたサウンドもお手の物。そしてそんなヤサグレたロックのなかから素敵なメロディーが流れてくる時、何とも言えない甘美な香りが届く。一発ヒットを打って、ちょっとだけでも(長居をするとこじゃない)メジャーなシーンで活躍して欲しいそんな鈴木祥子なんだよね。


 3月23-24日 曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 彼岸明けでお墓へ送ってきた。入りの日に比べて雪の嵩がグッと減ったのが墓石を見て実感できた。
V.A『大瀧詠一ファーストアルバム
        カバー集(1980-2010)』
 耳に馴染んだアルバムを曲順も同じくカバーしてるから、例えば1曲目の「おもい」が原曲に近いから、ついそのままアコギのイントロで「それはぼくぢゃないよ」が始まるかと思えば、いきなりアイリッシュ・チューンなイントロで「それは...」になっちゃうのでヘンな感じなんだけど、出来が良いから面白いよ。面白いといえば「あつさのせい」だね。" HMOとかの中のひと " の新録バージョンなんだけど、これがあの初音ミクオーケストラによるテクノ・ポップなんですね。これ最高に楽しい。俺もこんなのやってみたかったな。それにしても近年の大瀧詠一関連のリリース・ラッシュはどうしたことだ!来年はロンバケ30周年ということで盛り上がる(マニアのあいだで?)んだろうけど、買う方の身になってみろ!(笑)ラストは西田敏行歌う「いかすぜ!この恋」で、なりきりプレスリーがハマリすぎて楽しいよ。


 3月21-22日 雨/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 きのうは母の姉の33回忌だった。「33年前、私達はどん底でした...」と、のこされた三人兄弟の末っ子の喜子さんが語りだし、俺は涙が溢れてとまらなかった。三兄弟は母を亡くす3年前に父親を亡くしていたからだ。今ではそれぞれが立派な家庭を築いている三兄弟の、これまでの苦労を知る人達の集まりだっただけに、感傷的でありながらとても温かい33回忌だった。
V.A『大瀧詠一ファーストアルバム
        カバー集(1980-2010)』
 「それはぼくぢゃないよ」「指切り」「びんぼう」「五月雨」などのはいった大瀧のファーストは、愛聴盤としてそれこそ磨り減る程聴いた想い出深いアルバムだったし、「びんぼう」は俺のバンドのレパートリーだった。ここに収録の曲は、このアルバムのための新録ではなく(新録もあるけど)、古くは80年西田敏行のライヴ音源「いかすぜ!この恋」や82年桑名晴子(懐かしい!)の元気いっぱいな「ウララカ」から最新は本年作で曽我部恵一がiPhoneで高架下録音した「びんぼう」など、統一感はないけど面白く楽しめる内容だ。つづく


 3月19-20日 晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 佐々木譲『北帰行』読了。『エトロフ発緊急電』など初期の冒険活劇小説はもちろん、明治維新を幕府・奥羽越列藩同盟側の視線で描き勝海舟をダメ人間として痛快にコケにした『武揚伝』など、佐々木譲は大好きな作家だった。なのに彼が一般的にブレークした北海道警シリーズには食指が動かなかったのは何故だったのか。それがこの『北帰行』を読んで判った気がした。もちろん本書は面白かった。警察小説も犯罪小説も好きだ。だけど、同じように追う者と追われる者がスリリングの交錯する小説でも、『エトロフ...』と『北帰行』では人間味に違いが出る。小説の背景の差だとも思うが。今の日本人はどうしても薄味になってしまうということだ。
村治佳織『Portraits』
 天は二物を与えずどころか、二物も三物も与えることもある。キムヨナと真央ちゃんなんて巧くて可愛いくてスタイルもいい。福山雅治なんて二枚目で役者で歌が上手くて良い曲作って上等なギターをたくさん持ってる(笑)。そして彼女村治佳織もギターのテクニックと美貌を兼ね備えた素敵なひとだ。同じクラシックでもギターの場合は、スペインやブラジルなどラテン系の作曲家の作品が多く、その辺もクラシック・ギターの楽しさだと思っている。ここでは坂本龍一やエリック・クラプトン、ビートルズといった比較的ポピュラーな曲を多く演奏しているけど、俺はやっぱりスパニッシュなアランフェスなんかの方が好きだな。パウロ・ベリナティ『ジョンゴ』、現代曲だとあるがエスニックで情熱的な演奏にぐっと引き込まれる。素晴らしいテクニックに弾き出されるこの情感は凄いな。


 3月17-18日 雪/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 そしてまた日記さぼっちまった。彼岸の入りということで母のテンションが高い。テンションが高くとも高齢な母なので彼岸の準備は俺にほとんど廻ってくる。仏間の掃除にお墓の掘り出し(雪の中からね)とかいろいろね。今朝はお線香とお茶を持って我が家のお墓へお迎えに行き、そして親戚の家の仏壇をお参り。日頃神仏関係に不熱心な俺にしちゃあよくやってるよ(笑)
Charlie Christian『The Original Guiter Hero』
 チャーリー・クリスチャンのギターは和めるね。ムリがないムダがない、簡潔にしてよく歌う。こんなプレイをジャズ・ギターの初期にやられちゃ、その後のギター弾きはたいへんだ。どんどん難しくなって、奥歯に物が挟まったようなプレイが増えてしまった。チャーリーの弾く雄弁なシングル・トーンのフレーズ、ジャズ・ギターなら俺はこれでちょうど良い。ベニー・グッドマンのスモール・コンボでの演奏、みんな粋だよね。グッドマンにライオネル・ハンプトン、フレッチャー・ヘンダーソン達。クーティー・ウイリアムズやカウント・ベイシーなどが加わってのアフター・アワーズ・セッションな感じもいいね。セッションを重ねながら新しいジャズを模索していた、そんな熱さも伝わってきて、ジャズの青春時代って感じもする。


 3月14-15日 晴れ/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 また日記さぼっちまった。本間健彦『高田渡と父・豊の「生活の柄」』読了。しみじみといい本だった。どん底ともいえる困窮生活を送った父・豊と4人の息子達。この本が赤貧の生活を描いても囲炉裏のような温かさが感じられるのは、貧しさに引きづり込んだ張本人の父を息子達がずっと愛し続けた、その温かさだ。結局末っ子の渡は父に似た生き方を選んだわけだし。世間的に一般的に言えばこの父・豊は失格者と呼ばれるだろう、だけど「世間的」とか「一般的」を基準としない生き方を選ぶ者もいる。そんな父・豊が暮らせた時代の寛容さも大事だ。今の非寛容な日本ならより辛い現実が高田一家を襲ったのではないかとも思えた。ほんとうに強くて優しくなければ豊や渡のような生き方はできないよ、と言われた気がした。
GEOFF MULDAUR『IS HAVING A WONDERFUL TIME』
 やはりこれも名盤だわ。'75年にリリースされたジェフ・マルダーのソロ・アルバム。ディスカバー・アメリカン・ミュージックの才人ですね。アーリー・ジャズをおしゃれにジャイヴし、ジャージーかつムーディーにジャズを歌い、愉快にジャグ・バンドし、痛快にニューオーリンズR&B。シブくてシャレていて、なにをやっても様になる。盟友エイモス・ギャレットのギターも素晴らしく歌い、スティーヴ・ブルートンもコーネル・デュプリーもきっちりソロを決める。ジェイムズ・ブッカーのN.O.ピアノ&オルガンは豪快にローリング、ベニー・カーターやハワード・ジョンソンなどブラス陣が音楽を豊かにし、ロン・カーターやポール・ハンフリー、バーナード・パーディのような達人がボトムをしっかり支えている。マリア・マルダー、ジョン・ケイルそして地味ではあるがリチャード・トンプソンも参加と、なんとも豪華な布陣で創り上げた傑作がこれなんですよ。う〜ん、この楽しさを語るのは難しいよなあ。


 3月13日 雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 娘の13歳の誕生日。思い出すなあ生まれた日のこと。青空がいっぱいでポカポカ陽気だった。美しい春の日に生まれたから美春と名付けたんだよね。出産後の分娩室で妻と相談して即決めた。シンプルな名前がいいなと思っていたから。
 川西蘭『あねチャリ』読了。不登校で引き籠もりの女子高生が自転車競技に目覚め根性だして一花咲かせるっていう、まあシンプルでテレビドラマ的といえるかもしれない。シンプルだけど素敵なお話しとなっているのは、ヒロイン本人の楽天的な性格と脇役達の味わいのよさですね。ひたすら自転車のペダルをこぐ(回す!)というシンプルさから立ちのぼる喜びが、読むこちら側に伝わってきて読後感爽快です。
PAUL BUTTERFIELD'S BETTER DAYS
  『PAUL BUTTERFIELD'S BETTER DAYS』
 やはりこれは名盤だわ。'73年ベアズヴィル・サウンド・スタジオ録音。もう血統書付きってことだね。バターフィールドにジェフ・マルダー、エイモス・ギャレット、ロニー・バロン、クリストファー・パーカー、ビリー・リッチ。よくこれだけのメンバーが集まったものだ。歌も演奏も聴き所の多いアルバムなんだけど、今回はロニー・バロンにちょい耳をうばわれた。ロニーのピアノとオルガンが醸すメロウな風情がじつにいいね。ニューヨーク山中にニューオーリンズのモダンを持ち込んだロニーに乾杯、いや献杯か。


 3月10-11日 雪/曇り/雪/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 アメリカとの密約が明らかになったとか、それで歴代の総理大臣を喚問せよとか、その前に小沢だ鳩山だとか、結局与野党後ろ暗い事に事欠かず、そんなことは国民もとっくに承知で、政治家への尊敬などトウの昔に捨てている。政治なんて「誰がやっても同じ」と無力感.....。21世紀、そんな日本どこへゆく。
THE ZAWOSE FAMILY
 『Small Things Fall From The Baobab Tree』
 ザ・ザウォーセ・ファミリー『バオバブの木からの贈り物』です。ちょうど去年の今頃、信濃川の雪原でリンバ(親指ピアノ)を掻き鳴らし楽しくアフリカン・ビートを歌い演奏したサカキ・マンゴー(こてこての大阪人だよ)、その彼の師匠が本盤の中心人物フクウェ・ザウォーセ。タンザニアの至宝と称せられる音楽家です。親指ピアノのリンバ、弓で弾く弦楽器イゼゼ、あと様々な太鼓によるサウンドはループしながら素朴な色彩感を発散し、そこに力強いコーラスがかぶさる。アフリカ各地の音楽を聴いて感じるのは歌声の逞しさだ。マイクに頼らず広場中に行き渡る声がつまりこうゆう歌声になったのだろうか。子供達のコーラスに聞こえるものもライナーによると大人のコーラスだとある。大地から立ち昇り大気を振るわせる素晴らしい声の塊だ。


 3月8-9日 雪/曇り/ちらちら雪/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 北方謙三『楊令伝 十二』読了。北に金、江南には南宋が興り、中原に金の傀儡斉が興る。斉の国内には梁山泊の国と軍閥岳飛・張俊の支配地域がある。西には梁山泊の交易路となる西夏そして耶律大石の国が興りつつある。これが第十二巻の舞台。そんな広大な舞台や合戦のスペクタクルに負けず劣らず、男達のドラマには静かな感動があった。老兵は志を胸に抱きしめ消えゆくのだった。じい〜ん
GORILLAZ『PLaSTiC BEaCH』
 ボビー・ウーマックとルー・リードが参加してるから買ってしまったエレクトロ・ポップ(?)。このゴリラズなるバンド、ライナーによればブラーのデーモン・アルバーンとビジュアル・アーティストのジェイミー・ヒューレットによる架空のバンドだとか。ブラーやオアシスなんかには縁遠いので「なるほど」も「へえ」もないんだけど、エレクトロな感じの音楽はけっこう好き。アナログ・シンセにシーケンサーやリズム・マシーンなんかで多重録音を楽しんでた頃を思い出すから。アニメっぽいバック・トラックでもルー・リードはどこまでもルー・リードだなと安心もできた。


 3月5-6日 曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 藤堂志津子『きままな娘わがままな母』読了。37歳の娘と62歳の母の二人暮らし。娘「欲ばりね、おかあさんは。娘の私をずっと手もとに置くのに成功したら、こんどは孫をうめだなんて...しかも未婚の母のすすめだなんて...」。母「あら、あなたたちが知らないだけよ。私ぐらいのトシで娘を持つ親の究極の本心はそれなのよ。自活できるだけの仕事を持つ娘が、子供をうんでくれて、その子供の父親とは別れて親もとにもどってきてくれること。...」。いやあまいった。男は種馬か(笑)。しかし俺も一人娘の父だから、その意見にはおおいに肯けるなあ。なさけない気もするけど。
V.A『BLOWIN' THE BLUES /
    BLUES
HARMONICA MASTERS 1927-2009』
 こんどはディープなハーモニカ・ブルースでどうだ!(笑)いつものブルース&ソウル・レコーズ誌の付録CDです。曲ごとに、曲のキーとハーモニカのキーが書いてあるので、ブルース・ハープの練習には便利だね。吹き語り芸人ジェイバード・コールマンやジャグ・バンドのノア・ルイスなども含まれたちょい広めな選曲が嬉しい。リトル・ウォルターが入っていないのはイタイけど、まあそれは単独盤で聴けばいいことで。ブルース・ハーモニカ、10個の穴から吹き出される名人芸だよね。


 3月4日 曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 NHKの朝ドラ『ウエルかめ』であがた森魚が好演していて可笑しい(可笑しいは失礼かw)。大学院でウミガメロボットの研究をしている勝乃新の教授があがた演じる清州教授。その温かい笑顔の裏にマッド・サイエンティストが透けて見えるあたりに、「あがた森魚」が透けて見える。浮世離れした教授と弟子が研究室で湯豆腐を囲みながら「まあ気長にやりましょう」とか話してる、笑顔で共に落ちていくような怖さを一瞬感じさせて...流石あがた森魚。
泊『唄声の港』
 ディープなソウルに続いてディープな歌謡曲。サウンドがディープというよりその思いに、戦前の歌謡曲への深い愛を感じる。遊び心だとしてもこのオリジナルな楽曲と歌声はたいしたものだ。昭和歌謡が静かなブームとかで、歌謡曲のカバーはよく耳にするけど、オリジナル曲としてこれだけのものを創り出したことに脱帽だな。バックのギターがマーク・リボーに聞こえる瞬間があったりで、随所に今風も顔を出す。もともとモダンだった戦前歌謡の良さを上手く引き出してるところが凄いな。こんな(趣味趣味な)人達がいるから音楽も楽しいんだよね。


 3月2-3日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 文藝別冊『追悼加藤和彦』を読みながら考えた。もし吉田拓郎の「結婚しようよ」が加藤和彦によるヒットだったら、その後の日本フォークはあんなにも低レベルに歌謡フォーク化せずにきたのではないかと。加藤和彦なら「結婚しようよ」の軽さがシャレっ気で素通りしたんじゃないかと思うんだけど。ついでに思ったのが...、もしアリスが殿さまキングスのような衣装でデビューしていたら、フォークだロックだと間違われずに演歌グループとして今日に至ったのに、...てなことをね。
Spencer Wiggins『The GOLDWAX Years』
 スペンサー・ウィギンスの'60年代ゴールドワックス集。その昔ヴィヴィッドより一緒にリイシューされたジェイムズ・カー盤と共に熱心に聴いたウィギンスです。サザン・ソウルだけどモダン・ブルースもイケる辛口なとこが彼の良さかな。サウンド的に言えばソリッドなスタックス、メローなハイに比べ、ゴールドワックスの録音が行われたマスル・ショールズやアメリカンスタジオのサウンドは埃っぽい感じ(笑)。ゆったりとした重量感あるボトムがディープな歌声にピッタリで好きものにはたまりません。クラレンス・ネルソン、レジー・ヤングと思われるギターもブルージーで味わい充分。「Take Me Just As I Am」「Uptight Good Woman」といった名バラードは御存知ダン・ペン、スプーナー・オールダムの作品。'60年代、南部の小さなスタジオで、白人の作った曲を黒人がシャウトして生まれた奇跡、それがサザン・ソウル・バラードだよね。


 3月1日 曇り/晴れ/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 ついに3月だ。もう春が見えた。北重人『蒼火』読了。追い詰めているつもりが追い詰められた!しかもそいつは悪鬼のようなやつ!凄かった、面白かった。登場人物それぞれの造形が巧いし情景描写が巧いし...ほんと巧い作家だと思う。『白疾風』でも感じたけど、江戸の町そして近郊の町や村そして街道の様子など、その描写が実に巧みでリアルだ。そうした様子が説明調にならず物語に溶け込みさらに人物達を引き立てドラマに緩急を与えている風なのだ。北重人は全部読もう。
 話変わってiPhoneアプリ。チュナーで有名なピーターソン開発の「iStroboSoft」がじつに良いです。たった1200円でいいんですか?と嬉しくなっちゃう。
 おっとこれも忘れずに、日記だからね。バンクーバー五輪の閉会式で歌ったニール・ヤングに感激!ギターとハーモニカによる弾き語りで歌われたのは「Long may you run」だった。超サプライズに超感激!でもニール・ヤングはカナダを代表する歌手でもあるんだからサプライズじゃないんだよね(笑)
John Hall『Action』
 ニルス・ロフグレンを聴いてたら、同じシンガー・ソングライターでギタリストとしても凄腕なジョン・ホールを思い出した。こちらはオーリアンズで大成功したからニルスよりは有名だし、環境保護などの市民運動にも積極的で、今ではアメリカの下院議員だとか。なんだ政治家なんかになっちゃってとガッカリだが、これは彼の若かかりし頃、オーリアンズ結成前'70年リリースのソロ・デビュー作。オーリアンズよりアーシーな感じなのに、やはりニューヨークっぽいと思う。ソウルのフィーリングなのかな。ギターはやはり達者です。ソロ・プレイヤーとしてだけでなくギターを中心にすえたアレンジャーとしての才能が感じられて、後にプロデューサーとしても才能も発揮する、まあそんな才人なのですね、ジョン・ホールは。ジョン・セバスチャンのハーモニカが良い感じで入ってますね。


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