●2010●

 4月29-30日 曇り/晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 4月ある週のオリコン週間シングルチャートで、なんと売上500枚に満たない作品が週間トップ100入りしたという。また16位で3000枚未満、20位で2500 枚台、30位で1600枚台となり、先週までのワースト記録がさらに塗り替えられた。とある。CD不況がここまで深刻とは思っていなかった。ただ、ずいぶん前から、若者向けに絞った曲が氾濫しているとは感じていたし、大ヒットしている曲なり歌手の認知度があまりに狭いことも感じていた。結局レコード会社は大衆を甘く見ていたのだろう。まるで「音楽産業廃棄物」のような安易な音楽を作り続け反省もないレコード会社の責任は大きい。だけど、携帯の着信でサビだけ聞いて満足してしまう音楽の聴き方も大問題だ。なんでこんなことになってしまったのか。音楽を巡る問題だけではないのかもしれない。新聞のコラムで大塚英志が、日本人=「考えたくない民意」について書いていた。つまり、今の日本人の民意なんて、ただ風に流されているだけの超軽い民意だということ。普天間基地の問題でも、何故か日米安保に踏み込まない。安保の議論なくして基地問題はないでしょ?アメリカ軍が必要か必要でないかを国民一人一人がしっかり考えた上で、米軍基地問題を考えないのなら、日本人の主体性なんかないじゃないか。政治家もマスコミも何故日米安保を避けているのか、いや〜な感じがする。
浜田真理子『夜も昼も』『うたかた』
 
「かなしみ」の歌い出し、" あ..." の絶妙さに感心する。思いの丈を込めた見事な" あ..." から一呼吸おいて " だれか だれかいませんか わたくしの かなしみを 聞いてくれる人 " と歌われる。もうこれは絶品というしかない。アルバムのどの曲にも、磨き抜かれた言葉とメロディーを感じる。なにもおろそかにされていない。こうゆう歌は、聴いた人達の心には深く残り大切にされるだろう。だからなおこそ、もっと多くの人達が、浜田真理子の歌の素晴らしさに気づいて欲しいと思う。


 4月26日 晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 金井美恵子『柔らかい土をふんで、』読了。ページを開くと見開きびっしり四角く文字の塊、それが最初から最後のページまで続く。会話カッコも改行もほとんどない。苦手なブンガク、とたじろぐ。最初は慎重に言葉を踏みしめながらページをめくったけど、しだいに言葉のアシの草むらをかき分けながら、とにかく先に進もうと頑張った。どこかでナニかが見つかると...。厚い小説ではないし、けっこうオシャレな雰囲気は感じる。でもナニかが見えては消えてゆく。引用とイメージのコラージュって感じで映像が浮かぶのに、次々とはぐらかされる。金井さん曰く「貧しい文学の世界を豊かにする」小説、賢い婦女子や青年達に読まれて欲しい。いやはや文学修行の足り無さを痛感(笑)
PINK MARTINI『SPLENDOR IN THE GRASS』
 
いきなり甘ったるいラテン歌謡、でもアメリカはオレゴン州ポートランドのバンド。ラテン歌謡ぐらいで驚いてはいけない、なんと日本のムード歌謡、和田弘とマヒナスターズの「菊千代と申します」を本格的にカバー!これには腰が抜けるぜ!(笑)、美輪明宏の「黒蜥蜴の歌」、由紀さおりの「タ・ヤ・タン」なんていう今では日本人にすらピンとこない懐かしの歌謡曲まで立派にカバーしている。なんだかよくわからんが、頭が下がるなあ。彼等は色物キワモノ集団じゃないんだよね。というより中心の二人はハーバード大学出身のインテリさんだ。何故アメリカのインテリさん達がナイトクラブのバンドのような社交音楽をやっているのか?それは、かつてのアメリカ中流家庭では家族が集まりピアノに合わせて一緒に歌う習慣があった。誰もが知ってるメロディーがあり歌詞があり、歌い踊ったものだった。そうした音楽文化を再構築したいとの試みだという。新時代のラウンジ・ミュージック、ニュー・スタンダードを志向するグループ、それも世界中のポピュラー・ソングを取り入れて、そんなグループがUSAから出てきたのも新鮮だ。


 4月24-25日 雨/曇り/晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 昨日は菩提寺様の葬儀に参列してきた。10人のお坊さんによる読経には迫力があった。お斎の席で偶然隣り合ったのが、姉の中学時代の担任だった池田先生で、先生からは懐かしい話しがたくさん聞けて嬉しかった。今朝は5時半からボランティア三昧(笑)。ゴミ拾いと花壇作りで朝食まえの2時間(!)を有意義に過ごした(嬉しくなかったけど)。それにしても気温が上がらないね。早朝は霜がおりていた。
JOANNA NEWSOM『Ys』
 
けっこうと前から話題になっていたジョアンナ・ニューサムを聴いてみた。新作が出たばかりなのに、ひとつ前の『Ys』(" イース "と読むらしい)を先ず聴いたのは、スティーヴ・アルビニが録音して、ヴァン・ダイク・パークスがストリングスを乗せて、それをジム・オルークがミックスしたという、もうそれだけで興味をそそられる音盤だから。彼女がアメリカのフリー・フォーク・シーンと共に語られることや、ハープを弾きながら歌うソングライターだってことはちょっとだけ知っていたけど、これを聴いてみて、これは手強いぞってのが率直な感想。言葉がダイレクトに判らないとツライなってこと。たしかにサウンド的にも惹かれるものはあるけど、ここで彼女は「語り部」なんじゃないかな。詞がまるで物語のようで、それをハープを弾きながら語って聴かせている。そんな感じだ。コトバの壁の前で悔しい思いだ。


 4月23日 曇り 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 マーク・ラパポートのつぶやき==「音楽が好きで、私たちと一緒に雑誌や本を作ってくれるスタッフを募集します」とは月刊『MM』4月号掲載の求人広告。本音は「生涯アイドルポップ指向で、私たちと一緒に思想に欠けた雑誌や本を安月給で作ってくれるパープリンのオタクを募集します」==MM誌とはミュージック・マガジンにことで、マーク氏は以前MMで硬派なジャズ・コラム「じゃずじゃ」を連載していた人物。twitterでMM誌現編集長高橋修を痛烈に皮肉ったわけだ。たしかに高橋が編集長になってからのMMにはミーハーっぽい特集が目立つなあと思っていたけどね。'70〜'80年代ほどには熱心に読まなくなったMMだけど、硬派な視点は失わないで欲しい。かつては渋谷陽一=ロッキン・オンを格下扱いしてたNMM=中村とうよう編集長のアノ硬骨漢ぶりが懐かしくなるよねえ。
DILLARD & CLARK
 『THE FANTASTIC EXPEDITION OF DILLARD & CLARK』
 『THROUGH THE MORNING, THROUGH THE NIGHT』
 
盤友ヒロオ兄いからいただいたディラード&クラーク2枚。俺も1枚くらい持っていたけど、聴くのはすいぶん久しぶり。'68年と'69年のファーストとセカンド、所謂カントリー・ロックですね。俺のカントリー・ロック事始めは'71年にシングル盤で買ったポコの「カモン」。だからこのD&Cなんかは後追いでちょっと聴いてみました程度の印象しかなかったな。ブルーグラスも好きだから、ここに入ってるレノ&スマイリーの曲なんかは嬉しくなるね。逆にジーン・クラークの寂しげな歌は昔から苦手なんだなあ。後にイーグルスに加わるバーニー・レドンもファースト・アルバムではメンバーとしてギターの他作曲にも名を連ねていたんですね。他にバイロン・バーライン、クリス・ヒルマン、スニーキー・ピートなども参加していて、いかにも70年頃のカントリー・ロックな感じで懐かしい。


 4月20-22日 雨/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 忙しくてこの日記も..おっと1週間もさぼっちまったぜ(笑)。ムラの総会の議事録も今日書き上げたし、頼まれていた(アルバイト)御食事何処の写真メニューも完成したし、これでちょっと息抜きできる。
 平岩弓枝『黒い扇』上下巻読了。昭和30年代のミステリー。ストーリーも登場人物も物語の背景も申し分なし。平岩さんは『御宿かわせみ』など江戸市井物にも、さらりとミステリーを織り交ぜて、素敵な腕の冴えを見せる作家なので、この昭和の30年代に書かれた現代ミステリーも面白いに違いないと読み始めたのだが、大正解!刑事や探偵が出てこないミステリーとしても新鮮だった。そういえば近頃のTVドラマ、安直な刑事モノが増えすぎだよね。
V.A.『All Kinds of People 〜 Love Burt Bacharach』
 V.A.『Burt Bacharach presents 〜 Sweet Melodies』
 バート・バカラックもの2枚。『All... 』はジム・オルークによるトリビュート物で本年リリースのされたもの。彼はこの数年日本在住で日本のミュージシャンとのつき合いも多いらしく、なので本盤には多くの日本のミュージシャンが参加している。バート・バカラックという極めてポピュラーな音楽家をアカデミックに捉えてシンプルに聴かせる、という試みなのか?それぞれの演奏はなるほど面白い部分は感じられたけど、歌の弱さが最後まで気になった。結局、御本家を聴きたくなって『Sweet...』を久しぶりに聴くことになった。カーペンターズ「遙かなる影」、B.J.トーマス「雨にぬれても」、ドリフターズ「恋するメキシカン」、アレサ・フランクリン「小さな願い」、ハープ・アルバート&ティファナ・ブラス「カジノ・ロワイヤル」など懐かしいヒット・チューン満載は言うまでもない。そして俺が大好きなのはディオンヌ・ワーウィックの「恋よ、さよなら」。♪what do you get when you fall in love〜 この絶妙な歌い方に、相変わらずキュッとくる俺なのである。


 4月14-15日 雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 4月はなんだかんだで忙しい。このMacの前でゆっくり遊んでる暇もあまりない。平岩弓枝が書いた昭和30年代のミステリーを読んでいるんだけど、今とあの頃のミステリーを比べて、その道具立てとして一番変わったのが携帯電話と煙草だと思う。携帯電話の例は判りやすいから置いといて煙草のことだけど、昔は煙草を勧める習慣(というのかな?)があったでしょ。煙草の箱の切り口の近くをトントンと叩いて顔を出した1本の煙草を相手方に「どう?」と勧めるアレ。昔の大人はアレをよくやったもんだよね。ミステリーでは、男同士の別れのシーンで使われたりしてたね。あと駅のホームでの一服。あれも大事な情景描写だったと思うし。女が煙草を吸うシーンからは、その女性の人生が垣間見えたり。まあとにかく昭和の日本では、どんな場所でもスパスパ吸って、吸い殻は靴で踏み消してそのまま、そんな時代があったんだねとつくづく思い出したんだよ。
VAMPIRE WEEKEND『CONTRA』
 トーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』が「つづく」となってたのにこっちを聴いてました。『リメイン..』は名盤として定番だから今更誉める必要ないしね。『リメイン..』から30年後、同じニューヨークの後輩バンド、ヴァンパイア・ウィークエンドがなかなか良いんだよね。メンバー4人がコロンビア大学出身ということでインテリなんだね。それで子供の頃から当たり前にパンクとヒップホップを聴いていた。自らを音楽オタクと名乗るように、ワールドミュージックにも深い関心を持ち、ありきたりじゃない音楽を希求する。そんな彼等の作るロックは一見爽やかで軽やかだけど、面白い味付けが随所に顔を出しとても楽しい。特にエレクトロニックなサウンドがポップな新しさを引き立てているように思う。当然ながら曲も良いし、このヴォーカルも好きなタイプなので、つい聴き入ってしまった。


 4月11-12日 雨/曇り/雨  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 歌野晶午『黄桜の季節に君を想うということ』読了。その年のミステリーの賞を総なめとかあるけど、あの時本作の単行本に食指が動かなかったカンのようなものは正しかったと文庫本を読み終えてみてわかった。俺はこのテのミステリーが好きじゃないんだよね。登場人物をボカシて時間軸をずらして、じつはこうだったんです、というような話しがね。登場人物が魅力的じゃないとつまらないし、これはストーリーもイマイチで、どうしてこれがミステリー・ファンにうけたのかワカランな。
 昨夜は映画の『半落ち』でまたまた泣いてしまった。これは俺には珍しく横山秀夫の原作より映画の方が好きな作品だ。人間ドラマの素晴らしさが原作を越えてると思う。
TALKING HEADS『REMAIN IN LIGHT』
 やはりこれは衝撃的だったんだよ。'80年リリースの今では堂々たるロックの名盤。シャープで腰の強いリズムが圧巻だね。ほとんどワン・コードで押していながら多彩なサウンドにも恐れ入る。デイヴィッド・バーンとブライアン・イーノが才気の最高潮で創り上げた傑作。つづく


 4月9-10日 曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 もう雪の心配もないから、店の前の消雪ホースを片付けたり、物干しテラスの防雪ネットの片付けを始めた。ムラのグラウンドに並ぶ櫻も見てきたけど、まだ雪があるし開花までにはあと1週間はかかりそうだ。
THROBBING GRISTLE『20 Jazz Funk Greats』
 これがリリースされた'79年頃にノイズ/インダストリアル系なんてジャンルがあったのかな?あの頃、テクノやコラージュやSEなんかに興味があって自分でもシンセやシーケンサーで遊んでいたから、それなりに楽しく聴けたけど、今聴くと記憶の中のサウンドより軽いし尖った音もなくてそれ程インパクトが感じられなかった。突飛な事って色褪せやすいしね。まあ彼等のファンじゃなかったし、だから思い入れもなかったからな。


 4月6-8日 曇り/雨/曇り/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 『風魔』に圧倒された後で、友人から借りた歌野晶午『黄桜の季節に君を想うということ』を読み始めたんだけど、どうもライト・ノベルに感じられて物足りない。
 6日夜(だったかな)BSでやっていたアリソン・クラウス&ロバート・プラントのライヴが素晴らしかった。ギターにバディ・ミラーとマーク・リボーが並んでるんだから興奮したよ。これは是非DVDでリリースして欲しいよね。
JAMES WHITE AND THE BLACKS『off white』
 THE CONTORTIONS『BUY』
 久しぶりに聴いていていろいろ思い出したことがある。'80年頃ってフツーのロックにつまらなさを感じていた頃で、80年代は俺のロック濃度が一番低かった10年だったんだけど、だから脱ロックなロック・バンドをよく聴いていた頃で、そんな時に聴いたのがニューヨーク・アンダーグラウンドのノー・ニューヨーク勢とかで、そこにジェームス・チャンスのコントーションズもいたわけだよね。性急にペラペラ薄っぺらに尖ったサウンドにかっこよさを憶えた。特にこのシャープなギターは好きだったな。痙攣ぎみにかきむしるようなリズム・カッティングが、ロックにも蔓延っていたテクニック信仰をバッサリと切り刻んでるようで爽快だった。ジェイムズ・チャンスのフリーキーなサックスの咆哮と叫びまくるヴォーカルにもエールを送ってたよな。周りにいたフュージョン好きなヤツや、まだツェッペリン・パープルにしがみついてる奴等や、普通のジャズを聴いてる人、そんな連中に「どう?これが今一番新しいんだぜ!」とか言って偽悪的に聴かせてやった、そんなキレたミクスチュアーなロックがジェームス・チャンス=ジェームス・ホワイトだったんだよね。今聴いてもかっこいいワ〜。


 4月4-5日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 宮本昌孝『風魔』全3巻読了。これこそエンタテイメント時代劇の傑作だ。物語は戦国の終わりから徳川草創期を舞台として、その時代背景と実在人物を巧みに取り込み、史実の裏で暗闘を繰り広げる忍者集団や武芸者達そして悪党をスリリングに交錯させる。そしてなにより主人公風魔の小太郎の素晴らしさ!「風魔の小太郎とは、この武士の世で、戦闘者として恐るべき能力を持ちながら、自由に生きたいと願い、実際にそうしているという、信じがたいほど希有な存在なのである。」しかしそんな孤高な存在に為政者側は怒りと不安そして恐怖を憶え、抹殺を試みる。とにかく戦闘場面が凄い。息つく暇のないくらい引き込まれる。戦いの物語なのだが、このラストはじつに良い。おかげで幸せな読後感を味わった。巧い!お見事!
watching the sky '10 4月4日 日比谷公園大音楽堂
 
ジョー・ヘンリー、ジェシー・ハリス、ハンバートハンバート、おおはた雄一
 アン・サリー、エミ・マイヤー

 時の人(俺にとっては)ジョー・ヘンリーが見たくての東京日帰りだった。ジェシー・ハリスもハンバートハンバートもファンだったし、おおはた雄一にもアン・サリーにも興味があったので、メンバー的にもぴったしの春フェスだった。最初に登場のエミ・マイヤーは日米ハーフの素敵なお嬢さん。ピアノ惹きながら歌うノラ・ジョーンズ風な音楽。オーガニックな爽やかさはアン・サリー。ボサノヴァがお似合いで上品でなにより歌声が素敵だった。おおはた雄一は古いギブソンを抱えて歌った。そのギターはブルースなどアメリカン・ルーツを吸収した見事な演奏で、ギターに比して曲は今風で歌声も売れそうな感じの声なので、なにかきっかけが在れば斉藤和義のようにブレークするかもね。さてハンバートハンバート、フォーク・ロックやトラッド風をオーガーニックな感じのサウンドに乗せて...と思っていたら、彼のエレキがラウドなサウンドを狙っていて少し驚いた。が、彼女の爽やかな歌声は相変わらず魅力的で彼の低音コーラスと絡むとやはりこれがハンバートハンバート。大好きなアルバム『道はつづく』から1曲もなくて残念。ジェシー・ハリスはパーカッションひとりを伴いエレキギター弾き語りでの演奏だった。やはりこのひとは本場から来た " 良質 " なシンガー・ソングライターだった。歌もギターも巧いし曲のクオリティーも高い、あのノラ・ジョーンズ御用達だからね。そしてトリで登場したジョー・ヘンリー。バックにはアルバムでお馴染みデヴィッド・ピルチのコンバスとパトリック・ウォーレンのキーボードというトリオでの演奏。ジョーはいかにも古そうなギブソンを弾きながら時にピアノを弾きながら歌う。アルバムのサウンドに比べてシンプルな演奏だったのに、ジョーのあの深くほろ苦い歌の世界はそのまま表現されていた。つまり彼の声と楽曲という音楽の骨格が、いかに完成されたものであるかがよく判り、その凄さに感動した。これこそロックやジャズやブルースやカントリーなどポピュラー・ミュージックの本場アメリカの実力者による音楽だと納得。ジョー・ヘンリーとジェシー・ハリスを聴きながら思ったのは、申し訳ないが彼等の前に歌った日本勢がみんな趣味の音楽に感じられた、そのことだった。上手いけど弱いなって感じかな。


 4月3日 曇り/雨/晴れ  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 俺の周りには吉田拓郎、南こうせつ、井上陽水など所謂フォークのファンが多い。まあ俺達の年代を考えればそれはよくわかる。で、そんなファンの人達は拓郎やこうせつ陽水達の新作を買ってない人がほとんどらしい。新作を買ってくれない聴いてくれないファンが多いなんてアーティストにとっては辛いことだと思う。なのにコンサートを開けば盛況なんだよ。結局アーティスト側も、お客の" 想い出モード " に荷担する。まさに " 昔の名前で出ています公演 " だよね。なぜこんなことを思うかといえば、先日のボブ・ディラン・ライヴを見たから。ディランはけして想い出モードにならない人だし、客に媚びた姿勢をみせない人だ。60年代にすでに一世を風靡した後もコンスタントにアルバムを出しそしてライヴを精力的に続けてきた。ファンは新譜を待ちわびるし、そのアルバムは渋く尖っていて油断できない出来だ。ディランの他にも、ニール・ヤングだってライ・クーダーだって、その新譜をファンは待ちわびる。ロックが未だ活力を失わないのは、こうしたベテランの充実があるからで、ファンはそのベテランの新たな一手に拍手を贈る。さて日本にはびこる" 想い出モード "...まあ俺は関係ねえやと言うしかねえや。
THE POP GROUP『
『FOR HOW MUCH LONGER DO WE TOLERATE MASS MURDER ?』
 80年前後の刺激的なロック・アルバムがいくつか記憶に残っていて(つまりその後聴いていないってことだけど)、その最たるものがスロッビング・グリッスルとこのザ・ポップ・グループ。これは彼等の79年ファーストと80年セカンド・アルバム。イギリスのブリストル出身、パーラメンツなどのファンク・バンドに憧れつつも技量が追いつかず、跳ねないファンクでダウナーにシャウトするバンドとなった。のかなと想像(笑)。好奇心旺盛な彼等はレゲエやフリー・ジャズなどにも興味があったからそれも抱え込む。ミクスチュアーなロックバンドだった。デニス・ボーヴェルによるダブが話題となったファーストより、そんなエコーやリバーブを削げ落としたセカンドのほうが断然いいと思う。


 4月1-2日 曇り/雨/曇り  体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 宮本昌孝『風魔』中巻読了。風魔の小太郎が真田の猿飛唐沢玄蕃を赦すところに悲哀を感じる。関ヶ原の後、着々と徳川が体制を築きあげていく中、如何なる勢力にも属さず風魔衆は何処へ向かうのか。さあて最終巻へいくぞ。
LEONARD COHEN
 『LIVE
AT THE ISLE OF WIGHT 1970DVD+CD
 縮れた長髪に不精髭、サファリ・ジャケットのような出で立ちは、いかにも70年頃の売れないルポ・ライターとかカメラマンとかの風情が感じられ、またいかにも女にモテそうな太宰治的フェロモンがプンプンと匂い立つ70年のレナード・コーエンだ。もちろんレナード本人について知ってるワケじゃないけど。モテ男ってイメージだけはずっとあるね。この後のダンディな彼がずっとイメージにあったから、このライブ当時の彼の雰囲気はとても新鮮だ。70年のワイト島フェスと言えば、ジミヘンにザ・フーそしてロリー・ギャラガーのテイストまたエレクトリック・マイルス・デイビスなどの派手な人達しか憶えがなかったところへこのレナード・コーエンだ。まさに嵐の中の静けさだよね。チャーリー・ダニエルズやロン・コーネリアスといった一流セッション・マンをバックにした繊細なサウンドと、呟き話しかけるように歌うコーエンの優しい歌声が素晴らしい。ウッドストックやワイト島フェスに遅れてしまったロック世代として、ここにまた伝説がひとつ増えたってことだ。まだこのCDしか聴いていないんので方手落ちの感想でした。では


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月下の遊群CONTENTS
 
ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps