目下脱走中→


●2010●

 8月30-31日 晴れ/雨 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 絲山秋子『絲的メイソウ』読了。ずいぶんと赤裸々なエッセイ集だった。俺より10歳若い女性で作家の、日々噴飯モノ日記だった。気分が落ち込み憂鬱な時のテーマ・ソングがジェームス・チャンスだってのが気に入ったよ。
 今日で8月も終わり。とにかく暑かった。ず〜っと暑かった。今日もまだまだ暑い。そんな夏だったと記憶されるのかな。そして夕方になって雷雨。これで涼しくなってくれたら良いんだけどね。
FABRIZIO DE ANDRE『CREUZA DE MA』
 
ファブリツィオ・デ・アンドレの'84年アルバム、邦題は「地中海の童貞」んじゃなくて『地中海への道程』。ついに手に入れたぞ。ずっと市場から消えていたと思ってたらイタリア盤でCD化されていたことが判り、それならamazonだってことで、すんなりげっと。環地中海ロックの名盤としてマウロ・パガーニ『地中海の伝説』と双璧だと思う。とかいってイタリアのロックなんて他のは聴いたことがないんだけど(笑)。この『...道程』は『...の伝説』に比べて、トラッドな格調がある。つまりシブイってこと。復弦ギター系楽器が良い感じだ。男臭く、潮の匂いもする。フェアポートコンヴェンションがブリティッシュ・フォークとロックを融合したように、ここでは環地中海フォーク・ミュージックをロックと融合させているようだ。人呼んで「サラセン・ロック」とか(笑)世の中には楽しく興味深い音楽がたくさんあるんだな、とわくわくしてくる。


 8月29日 晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 横溝正史『人面瘡』読了。数ヶ月前から一編一編箸休めに読んでいた短編集。5編のうち3編がお馴染み岡山県警の磯川警部モノ。つまり、離島や山奥の旧家絡みの殺人事件。まあいつもどおりの展開。東京を舞台とした金田一モノが好きな俺として「眠れる花嫁」が良かった。昭和20年代東京の、いかにも怪しげな人達が蠢く様が、闇の濃さと相まって、独特な風情を醸し出していて、ちょっとゾクゾクとするんだよね。横溝正史は、ミステリーとして楽しんだことはなくて、こんな日本もあったという風俗小説として面白く読んでいる。
Charles MINGUS,Eric DOLPHY Sextet
 『The Complete Bremen Concert』
 
1964年4月16日ドイツ・ブレーメンでの録音。初めて聴く音源なのでちょっと調べてみたら、有名な『グレイト・コンサート』が'64年4月19日パリだった。つまり名高い名演ライブの3日前の同じメンバーによるライブ録音てわけだ。チャールズ・ミンガス(b)、ジョニー・コールズ(tp)、エリック・ドルフィー(as,fl,bcl)、クリフォード・ジョーダン(ts)、ジャッキー・バイアード(p)、ダニー・リッチモンド(ds)というセクステット。「ソー・ロング・エリック」や「フォーバス知事の寓話」など長〜い曲が多く、もしかしてヨーロッパ聴衆向けに芸術性も高いのかもしれない。だけど、ドルフィーのプレイに精彩がないような気がするんだけど、どうかな。コールズもジョーダンもなんかシャキッとしてないし。長い演奏が冗長に聴こえたりするのは、彼等の調子が悪いのか、それとも俺の体調が悪いのかな(笑)


 8月28日 晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 "インターネットの囚われ人"状態から脱却しようと、とりあえずtwitterから脱走した。
 萩原朔美『劇的な人生こそ真実〜私が逢った昭和の異才たち』読了。登場する異才は、『家畜人ヤプー』の沼正三、パルコを作った増田通二、暗黒舞踏派土方巽、森鴎外の長女で小説家森茉莉、御存知寺山修司、萩原朔太郎の娘で小説家で著者の母萩原葉子、美術評論家東野芳明、以上の面々。みんな一風変わった魅力的な人達だ。中で目からウロコだったのが東野の文化芸術に対する持論で「...文化の主体は、作り手ではなく、受け手なのだ。新しい美術が " わからない " と決めつけられるのも、それを自分の時代のなまなましい表現としてうけとめる、観衆の厚みがないからだ。美術大学にしても、作り手中心ではなく、そんなドン欲な受け手を発生させる場に、と発想を転換する時に来ていると思う。芸術家なんぞという異分子は、放っておいてもなるものはなるのである。...」ということ。なるほどと肯ける考えだよね。萩原朔美というひとは、名前はずっと前から知っていたけど、天井桟敷の役者で演出家だったとか、だけどその名前のわりにはワカラナイひとだった。読んでいて思い出したのは、あの「ビックリハウス」を創刊した人なんだよね。" 放っておいてもなるものはなる " そんな人なんだな、萩原朔美って。
CLIFFORD BROWN & MAX ROACH『at Basin Street』
 
1956年のジャズ。ハード・バップを牽引した名コンボ、ブラウン・ローチ・クインテット名演のひとつです。クリフォード・ブラウンとソニー・ロリンズの瞬発力の効いた見事な掛け合いはジャズの醍醐味ですね。ローチのダイナミックなドラミングは正確無比、フロントの二人を後押しする感じが頼もしい。ピアノはリッチー・パウエル、ベースはジョージ・モロウ。ジャズが沸騰していた熱い時代の息吹を感じさせる爽快なジャズなんだなあこれが。それにしてもブラウニーの疾走感は凄い!


 8月26-27日 晴れ/雨/晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 "インターネットの囚われ人"状態から脱却しようと思う。どうもイカンとは薄々感じていたのだ。Macの前にいる時間が長すぎる。暇つぶしはもっぱらインターネットで、愛読している数冊の雑誌も以前ほど熱心に読まなくなった。自分を発信することでちょっとした自己顕示欲を満たし、同好の士との繋がりを求めてネット空間に浮遊する。何か面白い買い物はないかとネット・ショップを回遊しては、カード決済の気楽さでいらない物まで買ってしまう。ふと顔を上げ周りを見渡せば、インターネットと無関係に生きている人の多いことよ。まあここが田舎だからってこともあるけど(笑)。俺も今までより少し距離を置いてみようと思う。インターネットの世界と。
鈴木祥子、他『SYOKO SUZUKI song book 1 "1989-2009"』
 
歌っているひとたちは、渡辺満里奈、松田聖子、相田翔子、小泉今日子、金子マリ、西田ひかる、和久井映見、パフィー、坂本美雨、坂本真綾、川村カオリ..etc どれもみんないい歌なんだよ。だけどヒット曲と言えるのは小泉今日子「優しい雨」だけだったと思う。鈴木祥子というシンガー・ソングライターは不運なひとだ。その才能に見合うだけの成功を手にしていない気がずっとしている。センチメンタルだったりアンニュイだったり溌剌だったり、そんな女性の生々しい息づかいが聞こえる歌が魅力だ。ボーイッシュでも中性的でもない赤裸々に女臭い(笑)鈴木祥子を俺は好きなんだよね。ここに集められた歌にはそんな彼女の良さが満開で、鈴木ファンとしてはとても嬉しいのだ。


 8月24-25日 晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 小川洋子『夜明けの縁をさ迷う人々』読了。去年の傑作『猫を抱いて象と泳ぐ』を想わせる短編集だった。解説で村田喜代子さんが指摘している「この短編集の作品群を成り立たせているものは、奇妙な時間の連続性であるとしか言いようがない。...メリーゴーランドのように回り続ける世界。いつまでも終わらない連続運動のような永劫回帰的な世界だ。」と。哀しさには様々な感情があるのだということを考えた。そういえば「涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない」って歌がムーンライダーズにあったな(笑)
鈴木祥子、他『SYOKO SUZUKI song book 1 "1989-2009"』
 
鈴木祥子が様々な歌手に提供した曲を集め、そして彼女自身のデモ・バージョンも収録。素晴らしい内容です。が今日はもう時間がないので、つづく


 8月20-21日 晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 山本兼一『命もいらず名もいらず』読了。「幕末の三舟」として勝海舟、高橋泥舟と共に並び称される山岡鉄舟の物語。幕臣であり、書の達人であること、それ以外のことは知らなかった鉄舟のこと、読んでみてビックリ仰天のまさに巨人であったことがわかった。高位の侍従として明治天皇に仕え、その毎日の勤めを終え帰宅すると、先ず弟子たちと剣道に励み、夕食に晩酌。晩酌は二日酔いにならない程度に毎晩二升から三升(!)。それから筆を持ち書を数百枚書き、そして真夜中まで坐禅。公案の答えを考えるに、脳みそに汗をかく程、坐禅をくみ考えた。これが鉄舟の日課だったそうだ。剣も書も禅も一流の人であったが、終生お金には無頓着で貧乏は平気だった。『精神満腹』とはいい言葉だ。
バッファロー・ドーター『The Weapons Of Math Destruction』
 
シュガー吉永、大野由美子、山本ムーグによるバンド、バッファロー・ドーターの新作。けっこうこのバンドのアルバムは買ってるんだよね。ニューウェイヴだったからかな。どんどん進化するニューウェイヴね。しかも照準は世界に向いていて、国内市場で売れることなんか想定していない感じのアルバム制作がなんとも逞しいバンドだと思っているんだけど。エレクトロな反復、ヒップホップなザラつき、ロックの撃音、プログレ、ファンクなど多彩でキラキラしたサウンドが眩しい。毎度うまく表現できないんだけど、毎度スゴイなと思わせる数少ないバンドだ。


 8月17-18日 晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 お盆を過ぎても暑い日が続いてますね。もういいかげんに涼しくなれ!お盆うちずっと仕事で店にいたので、その憂さ晴らしに友人金井君を誘って彼の地元の店で生ビールを大いに飲んだ。いい気分転換になったな。
DUSTY SPRINGFIELD『DUSTY in MEMPHIS』
 
ジョー・ヘンリーも大好きだと言っていたこのアルバム。彼が7歳の時に人生2番目に買ったのもこのアルバム収録曲のシングル盤だというから、ダスティ・スプリングフィールドは当時のスターだったってことかな。俺には馴染みのない人だったけど、このアトランティックの'68年作のアルバムは凄いね。なんたってプロデュースがジェリー・ウェクスラー、トム・ダウド、アリフ・マーディンというR&B、ソウル、ロックの歴史を作った人達だもんね。そしてレコーディングがメンフィスのアメリカン・スタジオ。そのリズム・セクションはボビー・ウッド(p)、ボビー・エモンズ(org)、レジー・ヤング(g)、トミー・コグビル(b)、ジーン・クリスマン(ds)。サザン・ソウルの数々の名曲に彼等の演奏が聴かれるという素晴らしいスタジオ・ミュージシャン達だ。バリー・マン、キャロル・キング、ランディ・ニューマン、バート・バカラックといった売れっ子作家の曲をサザン・ソウル仕立てで味わうという贅沢なアルバムだと思う。


 8月13日 曇り/雨/曇り 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 北方謙三『楊令伝 十四』読了。梁山泊軍と南宋軍の全面対決。物語はクライマックスに近づきつつあるのかな。帝のいない国、自由市場による民が富める国を標榜する楊令の志がようやく見えてきた感じがする。戦場を駆けまわるのは若き将軍達、花麒麟、呼延凌、秦容。みな梁山泊二世だ。そんな中、英傑九紋竜史進がひた走る。その先には、、、。俺が気を持たせてどうする(笑)。久しぶりの大合戦シーン、そのスペクタクルに酔う。
LITTLE FEAT『DIXIE CHICKEN』
 
リッチー・ヘイワードが亡くなったという。彼を偲んでこのアルバムを聴いている。この『ディキシー・チキン』の強烈なシンコペイテッド・ロックの源こそ彼リッチーだったと思っている。'73年作で俺が買ったのが'74年、想い出深いアルバムだ。高三の時読んでいた " ロックの雑誌プラスワン" に「レコード会社の倉庫に眠る日本未発売名盤」というページがあり、そこで紹介されていたのがこのアルバム。翌年上京し、最初に探し回ったレコードがこれだった。原宿メロディ・ハウスで探し当てた時の嬉しさは今では考えられないくらい大きかった。あの頃は宝探しのようにレコード屋巡りをしていたものだ。あの頃買ったアルバムは皆レコードが磨り減るほど聴いたものだ。この『ディキシー・チキン』だってアルバム丸ごと頭にこびりついているから、1曲が終わると自然に次の曲のイントロが口ずさめてしまう程だ。俺にとってコイツは問答無用、オールタイム・フェイバリットなアルバムなんだよ。


 8月10-12日 晴れ/雨/曇り/雨 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 マイケル・バー=ゾウハー『ベルリン・コンスピラシー』読了。久しぶりの謀略エンタメ小説、じつに面白かった。『エニグマ...』『パンドラ...』を読んだのはずいぶん前(30年前?)なので、ゾウハーのサスペンス・タッチがどんなだったかは思い出せなかったが、とにかくスパイ物の大家である。本作も英国MI6、米国CIAがしっかり悪巧み、でもソ連KGBが登場しないところが30年前との違いですね。それでも英米スパイ小説最大の敵としてKGBと並ぶナチスはしっかり登場。恐ろしい幻影として。ドイツを舞台にユダヤ人を軸に、ネオナチ台頭への恐れを背景に、個人の正義と大国の不正義がスリリングに絡み合う。ラストのラストがなんともいえない余韻となった。
TROMBONE SHORTY『BACKATOWN』
 
いいねえニューオーリンズの新星若いけど逞く太いサウンドが快感。ただしそのビートはファンクだけどニューオーリンズ・ファンク独特の緩さがなくちょい違う気がする。まあ一つの新しさかな。トロンボーン・ショーティーことトロイ・アンドリュースは24歳。祖父はあの「オー・プー・パー・ドゥ」のジェシー・ヒル、叔父や兄もミュージシャンという音楽環境に恵まれ、なにしろ4歳で初ライブというから超早熟。その後様々なシーンで学び演奏し、ブラス・バンド、ジャズはもちろんポップス、ロック、ラテンなど、なんでも来いな才能の頼もしい男に成長したわけだ。本作のプロデュースはサックス奏者でギャラクティックのメンバーであるベン・エルマン。しばらくは今現在のニューオーリンズ・ミュージックを楽しもう。そしてまたスマイリー・ルイスとかも聴こうかな。


 8月7-8日 晴れ/曇り/晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 いくぶんか暑さが和らいだ気がする。昨夜は卯の木子供会主催のバーベキューに参加。肉よりカボチャ、じゃがいも、スイートコーンなどの野菜のほうが美味しかった。これも年齢かなあ。
JOHN SMITH『MAP OR DIRECTION』
 
ちょっと前にiTunesからDLして聴いていたジョン・スミス、これは円盤です。あ〜でも日本盤DVD付きを買えばよかったかも。どんな風に歌いギターを弾くのか見てみたかったな。ようやく音楽誌から彼と本盤の情報を得ることができた。それによると、彼ジョン・スミスは英国フォークの新人だそうだ。本作は2作目にあたり、米国南部を旅しながらレコーディングしたそうだ。ロード・ムーヴィーに似た、シンプルでザラッとした感じながら味わいの深さがある。米南部で録音といっても、そこにダイレクトにブルースやカントリーが顔を覗かせるわけじゃない。歌もギターも英国のシンガー・ソングライターらしさが香っている。特にアコースティック・ギターの巧さが光る。でも地味だよね(笑)。


 8月3-5日 晴れ/雨/晴れ 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 暑い日が続いてますね。世間の話題は熱中症、中高年登山ブームの落とし穴、そして消えた100歳以上高齢者。坂東真砂子『ブギウギ』読了。坂東さんによる真っ当なミステリー小説。やはり巧い。終戦を挟んだあの頃、箱根に抑留されていたドイツUボート乗組員達に纏わるミステリー。この舞台設定が効いている。その舞台以上に物語りのスケールが大きいのは、時代背景を巧く取り入れているから。面白かった。
WAS(NOT WAS)『WAS(NOT WAS)』
 
この2曲目の「Where Did Your Heart Go ?」は、あの頃ゲイリー・ムーアの「パリの散歩道」と共に俺の2大バラードだったな。今聴いてみたら思った以上にダンサブルなバラードだったけど、いかにもツクリモノじみていてキライじゃない。'81年のアルバムだけど、まさかドン・ウォズがその後、ボニー・レイット、ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズ、エルトン・ジョン、ウィリー・ネルソンなど超大物達のアルバムをプロデュースして名声を得ることになるとは思わなかったし、そのプロデュースしたアルバムとこのWASのデビュー・アルバムとの接点が皆目判らないってのがじつの可笑しい。だから、ドン・ウォズって可笑しいってことだけど。彼はデトロイトでセッション・マンとしてベースを弾いて活躍していたそうで、そんな彼が組んだバンドは白黒混合のダンス・バンド、それがこのWASの母体。パーティー・バンドっぽいダンサブルで晴れやかなサウンドのバックボーンは、デトロイトが誇るPファンクとMC5なのだ。プラスうそっぽさ&いかがわしさ、がこのアルバムの魅力ですね。彼等曰く「奇妙な世界を写し出す音楽」だそうです。ウェイン・クレイマーほかゲストも多彩です。


 8月1-2日 曇り 体調・普通  アマゾン.com 自粛中!

 8月ですねえ。7月はあっというま過ぎ去った感じ。おそらく、あっというまにお盆がきて、あっというまに秋が来て。そして、あっというまに、、、ああいやだいやだ考えたくない(笑)
THE BAND『MUSIC FROM BIG PINK - REMASTERS
 
ザ・バンドの『ビッグ・ピンク』は俺ロックのバイブルです。バイブルだから未だわからんとこだらけです(笑)。なにしろ聴く度になにかしら発見がある。これはリマスター盤だから、最初にCD化された盤に比べたらその音質は雲泥の差で、だから音の細部が垣間見えてくる。その魔法のようなサウンド、そして魔法使いはガース・ハドソン。リチャード・マニュエルのソウルフルな歌声の後ろには、ガースの不思議な世界が広がっています。ロック界唯一無二の輝きが『ビック・ピンク』にはありますね。これこそプログレッシヴ・ロックなのだ!といいたい。松山晋也監修『プログレのパースペクティヴ』の「ピック・ピンク」の章での中山義雄の指摘は成る程なもので、ザ・バンドは通常のロック・バンドと違い、ドラム+ベース+ピアノで屋台骨を組み立てるスリー・リズムのバンドで、これは50〜60年代のR&B、ソウルのリズム・セクションと同じで、マッスルショールズのセッション・バンドやブッカーT&MG'sと同じだということ。つまりホワイト・ソウル・バンドなのだ。が、彼等ザ・バンドが雇われたのは、サザン・ソウルの現場でなくボブ・ディランだった。という指摘。時代の先端にいたディランと接することで、彼等もロック最先端のセンスに触れることになる。'68年頃といえばサイケデリックなど、ロックのバブル期といえる時代だから、そんな熱さも彼等ザ・バンドにも届いていたわけだ。もともとタフなロックンロール〜R&Bバンドだった彼等にロック最先端のセンスが加味され、さらにガースのジャズやクラシックの素養が注ぎ込まれた結果、この魔法のようなロック・アルバム『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』が生まれたのだ、と興奮気味に考えている(笑)


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月下の遊群CONTENTS
 
ロスタイムにご用心  酔んぐしなくちゃ意味ないね While My Guitar Gently Weeps